二人の格闘家が激しい攻防をくりひろげていた。
一人は黒胴着の男、そしてもう一人は中国風のカンフー胴着の少年。
そのどちらも名の知れた超人級の格闘家だ。
大勢の観客が見守る中、くりひろげられる二人の戦いは予想通り常人の域を超えた凄まじいものだった。
お互い、小刻みなステップやパンチで間合いをとり、破壊力をもつ拳をやすやすとガードする。
しかも時には黒胴着の鬼の顔のような男が手の平から放つ青白い光線を、カンフー少年があたりまえかのように、避け、弾き返している。

だが、その超人同士の決戦もついに雌雄がつく時がきていた。

さっと間合いを取るために放った少年の回しげりの上を黒胴着の男がまるで竹とんぼのようにグルグルまわり飛び越え、さっとその後ろにまわりこむ。
『おーーー』
どっと観衆が沸いた。
黒胴着の男はレンガも砕くような正拳突きを少年の背中に容赦なく放つ。
「ぐっ」とまるで唸るような声が聞こえてきそうな程、少年の体がクの字に曲がる。
だが、黒胴着の男はその追撃の手をゆるめない、一気のこの勝負をつけるが如く踵を空高くあげると、そのまま勢いよく振り落とす。
しかし、先ほどのダメージが嘘のようにさっと身をかわした小柄なカンフースタイルの少年は、すばやく足払いをくりだし男の軸足を払い地面に転がす。
一気に形勢は逆転していた。
今度は少年が畳み込むように猛然とラッシュをはじめる。
ドサッと倒れる男に小柄な脚がすべりこむように動くと、間髪いれず連続蹴りをくりだす。
まるで蹴鞠のようにその大きな体が何度も舞い上がり、ドガドガと小気味いい音をたてて少年の浴びせ蹴りが顔、腹、足と連続して入る。
駒のようにまわった男の体が地面に落ちる瞬間、少年のまるで力をためるように、しゃがみこむ。
そして
「奥義、流星昇竜脚」
途端に暗くなるあたりの風景、そのなかで少年のカンフーシューズの先だけが、青白く光りだす。
だが、地面に落とされた男も、さっきの蹴りのダメージがまったくないような身のこなしで素早く起き上がり両手をクロスさせて 防御する。
カッと光る両者の体。

ギュルっと重力を無視して少年の体がスピンしながら跳ね上がるのと、胴着の男がそれを防ぐのは全く同時だった。
ガガガガガッ
まるで削岩機が岩を砕くように、男のガードの上からカンフー少年の光る足が叩き込まれていく。
そのまま、少年の奥義がガードされきったかっと思われた。
その時、ふいに大男が耐え切れなくなったかのように腕をクロスしたまま後方に倒れこむ。
少年の奥義にガード越しでも耐え切れる体力がもうなかったのだ。
『おぉ〜』
どっと、又歓声があがりギャラリー達がざわめいていた。

そして、少年の頭の上に燦然と輝く「YOU WIN」の文字。




「ふぅ」
大崎 巧(15)はため息を一つつくと目の前の筐体から席をたった。
そこには、先ほどまで自分の操っていたキャラクター、カンフー使いの少年が決めポーズをとりこちらにむけてVサインをだしている。
巧の座っていた筐体の周りを取りかこんでいたギャラリーの声が聞こえてくる。
「すごいよな、見たかよ今さっきの連続技」
「あぁあんなの見たことねぇ」
「さすが、クンフーの大崎だ」
「いま倒したの韓国のチャンプらしいぜ、この前のアジア大会のさ」
「まじ?さすが日本チャンプだよなぁ」
全てが大崎への賞賛の声だった。
(何度聞いても照れちゃうなぁ)
大崎は一段高くなっている、巨大なモニター前の戦闘機のコックピットのような筐体からおりると微かに頭をさげてそそくさとその場を後にする。

格闘ゲーム「バー茶ぐらっぷるW」
いまや一斉を風靡する格闘ゲームだ。
その人気はとどまるところをしらず世界中でのユーザーは億の単位でいると言われているほどの稀にみるゲーム業界のキラーゲームなのだ。
人気の秘密は世界同時乱入可能と言う、時代の申し子たるネットの力をふんだんに利用した対戦システムと洗練されリアルな戦闘システムが爆発的な人気を生んでいた。
ゲームセンターやアミューズメントパークに置かれたその巨大な筐体にはいつも沢山の参加者とそれ以上のギャラリーが集う場所となっていた。

