プロデューサーZとスタッフら計9名は病院送りになり、事情聴取を受けた太助青年は過剰防衛に問われた。

 実戦で使えないのなら武道など意味がないと段位は取っていなかったし、相手は麻薬常習者で刃物ばかりか銃まで取り出して危険な状態であったにも拘らず、正当防衛が認められなかったのだ。更に、問題があったのは涼子の方だった。

 事の一部始終を撮影したビデオがあり、麻薬常習に加え、未成年で罪にはならなかったものの過去に強姦で補導暦のある相手に対して警察の動きは鈍かった。

 強姦未遂として立件する際に彼女が本当に襲われたのか如何かというのがはなはだ疑問だと言うのだ。

 実際、全裸でのリポート等、性的アプローチを掛けたのは彼女の方だと言われればどうしようもないし、彼女に向ける刑事の視線も冷ややかだった。

 太助青年が自分のことを差し置いて粘っても今度は『これ以上文句を言うなら罪状を上乗せする』と脅される有様だ。既に調書には自傷したスタッフも太助が刺したことにされていた。

 Zの背後には何らかの有力者が居るようだ。八方塞に追い込まれる太助と涼子。だが、その傲慢とも言えた刑事の態度がものの数分で豹変する。

 有力者と言っても上には上が居た…勘助の父親の登場である。

 南端の小さな島出身の議員に何故そんな権力を手に入れるに至ったか知らないが、勘助の父は与党最大派閥の影の支配者と言われる大人物で建設族議員の長だ。

 性格は勘助と同じく臆病者だが、その分警戒心が強くて機転の良さと“よいしょ”が得意なおっちゃんだ。しかし、人を見る目があり、彼の秘書には有能な人たちが揃っている。

 太助には小さい頃から良くしてくれて、『大学を卒業したら自分の秘書になれ!』と誘われていた。

 ある時には、『勘助にはもう期待してない。有能な女と番わせてその子供に地盤を継がせる。だから君にはそれまでの中継ぎになって欲しい』と言われたこともある。

 その時には酒が入っていたし、なにせ“よいしょ”が得意なおっちゃんだ。冗談としか思わなかったが、勘助が頼み込んだにしてもこんな窮地を救ってくれるのだから案外本気なのかもしれない。

 以前から『こんなド田舎の議員が国を牛耳っているんだから怖いなぁ…』とか、『二倍、三倍得票しても議員になれない人が居るのに…』とか、不安と不平等感を抱いていたが、今は現金にも勘助の父が議員であったことがとてつもなく有り難く感じる。

 脅迫した刑事は太助青年の過剰防衛の罪を取り下げてくれたばかりか、涼子に対しても『連中には有ること無い事調書書き立てて、一生臭いメシ食わせてやりますよ!』と力強く太鼓判を押してくれるし、掌返した警察の対応は逆に腹立たしいぐらいに丁寧で終いには冷茶と茶菓子に銘菓『ちん○こう』を出してきた。



 程無く無罪放免された太助と涼子の二人は取り敢えず青年の実家に身を寄せる事となった。男に襲われた場所で寝泊りするほど涼子の精神は強くなかったし、ホテルの従業員がプロデューサーZに買収されていたことが明るみになった為である。

 家族には中学生の妹が居るから祭りの期間中は逆に太助のアパートへと緊急避難しており、家には二人きりだ。

 涼子は薄手のシルクのシャツにジーンズとさすがに服は着ているが、濃紺のスポーツ・ブラが透けていたり、風呂上りで妙に色っぽい。

 意識しないようにお茶を勧めるが、涼子は終始俯いたまま…太助は心配して声を掛けた。

「涼子さん…これから如何するんですか?」

「…ける」

「え?」

 太助青年は一瞬涼子の言葉が聞き取れなかった。

「家さける!」

「りょ、涼子…さん?」

 突然激昂した涼子の言葉は…訛っていた。

「芸能界ってとこはあまされるし、人しばれるくらいしゃっこくていずい。おっかない…家さけりてぇ…」

 涙に暮れる涼子に対して慰めの言葉を掛けたい太助であったが、言ってる意味が早口で分からない。

「はぁ?」

「わだっけ、はんかくさ…いっちょまえきどっていいふりこきだったさ。わだすじしんきもやける。こったらこっぱずかしかっこうばして芸能界しがみつこしてさ。いままではっちゃきこいでけっぱってきたけども、もうどもなんない…ほんとへくさい、なまらはんかくさ…」

「???涼子さん、何言ってるのか分からないけど…元気出してください」

 意味は分からずとも涼子がひどく落ち込んでいることは分かる。

 青年はちゃぶ台越しから涼子の傍らに移ると腰を下げ、彼女の固く握り締めた拳を労わる様に手を重ねた。

「え?…あ?わだす…私、今なまってたぁ?」

「大分…」

「や、やっだーっ、わすれてけれ!ああっ…忘れてぇっ!」

 顔を真っ赤にして手を振って必死で取り繕おうとしている涼子に太助が徐に顔を寄せてくる。

「忘れます…」

「わっ!?わっ…ん、んんぅ」

 そして、青年は突然のことで慌てる涼子に有無を言わせず、彼女の唇を奪った。

「んーっ!んーっ!」

 ぽん!ぽん!ぽん!

