冥皇計画
第9話「転生悲歌」
「えっ!?」
リシュアとエメリアが異口同音に驚きの声をあげエステラダーニエを見ると、彼女は長く美しい造作の耳の先まで真っ赤にして俯いてしまった。
するとエメリアも彼女に一部始終を見られていたことに気がついて、あまりの気恥ずかしさに赤面して俯いてしまった。
何分かの沈黙の後、リシュアがこの場を取り繕おうとあれこれ考えていると、エステラダーニエが顔をあげ、少し思い詰めたような表情で
「あ、あのっ!・・・私、リシュアさんに命を助けられたんですよね!?」
すると、エメリアが俯いたまま、自らの裸体を隠すために毛布をあたふたと引き寄せながら、とても慌てた様子でうわずった声音で
「そ、そうねっ!リシュアちゃんが止めなければ、私にトドメをさされてたかもしれないわねっ!」
なんだかヤケ気味のエメリアの口調に、思わず笑みがこぼれてしまったリシュアはちょっと意地悪な口調で
「エメリアもボクの魔法で寝ちゃっていたから、それは出来なかったはずだよ?」
彼が言うと、エメリアは困ったような半場恨めしげな表情でリシュアを一瞥したが、エステラダーニエが彼女とリシュアの間に割って入るようにして身を乗り出すと 、驚いて後ずさりした拍子にベットから転げ落ちそうになった、なんとかリシュアがそれを抱き留めると彼女は縋り付くようにしてリシュアに抱きつき、彼の華奢な胸板に顔を埋めて甘えながら、自分のくるまっていた毛布をリシュアにもかけた。
その様子を見ていたエステラダーニエは、心底羨ましいという貌をその深い闇のような黒き瞳に浮かべて微笑した、そして彼女は羨望の色を込めて一言一言噛みしめるように呟く
「リシュアさんが私の矢に倒れた時・・エメリアさんのあげた悲痛な叫びを聞いた私は、この人にとって、この男の子はこんなにも・・・こんなにも大切な人だったんだなって・・・感じました。なんというか・・その・・私にはそれが凄く羨ましかった・・・。」
彼女にとってエメリア達は驚愕に値する存在だった、人間達は酷薄で残忍な生き物で、自分達ダークエルフのように愛する者に身命を捧げるような深い愛情など持たないと思っていたからだ。ところがリシュアが倒れた時に見せた彼女達の反応は、自分達ダークエルフと同じ、深い愛情からくる悲憤ではなかったか。
その時、ニウスの宿屋で初めてリシュアを見た時感じた、不思議な愛しいような感情を彼女は思い出した。そして憤怒に任せた剣を自分に振るう聖女に、飢餓に似た羨望を抱くと同時に、この人間の女が自分にとっての運命の死ならば、それは受け入れるべきだとも感じてしまったのだ。
それは彼女の種族、最小の戦闘単位が夫とその妻達であるダークエルフ達は、戦いで夫を戦死させれば妻全員がその場で死ぬまで戦うか、全員が殉死するのが常だった。しかしそれは種族の掟として明文化されていた訳ではないが、ダークエルフ達には至って普通の感覚であったのだ。
ダークエルフの社会は男女の出生率が異常に偏っていて男性が非常に少なく、男性尊重社会で、普通の身分の男性でも妻が30人以上いるのが普通であり、その中で女性は強い戦士として生きること、夫を深く愛しその盾となって死ぬこと。それこそが彼女達の最高の美徳であり理想の人生だとされてきたからだ。
そのエステラダーニエにもかつては夫がいた。その時彼女は10歳で、彼女はかなり年上の二人の姉と同じ人物の妻となった。しかし、その夫は一年も経たないうちにエルヴァラト帝国との戦争で戦死してしまった。勿論、エステラダーニエには夫との夫婦生活などなく、彼女は成人するまえに寡婦となってしまったのだった。その戦いに、二人の姉は夫と共に従軍していたが、自死も戦死もせず部族に戻り、死を選ばなかった他の数人の妻と一緒に国を追放となって、その後傭兵で生計を立てながらイズドマルクで暮らした。部族屈指の戦士で誇り高い姉達が何故、不名誉であっても生きる道を選んだのか当初は判らなかったが、エステラダーニエは成長するにつれ、二人が敢えて屈辱的な道を選んだのか、だんだん理解できるようになった。姉達は幼い妹や他の妻達を死なせたくなかったのだ。
エステラダーニエの独白めいた言葉を聞いたエメリアは、顔をあげると柔和な笑みを浮かべ、彼女は少女が夢を語るように心底嬉しそうに告白した、
「そう・・・私とリディアにとってリシュアちゃんは運命そのもの、いいえ、生きる意味の全てだから。もし私達が死ぬことでリシュアちゃんが助かるなら、喜んで命だって捨てるつもりだから。」
女神官はそう言い放つと、満ち足りた者だけが見せることが出来る穏やかな微笑を再び浮かべた。