そして、この背筋をまるめてそそくさと人ごみの中に隠れようとする少年。
大崎 巧こそ、この「バー茶ぐらっぷるW」の日本タイトル保持者だったのだ。
「なぁ今の技おしえてくれよ」
「え…ありがと…あ…また今度ね」
「ねぇねぇチャンプ、今度俺と対戦してくれよ」
「……時間あればね」
「握手してくださいぃ」
次々と寄ってくる人の波をかきわけ巧はたいして大きくない背をまげて、あはははっと愛想笑いをしながら目線を合わさないようにさらに足早に歩く。
「たぁくみぃ、こっちこっち」
その時、群集のむこうからピョンピョンと飛び上がる白い手とポニーテールの先が見えた。
「あっ、みーちゃん」
下をむいて真っ赤になっていた巧はその声を聞くと、多少ほっとした、だがどこがオドオドした様子で、自分を呼び声のほうに向かう。
「ちょっと、何してんのよ、まだそんなゲームやってたの?」
「そんなゲームってみーちゃん…いや美和がやれって最初に……」
「なによ、文句あるの?」
「ないです」
ぼそっと呟くと巧は下を向いて。彼女に反抗のする気はありませってことを示す。
この目の前の、腰に手をやり巧を見下げる少女の名前は岬 美和(15)
巧の幼馴染だ。
家も隣同士、幼稚園も小学校も中学校も、そして今年入学した高校もまったく同じほんとの意味での腐れ縁。
巧にとって美和は昔から頭の上がらない女の子なのだ。
いや、女の子って意識したこともないかもしれない。
いつだって美和は巧をひっぱって連れ歩いていた。
古くはお互いが、たー君みーちゃんと呼び合う間柄の時から。
今だにそのクセがぬけなくて巧は美和をみーちゃんと呼んでしまうが、それに返されるのは小学生の時から習い始めた空手の裏拳の一撃だってことをいやというほど教え込まれていた。
あれは本当に痛いのだ。
「その…美和はもう買い物終わったの?」
「当たり前でしょほら」
ぐいっとつきつけられる紙袋。
ナイキのロゴの入ったそれを巧は当然のように持たされる。
「あたしがスニーカー買ってる間にまたあんなゲームしてたんだ」
「でも…最初にやってみればっていったのは美和だよ…それに僕雑誌にもでてさ、ほらさっきも握手求められちゃって」
「知ってるわよそんなこと!帰るわよ」
ふんっと小さな鼻に皺をよせて怒るとズンズンと歩き出す

「あたしが巧のことで知らない事なんて何も無いんだから……バカ」
巧の耳には聞こえない小さな声で呟くと、脚を踏み鳴らして人ごみをわけていく。
たしかに冗談半分でゲームを進めたのは美和だ。
それが…巧は意外な才能を示してあっというまにゲーム界のチャンピオンに登りつめてしまった。
雑誌やテレビの取材もよく来ている。
いつのまにか自分の知らないところで巧がかってに走り出してしまっている。
美和にはモニターや雑誌の表紙で微笑む気の弱い幼馴染はまるで知らない他人のように見えた。
なによ!
あたしがいなけりゃ怖くて夜トイレにだって行けなかったくせに。
隣町のいじめっ子から守ってやったのはだれよ。
美和はズンズン歩き続ける。
「たく、すぐ調子のってさ」
今日だってホントは一日一緒に買い物するはずだったのだ。
まぁまだ寝ている巧を叩き起こして連れ出したのは悪いと思ってる。
だけど…あたしが買い物してる間にまたあのゲームに夢中になるなんて…
「…ほんとバカ」
それにゲームなんかに嫉妬してる自分もバカだ。
今日のために買ったワンピースに皺ができるのも気がつかず人ごみを押しのける。
「お〜〜い、待ってよぉ美和ぁ」
後ろから鈍感な幼馴染が必死で自分を呼ぶ声が聞こえる。
いつ聞いても気の抜ける頼りない声だ。
………たく、ホントにドンくさいだから。
美和は歩くスピードを誰にもわからないように少し遅め、でも前を向いて歩きつづける。
あのドン亀でもやがて追いついて来られるだろう。
そしたら少し許してやろう。
それを理由に近くのパーラーで甘い物でも奢ってもらうのも悪くないかも。
「待ってよ〜〜」
耳になじんだ声を聞きながら、岬は子悪魔のようにクスッと微笑んでいた。

通りを歩きながら小さく笑う少女とそれを追いかける荷物を持った少年。
そんなもろラブコメに入ってる展開を、するどい眼差しでみつめる人物がいた。
まだ初夏の陽射し溢れる日曜の午後、なんともうんさくさいズルズルとしたローブ姿。
そのローブの目線の先には、荷物を抱えて走る少年。
「やっと見つけた…」
ローブの人物は懐から一冊の本をとりだす。
『月刊げーいめすと王』
何度も見直したのだろう。その本はすでにボロボロになっていた。
そして、その表紙でぎこちない笑顔で笑う人物こそ、いまその目線の先にいる荷物を抱えた少年、大崎 巧。
「私の戦士を…」


