ドレアム戦記

第一編 玄白胎動編 第3話

 ジロー達は森を移動していた。森の奥には最近発見されたという水の神殿があるとアルテミス姫が教えたのだ。
ジロー達は狩猟小屋から当面必要なものだけ持って引き払い、水の神殿を目指して北の街道に平行に進んでいった。ただ、ジャムカ公子達の捜索から身を守るため街道から見えない森の中を進むことと、ノースフロウ王家の関係者だけが知っているという道を発見するのが難儀したため、予想外に日数がかかりセロの町を脱出してから半月が経っていた。
それでもなんとか道を発見し、更に森の奥に進む。しかし、まだ障害があった。玄武地方と青龍地方の境界でもある大河タウラス川を越えなければならないのだが、未開の奥地とも言えるこんな場所には橋などはなく、渡るすべがなかった。
川岸で一休みしながら、ジロー達はどうすればこの大河を渡れるか考えていた。目の前の大河は流量も多く、川幅も広い。泳いで渡るのはほぼ無理だろう。加えて、川に住む生き物が無害であるという保障は全く無いのだ。
ところが、そんな一同の心配をよそに、アルテミスが川岸に出ると何かを探し始める。そして、半刻。アルテミスは目的のものを発見した。それは、ちょうど手の形に窪みがある岩だった。アルテミスはためらいなく、窪みに手を押し付けた。その瞬間、岩からするすると光が発し、あっという間に向こう岸にたどりついた。
「さあ、これで渡ることができます。皆さん、行きましょう」
こうして、一行7人は水の神殿にたどりついたのである。

 この世界では、神殿は特別な意味を持っている。言い伝えによると、全部で12個の神殿がいずこかに存在し、その全ての神殿を訪れることが出来たものは、あらゆる望みが叶うと云われていた。かつて、大陸を統一した大帝クロウは、全ての神殿に赴き、神殿の力を手に入れたゆえ、その大事業を成し得たとされている。だが、その後の帝国分裂や戦乱の中で、残念なことに神殿に係わる資料も消失し、現在既知の神殿の数は5箇所しかなかった。水の神殿は新たに発見された6箇所目の神殿であるが、まだノースフロウ王家の関係者しかその存在を知らないものだった。
 神殿の中は、何かの魔法が効いているのであろう、窓のない石壁の部屋というのに、薄青い光に照らされていた。
「ここはまだ、発見されて間もないのです」
室内は思ったよりも綺麗で、掃除が行き届いているような感じがした。どうやら、魔法によるものらしいと、アルテミスは云っていた。そんなアルテミスの説明を聞きながら、ミスズ以外の一同は初めて入る神殿の室内の光景に眼を奪われていた。通常、神殿は王家の神聖な場所とされているため、一般の人々は見ることはできても入ることは出来ないのだ。唯一、巡礼地として名高いドリアードの南にある青龍の神殿だけは入れるが、こちらは入るために高額な寄付金を支払わねばならず、セロの猟師の収入ではせいぜい石段を1段上がるのが関の山というところだった。
 ジローはしかし、別な意味で神殿の内部を見回していた。そのうちに意を決して、壁に近づき、アルテミスにたずねた。
「アルテミス、この壁の文字、読めるか?」
 アルテミスは不思議そうな顔で頭を傾けた。
「文字というのは、その壁の模様のことですか。私には模様のようにしか見えないのですが・・・」
「いや、これは文字だ・・・。それも俺が昔使っていたものと同じ・・・」
「ジロー。何て書いてあるの?」
『我は九郎。この神殿を訪れた旅人よ、我の試練に克ったならば汝に力を与えん。覚悟が有るならば奥へ行け』
 ジローが読上げると、アルテミスがびっくりしたようにジローを見つめた。
<す、凄いです。ジロー様・・・>
「奥には何がある?」
「は、はい。ついて来てください。奥の寝室に開かずの扉があります。確か、その扉にも同じような模様・・・、い、いえ、文字が刻まれていたはずです」

