【イシュティ公爵記】
【第2編、シェイドアルカンの星追い狼編】【第4章】
城館はありがたく頂くことにした。ついにヒサイエはシェイドアルカンの接待攻勢に降伏したのだ、取り上げられるのは惜しかった。
あの後、おじけづいて逃げようとする女官もいたがチカが縛ってハーシェと一緒に雌ネコの洗礼を行なうと城館は秩序を取り戻す。
とは言ってもやってきて数日はアンや女官達、レッグフォレスト男爵夫人も日常生活不能に陥ったのでヒサイエとハーシェとチカの3人が家事を行なった。
城館の住人には家事より先に閨技の継承が先ということらしかった。
今、ヒサイエが裸で仰向けになっているところに蜜柑色の波打つ髪、18歳おっとりタイプのポーラがまたがって、腰が動いていた。
その後ろにハーシェがまたがってポーラのクリトリスや乳首を愛撫しなから、だんなさまへのご奉仕を教えている。ハーシェが右の耳を占領していたのでヒサイエは半身を起こして左の首と耳をはむ。
サンドイッチになったポーラの乳房を堪能しながら言ってやる。
「このおっぱい、もっと大きくなるぞ。」
「は、、、はい、、、どりょく、、し、、ま、、す。」
首筋に言われた言葉と、まだおとこの愛撫に恥ずかしいほど過剰に反応する。
初々しくほほをそめ。それにともなう初々しいまんこのひだのつつみこみにヒサイエは射精を開始する。
あーーーー、、ん。
ポーラの口が開いて満足げな吐息が漏れる。ヒサイエの満足が分かると精神的に落ち着くのだ。
リリアはまだ早いと思ったがどうしても一人前になりたいと言い出して聞かなかったのでヒサイエの太股を貸してやることにした。
「まんこがせいじゅくしないと、できないんだよ。」
といってやったので長いすにヒサイエを座らせ太股をまたいでズボンの上からまんこをすりつけるのだ。ヒサイエは両手で尻を掴んでアシストするのだがそろえた指先がお尻の穴に沈んでゆく感覚が非常に快感に感じるらしく。最後はクリトリスを腹に押し付けて立てひざのままイッテしまうのだった。
すぐにまんこのすじでズボンの高ぶりを誘うことを覚えてヒサイエを誘うのだ。
【国王諮問】
城館に錬兵場や兵舎がある建物を渡されたのは訳があった。国王に建言した改革は軍制改革を含む国の根幹を変える進言だったのでヒサイエにそれに沿った下命を行なうつもりなのだろう。
これまでの進言は徒弟制郷土騎士制度を全廃しこれを税を取る代官に変え、常備軍を作ることを中心に建言したものだ。戦国時代の織田家に職業兵が成立して精強を誇ったがもっと高度化したモノを作ることになっていた。
これまでの各国の軍隊は
1) 徒弟制郷土騎士制度の参集騎士と召集兵士:
家臣の騎士に土地を与え、有事の際には決められた数の兵を率いて参集する。兵の装備や訓練は責任者の郷土騎士の責任である。(又は戦場の遠近などの関係で兵より金や糧秣が要求される場合がある。)
2) 傭兵団、傭兵:
臨時の傭兵。雇う側がより安く人数が多い方法で雇う場合。戦地での略奪が容認される場合が多い。傭兵から見たら不足する賃金を現地で補うという話しで雇われるということになる。装備は傭兵持ちであることが多い。よい働きができそうなら賃金が上がるわけである。情勢不利なら兵が集まらないリスクがある。
3) 常設騎士団、常設傭兵団、衛兵:
資金に余裕がある。または国内諸侯、ギルドから寄付などで常設的に設置されている部隊。国境警備隊、城兵、などやすぐに用意できない装備や訓練を積んだ重装騎士団などが部隊ごとに存在する。
4) 戦争奴隷、臨時徴兵:
領地から住民を引き抜いて戦わせたり相手の捕虜を戦わせる場合がこれである。領民の負担が大きすぎるのでめったに取られない。現代的な国民徴兵制度とは別物。
通常は軍を起こす場合これらを将軍の元に組み入れて編成する。
例えばA軍編成を開始する場合。
将軍Aの下に、あ重装騎士団、い地方招集郷土騎士隊、う地方召集郷土騎士隊、え地方召集郷土騎士隊、お傭兵隊。+宮廷魔術師団とか。
と言うように寄せ集めるわけである。無論潤滑油として平騎士達や貴族領軍などがA軍に加わるのだろうが大概はこれをもって数万の軍隊を編成するわけである。
王国の危機によって集まる兵数は違うがこれでは系統だった訓練は不可能に近い。各隊の名誉の奮戦を期待するわけである。常設の部隊は訓練装備良好なので戦略予備として剣が峰の時に投入するとか使い方が決まってくる。
何よりも決定的な欠点はスピードと時間である。召集をかけて何日で国中の招集兵が集まるか?半月、1ヵ月かかるかもしれない。
イシュテイが落ち同じ制度なら国力の差が勝敗を分けることになる。シェイドアルカンは制度を変えヴァンマエイドが招集兵を集めだした段階で常設軍による速攻をかけられる体制にしておく。
喧伝することではないが内々に変更しなければシェイドアルカンの明日はない!と言い切った。