その笑顔は、失しなって恐ろしい物はもう姉達だけのエステラダーニエには眩しく、自分がみすぼらしく悲しい生き物に感じるには十分だった。
何もない荒野に一人立つような寂寥感に襲われ、エステラダーニエは絶句していた。
同時に彼女には判ってしまった。冥皇と女神官達の関係は彼女達ダークエルフにとってかけがえのないモノと同じだということが。
しかしそれは、彼女には一度として手に入れたことのないものだった。エステラダーニエは身を焦がすような焦燥感を感じながらも澄み切った心とは裏腹に、欲情仕切った自分の肉体に翻弄されながらも、叫ばずにはいられなかった。
「私も、エメリアさんのように生きたいんです!!」
エステラダーニエはこの言葉を叫びながら、自分が如何に渇愛していたのか自覚してしまった。同時にそれは自分がこの少年を愛してしまったことを示す証左でもあった。
それを知覚した彼女は激しい恋心を感じて、もう一度叫ぶ。
「私もエメリアさん達のように妻にしてください!」
彼女の二度目の叫びは悲痛な色があり、リシュアの心の琴線に触れるものがあった。
闇長耳族の女にはリシュアが祈るようにゆっくりと目を閉じて、少し考えているようにも
見えた、しかし彼はすぐに目を開いて、優しく彼女に微笑みかけると少年は言った。
「こんなボクでよかったら。」
彼の言葉を耳にしたエステラダーニエはあまりの歓喜に感極まって大粒の涙をポロポロと流しながら、魔法使いの少年の胸に飛び込んだ。そして彼の華奢な胸に顔を埋めたまま嗚咽をもらした。
リシュアは優しく抱擁しながら彼女が落ち着くまで待つと、今までの経緯を話し出した。
自分の生い立ち、転生の話、エメリア達が自分を見つけだして保護してくれていたこと、そしてこの旅の目的などを順序立ててエステラダーニエに語って聞かせた。
かなり取り乱していた彼女も話に熱心に耳を傾けだし、激情に翻弄され濡れていた宵闇色の瞳も元の聡明そうな光を取り戻して、彼の数奇な運命に驚嘆しながら聞き入っていた。
リシュアの話の中に出てきた、転生者が持つ冥皇の紋章の話について、エステラダーニエは俄然興味深く多くの質問をして、エメリアの胸にある紋章を見たがった。
リシュアがエステラダーニエを妻に迎えたことにやや不満げなエメリアは、渋りながらも紋章を彼女に見せた。するとエステラダーニエは落胆と不安の入り交じった表情で
「すごく残念ですが・・・私にはその紋章はありません。しかし、姉のソストラダーニエにはそれがあります。」
二人が驚きの声をあげると、彼女は落ち着いた声音で尚も語り
「わたしも一度しか見たことはありませんが、姉の臍の上に間違いなくその紋章があるのをみたことがあります。」
そしてダークエルフの女戦士はちょっと照れ笑いを浮かべ
「理解できないかもしれませんが、ダークエルフの女性は臍を見られるのを一番恥ずかしいと思うんです。ですから、姉妹であっても臍はなかなか見せたりしないものなんですよ。」
「ということは、エステのお姉さんも転生者ってこと?。」
リシュアが思わず疑問を口にすると、エメリアも困ったように首を傾げながら
「そうなるわね。だったらニウスの宿屋での話ぶりにも納得がいくわ。わたしはなんかあの時の会話が妙に心にひっかかっていたのよ。」
その言葉を聞いたリシュアがあの時の会話を必死に思い出すと、ソストラダーニエがこんなことを言っていたことに思い当った。
「もし私が生まれかわることができたなら、来世にて冥皇様にお仕えさせて頂きます。」
たしかに彼女はそう言った。リシュアはその言葉の意味について思いを巡らせると、彼の脳裏に確信と同時に疑問が沸いたのだった。きっと彼女は前世の記憶が戻っていて、それを気づいて欲しかった彼女は自分に謎かけをしたのだと、しかし何故、彼女ははっきりそのことを言わなかったのだろうか。
「エステのお姉さんが前世の記憶が戻っていたとして、何故リシュアちゃんにあの時、はっきり言わなかったのかしらね?」
エメリアがリシュアの考えていた疑問と全く同じ事を口にすると、エステラダーニエは困惑した表情で、
「私にも確かな事は言えないのですが、ラグナから仕事の依頼を受けたときに珍しく、姉自らすすんでラグナに会いに行って仕事を受けましたし、ニウスでリシュアさん達に会いに行こうと言ったのも姉なんです。ですから、今にして思えば姉がリシュアさんに逢いたかったのはたしかだと思います。普段、姉は表だって交渉に出向いたりしませんから。」
「なるほどね。転生者といってもリディアや私のように冥皇に近しい人物ではなかったのかもしれないわね。ひょっとするとリシュアちゃんが本物の冥皇の転生か見極めたかったのかもしれないし。」