 涼子さん、そこでタップして如何する…

 ギブアップを伝え、青年から解放された涼子は呼吸を荒げながら彼の大胆な行動に目を丸くして言った。

「ぷはぁぁぁっlハァ、ハァ…た、太助君って、けっこー…大胆だね?」

「す、好きな女の人のそんな悲しい顔見たら…俺、堪らないです!」

「好きな…人?」

 突然の太助青年の告白に一瞬きょとんとする涼子。そのまましばらく固まった後、彼女はにんまり笑顔を作ると真剣な表情の青年に悪戯っぽく尋ねた。

「私…太助君より10も年上なんだよ。いいの?」

「年なんて関係ありません!最初に会った時から…す、好きでした!」

「は、ははは…」

 涼子は気持ちの半分で『しらじらしい…』とか、『そんなんある訳ないじゃん』とか思いながら乾いた笑いを漏らすが、もう半分では青年の真摯な瞳を信じていた。

「何か流されちゃいそう…」

 チュッ…

 涼子はとろんとした目で青年を見詰めると今度は自ら顔を寄せ軽く彼の唇を吸った。

「太助君、エッチ…しようか?」

「え?ええっ!?」

 先ほど慌て捲くった様子から一転、涼子の積極的な言葉に逆に慌てる太助。

「私は…いいよ。なんか今ので恋愛のフラグ立っちゃったみたいだから…」

「りょ、涼子さん…」

 涼子はそういいながら戸惑う青年のポロ・シャツを脱がしに掛かった。

 抵抗のそぶりも見せない彼に両手を挙げさせ、するりと上着を脱がせてたくましい胸板に頬を摺り寄せた。

 その体臭を嗅ぎ、胸板の厚さから逞しさを数瞬感じた後、彼女は自分のシャツのボタンを外し、前を開くとシャツの袖を腕に絡ませたまま再び息荒く青年の体に圧し掛かった。

「ハァ、ハアッ…」

 実は涼子の体内には大分抜けたものの薬の効果がまだ残っていたのだ。意識しないでいた内にはさほど感じなかったが、いざ青年との間でエッチな雰囲気が漂ってしまうと興奮で気持ちの抑えが効かなくなってしまう。涼子は青年の手を取り、スポーツ・ブラに包まれた自分の豊乳へと導いた。

「うわっ…わっ…」

「太助君、抱いて…」

 思わず口を吐く淫らな誘いの言葉…彼女は青年よりも年上であるし、童貞青年に対してアドバンテージがある所為で余裕が持てた。

 しかし、アドバンテージといってもそれは僅かなものでしかない上、涼子の男性経験一度だけでむちゃくちゃ薄い。無いに等しい。しかも、彼女は初めて男に抱かれたことを全然憶えていないときている。

 大学のコンパで店を梯子に梯子を重ね、薬に弱いくせにアルコールを過剰摂取した彼女は前後不覚で理性も消し飛んでいた。

 飲めや歌えやで大騒動。後で聞いた友人の話によると隣で同じくコンパを開いていた他のグループの大学生にナンパされ、椅子を振り回して撃退した上に英語と仏語を使い分けながら捲し立て、何やら海兵隊顔負けのお下品な罵声を浴びせて更に追い討ちを掛けたとか?

 その所為で盛り上がっていた筈の場は米海兵色のネイビー・ブルーに誘われてすっかりブルーになってしまったというなんともみっとも恥ずかしい武勇伝を作ったばかりか、朝方目覚めると先輩の男と裸で抱き合って寝ていたという次第で…

 まあ、その先輩には前々から好意を寄せていたし、才能のある尊敬すべき人であったから後悔は無い。

 無い筈だった…でも、やっぱり正気に戻ると悲鳴を上げて蹴倒していた。

 その先輩は涼子の御乱行を目の当たりにし、且つ蹴り倒された恐怖で以後彼女と顔を合わせただけで逃げ出す始末だ。

 彼との関係はその出来事だけであっさり消滅し、大学で画家への道を半ば閉ざされた涼子は一層芸能活動にのめり込み、男に目もくれずに一心不乱にもがき続けた。その甲斐有ってほとんど固まってしまっていたレギュラー・ポジションに風穴を一つ開けることに成功したのだが、そっち関係は今現在に至ってもさっぱりだった。

 だからなのか、これまで知らず知らずの内に我慢してきた性欲が薬の力を借りて疼き出してくるようだ。

 成熟した肉体は若い雄の体臭に誘われて熱く火照ってくる。

「りょうこさん…りょうこさん…」

 暫く遠慮がしにタンク・ブラの上から彼女の乳房を揉んでいた太助だったが、次第に高まってきたらしい。

 今度はブラを摺り上げ直に触り出した。彼女の名前を連呼し、性的興味から両手で好き勝手に捏ね回し、その肌の柔らかさに酔った。

「あっ…あン…」

 いいように乳房を弄ばれる涼子の吐息にも次第に熱いものが混じり出す。

 興奮した…乳首がしこり出すのが自覚出来た。

 それを目敏く見つけた青年は涼子の体を抱きしめ、堪らずその硬く凝った乳首にむしゃぶりついた。

 ぴちゃ、ちゅぱ…ちゅぷ…

「たすけ…あっ、たすけ…くん」

 涼子は青年が乳房をしゃぶり易い様に胸を逸らし、青年の頭を抱き、快楽に慄いて彼の髪を掻き毟った。

「涼子さん、俺っ!」

「待って…がっつかないの」

 涼子は押し倒そうとする青年をやんわり押し留めると自分の体に絡みついた上着とブラを抜き、ジーンズを脱いで傍らに放りショーツ一枚の姿で、今度は膝を着いた青年のジーンズのベルトをカチャカチャと外し始めた。

「りょ、涼子さん…」

「黙って…」

 涼子は顔を真っ赤にしながら彼のジーンズを下ろした。トランクスに包まれた股間は勃起して大きな膨らみを見せている。

(またこんなに大きくして…)

 涼子は湧き出す興奮を抑えながらトランクスをずり下ろすと…

「わっ!? 」

 涼子は再び御対面した“でんじゃらす・もんすたー”に驚愕の声を上げる。さすがに以前のように気を失ったりはしないものの、その大きさに思わず驚きの声を上げてしまう。青年の勃起は以前より肥大してなお天を突いていた。

「凄ぉい…」

 実際、こんな間近で男性器を直視したのは初めてだ。涼子はその極太を興味深げに握り締め、一瞬躊躇を見せたが、舌を這わせ始める。

 一度舐めてしまうとその躊躇いはすぐに消えた。

 ぴちゃ、くちゃ…

「うっ、ううう…」

 涼子のしなやかな指で握られ呻き声を上げる太助。握ると青年の脈動が感じられる。その熱さでどれほど彼が興奮しているのか、快楽に震える肉体がどれほど感じているのかを涼子に伝えた。

 ちゅぷ…

 涼子は青年の無言の求めに応え、彼の怒張を口一杯に頬張りねっとりと舌を這わせる。

「ん…ん…ん…」
 
 口腔を窄め、内壁で激しく擦り、唾液を絡ませたペニスを音を立てて強く吸った。淫らな水音が開け放たれた縁側の窓から紛れ込んだ夏の虫の鳴き声を遮るように響き渡る。

 じゅるるるるるるぅぅぅっ!

