どんよりと暗い森を僕はとぼとぼ歩いていた。
背中に背負った鋼の剣がむちゃくちゃ重い。
自分のパラメーターを見てみると、もう限界重量いっぱいいっぱい。これ以上は、金貨一枚だって持てやしない。
「出だしから、つまずくなんてなぁ……」
思わず、とほほほ、と嘆きながら一週間前のことをおもいだす。
「冒険者登録所」
僕は町外れの人がごった返す建物に立てかけられた看板を見ていた。
冒険者はいちかばちかのギャンブルみたいな職業だ。
うまくいけば、「勇者」とかにクラスチェンジして、ドラゴンとか魔王とかをぶち殺し、美人の姫をもらって悠悠自適な生活をおくれる。
まあ、そんなのは一握りだけどさ……
でも、それを夢見て今日も沢山の人が列をなしている。
さっそく僕もその列に加わると周りを見渡す。
屈強そうな男に、ビキニのような軽装の女戦士、ローブをまとった小柄な老人。
そんな中に、ただの麻布の服をきた華奢な僕一人。
いずれ、みんな名のある冒険者を目指しているんだろう。
まあ、僕にはそんなにだいそれたクエストは無理だろうけど、小さなクエストでもこつこつこなしていれば、食うには困らない程度にやっていけるだろう。
農家の五男坊の僕には、両親が死んで遺産分けで貰った1000ゴールド以外に、失うものはなにもなかったのだ。
「じゃ次の人、名前と習得スキル、それに希望のクラスをいって」
いつのまにか僕の番がまわってきていた。
気だるげに水キセルを咥えたおっさんがジロリとこちらを睨み付ける
「あああ、あの名前はセレス、…はいセレスです、それで習得スキルは…特にないです……えーと希望は魔法使いに…」
おっさんは、はぁというため息と共にくすんだタバコの煙を吐きだす。
「時々、いるんだよねぇ君みたいなの、なんのスキルも無いんじゃ、すぐに死じゃうよ、いいの?まあ、登録料さえ貰えればこっちはいいんだけどねぇ、それに、魔法使い?君、大学でてる?それとも家庭教師がいた?いないよねぇ、どうせ田舎から冒険者にあこがれて出てきたんだろうけど、基礎も知らないのに、無理無理!まあ、無難に戦士にでも登録しておくかい?戦士なら、基本クラスだし、どんな奴でも選べる職業だからなぁ」
僕は、まくしたてるような言い方に返事もできず、ぼけっと立っているだけだった。
「はい、じゃ戦士ね、はいこれ持って次のカウンターいって…はい次の人」
アワアワする僕を無視して事務作業は次々とすすんでいく。
僕は流されるままに戦士用の訓練所に連れて行かれ、数時間の講義と簡単な質問をされ、スキルを選択して、800ゴールド!もの登録料を払い……気が付くと「戦士」にクラスチェンジしていた。
「ねえ、君、魔法使い、聖霊使い?」
あまりの急展開に、ぼーとしている僕に、若い女の人が話し掛けてくる。
周りをみると広いロビーの至る所で登録を済ました人たちがパーティを組んでいた。
「えと…僕は…」
僕は屈みこんでこちらを覗く女戦士のビキニ型鎧の胸元を見ないように目をそらす。
「ねぇ!ステータス見せてよ」
「ステータス」ってのは、どんな冒険者でも使える初等魔法だ。
自分のスキルや能力を簡単に数値化して見せられるもの……らしい。
まあ冒険者の名刺代りといったものだろう。
僕はさっそく習ったばかりの方法で意識を集中すると、目の前の空中にピラリンって軽い音と共にステータスウインドウが開いた。
『セレス レベル1 職業:戦士 経験値:0 状態:正常』
それを見た途端、女戦士は苦笑いをして去っていった。
そりゃそうだ、魔法使いよりも体力のなさそうな僕がよりにもよって戦士とは…
その後もいろんな人が声をかけてきた。
貧弱な僕は魔法使いに見えるらしく、パーティに誘う人が多かったが、結果は同じだった。
一日そこで、ぼーと立っていたが、結局、僕は一人で取り残されてしまった。
しかたなく、僕は一人でそこを出ると、貰ったばかりの冒険者の手引書に従い、残った200ゴールドで装備を整えようとしたが、最初の武器屋で買った鋼の剣を装備した途端、それで制限重量いっぱいになっていた。
まずは、レベルアップをして、ステータスをあげないと。
そう思って、町外れの森に向かって剣を引きずり歩き出した。
あそこなら、スライムとか僕でも倒せる敵がいるはずだ。
それに木の実を取れば、お腹も膨れるし、野ウサギでも取れればもうけものだ!