巧は結局あれから特盛フルーツパフェをおごらされ、ついでに道端で売っているアクセサリーを買わされた。
「まったくなんだよ、自分で無理やり誘っておいてさ」
ブツブツ文句を言うが、もちろん面と向かってなんてことはありえない。
ついさっき玄関先で美和とは別れた所だ。
もっとも家が隣同士だし、それどころか部屋だって隣同士に近い、なんせ巧の部屋の窓を開ければ手の届くところに岬の部屋の窓があるのだ。
小学生のころは岬がよく窓を乗り越えて巧の部屋に乗り込んできたものだが、中学になったころから岬は玄関から出入するようになっていた。
いまでもノックひとつせず自分の家のようにズカズカはいってくるのは変わりないが…。
「ただいま〜ふうぅせっかくの休みがつぶれちゃったよ」
「おかえりなさい、美和ちゃんとデートでしょ、未来のお嫁さんになに言ってるのよこの子は」
ポカリと巧の頭を軽くたたいて巧の母親がでむかえる。
お約束だが定番どおり巧の家族と岬の家族は親戚以上の付き合いがある。
今年の夏も両家そろって海に泊まりで泳ぎにいったほどだ。
もっともそこで巧は美和の地獄の水泳特訓にあいひどい目をみたのだが…。
「お嫁さんって美和とはそっそんなんじゃないよ」
「またまたぁ照れちゃってぇあんないい子はそうそういないわよ」
もう子供のころから何百回と繰りかされたやりとりだ。
昔はどちらの親も冗談でいいあっていたのだが、最近そこに微妙な本気が見え隠れしている。
「もういいよ、僕お風呂入るからね、汗かいちゃて」
「あら、お風呂くんでないからシャワーだけにしといて、それに母さんいまから裕香ちゃんと一緒にカラオケいくから…ご飯はカレー温めるだけだからね」
裕香ちゃんとは美和の母のことだ。
毎日のようにストレス発散と称して連れ立ってカラオケにいっている。
「それと今日は父さん遅いから先ごはん食べちゃいなさい」
「わかったよ」
巧は脱衣所に向かいながら生返事をする。
「あっそれと両親いないからって美和ちゃん連れこんで変なことしちゃだめよ」
「なっ!!そんなことしないよ」
「じゃね〜いってきます」
ガチャリと玄関の閉じる音。
「なんだよもう」
巧は耳まで真っ赤になりながら脱衣所でシャツを脱ぎだす。
そのときまた玄関が開く音ともに
「もしもの時は避妊ちゃんとするのよ」
悪戯っぽい母親の声
「はやくカラオケいってよもう!」
巧は脱衣所から顔をだすと、玄関に向かって脱いだばかりのシャツを投げつける。
ガチャリ
こんどこそホントに閉められた玄関の扉にぶつかりシャツはひらひらと舞い落ちた。
「なんだよもう、からかってさ…あんなオトコ女と…」
でも今日着ていたワンピースは正直可愛かったような気がする。
いつもはジーパンだったり、空手の胴着だったり、そもそも美和がスカートを履いているのなんて学校の制服以外みたことないような…。
なんで今日だけ…。
あ!そうか他の服洗濯してたんだ。
最近雨が続いてたもんなぁ、そかそか
「うんうん」
金槌で叩いて良くなりはしないだろう鈍い思考回路で明らかに間違った答えに納得する。
まぁ朴念仁なのはお約束ってことだ。
一つ疑問がとけて晴ればれしたって顔で巧はニコニコしながら脱いだ服をポンポンと洗濯籠に放り込むと、風呂場にはいりシャワーのノズルをひねる。
冷たい水がやがて生温かくなり、やがてちょうどいい温度になったところで頭からシャワーをかぶる。
「ふうぅ気持ちいいなぁ」
朝から歩き通しで汗がべとついていた肌がすっきりとする感触が心地よい。
巧はその背恰好通りのあまり逞しくない体をごしごしヘチマのスポンジで洗うと、馬のマークのシャンプーを髪につけゴシゴシ泡立てる。
「ふふふ〜〜ん」
ついでにあまり上手くない鼻歌なんかも出てくる。
泡立ちのいいことで有名なお馬のシャンプーが十分に泡立った、その時また玄関の方からガチャリとドアの開く音がした。
「え?…母さん?また何か言い忘れ?」
浴槽に響く巧の声…だがいつもの母の能天気な返事はない。
「あれ?母さん?母さんじゃないの…え、どしよ」
新聞の集金か、宅配かなにかなのだろうか?
「まいったな」
全身泡だらけで、目を開けようとしても痛くて開かない。
「すっすいません!いまお風呂で」
浴槽に響く大きな声で叫ぶが何故か玄関口から返事はない、それどころかドンドンと玄関口をあがり廊下を踏む足音がきこえる。
「え!」
巧の家族以外にこの家に勝手に入ってくる人間は限られている。
郵便配達や新聞の集金じゃない。
風呂場から大声をだしているのに堂々とはいってくるのは、押し込み強盗か美和だけだ。
普通に考えるなら後者である可能性は天文学的に高い。
「ちょっとみー…美和ぁいま僕お風呂入ってるから後にしてよ」
何か今日の買い物で気に入らないことでもあったのだろうか?それともまた何か癇癪でも起こしたんじゃ…
美和は他の人の前ではまるで別人のように良くふるまうのが得意技だ。
俗にいう猫かぶりって奴だ。
しかもただの猫ではない、血統書つきの超高級な皮をかぶっているのだ。
巧に言わせればひどい詐欺で、この近所以外の人は美和を成績優秀、運動抜群で性格も抜群の三拍子そろった完璧な美少女だと思い込まされている。
学校でも親しい友人を除きほとんどがその演技にだまされているのだ。
ホントはとんでもないじゃじゃ馬で、たまったストレスを巧相手に発散する乱暴物なのに…
もっとも巧の枯れ果てた老人のようなハートではそれが美和の照れ隠しだってことまでは気がまわるはずもなかった。
とりあえず、今日もなにかムシャクシャすることがあって巧にその空手仕込みの拳をふりあげにきたのだろう。
「ちょっと美和返事してくれよ」
だが、まったく無言でドカドカと入り込んでくる人物はいつもの「巧ぃい」と言う大声をあげる気配が無い。
「あっあれ?美和じゃないの…だっだれ」
必死で泡立つ髪をシャワーで洗い流そうとするが、よけいに泡立ち目に染みる。
その間にも、ズンズン歩く人の気配は確実に近づいてくる。
「だっだれですか?」
だが返事はない。
ズン ズン ズン
無言で響く廊下を歩く音。
これは怖い。
巧は慌てて、泡だらけの頭に全開でシャワーを浴びる。
その時
ガラリっと脱衣所の引き戸が開けられる。
「!!!!っ」
巧はシャワーを流したまま、ひっと息を呑んで立ち上がる。
間違いない隣の脱衣所に誰かがいる。
しかも、シャンプーで霞む視界の隅に、クモリ硝子の向こう側に映る人影がためらうことなく浴室のドアに手をかけるのが見えた。
「!!だっ誰…うわぁ」
思わず後ず去った巧の踵の下にまるで計ったように転がる石鹸。
つるりとすべる巧は前につんのめるようにたたらを踏む。
「わっわっわっ」
ガラリ
そんな巧を迎え入れるようにちょうど開け放たれる浴槽の引き戸。
そこにはボロボロのローブ姿の怪しい人物が突っ立ていた。
「うわぁ」
「む!」
その胸元に巧はまるで転がり込むように倒れこみ、ローブの裾を思わず掴んで、そのままバタッンと床にたおれこむ。
「ううっ…痛たたっ…うわっこれ何だ」
巧は頭の上からかぶったボロ切れのようなローブをバサリと取り除く。
「いったい何が…」
そこには、見慣れた自分の家の浴槽と
見慣れない一人の幼い少女がたっていた。
「あ??」
そう幼い少女……それも奇妙な姿で立っていた。
床にしりもちをつき、ぽかんと見上げる巧の目の前で少女は恭しく片膝をつく。
「え??」
ガチャリとなる金属の鎧。
その少女はまるで中世の絵物語からぬけでたような、白い金属の胸当てと篭手、さらに脛当てを身にまとい、腰には無骨な剣を履いていたのだ。
まるで学芸会にでる小学生ような格好だ。
「お探ししました」
深々と頭を下げると、薄い金色の髪につけたバンダナからアンテナのように突き出した二対の大きな羽飾りがゆれる。
「へ??」
「現世にのこった最後の戦士殿にお力をわけていただきたく参上いたしました」
ゆっくりと頭があがる。
そこにはまるで深い森のように澄んだ緑の瞳と、まだ幼さいが凛々しいという言葉ではいい表せないほど整った顔が巧を真摯に見つめていた。
「え?え?」
巧はすべて驚きあうあうと口を動かす。
家に小さな女の子が押しかけてきたこと
自分がいまだに裸のこと
どうみても外人が流暢に日本語はなすこと
その女の子がコスプレのような鎧きていること
ついでに片膝ついた姿勢でお辞儀をしたこと
どれも予想を越える展開だった。
だがそんな巧を無視して幼い女戦士はそっと手をのばす。
「??」
あぁこの子の手まるで雪みたいに白いんだ…などと見当違いな思考に嵌る巧の手を少女が強引に取る。
「我が名はワレキューレの、最後のヴァルハラの戦士にございます」
そういって幼い少女は変な口調で宣言すると巧の手の甲に恭しく口付けた。