「うあ、ああぁ…」

 情けない声を上げ、快楽に震える太助…そして、青年本人すら自覚しない内にそれは臨界を超えた。

 どぴゅっ、どびゅ、びゅびゅ…

「わっ、わぁぁぁっ…」

「んむぅ?…ん…ん…ごきゅ、ごきゅん!」

 思わず出してしまって慌てる青年を尻目に肉柱を咥えていた涼子は驚いて吐き出すかと思われたが、意外な行動に出た。何と青年が射精したのを感じると彼の臀部を抱き締めるように腕を絡ませ、より深く口中奥深く招き入れて噴出す濃厚なスペルマを喉を鳴らして飲み下し始めたではないか。

 …ちゅっぷん!

「あふ…」

 そして、一心不乱に青年のペニスをしゃぶっていた涼子は何故か口を離した。息苦しさからではない。高ぶった彼女自身も判らない行動だった。

 涼子の口腔から開放されたペニスからはなおも濃厚な精液を噴出し、彼女の秀麗な顔にぼたぼたと降り注いだ。

「ハァ、ハァ、ハァッ…」

 至福の表情でそれを避けもせず受け止める涼子…彼女は流れ落ちた精液を口の端や頬から垂らしながら熱い吐息を吐く。

「す、すみません!涼子さん、ごめんなさい!」

「………」

 太助は涼子の頬から垂れる精液をティッシュで拭き取りながら謝るが、涼子は顔を赤くしてただボーっとしていた。

「涼子さん?あれ?」

「………」

 その表情は陶然としていて視点は彼方を見ているようで、青年を映していなかった。

「涼子さん?涼子さん?」

「え?…あっ、ごめん。私…」

 彼女は自分の体を抱き締めてブルッと一つ身震いする。

「今、凄く…興奮してる」

 そして、青年に向け、にへら〜っとだらしない笑みを浮かべた。

 ゴクリ…

「………」

 太助は自分の漏らした精液を口元から垂らしながら淫蕩な笑みを浮かべる美女に思わず生唾を飲んだ。

「お布団、欲しいなぁ…」

 涼子は行為をするには固い畳を指で撫でて寂しそうに言った。

「あっ、布団だったら隣の部屋に敷いてあります!万年床ですけど…」

「ふ〜ん?」

 涼子は青年の言葉に従い襖で仕切られた隣の部屋を覗き見ると確かに布団が敷いてあった。

 几帳面な性格なのか乱れることなくきっちりと整えられているのだが、逆にそれがあらぬ想像を掻き立てる。

「最初からそのつもりだったんだ?」

「そそそ、そんなことないです!誤解です!」

 あからさまに疑いの篭った半眼で、じーっと青年を見て一言…

「えっち…」

「あ…あ、あの…あの…」

 何故か、『蛇に睨まれた蛙』状態。何にも悪いことをしていない筈なのに追い詰められる太助はうろたえるばかりだ。

 クスッ…

「なんてね…」

 どうやら本気で疑っていた訳ではないらしい。涼子は青年のうろたえ振りに睨んでいた半眼を緩めて苦笑すると布団の上で膝立ち、ショーツを半ばずらしてからストンと座った。

「太助君…脱がして」

「は、はい…」

 年上の女性の淫らな誘いに戸惑いながら応じる。

 息が荒い。

 一度射精したにも拘らず、勃起の勢いは弱まるどころか増すばかりだ。一杯まで膨張し、表面に血管を浮き立たせてビクビクと脈動している。

 ゴクッ…

「ハァ、ハァ…」

 唾を度々飲み込もうとするが既に喉はカラカラだ。

 彼女の豊かなヒップを包み込み、しっかりと形を整える役割を果たしていたブラと揃いのスポーティなショーツは青年が脱がし易いように腰骨の下の位置まで半ばずり下ろされ、後ろは尻肉の丸みを露にしている。

 太助は涼子の前に跪き、恭しくその端を掴むとゆっくりと彼女の足から抜いた。

 涼子の股間が露になる。そこは際どい水着のカットを気にする必要がないほど陰毛が薄く、淡い繊毛が彩りを添えていた。その中央には開花した女陰が蜜を湛え、溢れ出し、すぐに布団に染みを作った。

「これが…女の人の…涼子さんの…」

「あ、あんまり、見ないで…じゃないと…」

 はしたなく濡れ光る恥ずかしい部分を青年に直視され、恥ずかしげにぶるぶると体を慄かせる涼子。

「見られただけでイっちゃいそう…」

 彼女は時折堪らなくなるのか、ビクッ!ビクンッ!と痙攣するように震えた。

「涼子さん。俺、もう…挿れたい…」

 我慢の限界を迎えた青年は自ら両手でペニスをごしごしと擦り立てながら息荒く涼子に圧し掛かっていく。

「アンッ!いいよ…挿れて!そのぶっといのでわたすを犯してけろ!」

 自分に正直になればなるほど方言が出てしまう涼子は訛りながらも大きく股を開き、右手で青年の背を抱き左手をペニスに添え、自らのヴァギナに導き入れた。

 ずにゅぅ…

「は、入った…」

 メリメリと痛々しいほど開き切るヴァギナへ一気に極太を押し込む太助。だが、童貞喪失の歓喜に震える青年の影で涼子は予想外の痛みを感じていた。

「痛っ!痛い!痛ぁ〜い!ちょ、ちょっと、ストッ、ストーップ、太助君!待って!待ってぇぇぇぇぇぇえっ!? 」
 
 ぽん!ぽん!ぽん!

 彼女は堪らず再びタップしてギブ・アップのサインを送る。

「涼子…さん?」

 不思議そうな顔で動きを止める青年に涼子は引き裂かれた痛みで涙を浮かべながら健気に笑い掛け、自身も戸惑いながら言った。 

「ご、ごめん…太助君。私…なんか初めてだった…みたい?」

「ええっ!? 」

「その…大学時代、先輩に犯られちゃったかと思っていたんだけどされてなかった…みたいなぁ〜?」

 そう!大学時代に涼子が泥酔した挙句、裸で抱き合っていた先輩は実は彼女と関係を持っていなかったのだ。

 確かに彼女と性交渉に及ぼうとしてペニスを亀頭半ばまで押し込んだのだが、そんな大事な瞬間で涼子と同じくこれまた酒に弱かった先輩は頭に血と共に酒が回って昏倒してしまっていた。だから、この先輩はセックスを致してもいないのに涼子に蹴り倒されたというとっても気の毒な御仁であったと言える。