もはや、冒険者とは思えない志で、森へと向かって僕は歩き出していた。
それが一週間前、スライムはさっぱり出ず、子ウサギ一匹いやしない、しかたなく森の奥に奥にと歩くうちに帰るに帰れないほど森の奥にきていた。
「でも、おかしいなぁ、ここまで来てもモンスターの一匹にも会わないなんて」
おかげで僕も生きて歩いていられるんだけど、森の入り口であった村人が最近森の様子がおかしいっていっていたのと関係があるのかもしれない。
その時、サラサラと水が流れる音が聞こえてきた。
しめた、小川か泉でもあるのだ。
僕は心もとなくなっていた食料のことを思うと、急ぎ足で藪をわけて道をそれた。
「わーーーーい、水だ」
そこには清涼な水をたたえた小さな泉が森の木漏れ日をうけてキラキラ輝いていた。
ここまできれいだと、体力回復とかの効果もあるかも…
僕はいそいで水辺に駆け寄ると口をつけようとする。
その時、
「おい貴様、誰にことわってその水に口をつけている」
「へ?」
突然のハスキーな声に驚いて顔あげると、そこには褐色の肌の美女が立っていた。
きわどいデザインの皮鎧でつつまれた均整の取れたスタイル、肌は艶やかな褐色、銀色の髪に、神秘的な青い瞳、そして妖精のような美しく凛々しい美貌の人物が、腰に手をやって僕を見下ろしていた。
げげげげ!ダークエルフだ!
まずいよ!
ダークエルフといえば、褐色の肌と超強力な魔力をもつモンスターだ。
初心者のレベル1の僕にたちうちできる相手じゃない。
「ああぁぁ、あのぉ…僕は…」
「ん?」
形のいい大きな胸を突き出すように腕を組んだダークエルフは、切れ長の目で僕を嘲るように見る。
「…その…道に迷っちゃって…」
「道に迷った?嘘をつくな、それでここまで入り込めるわけがない、ここは悪名高い邪妖精の森、その最深部だぞ」
「えええぇぇええええぇぇ」
僕はへなーっと恐怖のあまりしゃがみこんでしまう。
「邪妖精の森」と言えば、「凶王の迷宮」「古代竜の巣」に並ぶ超高レベルポイントの1つ、はっきり言って生きて帰った冒険者はいないって話だ。
しかも、その最深部には、この世界でも名高いモンスター「クリムゾンアイ」って超極悪なモンスターがいるって講習を受けた覚えがある。
深紅の瞳をもつって事以外、そのモンスターの詳細は知られてないが、討伐に向かった名高い勇者やパラディンも返り討ちに遭い、今では世界の禁忌として半ば放置されてるって…
「あわわわわ、知らないうちにそんな所に迷い込んでいたなんて…」
どうしよう!
帰還の魔法なんて知らないし、僕ここで死ぬのかな。
うううう、こんなことなら町の周りで大ねずみでも狩ってるんだった。
「おい、貴様とぼけるのもいいかげんにしろ」
チャキッ
目の前に銀製のレイピアの刃が突きつけられる。
うわ、忘れてた、目の前には高レベルモンスターのダークエルフがいたんだ。
「人間め、冒険者だな、おおかた名をあげようとこの森に入ったのだろう…死んで後悔するがいい」
「うわっ」
ビュッと空を切る細身の刃が僕の茶色の髪を掠める。
どっどっどうしよう、どうしたら?