「あっこれリンゴジュースだけど…どぞ」
「どうも」
巧が畳の上を滑らすようにして差し出したお盆の上でグラスに満たされたジュースが揺れる。
「え…と、その」
巧は目の前に油断なく座る小さな女の子に目をやる。

姿格好から推定すると年は小学生ぐらいだろうか。
どう見ても日本人とは異なる、白い肌に金色の髪、それに深緑の変わった瞳。
なによりその格好は風呂場であったときのまま、本当に物語の中から抜け出てきたような姿だった。
ゲームなんかでよくでてくる女戦士と言う感じだろうか。
動きやすいように要所要所を純白で草蔓の模様のはいった金属鎧でおおっている。
そして、そのどれもが自分の背格好にはあっていないだろうブカブカだ。
羽根突きのバンダナは何度もずれ落ちてるし、おそらく胸の部分を覆うだろう鎧はお腹までガードしている始末だ。
そんな現代日本では到底検討はずれな格好をした女の子は、立て膝をつく姿勢で畳にどっかり腰掛けると、まるで大事な物を扱うようにゆっくりとグラスを口に運ぶ。
「あの…」
「かたじけない、主の部屋に招いていただいたばかりか、このようにもてなしていただけるとは」
満足そうにグラスを空にする。
その幼い容姿と可愛らしい声とはまったく異なり、その口調は時代劇のように格式ばっていて巧は笑うのを何度もこらえていた。
「まぁもてなすっていってもね…」
巧にとっては招いたといより無理やり押し入られたと言ったほうがただしいだろう。


風呂場で巧はすぐにタオルを腰にまいてその見知らぬ少女に精一杯怒りつけた。
なんのつもりで勝手に人の家に!
出て行きなさい!
お母さんはどこにいるの?
と声高に叫ぶのだが、少女は泰然とした雰囲気で巧を見下ろすと、ただ「お主に合いに来た」としか言わない。
堂堂巡りをするうちに体が冷えてきた巧はひとまず自分の部屋に服を取りに二階にあがると、いつのまにか不思議な少女も部屋に押し入り、進めてもないのに畳の床にどっしりと居座ると「何か飲み物でも出ないのものか?」と催促する始末だったのだ。
その澄んだ幼い緑の瞳で見つめられ気弱な巧はしぶしぶ一階の冷蔵庫からリンゴジュースをもってきたと言うわけだ。