 ジロー達は開かずの扉の前にいた。一緒にいるのはアルテミス、ミスズ、アイラの3人だった。ニック達3人は見張りや別の部屋の調査をしていた。
「どう、ジロー読める?」
「ああ、この扉はダミーだ。扉のように作られているが、魔法で石壁をそう見せているだけだと書いてある。本当の扉はこの場所に掛けられた魔法結界を破れば出てくるそうだ。で、その方法だが・・・」
 ジローは3人を見つめた。3人とも興味津々で次の言葉を待っている。
「セックス」
「え!?」
「セックスして、精液と愛液が混ざり合ったおまんこに魔方陣のディルドウを入れると結界が消えると書いてある。どうやらこれが試練らしい・・・」
 ジローは部屋の壁に刻まれた魔方陣に刺さっている3本の棒を指差した。そして、あらためて3人を見る。
「面白そうじゃない。ちょうどベッドもあるし」
「ディルドウは不安ですけれど・・・ジロー様にお任せします」
「わ、私も。よろしくお願いします」
 3人3様の答えの後、ジローは3人をベッドに誘った。ベッドはキングサイズでしっかりしており、魔法でベットメイクされているようだった。ジローが仰向けに横になると、柔らかすぎず硬すぎずという感触が背中に当たる。
「あん、ベッドでなんて久しぶりぃ・・・」
 アイラが甘えるようにもたれかかってきた。既に全裸である。左右にいる2人も同様。
「そういえば、裸でするのは久しぶりだな」
 ジローの両手がアルテミスとミスズを抱き寄せる。アイラを真ん中にして、3人が布団のように乗っかっていた。
 セロからの逃亡中、ジローは彼女たちを何度となく抱いていた。さすがにニック達の手前もあり、服を着たまま短時間のセックスではあったが、1日とは空かずに刹那の逢瀬を楽しんでいた。そのため、3人とも、いつからか昼間は下着を着けず、夜寝るときにだけ下着を着けるようになっていた。
 ジローの目の前には、アルテミスの性器が開いていた。既に愛液を溢れさせたそこは、赤く充血して湯気がたっているようだった。アルテミスの口はジローの肉棒をはっしと咥えて奉仕している。その横でアイラとミスズが玉袋を口に含んで刺激を送り込んでくる。
 ジローは顔を上げ、アルテミスのクリトリスに吸い付く。同時に両手は2人の膣に2本ずつ指を入れて抜き差しする。
「んぁぁぁ・・・あぁん・・・」
「ああぁぁぁぁん・・・」
「ひぃぃぃぃぃ・・・」
 誰の口から漏れているのかわからない言葉が、室内の淫靡さを増大させていく。
「アルテミス。そろそろ欲しくなったか・・・」
 アルテミスの熱心な奉仕に、ジローもそろそろたまらなくなってきていた。アルテミスはフェラチオを止めるとジローに向けた。眼が完全に欲情していた。
「はぁあぁぁぁ。欲しいです・・・。ジロー様の硬いおちんちん、私のどろどろのおまんこにくださぁい・・・」
「よし、よく言えたご褒美だ。そのまま自分で入れてみろ」
「はい」
 アルテミスは体制を入れ替え、ジローの肉棒に自分の性器をあてると、一気に腰を落とした。
「はあぁぁぁぁん・・・」
 ジローの肉棒をぬるぬるになった肉壁が包み込む。処女の頃の固さはすでになく、全体が柔らかく吸い込むようにジローを刺激してくる。
 アイラはアルテミスの乳房をやわやわと揉みしだきながら、時折乳首を摘んでいた。そしてミスズはジローの頭に跨り、舌と唇で性器を蹂躙されながら自分で胸を揉んでいた。
「あ、あ、あ、ジロー様、も、もう、い、いっても、いいですか・・・」
 アルテミスは息も絶え絶えだが、腰は快楽を貪って激しく動いていた。
「あ、あ、だ、だめ・・・、い、いくぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」
 アルテミスの膣がきゅっと締め付け、たまらずにジローは射精した。それを感じて2回目の波が押し寄せる。
「ま、また、いっちゃう、あぁぁぁぁぁ・・・」
 ジローは右手で頭の方を探った。あらかじめ魔方陣から外しておいたディルドウを掴むと、アルテミスとの結合部に持っていく。
「いいか」
 アルテミスはかすかに頷くと、身体を浮かせて膣の中の肉棒を抜く、その瞬間ジローの持っているディルドウが再び膣を塞ぐ。
「あ、あぁぁぁ・・・」
 アルテミスはそのまま後ろに倒れ、気を失った。股間にはまったディルドウがひくひく動いていた。

 次に抱かれたのはアイラだった。アイラはジローの激しい動きに負けずに快楽を貪っていたが、最後は派手にいきまくり、ディルドウを膣に収めた。
「これ、なかなかいいわ。癖になりそう・・・」
 そう云ってミスズにキスする。
「ミスズ。お待たせ。うふっ、もうぬるぬるじゃない。我慢してたもんね」
「あぁん。お姉さまぁぁ・・・」
 ミスズは元々レズ系だったのだろう。アイラに対してはすぐめろめろになっていた。既に性器は洪水状態で、さらさらの液体がおしっこ漏らしたように内腿を伝っていた。
 ミスズが騎乗位でジローと結合すると、アイラはミスズの後ろに回りこんでミスズの乳を揉む。それだけでミスズは半狂乱になって感じまくる。
「あ、あ、あはぁ・・・。い、い、いいぃぃぃ・・・」
「ミスズ。まだまだこれからよ」そう云ってアイラは自分の股間に手を当てる。ディルドウの刺さった性器から流れるぬるぬるの愛液を手に取り、ミスズのお尻の穴にぬめぬめと塗った。
「あ、あぁぁ・・・、お、お姉さまぁ・・・。そ、そこはぁぁあぁん・・・」
 アイラの指がミスズのアナルに入った。ミスズの締め付けが急に強まり、ジローの肉棒を射精へと導いていく。
「くっ、ミスズ。いくぞ!」
 今日3回目だというのに大量の精液がミスズの中に放出された。子宮口を打つ精液を感じて、ミスズは気を失った。
 ジローは、最後の1本のディルドウを掴むと、ミスズと結合したまま身体を起こした。ミスズはだらんと脱力しているので、その膣から肉棒をゆっくり外す。そしてディルドウを突き刺した。
パアンッ
 部屋の中が一瞬光に満たされた。