その時、頭の上にピラリン っと軽い音をたててウインドウが開く。
『戦う
逃げる
防御
アイテム』
初級冒険者用のアドバイス魔法が発動したんだ。
って、できる選択肢は一つだけだよ。
そう
『逃げる←』
僕は迷わず『逃げる』を選択するとダークエルフに背中を向けて、バタバタと駆け出す。
だけど、ばふっと柔らかいモノが顔にあたってすぐに行き止まりになっていた。
「あり?」
おそるおそる顔を上げると、そこにはピクピクと眉を引くつかせるダークエルフの顔があった。
するとこの、ぱふぱふした柔らかいモノは……
僕はふにふにと顔を埋めていたダークエルフの胸を触ってみる。
「あっあの…ごめんなさい」
ビュウッとレイピアが突き出される。
「殺す」
「うあわあああぁあ」
僕はビュンビュン振り回される白銀の刃を紙一重で何とかよける。
よく考えれば逃げ切れるわけなかった。
素早さの値が2桁ほどちがうもん。
「くううう、こうなったら」
僕は背中に背負った鋼の剣の柄に手をのばす。
「ほう、やる気か」
ダークエルフの女は、さっと後退ると優雅に身構える。
僕もサッと剣を鞘から引き抜いて…あれ?…引き抜いて…引き…
「えい…ん?あれ?…えい、えい」
抜けない。
背中に背負った剣は長すぎて、腕を一杯にのばしても剣の先が鞘から抜けない。
「うううぅ、抜けないよぉ」
ちらっとダークエルフを見ると、冷ややかな青い瞳が唖然とこっちを見ている。
うううう、モンスターにも呆れられてしまった。
「あ…まって、まって、今抜きますから…あれ?紐がはずれない…あれ?」
「……」
カチャガチャと鞘ごと剣を揺するが、剣を背中にくくりつけた荒紐が硬く締まってほどけない。。
「うぅ…おかしいなぁ…うわ!」
ビユッ
ダークエルフのレイピアが空を切り裂く。
思わず身をかがめた僕の背中で、ガシャンと紐を切られた鋼の剣が落ちる。
「あっありがとう」
「………」
無言のままのダークエルフは冷ややかに此方を見ている。
聞こえていないのかな?もう一度
「あの、ありがとうございます」
再度御礼をいってみる僕。
それを聞いたダークエルフの瞳がさらに大きく広がる。
青い瞳がじっと僕を見ている。
まるで珍妙な動物を見ているようだ。
モンスターとは言え絶世の美女に見つめられ、僕は顔に血が昇り真っ赤になっちゃう。
「あの、モンスターなのに…優しいんですね…あ、ごめんなさい、そんな悪い意味じゃ…あっ背中に背負っていたのは、別に格好つけようとかそんなんじゃなくて…そのぉ、腰につけると鞘が地面についちゃって…あ、ごめんさい…すぐに剣抜きます」
僕は、慌てて必死に言い訳をブツブツ口にしながら鋼の剣を拾い上げる。
「よしと…それじゃ…あり?抜けない」
落ちた衝撃で鞘口が壊れて、固くしまっていた。
「あうううぅう」
おもわず助けを求めるようにダークエルフの方を見てしまう。
「………貸してみろ」
気持ちが通じたのか、褐色肌の美貌のモンスターは大きな剣を軽々と持ち上げる。
ガチャリ
ダークエルフはなんなく剣を鞘から抜く。
あ!
その時、気がついた。
今僕の武器はダークエルフが持っている。
と、いうことは?
そう、今僕はまったくの丸腰なのだ。
やばいよ!今襲われたら…
「ほら」
だが、ダークエルフは無造作に僕に抜き身の剣を返してくれる。
「…ありがとう」
「……気にするな」
何とも言えない気まずい沈黙が辺りを覆う。
「あっ…その、じゃあ、行きますね」
僕はしばらくして仕切りなおすために、そう叫ぶ。
「……」
ダークエルフは無言でレイピアを構え直してくれる。
少し微笑んで見えるのは気のせいか?