エメリアはそう言うと、腕を組み眉間に皺を寄せながら小さく溜息をついた。
「そういえば、エメリアやリディアってだれの転生なの?」
リシュアが素朴な質問をすると、聖女は小さく驚きの声をあげて狼狽したが、ちいさく咳払いをして、真剣な面もちで
「まず、わたしの前世が冥皇親衛隊隊長の聖騎士侯アイリです。リディアが剣の聖女カレンデュランの生まれ変わり、そしてイズドマルクで冥皇の宝杖を守っているアンジェラがアマリア王国の戦姫リーマリエルの転生です。」
「ということは最後にのこった4人の部下のうちの3人ってことだよね?ボクはずっとエメリアがエキナって人だと思ってた。」
「それは・・・・・。」
リシュアの言葉を聞いたエメリアはしばしの間絶句したが、胸に手を当てたまま苦悩の表情で言葉を絞り出すように短く言った。
「言いにくい事ですが・・・エキナ様は転生されていません・・・。」
「どうして?」
思わず聞き返したリシュアにエメリアは所在なげな視線を落としながら答える、
「エキナ様は・・・冥皇リシアの正妃エキナ様は・・それを望まれなかったからです。」
数刻の沈黙の後、俯いた聖女は躊躇いがちに口を開くとこう語った。
「神聖同盟との戦いが避けられない状況になった時、冥皇様はエキナ様に転生の秘術を施そうとなさいました、しかしエキナ様は民と・・・いえ彼女の言葉を借りれば、同胞達と運命を共にするつもりだから自分だけ転生することなど出来ないと、頑なにそれを拒まれました・・・。そして誰にも相談せず、本人は殺されると判っていながらも尚、民の助命を願うために神聖同盟との交渉に単身向かわれ、敵に捕まり・・そして・・処刑されたのです・・・。」
転生者の女神官は少しの沈黙の後、唇を噛みしめ苦々しい表情で
「物語の本にあったように、決してリドニア王を暗殺しようとして返り討ちにあったのではありません・・・・。あれは冥皇を悪人にするための後年の創作なのです・・・。」
それを聞いたリシュアは、全く納得できないという表情で
「じゃあ冥皇は自分にだけ転生の秘術を施したってこと?」
「それは違います。」
エメリアはそれをきっぱりと否定すると、
「冥皇様は自分には転生の秘術をかけておられなかったはずです。その理由はエキナ様と同じで、民と運命を共にするというお気持ちだったからです。」
「じゃあ何故?ボクは転生したの?」
「わたしには詳しいことはわかりませんが、杖が・・・冥皇の宝杖デュメリエスが勝手にやったことじゃないかとリディアは推察していました。もしかしたら、あれは元々そういうモノなのかもしれません。現にあの時の冥皇様は一度目の転生でしたから・・。」
リシュアは女神官の言葉を聞いて愕然とした。それはもしかしたら杖の呪いなのかもしれないと思ったからだ。しかし幾つかの疑問が沸きそれを言葉にする、
「じゃあエメリア達が言った、だれとだれに転生の秘術をしたか判らないというのも、杖が勝手にやったことなので判らないってこと?!」
エメリアを責めるような口調になってしまったことを非常に後悔したが、転生者の聖女は消え入るような声音になりながらも、懸命に答えてくれた。
「いえ・・・少なくともアンジェラは転生の秘術受けた記憶がないんです。皆、完全に記憶が戻った訳ではないので・・・思い出せてないだけなのかもしれませんが・・・。」
「エメリア達は記憶があるの?」
彼女は小さく頷き、
「冥皇様は生前、また生まれ変わることになるやもしれないと、時々自嘲気味に言っておいででした。それを聞いた私とリディアは何度も必死にお願いしてやっと秘術を受けたのですが、ちなみにその場にいたのは私とリディアだけです。しかしその後、冥皇様は自分が二度と転生できないように、わざとバトラ王子のエルファリアの剣を杖で受けて、冥皇としての力の源である宝杖のコアジュエルを破壊させてしまいました。」
エメリアは少し落ち着きを取り戻したようで、淡々とした口調でこう付け加えた
「しかし冥皇様が意図したようにそれは完全に破壊されてはいなかったのです。リディアの分析では冥皇様死後にコアジュエルが大きな術を使った形跡があって、その力の流れを追跡することで、私達はリシュアちゃんを見つけだしたんです。」
彼女は何かに耐えるように身もだえすると、一度深呼吸をして告白する
「ごめんなさい。エキナ様のことはもう少し時間が経ってからお話するつもりでした、彼女の死のことがリシュアちゃんにどう影響するか解らなかったし、前世のことをいきなり思い出すということが、どれ程恐ろしいことか私達は解ってるつもりでしたから・・・。」