また、これに伴う税の改革である。領主は領内で上がる産物に税をかける。国王はさらに独占を認める組合からギルド税を徴収する。皮職人ギルド、鍛冶職人ギルドなど国家ことに違う。まれにギルド同盟など国境を越える勢力になる場合があるがシェイドアルカンやヴァンマエイドではこのような形は見られない。
あくまでも独占が可能な職種や商品に限られる。ギルドを無理やり作った結果、産業が衰退しては意味がないのであある。
魔法ギルドがある場合があるが魔法教育機関である場合と魔法産品の独占の目的の場合など実際の形態は千さまん別である。シェイドアルカン、ヴァンマエイドの場合は宮廷魔術師団と魔法を嗜好した貴族、街の私塾などで研究や教育がなされており独占機関はない。
盗賊ギルド、一目置かれた恐ろしい連中が組合を作っている場合がある。ヴァンマエイドの盗賊ギルドは奴隷売買に手を染めているため半ば公然の組織だ。
各国の諜報部や暗部、ギルド同盟の査察部がこれに代わる場合もあり存在自体が流動的な組織である。
王の税金を高度化するには税金を納められる産業を新たに育成し、最終的には文書統治が可能になることである。両者を満たす産業はまずは『紙』である。その他多くの産業振興による税増収による国力増強。王権の強化(税を握るものが支配者である)である。
富国強兵の富国も強兵も現状の変更でこれを成す。現状の変更には柔軟な人材が必要で同時に2つの学校を王立で設立する。すなわち王立大学校と王立士官学校である。役人、知識人、職業軍人を作るためだ。郷土騎士あらため代官の後継者はどちらかを出ることを条件とする。
ヒサイエはこのようにぶち上げて各論でも王の諮問官、学者達を論じていたのだ。シェイドアルカン国王からすれば新しい組織や産業など教えてもらってもできるものではない。どうしても実践者としてヒサイエを王国に残留させなければまさにヒサイエが言うとおり国力差で自国の滅亡を待つばかりなのであった。
少なくとも・・相手を抑止できる何かをもたねば・・・。
【フロストブンカー傭兵団】
ヒサイエの定住を大いに喜んだ国王と側近は早速下命をする。
『
1.ヒサイエ・コバヤシを将軍職につけ常設傭兵団を編成させる。資金は1000人規模。を申し付ける。ヒサイエ卿の差配しだいで規模は定めず。
2.ビンツ郡代官に赴任せよ。産業育成を行ない、規定の税の徴収を可能にせよ。
3.新しい職能ギルドを創設せよ。ギルド税は他のギルドと遜色ないレベルにせよ。
以上を4年以内に実現せよ。以上の資金差配と将軍、代官職の権限差配は卿に一任する。』
『王立大学校と王立士官学校の設立準備をせよ。既存の学問所、私塾の吸収については相談する。王直轄の騎士と兵には協力させるが既存兵制の騎士団、警備隊、各領主軍については兵制参加を保留する。
卿はこの制度の有用性を周知し納得させよ。上記制度全面または一部開始を2年以内とする。有用性が確認できない場合は再考するとする。』
国王は4年間1000人分の資金を出すのでこれだけの結果を出すように命令した。王は2年後を目処に郷土騎士制度を廃止するつもりのようだ。
ビンツ郡への代官赴任と交代は秋の収穫が終わる10月半ばとなったため先に紙職工ギルドと先行して王立大学校を立ち上げることにした。紙の生産については今は初夏の7月なので3ヶ月半で試作生産ができるようにしたかった。
王立大学校は既存の王立学問所を徐々に学生を受け入れられるように規模を拡大してゆく方針となった。手始めは農学院の設立でヒサイエは以前から植物収集や農具の改良について交流があった。土地の代官になったことで一次産業の専門研究者が必要になったのだ。
紙は樹皮とソーダ灰があればできるが良質紙の原料くわ科の植物と、天然ソーダ灰を採掘、焼成、溶解、ろ過で簡単に作れるトロナ鉱石を南東のイシュティとまたがる国境付近で見つけていた。
難民を中心に徒弟募集を行ない、郊外に製紙所を作った。紙の製造工程は次の通りである。
(1)紙の作り方はまずくわ科の植物(質を考えなければイネワラでも出来る)を探し1年生の幹を刈り取る。(11月から1月)
(2)刈り取った幹を3,4時間蒸し冷水をかけて手早く皮を剥ぎ取る。天日で皮をしっかり乾燥させ保存する。
(3)作りたい分量の乾燥皮を24時間川にさらす。
(4)タクリコのようなナイフの付いた道具で外側を剥ぎ内皮のみにする。(ここで保存の場合まある。外皮は質の悪い原料と混ぜちり紙に)
(5)内皮をソーダ灰で煮る。
(6)ソーダを洗い流すために24時間川にさらす。
(7)繊維の節や汚れを手で除く。
(8)繊維を樫の棒のような堅いモノでたたいて繊維を細かくする。
(9)水とトロロのような透明粘着質のモノを混ぜて攪拌する。
(10)簀桁を使って紙をすく。
(11)すいた紙を重ねて山にして一日放置。水を切る。
(12)重石やジャッキで山を圧搾し水を完全に切る。
(13)プレスが終わったら1枚または2枚ずつはがして板に貼り付ける。
(14)天日で乾燥。完成!