 涼子は処女喪失を免れたくせに股間に残る違和感でセックスしたと勘違いしていたのだ。

 誠にぼんやり、ホントに抜けてる。やっぱり涼子はうっかり者だった。

「じゃ、じゃあ…やめます?」

「やめれないでしょう?こんなこと…太助君だってこんなにしてるのに…も、もう少し…待って。段々、痛みが薄れて…ん」

 涼子が青年の怒張を感じるように息むとじわじわと痛みが引いていく感じがする。

 集団レイプされそうになった出来事が再びここで災い転じていた。残っていた麻薬が鎮痛剤代わりになって破瓜の痛みを消したばかりか、その強い誘淫作用が真に都合良く彼女の性感を増幅していく。

「りょ、涼子さん…俺…もう我慢できない」

「大丈夫だから…ゆっくり。ゆっくり動いてね」

 挿入したまま我慢を強いられる青年の表情を見ていた涼子は未だに破瓜の鈍痛が残っているにも拘らず、彼に腰を動かすように促した。

「は、はい…」

 ヌ…ヌチュ…

「んっ、んっ…そう…ゆっくり…ゆっくりと…あっ」

 青年は涼子を気遣いながら腰をゆったりと動かすが、その内我慢が出来なくなってきた。

 涼子さんはイン・ドア派ではなく、バリバリのアウト・ドア派で、怠惰な整形胸のぽっちゃり系など鼻でせせら笑う引き締まった硬派なボディを持っていらっしゃる。

 失ったばかりというだけはなく膣はそりゃもう狭くて、逞しいとも言える健康的な肉体から生み出される圧倒的なぱわ〜っを息んで内側に向けられると更に絞り込まれる。

 たっぷりと蜜液を湛えている為、動きは滑らかだが、ペニスへのきょ〜れつな摩擦から生み出される愉悦は青年の堅固な理性を蕩けさせた。

 自然、息は荒くなり、腰の動きは歯止めが利かなくなってくる。
 
「う、うう…」

 涼子は青年の今にも理性の箍が外れそうな気配を察して問い掛けた。

「動きたい?」

「はい!」

「じゃあ、私に“突撃した”感想は?リポートしてみて!? 」

「へ?」

 『もう限界!』とか、『狼になる一歩手前』って奴に対して突撃リポートさせようというのだから涼子も意地が悪い。

「私の膣内(なか)って、どう思うかなぁ〜?」

「う…あ…あの、お、俺…」

 もういっぱいいっぱいの相手に対して自分の膣がどういう感じなのか薀蓄語らせるなんて出来る筈も無い。

 頭は真っ白。気持ちは逸るばかりだ。青年は初めて会った時のように言葉に詰まってしまう。

「またドモっちゃったね?」

「俺…俺…」

 青年の瞳がどんどん潤んでくる。流石に可哀想と思った涼子は彼の頭を『よしよし…』と子供をあやすように撫でて言った。

「いいよ…好きにしても」

「りょうこさぁん!」

 涼子から漸く許しが出ると太助はまるでお預けを食らっていた飼い犬が餌に齧り付くように涼子の体に襲い掛かった。

 ズンッ、ズンッ!
 
「りょう…こさぁん…ちゅぶ…うあ…りょうこさん」

「あふ…ん…んむぅ…ん…ん…あ…たすけくん」

 青年は涼子の唇を貪り、首筋を舐めながら胸を揉み、体を擦り合わせて彼女の柔肌を全身で味わっていた。

 その際にも逞しい肉体を駆使して涼子のヴァギナを激しく突き上げる。

 ズッ!ズッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズゥンッ!

「ふっ!ふっ!ううっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!うわぁっ!」

「あっ!あっ!あふっ!あんっ!あんっ!あんっ!あぁん!」

 涼子も青年の激しい突き込みに応えるように股を濡らす。

 処女喪失、破瓜の痛みは薬で鈍り、より大きな快楽に飲まれて既に消えていた。成熟した肉体は今までの禁欲生活(単に機会が無かっただけだが…)で溜まりに溜まった性欲を解消するかのように女になった悦びを全身に伝える。

 膣奥を貫かれる度に自然と堪えようの無い声が漏れた。

 高く。そして、熱く甘い喘ぎ声が…

 ズチュン!

「あぁん!あぁん!あはぁーん!」

「涼子さん…うう…」

 膣の締め付けは増し、年上の美女が自分の真下でもだえ狂っている表情を見ているだけで達しそうになる。

 どぴゅどっぴゅどぷどぷ…

 …っていうか、もうイってます。

 太助青年の大砲は破壊力抜群なくせに暴発が多い…つまり、早漏だったのだ。

 青年はそれがどういう結果に繋がるものなのかというのを考えず、膣内射精を繰り返した。

(もう…太助くんてば、スキン付けてないのに仕方ないなぁ…)

 涼子は胎内にじんわり広がる精液の温かさを心の中で冷静に受け止めていた。

 先ほど顔に降り注いだものから想像するに今自分の膣内に注がれている濃厚な精液の量は大変なものだと感じる。

(妊娠しちゃうのかな…)

 こんなことになるとは思わなかったので正確な周期を調べていなかったのだが、月経から測ると結構危ない日なのかもしれない。

 流されたとはいえ、自ら望んで性交に及んだのであるし、逸る童貞青年にスキンを着させる注意を怠った彼女にも半ば責任がある。だから、そういうことになっても諦めが付く訳だが…

(けど、なんか…不公平?)

 気持ち良さそうに射精している太助に対して涼子の体はまだ満足するには程遠いし、当事者の内で彼女だけが妊娠とか今後のことなんか考えてるのも何か嫌…涼子の目は先ほどより恨めし気に細められ三白眼、口元はきっちり真一文字に引き結び、顔一面不満一色だ。

「うう…うっ、うっ」

 ビュッ!ビュッ!