「えい!やあ!たあ!とぉ!」
「……」
「やあ!た!」
「…」
「やあ!とぉ!……はぁはぁはぁ」
必死に剣を振り回すこと約30秒。
僕は剣を杖にかろうじて立っていた。
お互いのHPには一ミリの変化もない。
と言うか、ダークエルフはただ立って僕の珍妙な剣舞を見ているだけだった。
そう、僕が勝手にへばっていただけなのだ。
剣が重過ぎる。
ううぅ、こんなことなら、ダガーにしとくんだった。
「もう、おわりか?」
ダークエルフはそう言いながら、こちらを見ている。
その顔には今はもうはっきりと笑顔が浮かんでいる。
くうううぅ馬鹿にしてるな!
「くそぉ、はぁはぁはぁ、馬鹿にするなら、そっちから来い」
負け惜しみを言う僕。
「ふむ、そうだな、それでは少し本気を見せてやろう」
すぅっと正眼に構え直されるレイピアの刃。
今までとは構えが違う。
そして!
ダークエルフの瞳が青から徐々に赤に変わっていく。
「ひっ」
その途端、僕は体が凍りつく、そう恐怖という名前の魔力に絡みとられ身動きできない。
まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。
「ふふふ、覚悟はいいか?いくぞ」
真っ赤に光る目のダークエルフが今まさに踏み込もうとした。
その時、
僕は意識を失っていた。
恐怖のあまり。
とほほほほほ。
「……」
最後に見えたのは心配そうなダークエルフの赤い瞳だった。
「ううううぅう…!!」
はっと気がつくと、木漏れ日が差し込む泉の側、柔らかい草の絨毯に丁寧に寝かされていた。
チュンチュンチュン
小鳥のさえずりが聞こえ、澄んだ泉の中を小魚が優雅に泳いでいる。
ここが恐怖の代名詞、邪妖精の森の最深部とは思えない。
はっ!
そうだ、僕は確かこの森に迷い込んで…そして、ダークエルフに出会って。
「気がついたか」
その声にふりむくと、美貌のダークエルフが微笑んでいた。
高レベルの凶悪なモンスターとは思えない。
さわやかな風になびく銀の髪をおさえてこちらを覗きこんでくる。
「大丈夫か?」
「あ…はい」
その途端、思い出した。
赤く光るあの瞳!
そう…そんな魔力の瞳を持つモンスターの名前を僕は知っている。
「まっまっ…まさか…クリムゾンアイ?」
「そう呼ばれる時もあるな」
気恥ずかしそうに伝説の魔物は頬をかく。
「お前は?」
「へ?」
「お前の名前だ」
「あ…セレス、セレスです」
「そうか、いい名だな」
クリムゾンアイはなぜかちょっと嬉しそうにはにかむと、僕の名前を「セレス、セレス」と何度か呟く。
「あの…」
「飲め、泉の水だ」
差し出された皮袋には、きれいな泉の水が入っていた。
「どっどうも」
僕はダークエルフの真意がわからなかった。
聞いた話ではクリムゾンアイを見て生きて帰った人はいないはずだ。
なんで、僕は殺されていないのだろう。
しかも横たわった僕の側には例の鋼の剣もちゃんと置いてある。
まさか、この水に毒が?
いや、わざわざそんなことをする必要もないはずだ。
僕はこちらを意識してちらちら見ているダークエルフの視線を気にしながら、泉の水をごくごくと飲み干す。
「おいしいか?」
「うん」
「そっか、それは良かった」
ダークエルフは僕の横に座ると何気なさを装って話し掛けてくる。
「セレス、生まれは何処なんだ?」
「…ハイランドの北のローテシアの村です」
「兄弟はいるのか?」
「…兄がいます」
「なんで、ここに来た」
「……道に迷って、本当は野ウサギを取ろうと…
そんな感じでまるで尋問のような質問攻めにあう。
僕にとってはまさに拷問のような時間が過ぎていく。
もし、このダークエルフの気に入らないことを言ってしまったら……
命はない!