工程を知っていれば簡単に生産できるが実際に紙製造の発見には数字の0以上に困難があったのだ。この世界の文明がタラス河畔の戦い以前のヨーロッパ、中近東並みの文化であるのはそのような理由と思われた。
羊皮紙は高い。羊皮紙の本となると非常に高価なものになる。印刷もできないので手書きである、価値はさらに高い。
紙製造初期には紙と紙製造品の値段を羊皮紙製品の二分の一に設定しても売れるだろう。一枚1000円の羊皮紙で200頁の本を作れば材料費だけで20万円する。知識の伝達手段がこれでは進まない。この世界で紙の本を6万円で売っても売れる。競争相手はいないのだ。売値は言い値で売れるはずだ。
何より木版印刷ぐらいまでは同時に普及させるつもりだったので製造コストはさらに下がり利益が上がると思われた。もっともすぐにこれは人を雇い規模を拡大させる投資に回されてしまうだろうが・・・・。
皮ギルドの不満を和らげるためにノートや本の装丁は皮職人に回すつもりだった。活版印刷はまだ教えるつもりはなく代わりに本を場合によっては手書きで製造する部門を作るなど極力人を使う仕事を増やした。
1ヶ月半ほどで品質が不安定ながら紙の連続製造が細々と成功すると各工程の職人に日々改善を頼んだ。
ヒサイエは試作品を持って貴族達や王立大学校などを訪ねて交わった。試作品は手書きの既知の植物図鑑で岩料絵の具を使ったものだった。支配、知識階級に興味を持たせるような本を作っては複製し持っていった。くわの樹皮の買取ができることと収穫が終わった11月から1月に安いながらも領民に仕事が与えられることなどを吹聴してまわったのだった。
ヒサイエは人をやってビンツ郡の調査にも着手していた。これらをまとめると群馬県のような山がちな風土、雪も降る。人口が少なく流通のどんずまりで南背後のペイネ山脈はシェイドアルカンの南の国境である。コボルトなどの亜人の襲撃がたまにある。目だった城砦はなく代官城館がほとんど唯一の軍事拠点。過去、郷土騎士が何家系か入植しているが非常に苦労している様子。等が分かった。
地図などもかなり簡単なものしかなく過去の歴史では山賊まがいの連中の支配を追認したような歴史もあるらしかった。現在の代官は国王が出しているのでまだましな政治情勢らしいが代官は雇い騎士、傭兵を編成して警備にあたることになっていて代官が警備しきれる範囲と郷土騎士達の治める領地が王国の支配領域であるとのことだった。
一度に投下する開発投資が足りないだけではないか?ヒサイエはそうも思ったがそれだけではないようだった。冷害で税収が無い時期があったり農業事態がやりにくそうな印象を持った。
代官の統治と警備機関が未発達であるらしいが今の代官は決められた税収を収めているらしい。先代の代官は税を徴収できずに交代させられたが現代官は税を徴収していた。
ふーん。
どのみち警備と統治は代官の仕事らしいので準備を開始した。召使の他はヒサイエの家臣というのはいなかったので最低限の傭兵と代官補佐が必要となった。入植者を受け入れるのは来年春先とし冬に色々用意する第一陣を募集することにした。
『シェイドアルカン王国ビンツ郡代官 ヒサイエ・コバヤシ
10月の赴任にあたって傭兵、文官若干名募集。屯田兵も募集。職能者の入植支援可。
傭兵、文官は未経験者歓迎!各募集もは家族持ち歓迎!面接の上決定。
ただし当方が実施する訓練を継続的に参加することを義務とする。
傭兵団名はフロストブンカー傭兵団
ヒサイエ・コバヤシ 』
100名の募集に応募者は殺到した。難民から募ろうとしたら平騎士の二男三男から家族持ちの傭兵、大学校の学生まで給料での定職の可能性を逃がすわけはなかった。実際、即時剣も必要だったので優秀なものを選ぶことにした。
ヒサイエが面接し決定を下したがハーシェやチカなど召使のインスピレーションも信じていたので影で印象を聞きながら決めていった。
「調おぉー、調おーーーー、そーれ!」
「一!!」
「そーれ!」
「二ッ!!