「これで開かずの扉の向こうに行けるのですね」
 アルテミスが感動しながら言った。
 あの後、暫く快感で動く気力もなかったが、少し休んでから後始末をした。3人の性器に刺さっていたディルドウはそのまま消え去っていた。アイラの話によると、あの瞬間、ディルドウが生き物のように身体の中に入り込んできたが、すぐ溶けるようになくなったとのことであった。どうやら3人ともなんともないらしいことを確かめて、ジロー達は再び扉の前に立った。
 先ほどまで扉があったはずの場所は冷たい石壁に変わっていた。代わりに、左側の壁に扉が出現していた。ジローが手をかけると、簡単に開いた。
 扉の向こうは10畳程の部屋だった。部屋の中央には小さなテーブルが置いてあり、その上に指輪が無造作に置かれていた。プラチナと思われるリングの台座に薄い青色の石がついている。
 ジローはゆっくりとテーブルに近づき、指輪を手に取った。途端、部屋の中を青白い光が埋め尽くし、その中に女性の顔が浮かび上がった。
「私は、水の精霊ウンディーネです。ご主人様。私を指輪から呼び出す力を持つ人に会えたのは久しぶりです。さあ、契約の儀式を始めましょう」
 そういうとウンディーネは見る見る人の形を取り始め、一人の裸の美少女が出現した。そして、いつの間にか裸になっているジローの肉棒を咥える。
<おぉぉ、うまい・・・>
 絶妙の舌使いによって、直ぐにジローは準備万端となる。と、ウンディーネは立ち上がって、ジローの肉棒を掴むと、自らの性器をあてがった。そのまま自分の体内にジローを挿入する。
「あぁぁぁ、い、いぃぃわぁぁぁ・・・。この感触、久しぶりぃぃぃぃ・・・。ご主人様は、最高のものをもって、いるわぁ・・・。あ、あぁん。もう、いきそう・・・。ご、ご主人様・・・。このまま中に出してくださいね。そ、そうすれ、ば・・・け、契約は・・・し、終了し・・・ま、すわ・・・、ああぁぁぁぁぁ、も、もぅ、いくぅぅぅぅぅ・・・」
 絶叫とともにウンディーネがいった。同時にジローも射精した。その瞬間まぶしい光とともに辺りが元の部屋の景色に戻った。
「ジロー、どうしたの・・・」
 アイラが怪訝にたずねた。ジローが指輪を持ってから暫く、固まったまま動かなかったと言っていた。
<あれは、俺の精神世界の出来事だったのか・・・>
<そのようです。ジロー様>
 アルテミスがそっと心を繋げてきた。
<ウンディーネと契約するなんて、凄いです>
<見ていたのか>
<はい。ちょっと恥ずかしかったです。でも、眼が放せませんでした>
<すけべ>
<だってぇ・・・>
 ジローはそのくらいにして、手に取った指輪を眺めた。はめ込まれた石からはまだ魔力を感じることができる。
「『指輪に選ばれしものは、精霊の力を得る。精霊と契約したものは、指輪を使わずに精霊の力を得る。指輪は必要なものに与えると良い』って書いてあるけど、どういう意味?」
 ジローはびっくりしてアイラを見た。
「アイラ、読めるのか?」
「うん。なんだか知らないけど、さっきから読めるようになったんだ」
「どうして、て考えても無駄だよな。アイラ、良かったな、読めるようになって」
「ああ」
 アイラははにかんだ。

 遠目のニックは、水の神殿に向かって急いでいた。神殿への道は、整備が十分にされているとはいえないが、ニックにとっては、苦にならないものだった。
 ニックはジローの命で情報収集にあたっていた。占領されたセロの町や、近隣の民家、そしてウンディーネまで足を伸ばして、彼らが逃亡中の出来事をかき集めた。そして、それは衝撃的な内容を含んでいた。
 彼らがアルテミス姫を救い出してセロを出た翌日の夜に、北の館から火が出て、焼け跡から行方不明だったアルテミス姫の遺体が見つかった。姫を妻に迎えるはずだったジャムか公子は哀悼の意を表し、ノースフロウに弔問の使者を送った。同時に町の警備隊長に失火の責任を取らせて職を外し、身柄を拘束したという。
 テオドール男爵はすぐにこのことをウンディーネに伝え、姫の遺体を運んで王城に戻った。王城では盛大かつ厳粛に姫の葬儀が執り行われ、その日のウンディーネは市民の悲しみで溢れかえったという。
 アルテミス姫の死は、またジブナイル王の命をも縮めた。姫の死を悼んだ王は、政務の殆どをテセウス王子に任せ、部屋にこもりがちになった。そして、気持ちの沈みが病を引き起こし、テセウス王子の看病も虚しく、後を追うように身罷った。