 そんな涼子を他所に青年は彼女の中でまだ射精を繰り返していた。

 その汗を垂らして必死の形相で射精している太助の顔を見ていると、彼女の振り上げた心のハイ・キックも行き場を失ってしまう。

 怒りは急速に萎んで行くもののそれで気が晴れる訳ではないし、その代わりに心の奥底で悪戯心が沸々と沸いてきた。

「太助君、そんなに私のこと腹ぼっこにしたいのけ?」

「はら…ぼっこ?」

 涼子は聴き慣れない言葉にきょとんとして聞き返す青年に苦笑しながらずばりと言った。

「今、私たち…赤ちゃんつくってるんだよ?」

「あっ!?」

 ここに至って太助はやっと自分のしていることの重大さに気付いて愕然となる。

(やーい、思い知ったか…)

 涼子は蒼白になった青年の顔を見て心の中で舌を出した。

「りょ、涼子さん…俺…中で出しちゃった」

 青年、既に涙目である。涼子はそんな彼の情けない顔を見ているだけで彼女は溜飲どころか目尻までも下がる。

 涼子は青年の背にしっかり手を回し、長い足を腰に絡ませて彼の体をぎゅっと抱き締めた。

「だからぁ…」

 きゅうぅっ…

「うぅっ…」

「出来ちゃったらしっかり責任取ってけろ?」

 急速な締め付けと耳元で囁かれる甘い声に青年は出したばかりだというのに再び漲り、彼女の中で勃起してしまっていた。

「せせせ、責任を取るというということは、けけけ、結婚ということで?」

「うん!」

 陽気な涼子とは裏腹に太助は脂汗ダラダラ、ごきゅりっ!とカラカラに渇き切った喉を鳴らす。しかし、それでもしっかり涼子の言葉は受け止めているようだ。青年は真剣な顔を向け、涼子の瞳を見詰めながら言う。

「俺は涼子さんの為なら何でもします!涼子さんを泣かせる奴・傷つける奴がいれば、こ、殺すつもりでした!」

「殺すって…」

「それなのに俺は涼子さんを傷つけるようなことを…嗚呼っ、俺はぁあああっ!」

「あのね…そ、そんなに深く考えなくても…大丈夫かもしれないしぃ〜っ?」

 後悔から激しく頭を掻き毟る太助の様子から本当に彼女の為に殺りかねない。そんな雰囲気を感じた涼子は背筋が寒くなって、ちょっと…引いた。

「でも、涼子さんは…俺なんかでいいんですか?」

「へ?」

(い、今更そんなこと聞かれても…)

 太助“なんか”でいいと思ったからセックスする気になったというのに彼はちょっとズレている。

 結構、涼子も内面より外見を重点を置くタイプだから太助はルックスだけでも合格だし、その上性格も良いと言うんだからこっちからお願いしたいくらいだ。っていうか、フン縛ってでもお付き合って頂くというか、もう絶対逃がさないというか…

 年上というのが悪いわけではないだろうが、危ないところを助けてもらったし、どちらかといえば彼女の方が立場が弱い筈…しかし、ここでイニシアチィヴを取っておかないと何か後々不利に働きそうなので涼子はわざとつれない風を装って言った。

「どうっかなぁ〜?もっとがんばってもらわないと…君、ちょっと早いし?私、イってないし?」

「ムッ!?」

 これにちょっと硬派な太助青年はカチンと来た。

 驕る事は無くとも高い自尊心あっての太助の武威である。

 確かに自分でも早いと思うが、それで“早漏君”と決め付けられたのでは男が廃る。

「りょうこさぁん!」

「あぁん!嫌ンっ…今度は後ろからなの?」

 太助は涼子の体を力任せに後ろ向きにし、背後を捉えると彼女の引き締まったヒップを抱え、二度の射精をしてもなお漲るイチモツを鼻息荒く刺し貫いた。

「ふんっ!」
 
 ズチュゥッ…

「あっ、凄っ!?深いぃっ!」

 若干下付きの涼子のヴァギナに差し込まれた極太のモノは後背位の姿勢でより深く潜り込み彼女の子宮口を突く。

 亀頭部分のエラは開き切り、その裏側に仕込まれたイボも凶悪な様相を呈しており、その肉柱の太さから来る摩擦を更に抉り込むように強くする。

 ズッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!

「ふんっ!ふっ!ふんっ!ふんっ!」

「あっ!あっ!あっ!あぁんっ!」

 何の捻りも無い直線的な動きだ。だが、体脂肪率の極端に低い、防御用の肉が全く付いていない超攻撃的な肉体から繰り出されるストロークには涼子も堪らず声を上げてしまう。

 ズッ、ズンッ!ズンッ!ズンッ!

「ふっ!ふっ!ふっ!ふぅんっ!」

「あっ!あっ!あっ!あはぁんっ!」

 暫し互いの汗に塗れて行為に熱中する二人。しかし、セックスに初心な青年の肉体はまだまだ脆かった。

「うっ!」

 どぴゅっ…

「あぁんっ、早いぃっ!?」

「く、くっそぉぉぉっ!」

 ズンッ!ズンッ!ズニュウッ!ズブゥン!

「ふぅっ!ふぬぅっ!ふぬぅっ!うおおぅっ!」

「あんっ!あぁんっ!あぁんっ!あふぅんっ!」

 童貞を失ったばかりの青年に早漏云々言うのは酷な事なのかもしれない。

 太助は“日に三回”の勘助と違って自慰を普段あまりしないし、マスターベーションは自分本位の行為であるから己を鍛えることはない。

 熱湯・冷水を交互に掛けたりといった涙ぐましい努力もしていない。

 若い内は誰でも早漏気味で、相手と行為を繰り返すことで男を磨いていくのだ。

 潜在能力を秘めた青年はまだまだこれから持続力を身につける過渡期の段階であった。しかし、彼に成長に要する期間はさほど長くは無いだろう。

 何と言っても彼にはもう何でもエッチなことをさせてくれるオネーサマが居るのだから…

「アァン!アァン!アァァァンッ!」
       
 青年の必死の突き込みが功を奏して涼子の喘ぎ声は徐々に高くなり、悲鳴と変わらぬ声が辺り憚らず響き渡る。

 追い詰められる涼子とは逆に三回の射精をした青年は普段の冷静さを取り戻していった。

 彼女の淫らな嬌声が響き渡る度にそれは青年の自信となり、男の邪な征服欲を強く刺激する。

「涼子さん…どうですか?」

「ん…いいよ…ンぅッ!イイ…」

 青年は今までの直線的な突き込みから彼女の反応を見るように変化を付け始める。

 ぐちゅぅんっ!

