ドレアム戦記

第一編 玄白胎動編 第1話
 
 やわらかな陽射しがそそぐ朝。
 ジローは寝起きのまどろみの中にいた。やがて緩やかな快感が下半身から駆け上ってくる。丁度彼の腰の辺りで毛布が盛り上がり、もぞもぞと動いている。
 アイラだった。彼女は、ジローの朝立ちした肉棒を一心不乱に頬張り、しゃぶっていたのである。ジローが毛布を剥ぎ取ると、身にはなにもまとっていないアイラが、おいしそうに彼の分身を咥えていた。
「おはよう・・・」
 アイラと目が合うと、彼女は咥えたままにこっと笑った。そして、ジローが目で合図すると、咥えていた肉棒を放し、体を密着させながら這い上がってきた。豊かな乳房とその頂にある突起の感触がジローを刺激し、肉棒が更に硬さを増してくる。アイラとジローの顔が同じ位置になり、潤んだ緑色の瞳がジローを欲しいと訴えている。二人はそのまま口づけを交わす。
 ディープキスを交わしたまま、ジローはアイラの腰を掴み、彼女のたっぷりと濡れた蜜壷に肉棒をはめ込む。
「んん・・・あぁん・・・」
 塞がれたアイラの口から、吐息が漏れる。ジローの頭がすっきりと目覚めてくる。同時に、腰を揺すり、スピードを徐々に早くしていく。
「ああぁぁぁ・・・いぃぃぃぃ・・・」
 より深い快楽を得ようと状態を起こしたアイラの両乳房を揉む。
「はぁ、はぁ、あぁぁぁ・・・い、いいわ。お、おまんこ気持ち、い、いいぃぃぃ・・・も、もっと・・・つ、強くしてぇぇぇ・・・」
 ピストンの速度が上がる。アイラはロデオの騎手のように身体を前後に揺さぶりながら、少しでも多くの快楽を得る牝になっている。
「ああ、も、もう・・・い、いくぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 アイラは電気が走ったように硬直し、ジローの上にもたれかかる。しかし、まだジローは出していない。そのままピストンを再開すると、アイラが快楽の波に溺れ、半狂乱になって暴れる。
「あっ、あっ、あっ、あぁぁぁ・・・はぁ、あぁ、あっ、あぁぁぁ・・・」
 そして、ジローの放出を子宮に受けて、更に高みに到達する。

 ジローがアイラ達と出会ってから1年が経っていた。その間ジローはいろいろなことを学んだ。住んでいる町のこと、玄武地方のこと、この世界のことなどであるが、特に興味深かったのは魔法のことであった。この世界には、魔術があり、それを自由に操る魔法使いや、魔法剣士といった人たちがいるということである。ちなみに、アイラも簡単な魔法を操れた。そして、アイラの手ほどきで、ジローも試しにやってみると、彼にも魔法を操れることがわかった。それからは、日課に魔法の訓練も加わった。
それから、ジローは事実上、アイラを相棒としていた。仕事上だけでなく、身も心も。実際、初めての性交でアイラはめろめろになってしまったのだ。以来、ジローはアイラの家で暮らすことになり、毎朝のフェラチオが日課となっていた。ただ、不思議なことに毎日のように性行為に及んでいたにも関わらず、アイラが孕むということはなかった。
そしてジロー自身、この世界でやっていけそうな感触をものにしていた。猟師達と仲良くなって、狩りなど一緒にやっていくことが多くなってきたが、彼の才能は別格だった。最初こそアイラや他の猟師仲間から教わりながらやっていたが、その吸収力はすばらしく、瞬く間に頭一つ抜きん出てしまった。特に剣の腕は町の中でも適うものはいないほどだった。彼が元々剣道をやっていたということもあるが、もっと特別な能力を得たのだ。ジローが集中することにより、相手の動きがスローになっていくのである。いや、正確に言うと、彼の周りの時間が遅くなるのだ。彼はまた、能力が訓練でより強力になることに気づいた。ゆえに、この1年、日中は狩りや自己鍛錬、朝晩はアイラを抱くという日々が続いていた。そして、雷音寺次郎という名前も、この世界に合わせてジロー・ライオンと名乗ることにした。
ジローとアイラが住む町セロは、大陸の北側、玄武地方の南東に位置していた。青龍地方との境界となる、暗黒の森と呼ばれる森林地帯に接し、2日程歩けば中原地方という場所である。町には産業という産業は特になかったが、幸い狩猟場には事欠くことがなく、殆どの住人は猟によって生計を立てていた。ジローが来るまでは、町一番の猟師はアイラであった。アイラは15才で病気の父に代わって猟を始め、その天才的なセンスと腕で、まだ20代前半ながらセロ一番の猟師となっていた。しかし、ジローが来てから、その地位を喜んで譲り、ジローのパートナーとしての道を選んでいた。