リシュアにはエメリア達がエキナのことを伏せていたのも彼女達の自分に対する気遣いからだということが理解できたし、最初の話と食い違うことも言ってないことが解ったので、彼は非常に安堵した。話を聞いてるときに、自分達に都合の悪いことは聞かせないでいたのではないかという疑念が頭をもたげかかっていたからだったのだが、今の会話で幾つかの新しい事実を知ることができ、常に考えていた疑問もいくつか晴れ、幾分満足した。
まず、判明したことは自分は意図的に転生したのではないこと、他の人間を転生させるにはあらかじめ秘術をしていなければ転生できないようだということ、最後にエキナは転生している確立がゼロに等しいということだった。
正妃だったエキナという人物は、現時点で前世の記憶が全くないリシュアにはリアルな話には全然聞こえなかったし、3人の妻達よりも大事な女性ということが彼にはまったく想像できなかった。記憶がもどっていないというもどかしさもあったが、先刻妻になったエステラダーニエはともかくとしても、今の自分にとってリディアとエメリアよりかけがえのない女性というのが全く理解できなかったし、自分は冥皇リシアの生まれ変わりかもしれないが、もし記憶が戻ったとしても自分はリシアではなくリシュアで、自分が彼女達を捨ててまで、エキナという女性を捜し求めるとはどうしても思えなかったからだ。
物思いに耽ったような表情で無言で話を聞いていたエステラダーニエが、突然口を開いた
「今思い出したのですが、私の想像では姉が転生する前の名前は多分、エスタヴェールだと思います。姉が酔った時にそのようなことを口走っていたのを思い出しました!」
「4人のうちの最後の一人ね。闇長耳族の女王にして告死騎士エスタヴェール。」
エメリアが苦笑しながら、そう低い声で付け加えた、するとそれを聞いたエステラダーニエもクスクスと笑いながら、
「同じ告死騎士ですか、出来すぎですね?」
それを聞いて二人も声をあげて笑い出してしまった。
「今度出会ったときに、本人かどうか聞いてみることにしようか?」
リシュアが冗談めかして語ると二人もうんうんと頷く。すると彼は急に何か思い出した様子で、急に笑顔が消えたと思うとエメリアを見据え、
「でもボクは冥皇リシアじゃなくてリシュアだからね?もう間違えないでね。」
諭すような口調で彼はそう告げた。エメリアが何度も頷くと、魔法使いの少年は二人の手をとり今度は強い調子で付け加える
「エキナなんて人は知らないし、多分二度と逢えない人だと思う!それに見習い魔導師リシュアの大切な人はエメリアとリディアとエステラダーニエだけだから!二人ともそれを忘れないで!」
彼の強い言葉に心底嬉しそうな表情を浮かべたエステラダーニエは何度も頷くと
「一生、リシュアさんのお側に置いてくださいね♪」
ソレを聞いたエメリアも負けじと早口で言い立てる
「私の全てはリシュアちゃんのものだからっ!今までもこれからもっ!」
その言葉を聞いたリシュアは答える代わりに交互に二人に口づけする、キスをかわしながら3人はベットの上に立ち上がった。
「わたしも脱ぎますね・・・・。」
一人だけ全裸ではなかったエステラダーニエが、羞恥に長い耳の先まで紅くしながらも服をぬごうとすると、エメリアが優しく押しとどめて、
「リシュアちゃん、脱がしてあげてね。」
リシュアは小さく頷くと、やや緊張気味のおぼつかない手つきでエステの黒いシャツを脱がせ、次は同じ色の皮のタイトスカートを脱がそうとすると、十数カ所にベルト状の締め付け具が付いており、まくれ上がったりずり上がったりしにくい構造になってるようで、複雑すぎてどうやって脱がすのか解らなかった。彼が困惑していることに気づいたエステラダーニエが、
「こことここのベルトを緩めてくださいね。」
リシュアにやさしく告げると、スカートの構造について几帳面にも詳しく解説してくれた。彼女のやや長広舌気味な説明ぶりに、呆れ気味の二人が苦笑していると、
「す、すいませんっ!こんな時に・・・」
彼女は慌てて自分でスカートを脱ぎ、腿上までくるブーツを吊っていたガーターベルトとコルセットが一体になったようなボディスーツも、驚くほど手早く脱いだ。彼女はその時一緒に、かろうじて股間を隠すだけの小さな白いショーツも脱いでしまったので、程なく全裸となってしまった。
彼女は、多少はにかんだ笑みを浮かべながら、手櫛で腰まである宵闇色の総髪を整え、
「すいませんっ・・自分で脱いじゃいました・・・・。」
と申し訳なさそうに小さな声で呟くように言うと、慌てて両手で臍を隠すような仕草をした。それがリシュアにはなんとも可愛らしく見え、ずっと年上の他二人の妻とは違う親近感のようなものを覚え、愛しさに胸が高鳴った。