「それで…えと君の名前はワレキューレ?」
なんか神話にでてきたりゲームにできてきたりするあれだろうか?
「そうだ」
目の前の美少女はうむっと大仰にうなずく。
「えと?何の冗談かわからないけど……その?コスプレとかそんな人かな?」
巧は恐る恐る声をだす。
なんと言っても、彼女の格好はサイズを抜きにすればゲームやファンタジー小説にでてくる女戦士そのままだったのだ。
白銀色の鎧がその胸を覆い、緻密なつくりの装飾がついた小手と具足を身に付けている。
そしてなにより目立つのが腰の帯に履いた大きな剣。
本物なんだろうか?
だったら銃刀法違反じゃ。
「??こすぷれが何かわからんが、わたしは戦士だ、巧殿と同じ」
うむっと満足げにうなずくとじっと巧も目を見つめてくる。
「え?えと、戦士って…なんのことだか…」
「いや、謙遜はけっこう、これこの通り」
幼い少女はそう言いながら、胸鎧のぶかぶかの隙間から一冊の本をとりだす。
「あっそれ、月刊げーいめすと王」
鎧をきこんだ女戦士とはまったく釣り合わないゲーム雑誌。
その本は何度も読みかえしたのだろう、ボロボロになっていたがそれでも表紙を読み取ることができた。
『日本チャンプ大崎 巧、連続5回目のタイトル獲得!!現代に蘇った最高最強の戦士に栄冠!』
派手な見出しのロゴの下で照れながら微笑むのは間違いなく巧自身だった。
たしかこの前の夏のバー茶ぐらっぷるWの大会に優勝した時の奴だ。
「あの?これが?」
「ここにある、汝は戦士と、うむ」
少女は自分勝手に満足そうにうなずくと雑誌の写真と巧自身をなんども見比べる。
「あっあの…それはゲームの話なんだよ、お兄ちゃんは本当の戦士じゃないの、わかる?」
幼い子にいいきかせるように、巧はゆっくりと説明してやる。
だがブカブカの鎧を着込んだへんな口調の少女は自分の説をがんとして曲げなかった。
「戦士とここにかいてある、それに街でも市井の民にずいぶんな人気、まさに英雄の素質、我がワレキューレと共にあるにふさわしいものだ」
少女はうんうん、とうなずくと金色の髪をゆらして嬉しげに目を細める。
こっこれはもしかして、やばめのファンって奴だろうか?
よく小さな子は現実と空想の区別がつかないってのがあるけど、ここまでくると重傷かも。
きちんと普通の格好をして尋ねてきてくれればゲームの一つや二つ教えてあげるのに。
「あっあのね、ゲームのことで応援してくれるのは嬉しいけど、そのもう少し方法を…」
「応援ではない、守護だ」
「へ?」
巧はそのあまりにも自身たっぷりの少女にあっとうされてしまう
「私達戦乙女は勇猛な戦士に仕え、その力をわけていただく変わりに戦士の道を照らしその栄光を守護するのを糧としている」
なるほど、この子は自分でそんな設定をつくっているわけだ。
ここはなるべく刺激しないようにして、帰ってもらおう。
親御さんも心配するだろうし。
巧は冷汗を流しながら、心の中で頷いていた。
「えっえと、それで君がその戦乙女なんだね」
「うむ、姉上達のように素晴らしい戦士の連れ合いをさがすためヴァルハラを出たのだがはや数年まったく戦士に出会うことができず力を失いかけていたのだ」
巧がわかってくれたことが嬉しいのが少女はやや饒舌に話し続ける。
「はぁ」
つまり家出をして数年ってことなのだろうか?
どう見ても小学生にしか見えない異国の少女が数年もふらつけるとは思えない。
そんな目の前の整った美貌を見ながら巧は必死に頭を巡らせていた。
「下界の大気で力を失い姿も劣ってしまいまったが、私は今、巧殿のような本当の戦士に出会えた幸運をオージン神とこの書物に感謝している」
そう言うと少女はそっと胸の前で複雑な文字をかいて祈ると、古びたげーめすと王を胸にかき抱いていた。
「はぁ、そうなんだ」
巧はまったく困った様子でちびちびと自分の分のリンゴジュースを飲んでいた。
「どうされた?巧殿?浮かない顔で?まさか!ワレキューレの守護をうけるのがおいやか?」
すごく驚いた顔で幼い少女は緑の瞳を見開くと、ずずっと巧の側によって来る。
ごつごつとした鎧を着ているわりには、すばやい動きだ。
「いや、そのいやじゃなくて…信じられないっていうか…あ!」
単純な巧はつい口をすべらして不信感を言ってしまう。
しまったぁ、こういった場合は否定すると泣き出しちゃったりするんだよな…
巧は脇の下を濡らしながらおそるおそる目の前に立てひざついて座る少女を見る。
そこには、まったく答えていない自称女戦士がいた。
「ふむ、さすが歴戦の戦士殿、用心深くて結構結構、そうだな、信じていただくにはちょうどいい機会、巧殿の力をすこしわけていただくのが早いだろう…でわ、失礼して」
「え?」
いきなりワレキューレをなのる少女は座り込む巧の前ににじり寄ってくる。
「え?え?」
そのまま、しゃがみこむと胡座をかく巧の股間に顔をよせる。
「ふむ、この履物はどう脱がせるのですか?巧殿」
きょとんとした顔が自分の股間から上を見上げている。
その顔はまるで人形のように愛らしくて、その気がない巧でもおもわず見とれてしまうほどだった。
「え?えっと」
巧は状況も忘れてどきまぎしてしまい、声がでなかった。
だが、その間にも少女はさっさと行動を進めていく。
「ふむ、しかたないな、ではこれで」
美少女の顔にぼんやりしていた巧の股間でしゅっと鋭い音がすると、ズボンの股の部分がぱっくり割れていた。
「なっなにしてるの!ああぁ!!」
そこにはダガーを使い巧の大事な部分を紙一重で切り裂いている少女戦士の姿だった。
「だから開け方が解らんと言ったではないですか…でわ、いただくとするぞ」
「へ?」