その日はこの時期には珍しくしとしとと雨が朝から降っていた。暗黒の森が靄に霞んでいる。アイラはジローに抱きついたまま、今しがたの快感の余韻に浸っていた。ジローの肉棒はまだアイラの中にあって、じーんと痺れるような感覚がアイラの下半身から全身に広がっている。射精された精液が、愛液と混じって膣と肉棒の隙間を埋めるように満たしていた。
「あ〜。いい気持ち・・・女に生まれてきてよかった・・・」
 アイラはジローの頭を抱いた。そして、ディープキス。熱情的な行為に、ジローの股間に再び血が集まってくる。
「あぁん。固くなってきたぁ・・・でも、だめよ・・・もう起きないと・・・迎えがきちゃう」
「でも、固くさせた責任は取ってもらわないとな」
「ん、もう・・・わかったわ。口でやってあげる」
 アイラは、名残惜しそうに肉棒を抜く。股間から白い液体が流れ出るのをそのままに、愛液と精液でどろどろになったジローの肉棒を咥える。
「ん、ん、んふぅ・・・」
 アイラのフェラチオはジローのつぼを心得ていた。すぐに肉棒の硬度が増してくる。ジローは極楽を味わっていた。先ほど出したばかりだというのに下半身の熱がどんどん上昇してくる。熱い塊が股間に集中し、どんどん膨らんでくるのがわかった。そして、爆発寸前・・・
 アイラはすぐにそれを察し、口のストロークを更に早くした。快感がジローの身体を駆け上る。
「アイラ・・・行・く・ぞ!」
 その瞬間、ジローはアイラの口の中に熱い精液を放出した。アイラはそれを一滴ももらさないように口に溜め、こくりこくりと飲み込んでいく。そして、口の中の精液がなくなると、まだ足りないとばかりに、ジローの肉棒をストローのようにちゅうちゅう吸った。

 セロの町から狩猟隊が出発しようとしていた。年に2回、町では猟師たちが協力し合って狩猟隊を形成する。暗黒の森に入るための防衛策であった。町の東側に広がる森林は、絶好の狩猟場ではあったが、魑魅魍魎が跋扈する魔の森という言い伝えがあった。実際、単独で狩りに出た優秀な猟師達が何人も消息を絶っている。故に、いつの頃からか、暗黒の森に入るときは狩猟隊を作って団体行動を行うことになっていた。
 ジローとアイラはもちろん参加していた。しかも、ジローがリーダー、アイラがサブリーダーとして。この土地の風土なのか、よそ者だろうがなんだろうが、町の人々は力があるものを受入ることに抵抗感はない。単に無事に帰ってくるための最善の人選をし、強き力を持つものに従うという論理だけであった。
 そして、1月が経ち、ジローは皆の期待に応えて、全員無事なまま帰途についていた。もちろん、大量の毛皮、干し肉、獲物などを携えて。
 彼らが森を抜けたのは、セロの町の北側にある街道だった。ちょうど道が北西に曲がっていて、このまま北西に行けば、ノースフロウの首都ウンディーネがある。
彼らは、街道を南下し、セロを目指した。
異変はセロまで後半日の朝に起きた。そろそろ懐かしいセロの町が遠くに見え始めるころである。仲間の中で一番遠目が効く、ニックが大騒ぎで呼ぶ声が聞こえた。
「か、頭あぁぁぁぁぁ」
 ジローは何事かとテントの中で身体を起こす。隣に寝ていたアイラも起きて、裸の胸を毛布で隠す。ジローはアイラの準備が済むのを確認して、ニックに答えた。
「ニック、どうした」
 上半身裸のまま、ジローはテントから出た。目の前にニックが立っているが、落ち着きがない。騒ぎを聞きつけて、他の猟師たちもテントから顔を覗かせたり、外に出たりしていた。
「町が、も、燃えているみたいなんでさぁ〜」