「が、どうも臭いんで、ウンディーネの裏家業の奴らの噂を集めたら、どうやら薬を盛られたみたいなんでさぁ・・・」
 話の途中で、ニックは独自に調べた噂の信憑性について、聞いたことを話した。そのどれもが、一見なんてことはない行動だったが、テセウスが王位簒奪を目的として糸を引いているという切り口で見ると、見事に型にはまっていた。
 アルテミスは眼に涙を浮かべ、悲しみで立っていられない身体をジローに支えてもらいながら話を聞いていた。彼女の持つ『気』を感じる能力 − 最近ますます磨きがかかって、ガードされていない相手の心を読めるようになっていた − のため、嘘であって欲しいという思いも無残に砕け、事実を受け入れるという悲しい選択を取らざるを得なくなっているのだ。ゆえに、今ここで唯一すがることができる相手であるジローがいなければ、心が崩壊してしまったかもしれなかった。
 ジローは、アルテミスを支えながら、この先のことを考えていた。ニックの情報により、当初やろうとしていたことは、全く意味を成さない行為になってしまっていた。ウンディーネはテセウス新王の手に落ちているのだ。更に、アルテミス自身も死んだことにされてしまっている。今更出て行っても、テセウスが治めるノースフロウ王家では、誰も信じてくれない可能性が高いし、よしんば生きていることを信じてもらえても、彼女の生存そのものがテセウス王にとって忌むべきものと判断された結果、囚われの身として一生軟禁されかねない。
「一人だけ、信じられる人がいます」
 アルテミスは、ジローにそう言った。精一杯気丈に振舞いながら。
「その人は?」
「ウンディーネの西、ノルバ地方を治めているカゲトラ公爵、ミスズのお父様です。カゲトラ様ならば、私とミスズに会えば間違いなくわかってくれると思います」
「頭、すいません。その話が出たので続けますが、ノルバの公爵様に謀反の疑いありという噂も聞きやした。ただ、まだ噂の域を出ないことと、テセウス新王が足元を固めるのにもう少しかかりそうなんで、暫くは大丈夫だと思いやすが」
「わかった、ありがとうニック。今日はゆっくり休んでくれ」
 ニックは一礼して部屋を出た。
「アルテミス。今日は少し落ち着くまで休んだほうがいい。ミスズ、頼む」
「はい。さあ、姫様。行きましょう」
 ミスズに促されてアルテミスはゆっくりと部屋を出て行った。残ったのはジローとアイラである。
「でも、テセウス王子も思いっきりあくどいわね」
「ああ、これほどとは。嫉妬というのは恐ろしいな」
「そうね。多分黙っていても王位は継げるはずなのに、邪魔な妹を始末して、親まで手にかけちゃうんだから」
 アイラはふと、ジローの方に向き直った。
「でも、私たちは嫉妬なんてないから大丈夫よ。なんでか解らないけど、皆ジローのことが好きで、別にルナちゃんやミスズがジローに抱かれてても、じゃああたしもまぜて、みたいに一緒に気持ちよくなりたいという欲求はでるけど、取ったとか取られたとかっていう気持ちは湧いてこないの」
「そう云ってもらうと、救われるよ」
 ジローはアイラにキスをした。アイラも喜んで応じた。

 ジロー達は、神殿を徹底的に調べていた。今の閉塞した状況を打開すべく。その結果、なんとかなりそうな対策が出来上がった。
 神殿の奥の部屋で指輪の他に唯一見つかった、表紙に『九郎』と書かれた小冊子を解読した結果、いくつかの事実が判明した。一つは、タウラス川を遡った先に三日月湖という名の大きな湖があり、その一番奥の湖畔に玄武の神殿があること。その神殿には、一方通行だが瞬間移動するための部屋があること。但し、移動する者全員がその場所をイメージすることができる場所にしか行けないこと。それから、この水の神殿はクロウが晩年を過ごした場所で、玄武の神殿は彼の愛妻シズカ姫を祀った場所であること。4神の神殿(玄武、白虎、朱雀、青龍)には、それぞれ瞬間移動の力場があり、これを同時に使うことが出来れば竜の神殿に行くことができること。全ての神殿の場所は、竜の神殿を除いて、神殿を訪れてそこにある封印を解くことで手がかりが得られること。封印の解き方は、それぞれの神殿の封印の扉に書いてあること。封印の部屋には封印の武具、封印の装具と呼ばれる秘宝が眠っているが、秘宝は使われる人間を選ぶこと。そして、冊子の最後はこう結ばれていた。『後世、私を助けた神殿の力を必要とする者のために、この書を残そう。かつて私がいた祖国の文字を解読するとこができる者が現れるときは、世界に危機が迫っているときなのだから』