彼女はダークエルフらしく非常に細身で、匂い立つような若々しさの溢れるしなやかな肢体をしていた。とりわけ、すんなりとした細長く美しい首筋や、愛嬌があると同時になごやかな光をたたえる眼と、褐色だが静脈が透けて見えるような透明感のある美しい肌が印象的で、リシュアが痛々しさを感じる程の純粋な清らかさと、繊細で幽艶な魅力を感じさせた。
リシュアが惚れ惚れとあらためて二人を見比べてみると、エステラダーニエの方がやや背が高いことに気がついた、エメリアでもリシュアよりも頭ひとつ分ほど背が高かったのだが、多分リディアと同じ位だろうなどと漠然と彼が考えていると、エメリアが頬を染めながら跪いてリシュアの怒張したままだった肉茎を嬉しそうに下から舐めあげ始めた。
「ああっ・・・・。」
リシュアが小さく呻くと、エメリアは妖艶に微笑み、肉茎を先刻のように深く口に含むと、音を立てて吸引し始める。それを見ていたエステラダーニエも跪いて、彼の股下に潜り込むように体を滑り込ませると、下からくわえるようにして、彼の陰嚢をひとつひとつ口に含みながら愛撫しだした。
陰嚢を愛撫されるという初めての感覚に、つま先立ってしまうような快感を覚えたリシュアは、二人の頭に手を置き、美女達の奉仕に身を任せていたが、すぐに射精感がこみ上げ一気に登り詰めてしまった。
びゅびゅく、びゅくびゅく
腰が思わず前後して、聖女の口内に大量の白濁液を注ぎ込むと、彼女はすこしえずいたが恍惚とした表情で口元から精液が溢れるのも構わず、喉を鳴らして美味しそうに飲み込む、するとエステラダーニエが聖女の口元から垂れた精液を慌てて両掌で受け、そして味わうようにゆっくりと舐めた。
「えっ?すごく美味しい・・・次はわたしにも・・・・飲ませてくださいねっ♪」
エステラダーニエは両掌に残った残滓を全て舐めとると、にっこり微笑んだ。彼女はエメリアが恍惚として口を離した隙に、リシュアの肉茎を薄い紅を引いた唇でくわえこむ。
ちゅぷ、ちゅっちゅるちゅちゅ
エメリアより控えめな音を立てながら、リシュアのペニスを吸い上げ、絶妙な舌使いで鈴口を刺激してくる、彼女の表情には満面に喜色が浮かんでおり、溌剌として清潔感溢れる彼女の美貌と対照的な、その淫ら行為にリシュアの興奮がまた急激に高まる。
すぐに回復して反り返った愛しいご主人様の肉茎に愛しげに目を細め、両掌で包み込むように捧げ持ち、頬ずりしながら闇エルフの女性は興奮に息を荒げ、哀願するような声音で
「ハァハァ・・・痛くないですか?わたし・・・上手くできてますか?。」
欲情で眼を潤ませ赤くしながらも尚、リシュアのことを心配をしてくれる彼女に感動すら覚えたが、彼が頷くとエステラダーニエは小さな声で
「実は私・・・初めてなんです・・・。男性のものを見るのも触るのも・・・だから、ちょっと怖いんです・・・・でも、リシュアさんのものになりたいです・・・。」
「心配しなくてもいいよ、ボクも初めては2日前だったから。」
「・・・あのっ!あの!すごく手慣れて見えたかもしれないですけどっ!ダークエルフの女性は・・・その・・嫁入り前にいろいろ勉強してっ練習するのでっ!」
そう告げると彼女はダークエルフの女性達が夫の寵愛を勝ち取るために、どんな勉強をするのか細かく説明しようとしたが、彼女の生真面目で几帳面すぎる性格に、愛しさを感じたリシュアが微笑みながら手で制すると、我に帰ったエステラダーニエは口唇奉仕を再開した。
彼女はその細く長い指で両掌で包み込むようにして緩急を付けながら肉茎を扱き、肉傘の部分だけを口に含んでは舌先で激しく愛撫する。彼女の舌が時々形のよい唇から覗くのはなんとも淫靡な光景だった。ただ、時折心配になるのか、肉茎を口に含んだままリシュアの表情を上目遣いで窺う、その度にリシュアが微笑み彼女の宵闇色の髪を優しく撫でつけると嬉しそうに目を細めた、その様子にエメリアも微笑みながら見ていたが、不意に寂しさを感じてリシュアに背中から抱きつくと、その豊かすぎる双乳を背中に押しつけた。
エメリアがリシュアに後ろから縋り付くようにして体重をかけると、彼はそのままベットの上に、足を投げ出すような形で座ってしまった。エステラダーニエもそのまま彼の足の間に跪くような体勢になったが、さらに激しく口唇奉仕を続けていた。
エメリアが背中越しにリシュアの首筋にキスの雨を降らせながら、彼の両乳首を指でまさぐる。同時に彼女のむっちりとして柔らかな豊乳が背中に押しつけられた、リシュアは彼女の胸のそこだけ堅くしこった乳首の感触を感じて興奮が高まり、右手で聖女の股間をまさぐろうと、彼女の愛液が垂れて濡れそぼった太股をなぞるようにして撫で上げる。