 ニックが言ったことは本当だった。
 狩猟隊がセロの町に駆けつけたのは、昼前だった。しかし、町からは一筋の炊煙さえ上がっていなかった。ただ、物が燃えてくすぶった、独特の異臭があたりに漂い、それが焼け落ちた町並みと相まって、より悲惨な様相をかもし出していた。
「なんじゃあ・・・」
 猟師たちは、絶句した。
「とにかく、辺りを見てみよう。5人ひと組で行動するんだ」
 ジローの一言に、猟師達はうなづき、それぞれ町の四方に消えていった。残っていたのはジロー、アイラ、遠目のニック、怪力のフドウ、連弾のカエイの5名。
 太陽が傾き始めたころ、全員が戻ってきた。町の中には、死体はあったが、生きているものの気配はなかった。但し、死体の数は、彼らが出発したときの人数よりもはるかに少なかった。そして、死体の一人が握り締めていた布からここで何が起こったのか大体の想像がついた。
 町は、狩猟隊が出かけたときは、守備が手薄になる。その隙を狙って、町が攻められ、抵抗したものは殺し、大半の町民は捕虜として連れ去られたのである。そして、死体の握り締めていた布には、青地に白の十字模様の一部が残っていた。この旗印は、隣国青龍地方の3公子の末弟、ジャムカが使っているものだった。
 青龍地方は2年前に崩御した王の跡継ぎを狙って、3人の公子が相争っていた。長男のトオリルは首都ドリアードを根拠として南の海沿いを支配し、海の利権を基盤としていた。次男のグユクはセントアース地方への街道の要衝であるガルバン要塞を拠点として、西部の広大な穀倉地帯を基盤としていた。そして、末弟のジャムカは北のラムウ城を拠点として、豊富な暗黒の森から狩猟で取れた動物の毛皮や干し肉などの交易による利益を基盤としていた。この3者の力は拮抗していたが、それぞれに弱い部分があった。トオリルは海から得る莫大な財力を持っていたが、軍隊は歩兵中心で機動力に欠け、そこを傭兵達でなんとか補っていた。グユクは糧秣をたくさんもっていたが、他の公子に攻め込むだけの軍事力に欠けていた。ジャムカは3公子の中で最強の軍隊を持っていたが、交易による利益だけでは、食わせるのに精一杯で、攻め込むための財力に欠けていた。
 だが、最近になって、3者の微妙なバランスが崩れつつあった。グユクがセントアース帝国ゼノン皇帝の長女、ヨウキ皇女を妻に娶ったのである。このことにより、帝国の後ろ盾を得たグユクが優位となり、青龍地方の主だった領主たちがグユクに臣従を誓い始めた。
 この状況下で、トオリルは自分の土地を守ることに方針を変えざるを得ず、財の大半を投じて海賊と手を結び、国力の充実に精力を注いでいた。
「ジャムカにとって、セロの猟師達は交易を独占するためには邪魔な存在ということだな」
「そう、それにセロの職人達は毛皮を加工して、もっと価値のあるものを作る技術に長けているわ」
「青龍地方の後継者争いも、本格的になってきたので、このままではジリ貧のジャムカが強硬手段に出たということか」
 アイラは軽く頷き、この後のことについて相談した。猟師たちの取るべき道は2つあった。一つはジャムカのいるラムウに行って町の人々を取り返す。しかし、50人程度の猟師が軍隊を相手にするのは無茶である。それも相手は青龍地方最強といわれる騎馬隊である。たとえ倍の人数がいたとしても、徒歩では無残に蹴散らされるのが目に見えている。もう一つは、ウンディーネに行って、起こったことを王に訴える。だが、これも政治的な問題になる可能性が高い。なにしろ、ジャムカがやったという証拠が、死体が握っていた旗の切れ端だけなのである。
 猟師たちの意見は割れた。家族を連れ去られたものたちがたくさんいるのだ。辺境に住む彼らとしては、王都に対していい感情を持っていないものもいた。とはいえ、わずか50人足らずの人数で最強と云われるジャムカの軍隊に挑むのは無駄死にとしか云いようがない。結局、最後はジローの判断だった。
「だめかもしれないが・・・ウンディーネに行こう」
 