 ジロー達の作戦は、こうだった。まずは川を遡り、湖を渡って玄武の神殿に行く。それから、そこにあるという瞬間移動の力場を使って、ノルバ城のミスズの部屋に跳ぶ。そこで公爵の助けを借りる。その後は成り行きにまかせる。
 但し、ここで問題なのが、ミスズの部屋を知っているのはミスズだけだということだった。多人数での瞬間移動の条件は移動する者全員がその場所をイメージすることなのである。そこで、ジローはある方法を思いついていた。
 以前、アルテミスとジローが心で会話しているときに、ある条件が整えばアイラもその会話に加わることができた。その条件とはジローとアイラがセックス中であること。この能力はジローが媒体となった場合発生していた。
ところで、あの封印解除の儀式の後、アイラが急に日本語を読めるようになった。これはどうやらジローの能力と共振する潜在能力がディルドウを受け入れたことによって開花したらしい。そして、アルテミスとミスズにも同様のことが起きていた。ミスズは集中することで周囲の時間の流れを遅く感じることが出来るようになった。そして、アルテミスはテレパシーの能力が増大し、ジローと同様に媒体としての力を得た。
4人で何度か抱き合ううちに、心の会話を4人一緒にできる条件がわかってきた。まず、アイラとミスズの体内に入る必要があるのは、ジローの肉棒だけというわけではなく、ジローの指や、アルテミスの指でもよかった。但し、指の場合は膣かアヌスに入れないと効果がなかった。肉棒の場合は口でも大丈夫だった。また、キスをしているとより鮮明に伝わるということもわかった。
この方法を使えば、ミスズのイメージを全員が共有できる筈である。
「でも、そうなるとニック達は別行動になるのよね」
 ジローがベッドの上で説明を終えると、アイラは身体を仰向けにかえながらそう言った。胸の膨らみが形を崩さずにぴんと上を向いている。
「大丈夫でしょうか・・・」
 アルテミスはジローに豊かな乳房を押し付けて半身を乗せていた。ジローの指はアルテミスの股間にあり、さっきまで肉棒を咥えていた秘所をまさぐっていた。ミスズはアルテミスの愛液とジローの精液のついた肉棒を咥え、きれいに後始末している最中だった。
「ニック達は顔が知られていないから、普通に町に紛れ込んでも大丈夫だろう。ついでに情報収集をしてもらおう。玄武の神殿を調査する時間も必要だから、2ヶ月後にノルバで会うことにすればいい。ミスズ。もういいぞ、上に乗るんだ」
 ミスズは嬉しそうに身体を起こした。そして、いきり立った剛直を自分の中に収めた。

 タウラス川は巨大な川である。北は暗黒の森から発し、南は青龍地方と朱雀地方を分けるチャンマイ湾にそそぎこむまでの長さで、大陸と青龍地方の境界線としての役目を担っていた。しかし、源流については暗黒の森に入った者が殆どいないため、森から先がどうなっているのか知る者はいなかった。
 ジローは川面に流れる風を感じながら船上の人になっていた。船といっても、中型の漁船くらいの大きさで、本来ならば櫓が推進力であるはずのものである。しかし、船はまったく別の動力で動いていた。船の舳先には透明な箱が置いてあり、その中で水の指輪が青白い光を放っていた。
 船は、水の神殿の地下にあったものである。いつ作られたものかはわからないが、完全な形で保管されていた。船室内も寝室や調理室など内装が昨日まで使っていたかのように整い、出発の合図を待つだけの状態であった。心配していた動力については、推進力である水の指輪をセットするだけで、なんの支障もなく動きはじめた。
 本来ならば危険極まりないはずの暗黒の森の奥地に入っているというのに、船の周りだけは静かだった。多分船の周りに結界が張られているのだろうとジローは思っていた。その証拠に、船の近傍には穏やかな川面であるのに対し、少し離れた先を見ると、水面に爬虫類と思われる鱗のついたごつごつした背中が見え隠れしている。多分襲われたら船ごと破壊されてしまうだろう。過去に何人もの探検家達が冒険を求めて川を上ったが、誰一人として帰ってこなかったというのもわかるような気がした。
「なんだか不思議ですね。このような未踏の地に入っていくなんて」
 アルテミスが甲板に出てきたところだった。神殿にあった空色のドレスを着ていた。ブロンドの髪が陽の光できらきら光っている。
「ああ、でもクロウ皇帝はこの船に乗ってシズカ姫の元に通っていたんだよ。きっと。だから俺たちは、船に全てを任せればいい」
 ジローは自分の横にアルテミスを手招きした。アルテミスが横に立つと、腰に手を回し、服の上から乳房をまさぐる。下着を着けていない布地越しに、乳首が硬くなってくる。
 タウラス川を遡り始めてから既に2日たっているが、まだ三日月湖まで到達していない。川の流れが強く、なかなかスピードに乗れないのである。
 ジローが乳首を摘むと、もうすでにアルテミスは出来上がっていた。ワンピースの内腿づたいに愛液が流れているのが見えた。美しい顔が発情している。
「欲しくなったか?」
「あぁぁぁ・・・、ジロー様。ジロー様の逞しいおちんちんをアルテミスのおまんこにください。がんがん突いてください・・・あぁん」
 ジローも準備OKだった。アルテミスを縁に掴まらせると、後ろから挿入する。
「あぁん。い、いいぃぃぃ・・・」
 途端にアルテミスは感涙の声を上げた。下半身からぞくぞくした快楽が駆け上がってくる。船に乗ってから毎日繰り返される営みではあったが、その都度新鮮な快楽が身を包み、ジローなしでは生きて行けないようなそんな感情が全てを支配していた。
「あっ、やってるぅ・・・」
 声の方を見ると、裸のアイラがミスズを支えながら甲板に出たところだった。多分今まで攻められていたのであろうミスズがよろよろと歩いている。股間から両足にかけてびしょびしょに濡れた愛液が陽の光で反射する。
「はあ、はぁ・・・」
 ミスズは荒い息で、しかし少しずつジローの方に歩み寄った。
「ジ、ジロー様・・・、ミ、ミスズを抱いてください。も、もう・・・私、我慢できません。ジロー様の、あ、熱いちんぽを、私の、おまんこに入れてください」
 ジローはちょっとびっくりした。ミスズは意外と恥ずかしがりやで、どちらかといえば受身であり、自分からねだるようなことはなかったのだ。ましてや、ちんぽやおまんこなどという台詞を聞いたのはこれが初めてであった。
「よく言えたわね。ミスズ」
 アイラはミスズを支えながら、頭を優しくなでた。
「ミスズってちょっと自分の気持ちを秘めちゃうところがあるでしょ。だから、抱かれるときくらい自分を表に出してもいいかなって」
「でも、何したんだ?」
 そろそろアルテミスがいきそうだったが、アイラの言ったことにも興味があった。腰のストロークはそのまま加速していたが。
「今朝から、ずっとしているんだけど、いかせてないの。いく寸前でやめて、いきたかったらどうすればいいのか教えたのよ」
 ミスズの顔はいつもの恥じらいを浮かべた顔ではなく、貪欲に快楽を求める牝の顔になっていた。
「あぁぁぁぁぁ・・・い、いくぅぅぅぅぅ・・・」
 アルテミスが絶叫とともに甲板に突っ伏した。膣からずるっと肉棒が外れる。まだ射精していないので上を向いたままだった。ミスズはすかさず駆け寄ると、ジローに抱きつく。そのまま、自分の膣を肉棒にあわせ、一気に埋め込んだ。
「ジロー様。すいません。あ、あぁぁぁぁ・・・。で、でもぉ、我慢できなくて・・・。い、いぃぃぃぃ・・・。も、もぅ待てなかったんですぅ・・・、あ、あぁぁぁぁ。いっ、いっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」
 待ちきれなかった、今日最初の爆発がミスズを脳天まで突き上げた。だが、快楽はそれでは終わらず、次々と押し寄せてくる。
 ジローは息も絶え絶えのミスズを駅弁スタイルで突き上げていた。じらされていた効果か、ミスズは何度となくいっているようだった。その証拠に、肉棒を包む膣壁がその度にきつく締め上げ、ジローを射精に導こうとしていた。ジローもこの身を焦がすような感覚に我を忘れて腰を使った。
「ミスズ、いくぞ!」
 身体の奥底から噴出してくる射精感が全身を揺さぶった。同時にミスズも叫び声を上げて首をがくんと後ろに倒し、失神した。
「す、ご、い・・・」
 アイラは生唾をごくりと飲み込んだ。