まさに一瞬一瞬が緊張の連続の会話がつづく。
だが、そんな気分だったのは僕だけだったようだ。
「こんなに話したのは久しぶりだ」
なんと、一通り話し終えるとクリムゾンアイは嬉しげな声を出したのだ。
へ?まさか会話を楽しんでいたの?
その言葉に驚いた僕に気づいたダークエルフの女は恥ずかしげに下を向くと、
くすりと鼻で笑い、自虐的に呟きだす。
「ずーーっと、一人だったからな、物心ついてから1000年」
「いっ1000年!」
「そうだ、私は一人この森で生きてきた…ここらにいるモンスターはみんな私を恐れてよりつかん、たまにくる人間どもは…言うまでもないな」
寂しそうに目を伏せる。
「そうだったんだ…」
僕はおもわず涙ぐみそうになる。
たとえこんな綺麗な森でも、1000年も一人でいるのはつらいだろう。
僕だったらそんなの一晩も耐え切れないかもしれない。
だけど、彼女がおとなしかったのはここまでだった。
「だが、もうそんなことは良い、セレスが手に入ったらからな」
「え…手に入ったって?」
ダークエルフの美女はスッと立ち上がると銀の髪を風にたなびかせる。
「言葉通りだ。この森は私の森、全てのモノは私のモノ、そして、お前は私に狩られたんだ、つまりお前は私のモノだ」
そういって、にやりと笑うその笑顔はまちがいなくモンスターだった。
「そ…そんなぁ…どういう」
「お前を殺すも生かすも私しだいだと言う事だ」
たとえ優しくてもモンスター!油断するんじゃなかった!
逃げないと!
「まあ、お前がよければだが、その、わっ…私と一緒に…ここで……あ、何処へ行く」
「悪いけど、僕はモンスターのエサになる気はないんだ」
地面を蹴ると走り出す。
だけど、ばふっと柔らかいモノが顔にあたってすぐに行き止まりになってしまう。
「あり?」
おそるおそる顔を上げるとそこにはピクピクと眉を引くつかせるダークエルフの顔があった。
この展開は前にも一度。
するとこの、ぱふぱふした柔らかいモノは……
僕はふにふにと顔を埋めていたダークエルフの胸を触ってみる
「あ…また、ごめんなさい」
「………そうか、お前は逃げたいのだな…しかし、私はお前を逃しはしない、もう一人は嫌なのだ」
すっと褐色の腕が僕をとらえる。
「そっそんなぁ…他にも…そう、他にも時々人がくるでしょ、その人たちに」
「趣味ではない。おまえが良いのだ」
けっこうえり好みが激しいみたい、
そして僕はどうやら彼女の好みにぴったりらしい。
しくしくしく
レベルの桁が違いすぎて反撃することも逃げ出すこともできない。
しかも、相手はあのクリムゾンアイだ。
数多の英雄を葬った世界最強最悪のダークエルフだ。
「僕を殺すの?」
「え!なっなにを言ってるんだ、おまえは何か勘違いしている、私は…」
「そうなんだ、殺されちゃうんだ、さんざん弄ばれて、飽きたら、それは残虐な方法で、そう頭からバリバリ食べられたり、煮えたぎった鉛を無理やり飲ませたり、正座の上に重い石をのせたり、あぁ!わかった地面に埋められ鋸で…」
「ちょ、ちょっと待って、違う、違うんだ、私はおまえにひどい事は、おい」
「ああぁあもうダメだァああ」
僕は頭を抱えて絶叫する!