 セロの猟師達は、全員でウンディーネに行くことにした。このままセロに残っても冷静になれずに落ち込むのは目に見えていたし、気分転換の意味も含んで。ウンディーネに着くと、まずはセロでの出来事を王城に訴える必要があったが、どうやってやればいいかがよくわからなかった。とりあえず全員で王城に向かったが、門番はその人数に恐れをなしたのか、話を聞くどころか門を通してくれなかった。そこで、代表者としてジローとアイラの2人が行くことにして、再度王城に向かった。今度は門番も話を聞いてくれ、取り次いでくれた。しばらくすると、2人を迎えに近衛兵がやってきて、王城の一室に案内してくれた。そこは、小さな会議室のような机と椅子が何脚かあるだけの部屋だったが、調度品は整っており、その辺はさすがに王城と感心した。
2人が部屋に案内されて間もなく、2人の男が部屋に入ってきた。2人はテオドールとワトスンと名乗り、ジローとアイラに席を勧めた後で、自分たちもテーブルを挟んだ反対側に座った。
ジロー達はセロでの出来事について説明した。唯一の証拠である旗の切れ端も求められて見せた。テオドールは話を聞き終わると、言った。
「あなた方の話は、もしかしたら大きな問題になるかもしれません。我々もいろいろと検討する時間が必要です。返事を待ってだきたい」
 テオドールの言葉にジローとアイラは了解し、城を宿に戻った。

それから何の音沙汰もなく、1週間が過ぎていた。猟師達は交易などで時間をつぶしていたが、だんだん飽きてきたのか、セロに戻り、町の復興を始めたいといい始めた。幸い猟の直後だったこともあって、交易は予想以上に収益をあげて終わっていた。このせっかくの利益をウンディーネで散財するのはもったいない、というのがあらかたの意見だった。
ジローとアイラは猟師たちの意見を尊重し、2人を除く全員を先にセロに返すことにした。猟師達は、2人が滞在する費用を十二分に残し、セロに戻っていった。
 そして、更に1週間が過ぎた。
 ジローは酒場でアイラと飲んでいた。王城からの返事はまだで、結構倦んできていた。
「まったく、いつまで待たせるのかしら・・・」
 アイラはジョッキをグビッと一口飲んでそういった。胸元がほんのりピンクに染まって色っぽい。
「ああ、もう半月待たされている。いい加減あってもよさそうなんだが」
 そういいながら何気なく酒場の中を見渡した。と、・・・・・・酒場の片隅に注目すべきものを見つけた。
 2人の女性が端のテーブルに座っていた。だが、何故かこの酒場の中では場違いな雰囲気を漂わせているのである。何と言ったらいいのかわからないが、少なくともこの店の中では浮いた存在と思えた。そして、2人共、超がつく美少女であった。着ている服も少し高そうな気がした。どこかの貴族の娘がお忍びで来ているというような感じである。
 アイラもジローの視線の行く先に気づいた。ちょっと拗ねたような顔をするが、同時に顔が上気してくる。まあ、それも当然である。ここ数日間、アイラとジローは娼館に通い詰めていたのだ。そこで、毎日違う女性を交えての3Pを繰り返していたのである。ジローが言葉巧みにアイラを巻き込み、この一年でジローによって性への欲望を開花させられていたアイラもまたはまってしまったのである。
<あの美少女達と出来たら楽しいかも・・・>
 そんな思いが頭をよぎり、顔が赤くなったのである。
 そのとき、少女達に目をつけた別のグループが、先に動いた。酒場にはどこにでもいるようなタイプの男が、4人。酒の勢いでナンパしようというのだ。
 しかし、テーブルに歩いていく途中で一回驚いたように立ち止まる。どうやら、少女達の美しさに気づいたらしい。途端、目つきが変わる。
<こいつらを娼館に売れば3年は遊んで暮らせるだけの金が入るぞ!>
<その前にたっぷり仕込んでやれば、もっとだ>
<よし、酒に薬を入れて・・・>
 哀れ少女達の未来は決まったと男たち近寄る。
「お嬢さん。ようこそ。お近づきの印に、この酒場特製の甘いカクテルをおごらせてもらうよ」
4人の中で一番顔がまともな、いい男の部類に入る男がきざったらしく微笑みながら、カクテルの入ったグラスを二つテーブルに置こうとする。もちろんカクテルの中には即効性の眠り薬が混ざっている。その瞬間、少女の一人が立ち上がり、男から薬の入ったグラスを叩き落とす。
「いて、なにしやがんだ!」
 きざ男の仮面をかなぐり捨て、今度は怒鳴り声を上げる。どうやらそちらの顔が本性らしい。声を荒げ、大概の少女なら萎縮するぐらいの恫喝。
 だが、もうひとりの少女は涼しい顔。背中まで綺麗に流れたブロンドの髪を指に絡めながら、座ったままで優雅に話す。
「私達は、売れないですよ」
 図星を衝かれた男たちは、狼狽する。が、すぐに、じゃあ力で、と単純な発想をしたようだった。
 が、これも想定外の出来事だったようだ。先に立ち上がった黒髪の少女が、流れるような体捌きで、片肘をみぞおち深く打ち込む。続けてもう一人。瞬く間に2人を叩き伏せた。3人目も風前の灯。そのとき、4人目が少女の死角に廻り、殴りかかろうとした。
ガイーン。
 3人目と4人目が同時に倒れた。3人目の顎に少女の掌底が突き上げられ、4人目の後頭部に酒瓶が命中していた。ジローが絶妙のタイミングで投げたのだ。