「ヒィンッ!」

 涼子の体は正直で、感じる部分を抉り込まれると馬の嘶きのような声を上げ、激しく総身を戦慄かせて顕著な反応を見せた。

 その為、太助には彼女の感じるところ一つ一つが手に取るように判る。

 彼女の最も感じる場所、他幾つかの性感帯を把握するとわざとそれを外して焦らした。

 それは涼子に落ち着きを取り戻す時間が与えると共に新たな高みへと彼女を誘う前準備ともなる。

「んっ、んっ…んふっ…ん」

 快楽に耐え忍ぶ涼子の綺麗な稜線を描きながら垂れ落ちる柔らかな乳房を背後から手を回して揉み、青年はその柔らかさに蕩けた。

「涼子さん…」

 背中に密着すればその肌の火照りから彼女の本気を伝えている。憧れの延長にあった恋は愛情へと変わり、その愛する女性に悦びを与えていると思うと太助は堪らなかった。また、それと共に心の奥底で芽生えた独占欲、更に遠回しに『早漏』呼ばわりされたことで彼女を屈服させ、支配したいという邪な意識がムクムクと鎌首を擡げてくる。

 彼は今度は逆に追い詰めている涼子に先ほどされた悪戯な問い掛けをやり返した。

「涼子さん…俺に突撃されたリポートして下さいよ」

「んん…わ、あたすの中さ…太助君のが入って…気持ちいい」

 しかし、そこはプロ…青年の問い掛けに追い詰められながらも答えるが、暈かした表現では彼は納得しない。

「涼子さんのどこに俺の何が入ってるんですか?はっきりリポートしてくれないとわからないですよ?」

「い、意地悪…わ、わたすのおま…」

「涼子さんの?」

「い、言えない…そったらはずかしいことわたす言えねす!」

 涼子は意地の悪い追求に答えようとするのだが、陰語を口に出すことが恥ずかしいらしく顔を真っ赤にしてイヤイヤをしてそこから言い出せないで居た。

「言わないと止めますよ」

「嫌っ、やんだ!やめねでけれ!わ、わたすの…」

 しかし、太助が腰の動きを止めたばかりか、ペニスを抜こうとしていることを感じると慌てて小さいながらもそれを口にする。

「おま○こ…」

 それは蚊の鳴くほど小さな声だった。

「聞こえませんよ?」

 涼子の唇に耳を寄せる太助。彼は先ほどまでの初心な風情から打って変わり、人が変わったかのように彼女を追い詰めていく。

「あたすのおま○こ!お○んこの中に太助君の…」

「俺の?」

「おっきいおち…おちん○んさいっぱい入って、気持ち…いい」

 涼子は諦めたように顔を逸らし、羞恥に震えながら最後まで言い切った。

 太助はその言葉に満足した様子で一つ頷くと彼女の首筋に舌を這わす。

「よく言えました…」

「太助…太助くんの意地悪。ぐし、ぐしゅ…」

 涼子はそのあまりの羞恥に耐え切れず、青年に尻を突き出す形で布団に顔を埋めて泣き出してしまう。

「涼子さん…『おま○こ』なんてよく恥ずかしげも無く言えますね?」

「ひん…ひん…」

 布団に涙を擦り付けるように首を振り、言葉攻めを行う青年の声に耳を塞ぐ。

「ふふ…」

 太助はその彼女の様子に思わず笑みをこぼした。

 『彼女を泣かせる奴は許さない!』的な発言をしたくせに避妊もしないで膣内にどぽどぽ中出しするわ、言葉で羞恥を煽り、チクチク虐めて泣かせるわでとんでもない。

 彼自身、言ってたこととやってることがまったく違っていることには気付いてはいるのだが、年上の涼子の意外にかわいらしい姿から理性より嗜虐心が勝った。それに涼子の体内で更に顕著な反応が起こっているのが感じらた。

 涼子は濡れているのだ。先ほどよりずっと…

 彼女にそのようなマゾヒスティックな性癖があるわけではないが、今の異常な興奮状態が互いの意識に変化を齎していた。

 サディスティックな趣味があるわけではない青年が大事に思う彼女を苛むように…

「涼子さん…好きです」

「ああ…太助くぅん!」

 涼子は後ろ向き、背後に圧し掛かる太助に舌を出して唇を寄せ、青年も舌を出して彼女の突き出された舌を絡め合ってクチュクチュと唾液を交換した後、愛を確かめるように深い口付けをした。

「んっ…」

 きゅっ…きゅうぅ…

「ううっ…りょ、りょうこ…さん?」

 途端、太助はキツさを増した膣感触に思わず呻き声を漏らす。

 実は涼子も太助が面白いように暴発するものだから既に彼の弱点を把握していた。

 何か知らない内に立場は逆転され、翻弄されてしまったが、この優しいお姉さまは青年に好き勝手にさせつつ、今まで射精を調節してくれていたのだ。

 こうなれば太助も焦らすことはしない。いや、できない。円を描き、抉り込むように涼子の性感帯を攻め立てる。

 涼子も青年が望むように締め付けを増しつつ尻を振り、太助は彼女が望む場所を擦り立て突き込んだ。

 唇を貪り合いながら彼らの結合した部位では互いに思い遣ることで見事に調和の取れた動きを見せていた。

「おま○こ…いい…」

 青年の逞しさから深い愉悦に捉われ、涼子は感極まって思わず恥ずかしい言葉を呟いてしまう。

「繰り返して…」

「おまん○…いい…おまん○…いい…」

 彼女は太助の求めに応じるまでもなく卑猥な言葉を連呼し続け、ぶるぶると快楽に震えた。

 普段使うことの無い猥語を繰り返し迸り、それを聞くことで二人はセックスの催眠状態に陥って過度の興奮状態に陥っていく。

「アッ!アへぇっ、おま○こ…お○んこぉ…」

「涼子さ…うぁあ…す、すごい…」

 押し寄せる快楽から逃れようとするかのように布団に顔を埋めて頭を振る涼子。

 太助は彼女の胎内の熱さに酔って口元からぽたぽたと涎を噴きながら腰を一層激しく突き上げた。

 彼女の体は青年の腰の動きに圧せられ、競上がり、頭を枕で抑え付けられ、尻を高く突き上げる形で深く貫かれる。

「ウウッ、ウオォゥ、オオオォッ!」

 パァンッ!

「くひぃっ!ねぇ、ねぇん、もっと、もっとぉっ…」

 涼子は咆哮を上げて襲い掛かる青年の頬を後ろ手に撫でながらどこまでも優しく応え、甘い声を上げて求め続ける。

 その彼女の媚態が青年の体を熱くし、股間のモノをも更に滾らせた。

 パンッ!…ぐちゅ。パンッ!…ぐちゅぅ。パァンッ!