 3日目の朝、目の前に広大な海が広がっていた。正確には湖なのだが、余りに広大で、海といっても過言ではなかった。その証拠に、ここから玄武の神殿が見えるまでには更に3日を要したのである。
 ジロー達4人を乗せた船は、淡々とその中を進んでいった。湖にどんな生物がいて、それがどのくらい危険かということはうすうす感じたものの、出会うことはなかった。水の指輪が作る結界が、全ての危険を回避していたのである。
 そしてついに、湖の最深部にたどりついた。湖畔には玄武の神殿と思われる建物が佇んでいる。
 船は、見えない糸に導かれるように神殿の水路に進んでいった。水路の入口は、船が通り過ぎると自然に閉じた。そして、船は船着場に着くと静かに停まった。同時に舳先の指輪の光がだんだんと薄くなり、指輪は光を失った。
 アルテミスは舳先に歩み寄ると、透明な箱を開けて指輪を手に取り、自分の指にはめた。途端に石が青白い光を湛える。
 水の神殿の封印の部屋でジローがウンディーネと契約を交わした後、指輪はそのまま残っていた。封印の装具には違いないので持っていくことにし、九郎の小冊子に秘宝は持ち主を選ぶと書かれていたので、アルテミス、アイラ、ミスズの3人が交代ではめてみた。最初にアイラがはめたが、『違和感がある』と言って直に外して二度とはめようとはしなかった。ミスズがはめると、宝石が僅かに輝いたような気がしたが、それだけだった。そして、アルテミスのときは指輪の石が生き生きと輝きだし、所有者の資格があることがわかった。それ以来、指輪はアルテミスの持ち物となった。
 4人は、船を下り、石の回廊を上に進んだ。船着場からしばらく歩くと、ホールに出た。中央に噴水があり、天井は青い光に満たされていてかなり高い。一行はしばらくその景色に見惚れていた。
 ホールは、外部と屋内をつなぐ部屋のようであった。開け放しの入口からは広大な湖が視界いっぱい見える。噴水の水はどうやら湖から引いてきているらしい。入口の反対側には大扉を中心に左右に通路の入口があり、右側はジロー達が出てきた船着場への通路、左側はどうやらホールの天井の周りにある回廊に通じる階段のようだった。
 ジロー達はホールを後にし、大扉を開けた。