「いいかげんにしろ!」
「ひぃ」
ダークエルフの瞳が真っ赤に変わる。
その途端、僕の体が金縛りにあう。
「もう、我慢できん、いいだろうお前が逃げたければそうすればいい、だが…」
「うわぁ」
ぐいっと胸元をつかまれると、どさっと草の上に投げ飛ばされる。
「ふふふ、セレスが逃げたくなくなればいいのだ、そう……私の虜になってな」
そういうと、ダークエルフの美女は麻痺して動けない僕の上にゆっくりのしかかってきた。
「あううううう」
情けない声を出す僕を見下ろしてダークエルフは、くすくす笑うと、僕の耳をくちゃくちゃと舐めまわす。
「教えてやるぞセレス、お前は私のモノなんだ…んんっ」
肉厚の唇が僕の口に吸い付いてくる。
肉食獣のような舌が僕の舌を絡めとり、唾液をズズズズズっと吸い取ると、かわりにトロトロと濃密なダークエルフの甘い液体が注ぎ込まれる。
「ん…んんん…うあああ…」
我慢できずに僕はゴクゴクとそれを飲み干す。
ダークエルフの瞳が嬉しそうに細まり、うねうね動く舌が僕の歯の一本、一本、さらに歯茎と口腔の中を余すところなく味わいつくし、舌を絡めとると、巧みに自分の口腔内に引き込でいく。
「ううう…ははぁ……あう、ううん」
「はう……駄目だもっとだ…」
さすがに苦しくなって顔をそらす僕を押さえつけると更に舌と唾液を含まされる。
「やや…やめてください…」
「だぁーめ」
猫科のドーブツのようにニィっと笑う。
彼女は突然その細い指を僕の胸元に忍ばせ、僕の乳首をグリッと摘む。
「あううう」
「どうだ?気持ちいいだろ?ふふふふ」
僕の首筋をゾロリと舐めて甘噛みしながら、彼女の褐色の手が片手で乳首をコリコリと弄び、もう片方で僕の麻布の服をビリビリと引き裂いてしまう。
「そんなわけ…ないぃいい、あううう」
「うふふふ、ほらもっと鳴いてみろ、かわいい声を聞かせてくれ」
いつの間にかダークエルフの女も皮鎧を脱ぎ捨てていた。
褐色のネットリと淫臭を放つ媚態があらわになる。
エルフはスレンダーだと聞いていたが、あれは嘘だ。
メロンのように膨らんだ美胸が、熱く柔らかいお餅のようにプニャプニャと絡みついてくる。
僕の下半身にカッと火が燃えるように血が集まっていく。
なんで、モンスター相手にこんな目にあわなければならないんだ!
しかも、弄ばれて勃起までしてしまうなんて!
「あうううう……ううう」
「ふふふ、ほらここを、こーすると良いだろ?どうだ?ほらほら」
僕の二つの乳首は長い爪でカリカリとひっかかれ、ジンジンと頭に響く程の刺激を与えてくる。
理性は必死になって、そばに転がる鋼の剣を掴めと叫んでいる。
だが、僕が伸ばした震える手は褐色の手に優しく導かれ、蜂蜜色に濡れて光る美乳を掴ませられていた。
手のひらに、いままで触ったどんなものより、プニャプニャと柔らかく、しっとりと吸い付く甘い肉の塊が触れる。
「…柔らかい…」
「ふふふふふ、もう逃がさない、1000年間ずっと待ってたんだ」
べろりっとざらついた舌が僕の頬を舐め上げる。
「体中愛してやるぞ、セレス」
ねっとりとナメクジの様に舌が顔中を這うと、顎をはむはむと噛みまくり、首筋、そして僕の乳首を重点的にしゃぶってくる。
「あぁぁ、すごいぃ、あううううぅう」
気持ち良すぎる、ダークエルフの愛撫が的確に僕の体から快感をひきだしていく。
「ぴちゃ、ぴちゃ、くちゃ、ふふふふ、いいのか?いいだろ?ここも…ぴちゃ」
「うひいいいぃい凄い、すごぉいぃいいいい、そんなところまでぇ、あぁ舐めないでぇ」
「だめだ、ほら、ここも気持ちいいだろ、ぴちゃ」
もう、体中舐め回されてる。
臍の穴に舌がつっこまれ、わきの下を舐め上げ、指の一本一本を咥え込み、さらに僕の足を軽々とあげると、お尻を上にむける。
尖らせた舌が迷うことなく僕のアヌスに差し込まれる。
「ここもだ」
「だめぇ、そこは汚いぃいいいい、あひぃいい、すごいよ、僕、僕、あああ、舐められてる.僕の体、全部うう」
「ふふふふ、ぴちゃ、ぴあちゃ、ちゅるるる」
ダークエルフは熱心に僕のアヌスを舐めまわす。
くっるちゃううう
もう心も体もぐちゃぐちゃだ。
世界全てがねっとりしたダークエルフの真っ赤な舌で埋められている。
もう、もう、ドロドロと溶けていくようだ。
「ふ、まだダメだ、ここが残ってる、ぴちゃ」
「ああぁああ、あああああああ」
仰向けに寝かされた僕の股間にダークエルフが顔をよせる。
「ふふふふ、ここだけは立派だなセレス」
ぐっと勃起した僕のモノが握り締められ、そして…そして!