「アッ、アッ!おまん○…いいっ!お○んこ、気持ちイイツ!」

 互いの汗に塗れ、獣のように激しく交わる二人…周囲にダイナミックに肉のぶつかり合う音が響き渡る。

 太助の既に射精し今も先走る精液・涼子の分泌する愛液が絡み合い、その都度淫らな水音を響かせた。
 
 背後から力強いストロークでの挿入を受け続けた涼子は体の中から湧き上がってくる強烈な感覚に追い詰められ、その思いを青年に吐露する。

「た、しゅけくん…あたす…いく…かも?いくっ…駄目っ、きちゃう!イクッ、イクッ!」

「涼子さん、イって、イってよ。お、俺も…もうっ」

 太助は今にも泣き出しそうな苦悶の表情を見せて悲痛な声を上げる。

 追い詰めている筈の青年ももう限界だったのだ。

 彼女をイカせたい。イカさなければ男が廃ると頑張って来たが、男の意地もここまでだった。

 そして、二人は同時に弾けた。

「アッ!イクッ!イクゥッ…イクゥゥゥゥゥゥッ!」

「クハッ!お…お…うおぉぉぉぉぉっ!」

 ドピュドピュッドピュゥゥゥッ…

 彼らは全てが蕩け交じり合うような深い悦楽呑み込まれて昇天していった。



「ハァ、ハァ、涼子さん。俺…如何でした?」

「んぅ〜、合格ぅ…」

 全て出し切った様子で大の字に寝そべる太助は荒い息を吐きながら聞くと彼の胸に抱かれながら涼子は気怠げな様子で答えた。

 そして徐に青年の下の方に手を這わすと…

「うっ!」

 ぐにゅっと、射精したばかりで敏感になっている太助のイチモツを握り、その逞しさにうっとりとしながら扱いた。

「こ〜んな、ぶっといので突き捲くるんだもん。あたす、気を失うかと思ったす…」

「ああ…」

 年上に女性に優しく手扱きされると今果てたばかりだというのにもうムクムク海綿体に血液が満ちてきた。

 ムラムラときた太助は涼子の体を抱き寄せようとすると、彼女はするりと彼の手から離れてしまう。

 肩透かしを食った青年はのっそりと立ち上がる彼女を呆然と見上げながら呼び掛けた。

「りょ、涼子さん?あ…」

 瞬間、太助は彼女の裸身にハッと息を呑む。

 下から見上げる涼子の肢体は情事を終えた後もほんのりと薄桃色に上気していてとても扇情的だったのだ。

 その股間からは彼が中出しした精液がポタポタと暫し垂れ落ち、勢いを緩めた後も太股を伝って流れ降りていた。

 涼子は傍らにあるティッシュを2、3枚抜くと太股に垂れた精液の残滓を拭き取りって股間に当てるが、すぐにそれを汚してとても処理出来そうも無い。

 彼女は『あららぁ…』と苦笑しながら言った。

「本当に妊娠しちゃいそう…お風呂、借りるね?」

「………」

「太助君?」

 太助は彼女の言葉に答えない。何かに魅入られたように呆然としている。再度名を呼ばれて漸く彼はのろのろと反応し出した。

「え、あ…はい」

 太助は涼子の姿に見惚れて間の抜けた様子を晒していた。

 彼はこの美しい肉体を抱き、たっぷりと子種を植え付けたのだ。

 そう考えると夢のような感覚に捕らわれ、どうしても彼の思考は鈍ってしまう。

「クス…」

 それに気付いた彼女はニッコリ微笑んで腑抜けた青年に問い掛ける。

「一緒に…入る?」

「………(ごくっ)」

 青年に断る理由は無かった。

 ………

 ……

 …

 体を洗う為に入った風呂場は単に河岸を変えただけだった。

 すぐに浴室から淫らな声が響き渡る。

「アン…アン!太助君の手の動きってイヤラシーっ…えっちくさいぃっ!」

「そんなこと言ったって…手で洗ったらどうしても…」

 一緒に浴室に入った二人であったが、洗い合っている内に昂ぶり、また湯煙煙る中で性交に及んでいた。

 涼子は先ほどバックから激しくされたのが余程気に入ったのか、姿勢はやはり後背位だ。

 石鹸を塗された青年の手に涼子の柔らかな乳房はくにゅくにゅむにゅむにゅ背後から揉まれて淫らに形を変え、乳首は傍から見ても恥ずかしいほど固く尖っている。

 ヴァギナには彼女自身の両手の指が入り込み、グチュグチュと掻き回して激しく自慰をしていた。

 では、青年のペニスは何処に填っているのかというと…

「ううっ…涼子さんの…涼子のお尻の穴、凄く…締まって…うう…」

「あぁん…あぁん!そ、そんなには激しくしないでぇ!裂けちゃうぅっ!」

 なんと彼女のアヌスに填っているのだ。

 それは電灯の明かりに晒された涼子の下の部分で太助が最も興味を示した部分だった。

 あんまり興味深げに弄繰り回すものだから涼子の方も軽い気持ちで『挿れてみる?』とか言ってしまったのがいけない。 

 その優しいオネーサマのお言葉に青年はアッサリ飛びついてしまったのだ。

「ああっ、裂けちゃう!裂けちゃうよぉっ!」

 最初に挿入された時はなんと言うことは無かった。だが、一度動き出すと太助の極太ペニスによって尻の粘膜がめくれ上がり、いっぱいに肛門が広げられる感触に涼子は哭いた。一方の太助はその膣感覚とは違う独特の感触と締め付け、その奥深さに病み付きになりその声も聞こえない様子で激しく腰を揺り動かす。

「涼子っ、涼子ぉっ、りょうこぉぉぉっ!」

「ヒィッ、ヒィッ…」

 肛姦が激しくなる内に青年の涼子に対する敬称は何時しか消えていた。

 彼女にはそれが親愛の為というよりは支配した自分の女を呼ぶような高圧的な響きが感じられた。

 与えても増長するタイプではないと思うけれども、あまり良い傾向ではない感じがする。だが、口淫で飲み下し、膣内で射精させ、今、後ろの穴まで明け渡してしまった後ではそれも仕方ないのかもしれない。

(ああ…お尻まで許しちゃったの失敗だったかなぁ…)

 既に後の祭りだ。しかし、涼子は後悔と共に言い知れぬ幸福感に包まれていた。

「んぅっ…んふぅ…ん…ん…」

(でも…征服されちゃうのって、いいかも…)