ぱっくん

あっさりと剥き出しにされた巧のペニスが生暖かい口の中に含まれていた。
「にゃ、ひゃひゃ、にゃにおぉ」
あまりのことに巧は奇声を発する。
くっくっ咥えられてる!
自分より年下の女の子に!!
ズボンに顔を埋めて、ああ、生暖かい口の感触がぁ
「やっやめなさい、きっ君何を」
「ぷはぁ…あまり暴れられてはこまります巧殿…おいやかもしれませんが力をわけて頂くにはこれが一番はやい方法ですので…んぐんぐ」
たらりっと小さな唇から涎をたらして、巧を見上げた少女はそう注意するとまた肉棒をぱっくりくわえ込む。
「あっあああ、そっそんな」
ようやく事態を理解しだした巧が後ず去ろうとするの、少女の細い腕ががっしりと掴み、口のなかでまだ柔らかいペニスをくちゅくちゅとしゃぶり始める。
「ふむ、んぐ、んちゅんちゅ」
まるでアイスを口にほうばったように、ワレキューレを名乗る少女は口一杯を使って巧のそれをなぶりはじめる。
にゅっるっと舌を絡めると、唾液をたっぷりのせくちゅくちゅと吸い込み舐めまわす。
「あうぅ」
巧は床にしりもちをついたまま、股間をおそう生暖かく濡れた肉の感触にただ呆然とするだけだった。
やがて、類いまれな美貌の少女の口の中でソレはドンドンと力を蓄えると、大きく太くなっていく。
「ぷはぁ…うぐっ……こんなに大きくなるものとは…これでは、もう口にはいらんな」
床に四つん這いになった鎧少女は巧のほうをみあげるとそう満足げに微笑んでくる。
その白く小さい手はすでに天井向かってそそりたつ巧自身の根元をぎゅっと握って放さない。
「あっあの…こっこれは」
「心配無用だ、私も初めてだが姉上たちからくわしく習っておる、巧殿は身を任せておれば良い、うむうむ」
巧の声をまったく無視して、緑色の瞳を誇らしげに細めると少女はまたあんぐりとピンク色の唇を開ける。
ドクドクと脈うつ巧の先端がぐぼっと、その可憐な唇に一寸の隙間もなく吸い込まれる。
「んぐ、んんっ、んぐ」
形のいい眉毛が八の字にゆがめられ、ペニスをほうばる小さな唇からたらたらと唾液があふれだす。
「うん、んん、んぐうう」
それでも少女はぐぐぐっと肉棒を飲み込みだす。
ふっくらとした頬が窄まりじゅるじゅると卑猥な音がながれだしていた。
そ狭い口腔内では無意識に抵抗するような柔らかい舌が亀頭をぐりぐりと押し舐め、頬のせばまった肉の粘膜が鞘を適度に刺激する。
「あっあっああ、こんなことって」
わけがわからず混乱する巧は、ただ自分の股間に頭をうずめる少女の金色の髪の毛を見つめていた。
やがて、異国の女の子はこつをつかんだのか、ぐっとペニスを半部ほどまで飲み込むと、今度はずるずると口の中から引きずり出す。
「ううっ、気持ちいい」
おもわず快感の声が巧の口からもれる。
「うはぁ…話に聞いていたより熱くて大きい物なのだな、どくどくと脈うっておるわ……んっ…まぁよい大体わかった…んぐ」
どろっと亀頭と可憐な唇の間に唾液の橋をつくってそうつぶやくと、また両手を根元に大事そうにそえて、真上から頭をおろしていく。
「んぐぅ、んん、んんぅう」
先ほどよりスムーズに飲み込むと、今度は舌を狭い口の中一杯にうごかし亀頭を包み込み、ゆっくりと小さな頭を上下に動かしだしていた。
「ひぃ、うっ動いちゃ」
その敏感な肉の棒の先を暖かい舌で包み込まれて、唾液にまみれた鞘が頬肉と唇で摩擦される。

ずっ ずずっ ずっ ずずっ

15才になる青年がそれよりもさらに幼いまだ年端もいかぬ少女に口で咥えられ、奉仕されているのだ。
その快感が背筋をかけのぼり、はげしい興奮を覚えさす。
「うっうっ僕、僕もう」
巧は腰が砕けるほどの気持ちよさで思わず股間でゆっくり上下する金髪を掴み上げる。
「んぐっ」
その途端いままで以上に喉の奥に突き入れられた亀頭がずずずずっと吸引され、喉のすぼまりに締め付けられる。
「ううっでっでる」
正樹の初めての体がその快感に耐えられるはずもなく、睾丸から熱い塊がせりあがると肉の鞘を通り抜け、その先端からほとばしりでる。
「んぐぐぐ」
「あっあっあっ」
ビクンビクンと胡座をかいたまま腰を揺らし、無意識のうちに股間の幼い女の子の金色の髪をつかむと、ぐいぐいと自分の腰におしつける。
「うぐ、うぐ、うぐうう…ゴクゴク」
驚いたように喉の奥に迸りうけていた少女はやがて、巧の精をダイレクトに飲みだすと手の動きに合わせるように激しく頭をふり、ゴクゴクと精飲しだす。
白い喉が何度も動き、やがて力をうしなった巧の肉棒がずるりと小さな口からはきだされていた。
「うっ…これが…巧殿の力の欠片…んぐ」
股間から顔をあげ見上げる幼い少女の半開きの口の中には、どろっととした濃密な白い液体がまるで液溜まりのように溢れかえっていた。
にちゃっと音をたてて舌が動くと、巧の見ている前でゆっくりと喉の奥へ消えていく。
「んぐっ…んぐ…あぁ力強くてなんて美味なのだ……ふぁぁ」
自分の目の前で金色の髪と緑の瞳をもつ不思議な美貌の幼女が、巧の精液をまるでご馳走のように恭しく飲み込んでいる。
その背徳的な光景に巧はごくりと唾をのんでみいっていた。
その時、
「あぁぁぁあああ」
ゴクゴクと巧の精を飲んだワレキューレの体がブルブルと震えだす。
「えっ?どっどうしたの」
「ちっ力が・・・あぁ巧殿が私の体の中を・・・・・ふぁん・・・・ああぁあああ」
少女がそう叫びながら、おもむろに床から立ち上がる。
しかも、その立ち上がる過程でどんどんその姿がどんどん変化していく、金色の髪がばっと広がりその体を包み込むと眩しい光が部屋をつつむ。
「うっうわぁぁ」
巧が思わず手で目を覆い顔をそむけていた。


