ちゅど〜ん!

 …後ろから撃たれた。



 戦車人形



 ピーッ、ピーッ…

(心拍数異常無し…)

 ピーッ、ピーッ…

(プラント注入。もう直ぐ麻酔が切れます…)

「う…」

「お目覚めかな?」

「…ドクター?」

 俺は目覚めた。

 傍らに妙齢の美女…ドクター・ハミルトンが見下ろしている。

「ウア…」

「まだ、発声し辛いだろう。そのままで聞いてくれたまえ…」

 ドクはひどく優しい声で押し留める。

「君は味方の裏切りにより、背後から撃たれ…死んだ」

 綺麗さっぱり後腐れなく、あっさり衝撃の事実を淡々と語ってくれる。

 では、今此処に居るのは誰なのだろうか?

「劣化ウラン弾は、不発であったものの、君の戦車人形の背面装甲をランドセルごと突き破った。君の背骨を叩き折り、肩口からの筋繊維を引き千切り、内臓は肺臓から破裂して順々に十二指腸全部をぶちまけた。衝撃で四肢の骨はポキポキ粉微塵…」

「ウエ…」

 吐き気はしないが、凄く気持ち悪い。

 それに、自分の声が何か変だ。

 16色和音しか出ない様な電子音?で構成されている。

「其処までだったら未だいい…」

 いいのか?

「漏れ出したジェット燃料が引火して消し炭になってしまった…」

 んげ…

「救護班が来た時には、さっぱりだったそうだ…」

 さ、さっぱり…って、何が『さっぱり』なんだろう?

「しかし、私は諦めなかった。君の遺体から千切っては取り、切り裂いては掻き混ぜて、摘出可能な部分を収集し、何とか再生しようと試みた。これも愛ゆえと言うべきか…」

 嗚呼…何て事だろう。

 あの美人でクールで巨乳の…もとい、爆乳の女医が俺の事を愛してくれていたなんてぇ…

「然し、脳を始め、生き生の部分は少なく、殆どが機械仕掛けとなってしまった。まあ…これはこれでセクシーなのだが…」

 せくし〜?

 それに、殆どが機械仕掛けって?

 手を見る。

 ウイィィィン…カチャッ!
 
 何かカメラが動く擬音がして、焦点が合う。

「ナ、ナンジャコリャア…」

 見慣れた腕だ。だが、自分の腕ではない。

 自分の愛機『嵐を呼ぶ男』の3分の1位に縮尺した物体があった。

「『狼と踊る男』でも良かったのだが、やはり慣れ親しんだ『嵐を呼ぶ男』の方が良いだろうと思ってな…如何だ?」

「………」

 言葉も無い。

 これでは女の子とあんなHな事やこんなHな事が出来ないではないか?

 童貞なのに… 

 嗚呼…口惜しい。

 俺の暴発ばかりの大砲が、まともに火を噴く事も無く…くぅぅぅっ。

「おお…そうだ!」

 項垂れる俺を見て、ドクはパシンと膝頭を叩いた。

 嬉しそうにニンマリ笑顔を浮かべる。

 何か酷く邪悪に見えるのは気のせいだろうか?

「君が”一度も”生殖行為が出来ないのは、気の毒だと思ってなぁ。付けて置いたぞ」

 って、貴女何で俺が童貞だって言う事を…いやいや、そんな事より何を付けたって?

 ま、まさか…

 ウイィィィン…カチャッ!

「オオッ…」

「嬉しいか?嬉しいだろ?私は凄く嬉しい!」

 股間には俺の黒光りする自慢のマグナムが、以前の様に…いや、以前より30%ぱわ〜あっぷして勇壮に勃起していた。

 ビ−ッ、ガチャ!

 …っていうか、血管ビクビク言わして膨張し捲くったそれは、今にも爆裂しそうだ。

 ビーッ、ガチャッ!

 そして、何故か砲身がヌメヌメと濡れ光っている。

 先走りは勿論だが、出撃してから風呂に入ってない筈のそれは、艶々ヌメヌメピッカピカだった。

「あ〜、その…綺麗にしておいたぞ…」

 ターレット・スコープをぐるぐる回して股間を見詰める俺にドクは頬を赤らめて言った。

「も、もう少し綺麗にしておけ…あんなの汚いのを舐め続けたら性病になってしまうじゃないか?」

「ナ、舐メ…ッテ?」

 ふぇ、フェラチオ…したのか?

 舐めてチ●ポ綺麗にしたのか?

 なんてこったい…そんな美味しい状態の時に俺は気を失っていたのか?

 何て…もったいない事を…

「もっとして欲しいって顔だな?」

 ガシャコンッ!ガシャコンッ!