じゅるぅっ
ダークエルフの口の中に含まれていた。
「あ、あ、あ、ダメだよ、舐めないでぇ、あ、ダメェ」
脳みそが溶けてしまいそうな快楽を必死で耐えながら僕は叫ぶ。
しかし、ダークエルフは、くすっと目を細めると、おもむろにベロベロと口の中で舌を回転させる。
「ん、んん、ん、ん、じゅぼじゅぼじゅぼ」
更に猛烈な勢いで首をふりだす。
血色のいい唇を僕のペニスが出たり入ったりを繰り返す。
「あひ、あひ、あひ、あひ」
もう息もできない、にゅるにゅる、と暖かい口腔内で僕のペニスが弄ばれる。
「うはぁ……うう、うう、いい、気持ち、あっ!」
「ちゅぽん…ふふふ、私のモノになるか?」
「い、いっ…いやだ」
「ふ、それなら仕方ない最後の手段だな」
まるでそれを待っていたようにダークエルフは妖艶に笑うと、ちゅっと僕のペニスにキスして顔をはなす。
そして、ゆっくりと僕の腰をまたいで、中腰で立ち上がる。
「ふふふふ、しっかり見ていろよ」
股の下に伸ばした手で僕のペニスをしっかり支える。
そして、腰にまいた布がパラリと落ちる。
そこには、銀の毛の下でトロトロと愛液を垂れ流す肉の割れ目が僕のモノをねらっていた。
騎乗位の姿勢でゆっくりと腰が下がってくる。
「いくぞ…ああ…ん、んん…うう…凄い……あっううう…入ってる」
「あぁあぁ、あついよぉ、あああ、締まって、僕のが、ああああ、食べられてるぅ」
「あ、あ、あ、あ、奥にあたって、うう、いいぞセレス、ほら、ほら、どうだ」
「だめ、動かないでぇえ、ああああ」
もう、もう、もう、ダメだ!
凄すぎる!
僕のペニスとクリムゾンアイの膣肉がまるで溶け合うように蠢いている。
「あん、あ、うん、いいぞ、いい、ん」
「あひいいひいいいい」
僕はもう正常な意識を保っていられなかった。
口の端から涎は垂れ流しだ。
ダークエルフの体が、僕の腰の上でガクンガクンと凄まじい勢いで揺れている。
ぶるぶると褐色のおっぱいが揺れ、汗と愛液が飛び散る。
ダークエルフの肌も上気し、その顔は快楽に溺れていた。
「ほら、ここも楽しんでいいんだぞ」
僕の空いてる手を掴むと上下に揺れる豊満な胸を揉ませてくれる。
腰の振りはさらに激しくなり、卑猥な音を辺りに響かせる。
「あ、もう、もう、セレス、私のモノになるか?ああっ」
「僕は…僕は……うううっうっ」
言い渋る僕のペニスがにゅううっと膣肉に引き絞られ、さらに腰が激しく動く。
「ほら、ほら、ほら、どうだ?いいだろ?私のココは…ほら、もっと欲しいんじゃないのか?」
「ああぁぁ、いいい、いいぃ」
もうだめだ…
もう体が僕の心に反して……
ダークエルフの肉の欲望に取り込まれて行く……
つながった結合部を中心にして、僕らはドロドロと溶け合っていった。
「あうう、もう、奥にゴリゴリして、んんん、さあ、私のモノになりなさいいぃいいい」
「あぁあああ、なっ……なるぅう、なりますううううう、なるからぁ」
その言葉を発した時、僕は心から彼女のモノになっていた。
「ふふふふふ、ついに…ついに…ふふ…ご褒美だ」
その途端、いままで以上にダークエルフの肉が僕をしめつける。
もう限界だった。
「ううう…でる、でる、でちゃうううう」
「あぁぁ、いいぃ、いいぞ、私にお前を注ぎ込んでくれ、いつまでも、いつまでも…あっ」