やがて光の洪水は収まり、巧はおそるおそる目を開いく。
そこには…
「流石は高名な戦士殿の力の欠片、飲むだけでもこれだけの効き目とは」
そう言って部屋の中央に立つ長身の美女の姿があった。
「あっあなた…」
「ふふふ、信じていただけましたか?巧殿、これが私の本来の姿、こちらの世界は神力が弱くてすぐ消耗してしまい、巧殿のお力をお借りせねばこの姿にはなれませんがね」
ワレキューレはそう言いながら満足そうに自分の体を見渡している。
鎧や篭手などの装身具がぴったりと装着され、先ほどまでの美少女が成長したような驚くほどの美女になっていた。
年のころは正樹よりいくらか上だろうか。
額につけたバンダナから伸びる金色の髪は艶やかに長く床につくほど広がり、整った容貌には青い瞳が嬉しそうにこちらを見ている。
「どうなされた?何かへんか?」
「いっいえそんなことは…」
巧は慌ててブンブン首をふると下半身剥き出しの自分の姿に慌てて股間を隠す。
本当に、本当だったんだ。
いままでの話!
巧の心の一部がとんでもない与太話だと思っていたことが真実だったことに驚きの声を上げている。
だが、それ以上に、巧は目前の長身の美女の虜になっていた。
艶やかにのびる金色の髪は優雅にひるがえり、すらりと伸びた手足は驚ほど長く調和のとれた美しさを見せている。
なにより白銀の鎧をまとったその姿は、抜群の姿勢と出るところはでた大人の美女の魅力を存分に放っていた。
「この姿になるのもヴァルハラの都をでて以来、何度夢見たことか…」
うれしそうに巧に話しかけてくるその美貌。
まるで高名な彫刻家がつくりあげたような完璧にととのった目鼻筋、そしてそれ以上に精気にとんだ緑色の宝石のような瞳。
白い肌に映えるそれらすべて人間とはおもえない美しさと神々しさを放っていた。
そして、その緑の瞳がふと正樹の股間にそそがれる。
「ふふふ、巧殿ももう用意は万端整っているようだな」
「え?」
あわてて窓際まで後ずさりしていた巧はすっとんきょうな声を出す。
女戦士は体やその身にまとうオーラだけでなく、声の質もまるで包み込むような穏やかなものになっていた。
「本格的に私に力をくださる準備ですよ」
にっこり真紅の唇を笑みの形につくると、ワレキューレは一歩一歩その白く長い足を動かして近づいてくる。
「…準備って」
ぼんやりとその絹の腰に巻かれた前掛けからこぼれでる白い太腿を見ながら巧はなんとか声をだす。
そんな巧を嬉しげにみながら、戦乙女はさらっと長い金色の髪の毛をひるがえす。
「先ほども話したであろう?力を分けてもらう、私達戦乙女は自分の決めた戦士と生涯をともにする、そして私達は戦士からそのたぎる力を、そして私達はその代わりに絶対の守護を与えるのが決まりなのだ」
誇らしげにその大きな胸をはりワレキューレは語りだす。
「ちっ力?」
巧はもうすぐ側でたつ女神のような美女の足元にすわりこみ、その甘い匂いを堪能していた。
こんな綺麗な人が世の中にいるなんて…
「そうだ、先ほど飲ませてくれであろう?巧殿の体からだされる物ならなんでもかまわないのだが、まぁ一番濃い物ほうが力があるとされているからな」
白い頬にさっと朱色がさし、その緑の目がそっと伏せられる。
「そっそれは…」
「わかっているのだろ?ふふふ、それにもうこちらも」
そう言いながら、ワレキューレはすっと巧のまえで膝立ちになると、白い手をのばす。
「あ!うひゃ」
「立派だぞ」
そこにはまさにそそり立っている巧の肉棒が握られていた。
「でわ、失礼する」
ぐっと急所をにぎられ動けない巧の上に乗りかかるようにワレキューレの美体が迫る。
「だめ、だめですよ」
あわてる巧を深い緑色の瞳が優しく見つめる。
「本当にだめか?」
「え?…そっそれは」
おもわず口篭もる巧の顔に、ワレキューレの整った美貌が覆い被さる。
「ふふふ…んっ、んん」
「うぐぅん」
柔らかい唇の感触の後に、巧の歯の間をぬうようにして女戦士の舌がにゅるりと入り込む。
「むぅ」
「んぐぅ…唾液も…くだされ…んん…ずずずず」
まるで吸引されるように巧の口の中に唾液が溢れだすと、美女の甘い舌先が丁寧にそれを掬い取り、さらに頬をすぼめるようにしてズルズルと吸い上げる。
「あぁ美味しい…まさに甘露…んっんっ…巧殿ぉ」
ぐったりともたれかかってくるワレキューレを窓際で座り込んだ巧が思わず抱きとめる。
その腕の中の柔らかく甘い肢体に青年の残り少ない理性ははじけとびそうだった。
さらに、巧に抱き締められながらワレキューレはそのすらりとした手で巧の股間をそっとにぎり上下にこすりあげて奉仕する。
しゅっしゅっと白い手が強弱をつけて大事そうに肉棒をさすり、それにあわせるように美女の真赤な唇が巧の首や肩にちゅちゅっとキスマークをつけていく。