 ドクの言葉に激しく首を振る。

 ちょっと煩い…油をもう少し差して欲しいものだ。

「いいだろう…では、舐めながらスペックの解説を…」

 ドクは艶やかな微笑を浮かべると股間の爆棍棒に指を絡ませた。

「幸いペニスと睾丸は排泄用サポーターの御蔭で潰れて燃える事も、核汚染される事も無く、生き残った。然し、これを機械の体に取り付け、尚且つ生殖機能を持たせるには大変な苦労を必要とする訳だ…」

 チロッ…

「ノヒョォォォッ!?」

 あ、あの『氷の美女乳』とか、『爆乳コンピュータ』とか言われていたブロンド美女医が俺のを…

 憧れの女医にフェラされる事は、猛烈に感激だ。然し、妙ぉ〜に違和感がある。

 過敏過ぎるのだ。

 少し舐められただけなのに、脳天突き抜ける様な快感がスコーン!と突き抜けた。

「ノヘェ、ノヘヘヘェ…」

 ウィーン、ガチャガチャガチャガチャッ!

 余りの快楽に四肢が痙攣して断続的な金属音が鳴り響く。

「おお…そうだった。生殖行為をしたのに快楽を得られないのでは、意味が無いと思ってなぁ…脳髄に電極埋め込んで、電気信号化した感覚を脳に送り込んでいるのだが、ちと電気が強過ぎるかも知れないから気を付けるように!」

 ドクター…遅いよ。

 チュルン…ジュポ、ジュポ、ジュポ…

「クォォォッ…」

「ん、んぅっ…プチュ…ペニスを維持するにも、勃起させるのにも、新鮮な血流が必要だ。ラジエーターに補填した水から新型ろ過装置を通して、人工血液を精製。ペニスに流れ込む仕組みだ。だが、これも加減を間違えてな。ちょっと補填過剰だが、まあ…男としては丈夫(ますらお)振りが示せて喜ばしい事はあっても、不都合な事はあるまい。それに男はこれ位でないと…あむぅ」

 ジュプ、ジュプ、ジュルジュル、ジュ…にゅろん!

「イ、イカン…コレハァ…」

 出る。

 出るか分からないが、とにかく出る。

 今、正に射精しようかというところで、ドクの舌が止まった。

 しこしこ…
 
 でも、手扱きは続く…
 
「何を遠慮している?安心して射精していいぞ。濃縮された男性ホルモンが精巣に定期的に注入され、常時スペルマを生産している。作り出されたスペルマは体内に埋め込まれたタンクに貯蔵され、その量は実に3リットル!」

「サ、3リッタァ!?」

 と、とんでもねぇ…

「ああ。そうか!君は童貞だったな。やはり最後は女性の膣内で終えたいのだね?」

 いや、まあ…そうなんですけど。 

「その…私でよければ、男にしてやれるのだが…」

「男ニシテ下サイ!」

 速攻である。

 それも当然。

 日々オナペットにして暴発させてる美女医。

 会う度にその服を突き破らんばかりのロケット・オッパイでパフパフしてもらいたいなどと妄想に妄想を重ね、暴発、暴発、暴発…憧れの人である。

「童貞捨テサセテェッ!」

 ガシュッ!ドーン!ガコーンッ!

 凄まじい性能だ。

 女医に飛び掛ろうとした俺は天井にめり込み、一瞬ぶらんと宙吊りになって…落ちた。

「ああっ、これ!待て!がっつくな!今服を脱ぐから…」

「早ク!早ク!」

 ガシュッ、ガシュッ、ガシュゥゥッ!

 ガスタービンが待ちきれなくて腹の中でガタガタ言ってる。 

 これ以上何か壊されては堪らんと慌てる女医が、一枚脱ぐ毎にピューッ!と排気する。

 白い薄手のブラウスのボタンを外して、黒いレースのすけすけブラが見えると…

 ブフゥーッ!

 スカートを脱いでTバックの御尻が見えると…

 ヴォッホォーッ!

 その下着姿の凄い(?)事。

 黒のガーターベルトに同色のストッキングを吊って、足には良く磨かれたピン・ヒール。淫靡過ぎて、とても戦時下の女医の格好ではない。

「ふぅ…」

 そして、いよいよ女医の手がブラのフロント・フォックに…

 ぷちっ…たっぷん。

「デ、デデデ…」
 
 ボッ、ボッ、ボボボヘ〜〜〜…

 で、でかい!
 
 あれは一応ブラジャーで抑えていたのか?