「あぁん・・・・感じちゃう・・・リシュアちゃん、もっと触ってぇ・・・。」
エメリアは熱い吐息を少年の耳に吹きかけるようにして囁くと、彼の右手を掴み自分の股間に導く、導かれたそこは彼が驚くほどに熱く濡れそぼっていて、彼が優しく撫でただけで牝の飛沫が迸り、彼の右手をしっとりと濡らす。
「ああっ・・・いっちゃった・・・リシュアちゃん、リシュアちゃん。」
エメリアは熱に浮かされたように呟くと、リシュアの掌にこすりつけるようして、腰を淫らに動かす、すると聖女の熱く濡れた柔肉がさらに強く押しつけられた、すぐさま二度目の絶頂に達したらしい彼女は、熱い牝液をリシュアの掌から滴がぽたぽたとしたたり落ちるほどに浴びせながら悲鳴に似た嬌声をあげた。その声を聞いたエステラダーニエも非常に興奮して、激しく息を荒げながら口一杯にリシュアの肉棒をくわえると、宵闇色の総髪が波打つほどの激しさで、大きな音が漏れるのも構わず激しく奉仕する。
「ああっ・・・出るぅぅ・・・・。」
激しい愛撫にリシュアがのけぞり、先程妻になったばかりの闇長耳族の女の口内に、たまらず射精する、
びゅ、びゅびゅく、びゅびゅびゅ
リシュアが大量の精液をエステラダーニエの口内に放つと、彼女は少し咳込みながらも、けなげに全て飲み下そうとするが、あまりの量に精液がとうとう口元から溢れだした。それでも彼女は涙ぐみながらも口を離さず、愛する少年の肉棒を口にくわえこんだまま、次々と肉棒から吐き出される精液を喘ぐようになりながらも必死に飲み込む。
エステラダーニエには射精を口で受け止めるという行為自体は苦しかったが、リシュアの精液は非常に美味しく、彼女が姉たちから聞いていた精液の話とは違って、量も非常に多くて甘くて果汁のような味だった、最初エメリアがすごく美味しそうに飲んでいるのを見た時は、正直非常に驚いたが、少し舐めた時にもっと飲みたいと思ってしまったのだ。
「ご褒美ありがとうございますっ♪とっても美味しかったですっ♪」
エステラダーニエが満面の笑みで感謝の言葉を口に頭をさげると、リシュアは気恥ずかしさを覚えたが、すぐにエメリアが彼女を押しのけるようにして彼の前に回り込み、抱きついてきて押し倒される、彼女の肢体はしっとりと汗ばみ、透けるような白い肌も薄紅色染まっていて激しく欲情しているのは見て取れた。彼を押し倒した聖女は、ついばむように何度もキスをにすると、いつもの毅然としていながらも慈愛に満ちた声音ではなく、心なしか、震えているような甘えた声で、
「リシュアちゃぁん・・・早くエメリアのぉ・・ここにぃ・・・・・。」
彼女はリシュアの腰の辺りに跨ったまま、右手の指でゆっくり自分の秘裂を押し広げ、愛する少年に披露する、綺麗な薄紅色の彼女の秘裂は愛液で濡れ光り、その媚態は衝撃的と言えるほど扇情的な眺めだった。彼女の秘裂がリシュアの肉茎に触れると彼女は喘ぎながら身を震わせ、秘裂から溢れ出た愛液の滴がリシュアの肉茎にポタポタとしたたり落ちた。
リシュアは興奮しきって、おきあがると同時にエメリアを押し倒して、彼女の右足を肩に担ぐような体勢で、そのまま前のめりになるようにして、彼女の秘裂を貫こうと腰を突き出す。
「リシュアちゃん・・・おちんちん早くいれてぇ・・・・。」
その声に熱く滾った情熱に身をまかせ、聖女の媚態に吸い込まれるようにして腰を進めると、エメリアが右手でリシュアの臍まで反り返った肉棒を掴み、彼女の膣穴に導いてくれた。するとぬるりとした暖かい感触を感じて、聖女の肉壺の中に挿入出来たことを感じた。
リシュアが叩き付けるようにして腰を動かし、子宮口まで一気に貫くと、吸い付くように肉壺が蠢動して彼を絶妙な具合で締め付けた、彼には解らないがエメリアの名器の締め付けに射精を堪え、リシュアは彼女の重量感たっぷりの豊乳を握りつぶすようにして揉みしだき、乳首を交互に強く吸うと、彼女は縋り付くように抱きついてきた。彼女にとっては二度目の挿入だったが、彼女の秘所はすっかり愛液で蕩けていて、リシュアの15歳の小柄な少年のものとは思えない大きさの肉棒を易々と受け入れたのだ。
「あぅ・・・・出るっ・・・・。」
エメリアの名器に翻弄されたリシュアはすぐに射精感に襲われ、彼女の子宮口に肉棒の先端を押しつけるようにしてザーメンをぶちまける。
びゅっびゅるるびゅる、びゅびゅ
彼女を孕ませたいが如く膣肉の最奥にたっぷりと射精したが、すぐに普段の彼女を思わせるようなエメリアの膣肉の優しく包み込むような絶妙な締め付けに、彼のペニスはすぐに堅さを取り戻し、昨日リディアを抱いた時のように次の射精にむけて腰を振りたくる。
