★あらすじ
『黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話』  宇江佐真理


「蓮華往生」

 天啓寺の大蓮華に乗った老人たちが、そのまま息絶えて行きます。緑川が探索に当たります。緑川の妻・てやは天啓寺にしばしば通っていました。
 いなみが女児を出産します。


「畏れ入谷の」

 西両国の広小路で、毎度酒に酔って管を巻いている侍がいました。その男・高木茂助の妻・おたきは、大奥に働きに出ましたが、将軍の目にとまったのでした。出産前の最後のお座敷で、お文は茂助の話を聞きました。


「夢おぼろ」

 道場の試合で、緑川直衛にきわどく敗れた不破龍之介は、片岡美雨に声をかけられます。美雨は乾監物との縁組が意に沿わないのですが、富くじに当たった監物は、美雨に簪を贈ります・・。


「月に霞はどでごんす」

 履物屋の息子が武家に殺され、両親に復讐を約束したものがいました。金で殺しを行う一味に、太鼓の桜川笑助が絡んでいると見て、不破は調査を行います。一方、臨月のお文は、逆子だと言われ、喜久壽は緑川に医者を紹介してもらいます。


「黒く塗れ」

 お文は、生まれたばかりの伊与太の世話に疲れています。翁屋八兵衛の妻・おつなの様子がおかしくなり、店から金を持ち出しているようです。伊三次が見張っていると、おつなは医者の樋口長庵と会っていましたが、密会などではなく、長庵はおつなに呪をかけていました。


「慈雨」

 不破のかかりつけの医者・松浦桂庵の母・美佐が、行方不明になりました。伊三次が調べて間もなく、美佐は弟子の松屋の女房・お梅のところから帰って来ましたが、足を痛めた美佐は、その前には棒手振りの花屋の塒で世話になっていたのでした。その花屋は、巾着切りから足を洗った直次郎でした。

2003.9 文藝春秋 


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