 柔らかそうで、それでいて若々しい張りがあって不恰好じゃない。

 なのに、なのに…

「私は、Gカップある…」

 じ、じぃいですかぁ?

 あっ!なんか目の前が真っ白に…

 プチッ、Pi------

 ………

 ……

 …

「ハッ!?」

 …失神してました。

「う〜む…こんなに簡単にオーバー・ヒートするとは?もう少しでペニスが血流過多して破裂するところだった。意識からのフィード・バックが過剰なのか?しかし、燃えてくれないと此方としても張り合いが無い。安全装置をもう二、三増やしておくか…ん?」

「ア、アノ…」

「おお、起きたな。もう大丈夫だ。フューズを1つ大きい物に交換したからいくらでも興奮して、その若々しい雄のパトスをぶちまけてくれ」

 ぶちまけるって…おおっ!

 ドクター…貴女、既にスッポンポン?

「さあ…今度こそ本番だ。私も余り男性経験は無いが、性交した二人が二人とも名器だと言ってくれた。満足してもらえると思うのだが…」

 頬染めて、もじもじしているところが、可愛らしい。

「デデデ、デハ…イキマス」

「あ〜、待て待て…そのデカイ腕で握られたら乳房が潰れてしまう」

 確かに戦車人形のスペックを実現しているのであれば、力3分の1でも握っただけで潰してしまうだろう。

 では、如何すればいいのだろうか?

「ちょっとばかり、バイオケミカルも使って悪戯してみた…コード1122を入力してみろ」

 ドクはニタリと人の悪い笑みを浮かべた。

「code1122 loading…」

 ガチャッ

 脇腹の上、本来ならキャノビーの留金がある装甲が、バックリ開いた。

 ずるり…

「コ、コレハ…」

 野太い充電コードに似たミミズの様な物体が、一片五本両方で十本、ゴソッと落っこちた。

 意識を送るとウニョウニョと動き出す。

 先端にはマニュピュレイターだろうか?

 指の様に小さな突起が四本付いていてグニグニ動かす事が出来る。

 まるで、昔心ときめかせた『うろつきなんたら〜』とか、『淫獣なんたら〜』とかに出て来る触手みたいだ。

 触手十本の動きは、コンピュータ補助で全てモニターされており、
絡むことなく、自由自在に動かす事が出来た。そして、驚いた事に触感がある。

「如何だ!」

 ドクは自慢の一品に爆乳揺らして胸を張った。

「ス、スバラシイデス!」

 これは、正に漢の夢。

 実現した者はまだ誰も居ないだろう。

「さあ、実験してくれ、私の体で!」 

「エエッ!?」

 どどど、ドクターをこれで…

「実を言うと、私は一度もイッた事が無い。二人とも秒殺でな。射精まで30秒守った奴が居ない。一回性交すると全て出して役立たずだ。私はイキたい!たった一度でいい。私は男性とのセックスでイキたいのだ!」

 拳を握り締め、瞳潤ませ、天に向かって自分の欲望の昇華を願う爆乳美女医。

 その頬には清らかな涙がキラリ〜ン☆
 
「了解シマシタ!」

 ズリュリュリュリュゥゥゥ…

 女医の足元に放った触手は、ジェル状の物質を噴出しつつ、地を滑り、彼女の豊満な肉体に絡み付いていく。 

「わっ!? ちょ、ちょっと…待っ」

「待テマセン!」

 触手は太股を滑り、二本はストレートにヴァギナに、一本はアヌスに、二本は胸から下、一本は右胸、一本は左胸、二本が背面一本が首筋から上。

 縦横無尽グルグルである。しかも、これが意外に力がある。

 うに、うに、うに、うにぉっ、うにょにょにょぉぉぉ〜…

「アッ、アッ、あうっ!こ、これはシュミレートした時より格段…イイッ!」

 どうやら、データ以上らしい。

 俺も性能の良さを実感する。

 先端の指に微妙な強弱が付けられる自由度といい、触手のうねる角度や硬軟の調節が無数にあるジョイント部分毎に出来る事といい、他に物凄いギミックの数々が…

「ス、スゴイゾォ!」

 うにゅにゅにゅぉぉぉ〜…

「アッ、アン、アッ、あふん!す、すごいわ…たまらない。あぁん!」

 快楽に蕩け、弛緩したドクターの体は、徐々に持ち上げられ、宙吊りになっていく。

「オヤ…コレハ?」

 スクリューのアイコンが視界の横に表示される。

 試しに一本、尖った乳首を掴んで、うにょうにょさせている触手へ使ってみる。

 キュイィッ!

「痛い!乳首千切れちゃう!?」
 
 触手全体がくるりと高速で回転し、乳首を捻ったではないか。

 むむ…これは使える。

 チュイィィィィィィィィィン!