 神殿の内部は、いくつかの部屋に分かれていた。一番奥、廊下の突き当たりにつくと、左右に扉があった。そして、ジローが探していたもの、日本語で書かれたメッセージがそれぞれの扉に刻まれていた。
『静』
『水の精霊』
 それだけだった。
「ぬぬぬぬ・・・これだけか」
 ジローは悩んだ。どうやらウンディーネを使って何かをする必要があるようなのだが、いったいそれが何なのか・・・。
「ジロー。とにかく調べてみましょ」
 アイラがそう云って『水の精霊』と刻まれた扉に手をかけた。しかし、押せども引けども扉は微動もしなかった。
「どうやら、この扉は偽物ね」
そう云って今度は反対側に歩き、『静』と刻まれた扉に手をかけた。と、音もなく扉が横に動き、その奥に部屋が現れた。
 部屋に入ってみると、誰かの寝室のようだった。天蓋付きのベッドにはちょうど人の大きさの窪みが横たわるように付けられていて、その上に白い衣装が掛けられていた。部屋の奥には祭壇があり、この部屋の持ち主と思われる肖像画が飾られているようだった。
「ジロー。もしかしてここでウンディーネを使うんじゃないの」
 アイラがそう云ってジローを振り返った。ジローもベッドの窪みを見たときに、ピーンと来るものがあったので、アイラに頷き、ウンディーネを召喚することにした。
 部屋が一瞬まばゆく青白い光に満たされる。その次の瞬間ウンディーネがジローの傍らに出現した。
「ご主人様、何か御用でしょうか・・・。ああ、懐かしいですね。この部屋。わかりました、久しぶりですけれども仰せのままに」
 ウンディーネはそういうと、ベッドの窪みに身体を吸い込ませた。その途端、今まで誰もいなかったベッドに人型がかたどられていき、ついには一人の女性の形に変わっていった。
「え、ミスズ?」
 アルテミスが思わず口にした。ベッドの女性は年齢が少し高そうだったが、間違うくらいミスズに良く似ていた。
 固唾を呑んで見守るうち、女性の顔に生気がさし、まぶたをゆっくりと開いた。ミスズは唖然としていたが、まるで姉妹のようにそっくりである。女性はゆっくり起き上がると、掛けられていた白の打掛を身に纏った。その動作の一つ一つがどこか優雅できらびやかだった。
「クロウ。ではないのですね・・・。ええ、随分時間が経っているのですから、仕方がないことですね」
 女性はジロー達をひとりひとり見渡した。
「私はシズカ。いえ、正確には今は亡きシズカの残留思念です。この神殿のこの天蓋の中だけに存在することを許されている身です。私の夫クロウが私の死を悼む余りに、この神殿の力を使って作り上げた幻です。クロウが身罷った後、二度と目覚めることはないと思っていましたが、こうしてあなた方に出会えました」
 シズカはにっこりと微笑んだ。
「あなた方からはとても良いオーラを感じます。それに、私の血が流れている方もいるようです」
 シズカはミスズを優しく見つめた。ミスズは緊張で固まっていた。
「私が出来ることならば、力になりましょう・・・」

 ジロー達は、シズカ姫から聞いたことを整理していた。
 ジロー達に、彼らが必要とする情報を与えたあと、シズカ姫は再び眠りについた。彼らはシズカの祭壇に祈りを捧げた後、彼女の部屋を後にした。すると、シズカの言葉どおり廊下に3枚目の扉が出現しており、そこが封印の部屋の入口であった。そして、先ほどまで封印の部屋を調べていた4人は、一端引き上げ、廊下の途中にある一室で落ち着くことにしたのである。
「ミスズがシズカ姫の子孫だったなんてねぇ・・・」
 アイラが感心したように云った。
「ええ、でもノルバ公爵家はノースフロウ建国のときからの名家ですから、ありえない話しではないと思います。それに、あんなにそっくりですし・・・」
 アルテミスもどこか嬉しそうである。
 ミスズだけが、少々どぎまぎしているようだった。
「まあ、とにかく、整理してみよう」
 ジローがそういうと、3人とも頷いた。
 封印の部屋の秘宝は、シズカが使ったという封印の武具『玄武坤』だった。ちょうど2組の刃のついた円盤が合わさった形をしており、円盤の一部が持ち手となっている。シズカの話によれば、訓練すればブーメランのように投げて手元に戻ってくるように使うことも出来るそうだ。そして、所有者に認められたのは、案の定ミスズであった。
 次の神殿の手がかりは、大地の神殿に行くことだそうだ。大地の神殿は白虎地方にあり、ゴールドウエスト王家が管理している聖地である。そこに行けば風の神殿の手がかりがつかめるということだった。
 そして、多分彼らが一番重要視している転送の部屋についての情報だが、まず場所は、封印の部屋の床に書いてある魔方陣。その円の中で床に触れている物は全て転送される。但し、生物は全員が同じ場所をイメージしなければならない。そうしないと、ばらばらの場所に飛ばされてしまうという。
 転送するためには、術者は魔方陣の中央から神聖魔法の『光虹』を天井の小魔方陣に打ち上げればよい。
「まあ、こんなところだけど、困ったな・・・」
 ジローは腕組みして思案気だった。一番大きな問題は、神聖魔法『光虹』を誰も使えないことだった。神聖魔法自体特殊な魔法で、一般的な精霊魔法と違い、一部の聖職者を除けば使える者は限られていた。
「私も少しは使えるのですが・・・」
 4人の中で唯一神聖魔法を使えるアルテミスであったが、彼女の魔法は『回復』や『浄化』といった初歩的なもので、神聖系の攻撃魔法である『光虹』はまだ使いこなせるレベルではなかった。
「でも、使わないとどうにもならないのよねぇ・・・」
 アイラが口を尖らせながら考えていた。横にいるジローは腕組みし、右側のアルテミスも困惑気味の顔をしている。ふと、アイラの視線が正面を向くと、ミスズがアルテミスを気遣っているのが見えた。そのミスズの顔を暫く眺めていたアイラの頭に思わぬ名案が浮かんだ。
「ルナちゃん。神聖魔法って精霊魔法と同じで、訓練すれば成長するわよね」
「え、は、はい。お姉さま」
「光虹も覚えられる?」
「はい、それなりに成長すれば、多分大丈夫だと思います」
「どのくらい必要なの?」
「術によって違いますが、先生がいれば少しは早くなると思います」
「そう、先生ね・・・。ジロー、いいこと思いついたんだけど、聞いてくれる」
「ああ、思いつきでも構わないから言ってくれ」
「もし、いいアイデアだったら、今日の1発目は私に頂戴ね」
「わかった」
「ありがと。思いついたことっていうのは、シズカさんに伝授してもらったらどうかと思って」