「ううぅ、でるぅ」
ドクドクドクドクドクドク
僕はダークエルフの膣の最奥に精液を流し込む。
膣の壁が動き、一滴も残らず飲み込んでペニスを絞りとる。
「はぁ、はぁはぁはぁ」
僕は息も絶え絶えに虚ろな瞳をダークエルフに向ける。
「ふふふ、まだ休む暇はないぞ」
ぶるんと胸をゆすらすと伝説のモンスターは更に腰を振り出した。
「そっそんな、ああ、ダメだよ、あ、あ、あ」
気持ちの良すぎる肉と、目の前で蠢く色気の塊が、僕のペニスをまた固くする。
「ふふふ、お前はもう私のモノなんだ…だから全て私の自由にさせてもらう、おまえのペニスもな」
「あああああぁああ、またでるぅうう」
きゅっとペニスが搾り取られ、僕は我慢できずにドクドクとまた射精する。
「あひっ、またでちゃううう」
「ふふふ、いいぞ、ほらほら、もっと、もっとだ」
僕が射精してもお構いなしに、ダークエルフは引き締まった褐色の腰を振りまくる。
「あああぁぁ、とまらないよぉ」
僕はもう一滴だってでないほど、大量のザーメンをダークエルフの子宮に注ぎ込んだ。
「はあぁ…もう…もう…だめです」
「ふふふ、そんなことはない、後10年は止まらないぞ」
「え?」
真っ赤に変化した瞳が僕を見ると、疲れきっていたはずのペニスに精気がもどってくる。
「ふふふふ、まだまだ楽しめるな」
ダークエルフは、僕の頬にそっと寄り添うと、深い深いキスをする。
もちろん、その間も僕のペニスはしっかり咥え込まれ、下半身だけが別の生き物のように動いている。
「ふふふふ、いつまでも一緒だ、いつまでもな…あふ」
「もう、僕は…ああぁ…気持ちいいぃ」
誘惑に負け僕は自分から積極的に舌を絡めた。
あああ、もう僕はこのモンスターの虜なのだから。
……10年後
僕はもう時間の感覚がなかった。
僕は、ダークエルフの瞳の力で年を取ることなく交わっていた。
昼も夜もからみあい、ヤリまくる日々。
食事も排泄もなにかも、つながったままだった。
何万回目かの射精のあと、ダークエルフはぬぽっとペニスを初めて引き抜いた。
「あふうぅうう、すごかったぞ、私のセレス、ふふふ、本当に気持ちよかった」
「……ああぁ……ああぁああ……ああ……お…おわった…の?」
「ふふふふ」
ダークエルフは笑うと、愛しげに僕の頬をなでる。
「じゃあ、もう一戦するか」
「え?…いままで…あ…あんなにやって…僕は…もう」
「ふふふ、いまので一回だ」
「えっ……ああぁ」
「ふふふふ、時間は永遠なんだ、いつまでもな」
くちゅ
また僕のペニスは飲み込まれていった。
「あああぁあああああああああああああ」
その時、ピラリンっ軽い音と共にウインドウが開く。
『セレス レベル9999 職業:戦士 経験値:∞ 状態:誘惑』
「ふふ、エッチのレベルだけは最高だな、セレス」
ちゅ
ダークエルフは、何億回目かの愛しげなキスをする。
僕は褐色の肌に身を埋めながら
「僕いつになったら魔法使いに転職できるのかなぁ」
舌を絡めて、ぼんやりそう思っていた。
END
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誤字脱字指摘
2/10 あき様
ありがとうございました。
2/10 あき様
ありがとうございました。