「ありがとう。助かりました」
 黒髪の少女は、まっすぐにジローを見つめてお礼を言った。ジローは、ちょっとドキッとしたが、少女の澄んだ瞳を見つめて返事をし、少女たちを自分達のテーブルに誘った。そうすれば、ちょっかいを出してくる奴はいないだろうというと考えたのだ。
 ジローとアイラの2人は、ウンディーネに来てから、この酒場の常連となっていた。最初のうちは、アイラの野性味のある美しさに誘われて、アイラに色目を使ったり、ジローを叩きのめしてアイラを奪おうとした野暮な奴らがいたが、全員返り討ちにあってしまった。と、今度はジローの強さに対して勝負を挑む荒くれたちが出てきたが、これも殆ど勝負にならなかった。そうして1週間も経つと、2人は酒場で普通に過ごせるようになっていた。もちろん、牝豹のような俊敏さと強さを兼ね備えたアイラとそれ以上に底の知れない強さを持つジローにちょっかいを出そうという奴らはいなかった。
2人の少女はジロー達のテーブルについていた。無様に床の上にのびた男達は、店の若い衆に担がれて行った。多分裏口に放り捨てられた筈である。
 改めて4人は自己紹介した。優雅に座っていたブロンドの少女がルナ、見事な体捌きを見せた黒髪の少女がミスズと名乗った。そのとき、ジローの心で何かが反応した。テーブル越しにルナの顔を見たとき、2人の中間に光る珠が浮かんでいるのが見えた。
『心触』
その2文字をジローが心で読んだ瞬間、珠は彼に飛び込み、消えた。光が消えると、その向こうにはルナの目があった。と、奇妙な声が直接頭に響いた。
<この感覚は・・・>
<え、誰?・・・もしかして、ルナ・・・いや、違う君の名はルナじゃない・・・>
<私と話ができるのですか?本当に?でも、確かにあなた、ジロー様ですね>
<どうやら、そうみたいだ。でも、今までこんなことはなかったのに>
<私もそうです。私と同じ力を持った人に会うのは初めてです・・・>
<じゃあ、君の本当の名前を教えてくれ>
<隠しても無駄ですね。アルテミス・ノースフロウといいます>
 時間にしてほんの数刻の出来事だった。ジローはルナと名乗る女性が実は王女アルテミスであることを悟ったが、下町の酒場で正体がわかってしまうのは何かと具合が悪いと考え、この場はルナで通そうと心に決めた。
 そして、たわいもない話を交わしながら、別の回線を使って、アルテミスと情報交換を続けた。
 一方、アイラはミスズと相性がいいように見えた。特に、先ほどミスズが見せた体術について、アイラが興味を持ったらしい。
 ジローはアルテミスを誘って店の外に出た。ミスズがすぐに気づいてついてこようとしたが、アイラが引き止めたのと、アルテミスが大丈夫と合図したので、再びテーブルに戻った。
 
 店の外は、もう遅いのか、だいぶ閑散としてきていた。ジローはアルテミスを人気のない荷物の影に連れ出した。
<なにを、するの・・・>
 声を使わずに、アルテミスの意思がジローに流れ込んできた。ジローは彼女の目をやさしく見つめる。その瞬間、アルテミスの瞳が潤んでくる。
<あっ・・・私、どうしたの・・・身体が、熱い・・・>
 ジローは何も云わずに柔らかい唇に自分の唇を合わせた。アルテミスは、抵抗しようともせずに、唇の交わりに集中する。全身の力が抜け、抱きしめるジローの手がなければへなへなとしゃがみこんでしまいそうだった。
「ルナ様・・・」
 ミスズの声が真横から聞こえ、2人は夢から現実に引き戻されたような気がした。ミスズの首にはアイラが後ろから両腕を掛けている。よく見ると、ミスズも少し顔が赤かった。
「予想通りね。まったく手が早いんだから・・・。ねぇ、ジロー。ミスズもまぜて欲しいんだって。ジローとのことちょっと話したら、急にもじもじ始めたのよ。ね。ミスズ」
 そういって、首にまわした両手でミスズの乳房を揉んだ。
「はぁん・・・」
 アイラの巧みな両手が、ミスズの乳首を探し当てる。軽くつまむだけで、ミスズもまた立っているのがやっとの状態になる。
「とりあえず、私たちの宿に行きましょ。お楽しみはその後で、ね」