「リディアのも気持ちよかったけど・・・、エメリアのここもすっごく気持ちいいよ・・・・毎日でもしたいよ・・・・。」
エメリアは快楽に翻弄され、小さく頷くのがやっとだったが、リシュアが自分の体をすごく気に入ってくれたのが誇らしかった、実は彼女は冥皇時代のリシュアには一度も抱かれたことがなく、前世も含めた約500年間ずっと処女だったのだ。
リディアの前世であった「剣の聖女」と呼ばれていたカレンデュランは、冥皇リシアの剣の師匠であり、エキナがリシアの前に現れるずっと前からの最古参の側近だったのもあって、リシアの本当の愛人の一人でもあったらしいが、「聖騎士侯」アイリはその武勇と統率力で側近まで登り詰めたものの、エキナとほぼ同時期に部下になった為に、当時、婚礼後、妃エキナ一筋になっていたリシアに、女性としては微塵も相手にされず、死ぬまで片思いだったのだ。
彼女の脳裏に小さくその事実が思い出され、胸を締め付けるような当時の心の痛みも思い出されたが、聖騎士侯アイリだった女は、今生では彼に愛され、今まさに抱かれていることの嬉しさに心の琴線が震え、感情が激しきって思わず涙が流れた。
「エメリア苦しい?・・・大丈夫?。」
リシュアがその激情故の涙に気づくと、腰を止め心配して優しい言葉をかけてくれた。エメリアの胸の奥に暖かい感情が満たされた。そして彼女はかぶりを振ると嬉しそうに微笑み、
「大丈夫です、なんか嬉しくって。それよりも私の中にいっぱいだしてくださいね。」
彼女はそう言いながら、腰を押しつけるようにすると急に締め付けが強くなり、リシュアはすぐにでも射精しそうになったが、必死に堪えて腰をうごかす。憧れだった聖女の、むっちりとしたいやらしい肢体を自由にできるのは最初は夢のようだったが、今では本当に自分の妻なんだなという実感が沸いてきて、自分の子種で彼女を孕ませたいと思ってしまう。
リシュアには粘膜同士のぶつかる湿った音とエメリアの喘ぎ声、それに横で一人で慰めているエステラダーニエの押し殺したような喘ぎ声だけが耳にはいってくる。
「ああっ・・・でちゃう・・・・。」
自分でも驚くほどすぐに射精感が沸いてきて、たまらずエメリアの膣内にたっぷりと子種を放出する、先程もたっぷりと膣出ししたせいで、エメリアとつながっている所からは二人のものがまざりあった熱い液が逆流してきて、むせ返るような淫臭が立ちのぼる。
びゅる、びゅっびゅっびゅぷ・・
射精を終え、余韻から覚めたリシュアが肉茎を聖女の肉壺から引き抜くと、更に淫臭は濃厚となり、すかさず二人の横で一人で自分を慰めていたエステラダーニエが、彼の肉茎を口に含みちゅうちゅうと音をたてながら綺麗にする。
「次はわたしですよね・・?」
エステラダーニエは自分のお掃除奉仕で、また逞しく反り返った肉茎に頬ずりしながら、問いかけてくる。リシュアが小さく頷くと彼女はうつぶせでぐったりしているエメリアの横に仰向けで横臥すると、羞恥に躊躇いながらもほっそりとした美脚を開き、性器を露わにする。彼女の肉鞘はリディアのものに比べるとまったくの蕾だったが、そこはすでにねっとりと濡れ光り、リシュアの肉茎を待ち望んでいた。
リシュアが其処に口づけ、舌で優しく愛撫すると、彼女は最初小さな悲鳴をあげたが、すぐに全身の力が抜けて、彼のされるがままになった。
ちゅ、ちゅる、ぢゅぢゅちゅ
リシュアが愛撫の強さをだんだん強くし、わざと音を立てて吸い上げ、包皮を剥いて彼女のかなり小さめのクリトリスを舌先で転がした瞬間、彼女は身震るわせ、また絶頂に達してしまったようで、惚けた視線をリシュアに投げかけながら、嬉しそうに、
「そんなに何回もいかされちゃうと、わたしダメになっちゃいますから・・・でも口でしてくれるなんて・・・嬉しいです・・・リシュアさん優しいんですね・・・・。」
リシュアには彼女の言ってることの意味がよく分からなかったが、多分ダークエルフの男性が女性にはこういうことは普通しないのかななどと、推測してみた。
「なんか、眠っちゃいそうな位、体がふわふわして気持ちいいんです・・・。」
闇長耳族の女性は右手を愛しげな表情のままリシュアに伸ばし、彼が左手で彼女の右手をとった、すると彼女は指をからませてきて、うっとりした表情のまま微笑み、
「わたしも、ソスト姉さんのように生まれ変わりならよかった・・・だって、それならリシュアさんに探してもらえたもの・・・・。」
彼女は女の子の表情で歌うように呟くと、リシュアを引き寄せ抱きしめた。彼女は彼の耳元で小さな声で哀願するように