 アイラの思いつきは、的を得ていた。その夜アイラはアルテミスとミスズの愛撫を徹底的に受け、最後にジローの濃い精液を体内に浴びて久々の失神を味わった。
 翌日ジロー達は再度シズカの元を訪れ、事情を話したところ、シズカは喜んで神聖魔法の先生となることを了解した。
 その日からジロー達は、日中はそれぞれに分かれて行動することにした。ジローとアルテミスはシズカの元で神聖魔法の訓練、ミスズは玄武坤の訓練、アイラは神殿内と周辺の探索。神殿の周辺は暗黒の森の一部でもあるため、行くときは訓練も兼ねてミスズも一緒に行っていた。
 シズカの訓練方法は独特だった。
「神聖魔法の力を上げるための一番早い方法は、好きな人に抱かれながら訓練することです」
 彼女はそういうと、アルテミスとジローに裸になれと強制し、ジローを床に寝かせるとその屹立にアルテミスを騎乗位で挿入させた。
「ジローのおちんちんをあなたのおまんこで感じられますね。では、そのおまんこでおちんちんを掴まえるイメージを持って」
 アルテミスは声が出そうになるのを必死に堪えて、シズカの声を聞き逃すまいと集中していた。素直に自分のおまんこがジローのちんちんをぎゅっと握るイメージを心に描いた。
「では、右手を自分の胸に、左手をジローの胸に当てて、回復の呪文を唱えてみます」
 『回復』の呪文を唱えると、両手が淡い光に包まれ、その輝きが徐々に増していった。
「左手から出た回復の呪文がジローの体内からおちんちんを通ってアルテミスの中に戻ってくるイメージを持って、そして、右手にその力が蓄積されていくのを感じて」
 シズカの言うとおり、ジローの体内からアルテミスの膣を通って魔法が逆流してくる感覚が水が流れるように押し寄せてきた。流入して溢れそうな力を自分の右手に溜めていくという意識を保つ。しかし、アルテミスに流れ込んでくるのは魔法力ばかりではなく、いつも以上の快感も来ているため、だんだんと意識を保つのが難しくなってきていた。
<あぁぁぁ・・・。もう、だめ・・・>
 ジローの方もいつも以上に感じていた。アルテミスからの回復呪文のためか、肉棒はいつも以上に滾り、爆発の予感が身体をぶるぶると震わせていた。そして、アルテミスの限界を感じると、精液が肉棒を奔流のように駆け上る。
「あ、あぁぁぁぁぁ・・・」
 射精がいつもの3倍以上長く続く中で、アルテミスは失神する。と、今度はアルテミスの右手の光が胸に吸い込まれた。
どくん。
 アルテミスの膣から、ジローの体内に何かが逆流してくる。体温が上昇し、身体全体が淡く光りだす。
「まあ、素晴らしい。ジロー、あなたにも素質がありますのね。では、授けましょう」
 そういうとシズカは、空中に魔方陣を指で描いた。その中から1つの珠が出現する。珠は真直ぐにジローに向かうと、目の前に停止する。
『加護』という字を確認すると、珠はジローに吸い込まれていった。
「これで、あなたは神聖魔法を使うことが出来るはずです。術者が2人になったことで訓練の効率は格段に上がるはずです。今日はここまでにしましょう」
 アルテミスとジローが『光虹』を覚えたのは、それから1月後のことだった。


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