「な、何をする気なの?」

 何本かの触手が、高速回転して女医ににじり寄る。

「ヌフフフ…」

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 それからが、もう凄いのなんのって…

 高速回転した触手がジェル状ヌメヌメでドクターの体を淫らにマッサージ。

 触手が10本もあるだけに痒い所にも手が届く親切設計。

 あの絶頂した事の無い、気位の高いドクターも、何度もはしたなくイキ捲くり、イキっ放し、終いには泡吹いて失神した。

「あ、ああ…すごいのぉ…もうメロメロよぉ…」

「ア、アノ…ソロソロ」

 『もっと、もっと!』と言われて調子に乗ってしまったが、そろそろ童貞を卒業したい。

「そ、そうね…私が上になるわ」

 ドクターは心なしか女っぽい口調になっていた。

「フフ…覚悟しなさい、チェリー・ボーイ。あんなに私を乱れさせるなんていけない子。んふ…生でするのなんて初めてよ…」

 編み上げたブロンドの髪は既に解け、千路に乱れている。然し、それが又フェロモンむんむんで色っぽかった。

 そんなハミルトン女史が、二人に一回づつ、計二回しか性経験が無い上にスキン・レスの生でするのは初めての経験だと言うから嬉しい。

「オオッ…」

 僕は漸く男になります。

 それは、言葉で言い尽くせない感動の一瞬でしたマル…
 
 ズニュゥッ!

「あはぁん!おっきい…」

 キュ、キュッ、うにょうにょ…

「コココ…コリャァ?」

 入った瞬間、ネットリとした愛液に包まれた膣内で、何か粒々した無数の突起がペニス絡み付き、夢の様な感覚が電気信号となって脳みそを掻き回す。

 これが伝説の名器『ミミズ千匹』…

「ウヒャア!」

 しゅびゅびゅう!

 気が付いた時には、射精していた。

「アンっ、挿れただけでイクなんて、この早漏。しっかりしなさい!」

 お叱り、ごもっとも…ですが、機械化したチェリー・ボーイを舐めちゃいけない。

 一回の射精で200ミリリットル。

 放出した後、出した分以上の精液を補充し、睾丸が持てば、半永久的に射精し続けられるという代物。

 勃起は血流調整により、勃ち捲くりで萎える事もない。

 俺は女史を悦ばす為に、また、当然自分自身が気持ち良くなる為に腰を脈動し始める。

 ぎっきょん、ぎっきょん!

「アッ、アァン!そうよ!アン、そうよ、そうっ!これが欲しかったのぉっ!?」

「モットシテ欲シインデショ?」

 うにょにょぉぉぉっ!

 騎乗位で腰を振る美女医に向け、十本の頼もしい触手が襲い掛かる。

「あぁん!触手は…触手はもう止めてぇっ!気が狂っちゃう!?」

「フヘヘヘ…」

 素晴らしい光景が、腹上で繰り広げられていた。

 がしゅん!がっしゅん!がしゅがしゅがしゅがしゅ…

「あひぃっ!んひぃっ!も、もう、ぐしゅ・・・やめてへぇ、やめてよぉ…あ〜ん!?」

 Gカップの爆乳がブルンブルン揺れてるわ、あの何時も冷静沈着なドクターが、あんまり良過ぎて泣きじゃくっているわで、ビックンビックン!痙攣してイキ捲くってる姿は、己が自信となり、勝利に酔った。

 当の俺本体はドクターの名器に惨敗して、彼女の膣内で噴水の様にスペルマを噴いているが…まあ、それもまた今後の勝利に繋がるのか?

 ずびゅびゅびゅびゅびゅびゅうううぅぅぅっ!

「あ〜ん!あはぁ…も、もう出さないで。苦しいの…そんなに出したらいくら安全日だからって妊娠しちゃうわ」

 ずびゅーーーーーーーーーーーーびゅーーーーーーーーーーっ!

「ヤメテ、ヤメテェェェッ!ほ、本当に妊娠しちゃう!イヤァァァァッ!?」

 いや、だからそんなに暴れると襞々が擦れて尚一層出ちゃうでしょう。

「ソウカ!」
 
 俺は彼女を動かさない画期的な方策を思い付いた。
 
 にゅろん…

「やっ、何っ、嫌、イヤイヤッ!其処は嫌よ!お尻はイヤァァァッ!?」

 キュイイイィィィィィィン!

 触手をアヌスに宛うと、すぐさま高速回転!

 アヌスに挿入して体を固定する策だ!