「そーれ・・・・・・・・・」
ヒサイエが決めた教練とおりに進む、出自身分に関係なく警備会社の教育と軍事組織の教育を一から行なう。
傭兵20名、屯田兵(予備役兵30名)からなるフロストブンカー傭兵団の信条を自衛隊あたりをモデルに警備と災害救助、橋をかけるなど民間工兵を普通にやる組織にした。戦場に行くにはさらに別の装備と訓練が必要だが今は戦闘工兵の真似事の教練と知識を詰め込む。アスレチックトレーニングや筋力トレーニング、行軍では歌を歌わせた。
体力と偉そうに振るわない規律を教えた後、剣、槍、騎乗、それと馬車を使えるように訓練し使えないものがないようにする。
仕官と下士官、兵を分割し階級章を作った。屯田兵も最初は与える畑などないので50名は丸々軍隊として使う事になる。腕っ節で上下が決まるのが普通の傭兵組織ではないことや、身分に安住して階級が決まる騎士団とは違うことを徹底的に教える。暴発するやつは助教官として隣に居るチカがヒサイエが何か言う前に飛び出してふんじばってやろうと待ち構えていたが50名の団員は誰もチカを軽んじることはなかったので結局何も起きなかった。
何よりヒサイエの訓練が常軌を逸して厳しかったのだ。毎日女官達から活性化をかけられ続け、むらむら感が止まらないヒサイエは訓練と言っては激しい組討を行ない。ちょっと反抗的な目つきや女官達が不快感でもを持つ動作をすればヒサイエがぶちのめしたので傭兵の基準から言っても完全に上下関係が教育されてしまっていたのだ。
文官には法や簿記を講義した。紙の試験生産が利いて色んな事象をやらせた。フロストブンカーの経費分析から実際に商取引を行なわせてどれだけ金を稼げるか?などを探求したりさせた。また、植物の収集とスケッチなどをやらせた。ビンツ郡に持っていける作物がを探すためだ。ジャガイモがあればかなり有望だがこの世界の植物相は微妙にヒサイエの故郷と違った。魔力の影響なのかアプテの木をはじめ、見た事も無い植物もあったから国中の植物標本を集めだした。これには王立大学校が積極的に協力した。
職能者は皮職工ギルド、鍛冶職人ギルドから職工を派遣してもらい、大工など必要職種を集めた。鉄板を重ねてたわめた緩衝装置付きの馬車、上総堀用の爪、ポンプ式の井戸汲み機を作ってもらう技術を教え作らせた。フロストブンカーの兵に手伝わせシェイド周辺の橋を架けたり直したり、石組みを組ませたり、井戸を掘ったりさせた。
兵舎に全員収容し家族も望む者は兵舎に住まわせた。女官のアンなどの指示で炊き出しや制服の縫製などを手伝わせ参加者には賃金を支払った。家族が居るものを支援するつもりだったが城館には女官訓練用に機織や糸紡ぎがあったので技術のない者には女官による職業訓練が行なわれた。託児所も作ってやはり賃金を払った家族か女官が子供の相手をした。
交代で城館の警備をしている衛兵隊が素人集団の傭兵達が恐ろしく統制の取れた軍隊に変わって行くさまを見ていた。工兵+警備隊のコンセプトで進んだがそれは奇異に映る軍隊だったので話題となった。衛兵達の中には願って同じ新兵教育を受けるものが出てきて交流は進んだ。
3ヶ月半はあっという間に過ぎ去った。その間、チカは「ルパンさま」を真似て悪徳商人宅へ潜入したり怪盗の真似事を「訓練」と称してやっていた。闇夜の街を知るのは楽しいらしく夜な夜な出没していってはヒサイエにどんなことを知ったのか話していった。「暗視」「アンロック」「ラック」「眠り」「ヒーリング」など盗賊に関係する魔法と神聖魔法を覚えて従来からハーシェから伝えられた「活性化」「浄化」などを自由に使う魔法盗賊とでもいう存在になっていった。
ハーシェ達も「ヒーリング」「祝福」など神聖魔法の研鑽を進めていった。
次の章へ
投稿小説の目次へ