 ベッドの上に3つの裸身があった。それぞれに一級品の裸体が、欲情させられて、牝の匂いを部屋いっぱいに充満させていた。
 アイラはミスズの上に折り重なっていた。左手で乳房を揉み、右手は愛液でたっぷり濡れた秘所を愛撫し、膣には指を2本入れていた。ミスズはアイラに心身ともにどろどろに溶かされ、今や快楽を受け入れるだけの存在になっていた。
 アルテミスも同様な状態であった。今、彼女が感じるのは、自分を貫いている剛直から直接響く快感だけであった。彼女は処女だったが、破瓜の痛みなどはすでに吹っ飛び、生まれて初めて味わう快楽にどっぷりと浸っていた。既にジローはアルテミスの中で1回果てていた。アルテミスの初めて男を受け入れた膣壁は、ぬめぬめと肉棒を包み込み、隙間を愛液と精液が混じった液体で埋め尽くされていて、彼自身にも最高の快感を与えていた。その快感が、一度射精した肉棒をすぐに復活させたのだ。
「あぁん、あぁん、あぁん・・・だ、だめぇ・・・」
 アルテミスは息も絶え絶えに快楽の海を漂っている。もう、3回以上はいっていた。そして、最大の波がやってきた。
「い、いくぅぅぅぅぅぅぅ・・・」
 ジローの2回目の射精の瞬間、アルテミスは失神した。
 横では、ミスズが完全に出来上がっていた。ジローはアルテミスから肉棒を抜くと、アイラの後ろに廻った。アイラは身体を半分ひねってジローにキスする。ジローはアイラに合図すると、アイラはミスズの上からおりた。
「ミスズ。お待ちかねのジローだよ」
 ジローは自分の肉棒をミスズの秘所にあてがう。アイラによってほぐされたそこは、びらびらが赤く充血し、クリトリスは小指の頭ほどに大きくなり、びしょびしょに濡れた膣口がぱっくりとひらいていた。
「行くぞ」
 肉棒がミスズの中に入っていく。ミスズも処女だった。途中で肉棒が膜の抵抗に逢う。ジローは構わずに一気に突くと、抵抗がなくなり、代わって狭い膣の締め付けが押し返してくる。
「い、痛っ・・・あ、あぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
 ミスズから声が漏れると、すぐにアイラがミスズの上に覆いかぶさり、口づけする。ジローは、ゆっくりと動かしながら、空いている右手で、アイラの秘所をいじる。
「あ、あん。おまんこ、もっといじって・・・」
「あぁぁぁ、ぁぁぁぁ・・・」
 2人の嬌声が部屋にこだまする。

 ジロー達がウンディーネに逗留してほぼ1ヶ月がたった。アルテミスとミスズの主従は、あの次の朝にふらふらになりながら王城に戻っていったきり、姿を見せることはなかった。ジローとアイラは少々残念だったが、ジローからアルテミスが王女だと聞くと、まあ、しょうがないかという表情で納得したようだった。
 そして、待ちに待った呼び出しがかかり、ジローとアイラは王城に向かい、前回の陳情した会議室とは違う、豪華な部屋に通された。
 しばらくして、部屋の扉が開いた。数人の近衛兵に囲まれて、30前後の男が入って来る。威厳をもった物腰と、冷たい目か印象的であった。
「待たせてすまなかった。私は、テセウス王子だ。父王からこの件を任された。話を聞いてから時間がかかったってしまい、申し訳なく思う。ただ、セロの件については政治的な判断が必要だったのでね。許して欲しい」
 テセウスは笑みを浮かべた。しかし、その笑みは冷たく感じた。
「イーストウッドの第3公子には、使節を送ることにした。もちろんセロの住民は返してもらえるように交渉する。そこで、君たち2人には、使節の一員として同行してもらいたい。いかがかな」
「わかりました。同行いたします」
 2人共即座に同意した。
「ありがとう。了解してくれて嬉しく思う。使節については、明後日に王城を出発するので遅れないように」
 こうして、彼らのウンディーネ滞在は終わりを告げた。



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