 …浅はかでした。

「ヒッ!ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」

 ずりゅりゅりゅぅぅぅっ!

 高速回転された触手はジェルの影響を受け、内壁を傷付ける事なく間断ない刺激を加える。

 尚且つ…

 ぎきょん、ぎっきょん!

「ああっ、あひぃっ!まえのおっきい!ああっ、後ろもいいよぉ!?いいっ!イクッ!イクイクイクぅっ!いひぃっ!?あひゃぁ、あぎぃっ!ギイィィィーーーッ!?」

 当者比3割増の巨根に攻め立てられるのだから堪らない。

 口を白痴の様に半開きにして天を仰ぎ、涎は垂れ放題。

 ずびゅびゅびゅーーーーーーーーーーっ!

 しかも、射精しっ放し!

 眼球を飛ん出んばかりに目を見開き、四肢に力なく、途中からは声も無く、陸に釣り上げられた若鮎の如くビクビクと痙攣を繰り返す。

 許容をはるかに超えた悦楽は失神する事も許さない。

 いかなドクターと言えども発狂寸前であった。

 piーーー!

(warning!)

 おや?

(目標、心拍数急上昇!心停止の恐れあり…腰部、及びマニュピュレイター作動緊急停止!)

 キュィィィ…

 ぎきょ…

「あっ、あああ…」

 淫らな性戦士に翻弄され続けた美女医は、漸くその陰具から開放され、俺の胸に力無く倒れ込んだ。

 さすがドクター。

 不測の事態も予想してブレイカーまで用意してあるとは…

「ハァ、ハァ…」

「大丈夫デスカ、ドクター?」

 キュイィィィン…カチャッ!キュイィィィン…カチャッ!

 スコープを伸縮させる様はまるでオロオロと気遣いを見せているように見える。

 朦朧とした意識から覚めたドクターは漸く自分を見詰めている三連スコープの存在に気が付いた。

「あっ…あはぁん!」

 ドクターは、ガバッ!っと首筋に抱き付いてキスの雨を降らせてくる。

 チュッ、チュッ、チュル、ぶっちゅーっ!

「…ンっむ!ああン、凄かったわ!あんなに激しいの初めて!私、もう貴方無しじゃあ居られない…結婚して!」

「ケ、ケッコン!?」

 望む所です!…って、出来るのか?

 死後結婚なんて出来ないでしょうに…

「ねぇ、いいでしょ?ア・ナ・タ…」

 子猫の様な仕草で可愛らしくおねだりする美女医に以前の様な機械的な冷たさは無い。

 全てを開放し、頼られてい事が実感出来る。

 死後、戦車人形に成り果てた彼は生前得る事の出来なかった(童貞だったし…)安息の場を得たのであった。    

「ハイ…」

 十本の触手は彼女の体を柔らかく包み込む。

 ブレイカーが自動回復すると二人はもう一度濃厚な性交に耽った。 

 ………

 ……

 …数ヵ月後。

「この新型戦車人形は、体長が従来の3分の1で、開発コストも同程度に抑えられ、そして、無人ゆえに人件費は全く必要ありません」

 ドクター・ハミルトンは軍幹部の前で熱弁を振るっていた。

「私の主人であるシュナイダー准尉の試作A型と比べ、量産B型は股間の大砲はペニスを模したディルドーですが、血流循環器官により本物と何ら遜色はない物に仕上がっております!」

「あ〜…ミズ・ハミルトン?」

 ちょっと呆れたような参謀長の声。

 ドクターはそれを無視して解説を続けている。

「敵国の半分は女性だと言う事を忘れてはいけません!この新型戦車人形で女性を篭絡し、尚且つ戦略的に重要な生殖行為に打撃を与える事で、敵の戦意を殺ぐ効果があります。また、新兵から採取した精液を培養し、装置に組み込まれておりますから敵国の女性は須らく我が国民の子供を宿す事に…」

「ミズ・ハミルトンっ!?」

 ついに参謀長は、大声を張り上げ、彼女を静止した。

「何ですか?」

「君は少し休養が必要だと想うのだが…」

「?」

 何を言っているのか、理解出来ない様子で首を傾げるドクター。

「いや…君も大事な出産を控えているであろうし、その…」

 言い難そうに、頼りなさ気に目を彷徨わせ、情けない声で参謀長は言葉を繋ぐ。

「これ以上、我々男性の存在意義を無くさないでもらえるかね?」

 その場に居た男性幕僚全員が、その言葉に深々と頷く。

 B型量産化計画は、その後ドクター・ハミルトンもとい、ドクター・シュナイダーの出産と共に、頓挫した… 

(終)


投稿小説の目次へ