「わたし、エメリアさん達みたいにいっぱい愛されるようにがんばりますから・・・わたしのことキライにならないでくださいね・・・。」
彼女に切実な言葉に、愛しさで胸が熱くなったリシュアは、
「転生したとかしてないとかは関係ないよ、エステはボクのお嫁さんだから、二人と同じように大切だからね、心配しないで。好きだよ。」
数日前にあったばかりで、敵でもあった闇長耳族の女性にこんなことを言ってしまう自分にリシュアは内心苦笑したが、彼女の言葉に嘘はないという確信があったし、前世の冥皇リシアではなく、リシュアである自分を好きだと言ってくれるこのエステラダーニエに無性に愛しさを覚えてしまったからだった。
「エステの中に入りたいけどいい?」
リシュアが優しく告げると、彼女は微笑みながら頷いた、リシュアは自分の肉茎を掴むと彼女の膣口を探し出してゆっくり挿入しようとした、かなり濡れているとはいえ、初めての女性にサポートなしで挿入するのは難しかったが、なんとか先の方だけは挿入できた。
「奥までいれるよ。」
彼がそういうと彼女は何度も頷き、深呼吸しているようだった。
かなり苦労したがリシュアの肉茎は彼女の初めての証を突き破り、膣奥までたどり着くことが出来た。
「聞いていたよりも痛くありませんでした・・・。剣で斬られたほうが痛かったです。」
彼女が額に汗を浮かべながら、生真面目にそう報告すると、リシュアは指で彼女の額の汗を拭ってあげた、すると 彼女は彼の指をとって頬ずりすると優しく微笑み、ひとつ頷いた。
リシュアがゆっくり腰を動かすと、彼女の中はすごく狭く、締め付けが強いのもあったが、元々の大きさが小さいのかもと思った。彼女は目を閉じ、必死に初めての感覚と戦っているようで、それがなんともいじらしく可愛く感じて、肉体的な快楽よりも精神的に興奮してしまった。エメリアの時よりも自分に余裕がある分、こんな綺麗な女性の唯一の男性になれたんだと思うと喜びも一塩で、すぐに射精感が襲ってきた。
「ごめん、すぐでちゃいそう・・・・。」
リシュアがエステの美しい造作の、長い耳を愛撫しながら、そう呟くと
「あのっ・・我慢しないで、お射精してくださいね・・・お願いします。」
こんな時でも彼女の言葉が非常に丁寧なのはおかしかったが、もう我慢できない、
びゅ、びゅーっびゅくびゅくびゅ
リシュアの肉棒が彼女の膣奥にたっぷりと白濁液を送り出すと、
「ああっ・・あたたかいものを感じます・・・わたし子種を付けて頂いてるんですね・・・・うれしい・・・。」
彼女は本当に嬉しそうにリシュアの首に抱きつき、
「これでわたしもリシュアさんの女になれたんですね、嬉しい・・・。」
いつのまにか肉茎は抜けてしまったが、エステラダーニエと何度も口づけをした、するとやや元気をとりもどしたエメリアも混ざってきて、エステは躊躇なくエメリアともキスをしていた。一段落した後にリシュアがエステを妻にしたことについて、リディアに相談していないことを心配すると、エメリアはあっけらかんとした口調で、
「心配いらないと思うわよ?多分そろそろ現れるコロだし?」
その言葉を聞いた二人がきょとんとしていると、寝室の扉が勢いよく開き、リディアが入ってきた。
「エステおめでとう!リシュア一家にようこそ!!」
師匠が満面の笑みをうかべながら、エステを祝福すると、女神官は肩をすくめて呆れた口調で、
「ね?リシュアちゃん・・・・心配いらないでしょ?・・というかリシュア一家ってなによ・・・・センス悪っ。」
エメリアは悪態をつくと、リディアは例のニヤニヤ笑いを浮かべながら、
「リシュアの治癒魔法きくでしょ?でもその後、体が火照ちゃって大変だったと思うけど〜〜?」
それを聞いたエメリアが何かに気づいたように、あっと声をあげ、
「ちょっと・・・・なんでそんな大事なこと言わないのよっ!!さっきのニヤニヤ笑いはそのことだったのっ?!」
彼女が抗議すると、リディアは悪びれる様子もなく少し大げさなゼスチャーで腕を組み、
「3人で楽しんだんでしょ〜〜?だったらいいんじゃないの〜?」
リシュアとエステが顔を見合わせたが、エステが恥ずかしそうに
「術とかとは関係ありませんからっ・・好きなのは本当ですしっ・・・。でも、術のせいであんまり痛くなかったのかもしれませんし・・だから気にしないでくださいっ。」
リシュアが笑顔で頷くと、エステも嬉しそうに笑顔で答えた。
彼女の正直な言葉は、リシュアは本当に嬉く救われた気がした。同時に自分が3人を守れるような人にならなければと切実に思わずにはいられなかった。
(第10話へ) 現在の冥皇軍=9名