 涼子が太助に対してある種の頼り甲斐と包容力を感じていたことも確かだが、彼女はよりマゾヒスティックに性奴として支配される倒錯した悦びに目覚めてしまったのだ。また、図らずも青年に教え込まれてしまった禁断のA(アヌス)感覚が彼女の倫理観を浸食し始める。本来挿入されるべきでな部位への挿入。拡張され、粘膜を擦り切られてしまう恐怖は甘美な陶酔へと変質し、彼女に新たな快楽を与えた。

「あはぁっ…」

(いいかも…)
 
 涼子はその妖しくも甘美なA感覚に飲み込まれ、深い愉悦の淵へと堕ちていくのだった…



 翌日…日が昇ってそれが真上に来ても更に沈もうとしてもなお彼らは交わり続けた。

 寝ていても繋がり続け、食事を摂ればセックス、風呂に入ってもその場でセックス、排泄の時はさすがに遠慮して寝床に戻ればこれまたセックスと寝食(涼子の腹がもたないので…)忘れる訳ではないが、若さに任せて犯り倒した。

 で、ん十数回戦後暫しのインターバル。

 すっかり搾り取られてヒィヒィ言ってる太助青年の胸に抱かれながらすっかり満足した様子の涼子が悪戯っぽく問い掛けた。

「ねぇ、太助…スッキリすた?」

「りょうこさん…」

「ダ〜メ。『りょ・う・こ』って、呼んでくれなきゃイヤ…」

「あう、あう…」

 その涼子の古典的とも言える言葉に青年はもうヘロヘロで欲望に正直な彼の下半身はムラムラしてすぐに反応してしまう。

「りょ、涼子…俺、また…勃っちゃった」

「ふふっ、じゃあ…もっとけっぱってけろ…」

 涼子は青年の様子に微笑み、耳元で甘く囁くと頬にキスする。

 再び漲った青年は涼子の体にむしゃぶりつく様に覆い被さりって繋がると腰を懸命に振りたくる。

「う…うう…りょうこ…りょうこぉっ!」

「んっ…あぁん!太助のが…奥さ当たるぅ…すご…すごぉい!」

 涼子は再開された青年の激しい突き込みに応え、甘い声を上げ続けた。

 青年が噴出す濃厚な精液は幾度となく涼子の膣奥を叩く。何度も体位を変え、中出し続ける青年とそれを受け入れ続ける涼子…

「ううっ…ううっ…うぅっ!」

「あふっ、あぁっ…あぁん!」

 とぷ、どぷ、とぷ…

 またまた夜明けまで激しく愛し合う二人…涼子は何時しか太助青年の子をその胎内で育むこととなる。

 豊穣の祭りは若い二人の為にその本来の役割を果たし、終わった…

 ………

 ……

 …



「…とまあ、そんな事があってプロデューサーらスタッフ一同は麻薬所持・暴行・強姦未遂他諸々の罪でお縄になった。彼女は事情を知っていながらそんな仕事をさせた事務所の社長に怒りをぶつけ、慰謝料いっぱいブンだくって辞めちまったって話…」

「チェッ!何だよ〜、勿体無い…」

 舌打ちし、残念がる若い編集員は、ふとあることに思い当った。

「…待てよ?彼女、まだその“うんばばじま”に居るのか?」

「居るらしいよ〜…」

 話は終わったかのように眼鏡を掛け直し、書き物仕事に戻る事情通の同僚。

「じゃあ、またその祭りの時に行けば美咲涼子のオール・ヌードが拝めるって訳か?」

「かもね〜…」

 興奮を露わにする編集員とは対照的に事情通の同僚は興味なさそうに受け答えする。

 実を言うと彼は女性には全く興味が無いのだ。

 つまり…

「行くぞ、俺はその“うんばば”に!お前も一緒に来るよな?」

「うん〜?」

 事情通の同僚は編集員の尻部を何気ない振りを装って見詰め、彼が素裸になった姿を想像する。

「…そうだね」

 事情通の同僚はニッタリと好色な笑みを浮かべた。



 その頃、涼子は太助青年と期間限定の同棲生活を始めていた。 

「あ〜っ、太助君!ちょっとそのまま動かないで!!」

 昨晩の行為で汗と色々な体液に塗れたシーツを干そうとした太助青年を涼子が背後から制止する。

「えっ?こ、こうですか、涼子さん?」

「もうちょっと顎を引き気味にして、少し腕に力を入れて…そう!そんな感じ………」

 涼子は僅かな時間、大胆な筆致で青年の肉体の細部を捉えていくと、ものの数分でデッサンを描き上げる。

「はいっ、いいよ〜!」

「う、上手い。涼子さん…絵、描くんですね?}

 古びたスケッチ・ブックを覗き込んだ青年は驚いた。

 大胆でありながら精緻な画風は若干のデフォルメはされているものの、まるでモノクロ写真を見ているようだ。

 青年の過剰な反応に涼子は苦笑しながらも、まんざらではない様子で、はにかみながら画家を目指していた頃の話をする。

「写生は上手かったのよ。でも、個性が無いって言われてね…諦めた」

「もったいない…」

 個性が無いなどよく言えたものだと思う。

 教師の見る目がなかった事に腹立たしい思いがした。

 彼の大好きな女性はその純真さゆえに他人から人生を捻じ曲げられ、奪われている事が嫌だった。

「涼子さん…絵、描きましょうよ。知り合いに画廊の息子がいるんで、置いてもらえるように頼んでみますから…」

「あれ…そう?良かった〜。実はこれでお金にならないかと思って引っ張り出してきたのよ。事務所辞めちゃったし、赤ちゃん出来たのに未来の旦那さんは未だ学生でしょう?生活費、稼がなきゃ!」

「すみません…」

「いいって、いいって!お姉さんに任せなさい!」

 涼子はそう言うとバンッ!と反らした胸を力強く叩いた。

「涼子さん…今は無理だけど、俺…必ず幸せにします」

「ふふ…」

 太助青年はその彼女の微笑を見て陽光を見上げた時のように手を翳し、目を細める。

 青年には今の涼子の笑顔がとても眩しかった…



 美咲涼子は国内の芸能界から姿を消した。しかし、その青い海を背景に立つ男性のセクシャルなヌードを題材にした一連の作品は、海外の資産家の有閑マダムやその手の隠れた趣味のある評論家らに高く評価され、一躍世界の美術界にその名を轟かす事となる。

 その後も、雲婆島の夏祭りは行われた(翌年の祭りの夜、若い男の断末魔の悲鳴を聞いたとか、聞かないとか?)が、涼子の姿どころか女性の影一つすらない一寸寂しいものだったという…



 <終リ>


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