「いいですか?私の手は?巧殿?」
「あっあっ、いいよ」
まるで熱にうなされてうわごとを言うように巧は快感をつたえる。
それを聞いた女戦士は美貌を嬉しそうにすると、さらに熱心に亀頭を指でこすりあげ先走りで濡れたネトネトの手のひらでじっくりと肉鞘を掴んで上下に動かす。
やがて、巧の顔中がワレキューレの舐めるようなキスで埋め尽くされ、白い手の中で起立する肉棒がまるで火を噴くようにドクンドクンと脈打ちだす。
「あぁ、もう僕、たのむ」
「ええ巧殿、それに、私ももう…でわ、失礼して」
また、巧の口にあふれる唾液と言う名の力の源にそっと吸いつきながら女戦士は立膝で器用にバランスをとると、巧の腰の上をまたぐように馬乗りになる。
「巧殿…よろしいか?」
ワレキューレはさっきまでの様子と多少ことなり緊張したおももちでその美貌を染めると、そっと壁にもたれかかり座る現代の戦士に声をかける。
「……うん」
巧は初めてのディープキスと手コキでぼんやりとなった理性を簡単に放棄すると、美女の誘いに催眠術にかかったように頷き返す。
「ふふ」
女戦士は満足そうに微笑むと、自分で腰に巻かれていた白い布をそっと摘み上げ口にくわえ、白い指先で股布を横にずらす。
ごくりっと巧の喉が期待に鳴る。
白いローブの隙間か、らワレキューレの金色の輝く茂みに同じく色素のうすいしっとりと清楚な肉の泉が見えていた。
そして、そっとその芸術的にくびれた腰がさがってくる。
巧はまるでそれを迎え入れるかのように、手を伸ばすと女戦士の腰にあて肉の槍でつらぬこうとしっかり固定する。
「たっ…巧殿いきますよ」
今までに無くひどく緊張したワレキューレの声。
「…うん」
二人が熱く濡れた瞳でみつめる中、巧の勃起した肉の先端が白いスカート状の布で隠された美女の脚の間に徐々にうまって見えなくっていく。
やがて
「うぐっ」
「んっ」
口に長い腰布を噛んだワレキューレが頬を染めてくっと首をふる。
「んっんっ…ううぅ」
巧も亀頭の先端にさわっと筆の先のような柔らかい陰毛の感触を感じた次の瞬間、しっとりと濡れた肉が周りから抱きつくように肉棒の先端を包み込む。
そのねっとりと纏わりつく肉の入り口を押し開くように、ずぶずぶと女戦士の細い腰が下がり、巧はそれを急かすように腕に力を込めていた。
「あぅう、ううん」
「あぁ、すごいよ、なんだか吸いついてくるみたいだ」
巧はその引き締まった腰から張り出した丸みのあるお尻に指をぎゅうっとめりこませて、ぐいぐいと下に引き下げる。
「あふん…うん…んっ」
ワレキューレは鼻で荒い息をはき、噛み締めた布に唾液の染みがひろがっていく。
くねくねと魅力的な腰が動く度に、腰に巻かれた布で隠された内側でしっとり濡れた秘肉が巧のペニスをじりじりとくわえ込み飲みこんでいく。
その度に濡れたヒダの一枚一枚がまるで別の生き物の小さな手のように蠢き、微細で絶妙な感触で巧の肉棒にぎゅうぎゅうと締めける。
「あぅう、しまるぅ」
青年が恍惚とした声をあげるのを、満足げにききながら美貌の女戦士も己の体を初めてつらぬく肉の槍の心地よさと圧迫感に耐えていた。
「あんっん」
ぎゅっと歯で布を噛み締め、ふるふる震える内股に力を入れるとまたゆっくりと腰を降ろそうとする。
その時、亀頭の裏をこすられた女戦士の肉壺の微細な突起が、快楽の電流を走り抜けさせる。
「ふはぅうう」
「うう、気持ちいいぃ」
びゅくっと愛液と先走りがほとばしり、布のスカートの内側からまるで小水のようにボタボタとこぼれでる。
「あふぅ」
その余りの気持ち良さに女戦士は気が抜けたような声をあげると、口からハラリと腰布を落としてしまう。
「はひぃ…はぁぁ」
頬をそめ潤んだ瞳の美女は、そのまま力の抜けたむっちりとした桃尻ストンと落とすと、図らずも待ち構えていた巧の肉槍にずんっと肉壺の奥の奥まで一気に貫かれていた。
「!!!っっ…はうぅ…あああぁああああ」
その衝撃にワレキューレは天井を仰ぐように上をむくと、その美貌をふるわせ口から舌をつきだしブルブルと体中で震える。
「たっ巧殿のが、私の奥に……あぁ…深く入って…あぁん」
「うっうん、僕もわかるよ」
しばらくそのしっとりと絡みつき締め上げる肉の穴を堪能すると、巧はふるふると震え恍惚とした女戦士の美貌を見上げながら、腰を下からぐいっと突き上げてやる。
「あふぅ、あぁ今中で巧殿が動かれた、あは、これがまぐわいと言うものか…こんなに気持ちいいとは癖になりそうだな」
ぼっと頬をそめならワレキューレは自分の体の下で腰を小刻みに動かす巧に妖艶に微笑みかけると、その胸に手をつき自分からも腰を動かしだす。
ずっずっずっと肉ヒダに包まれた肉棒がこねくりあわされ、亀頭の先が女戦士の肉壺の奥をひっかきまわす。
「うふぅう、すごい、あぁこれが巧殿のお力の源か…うふう、お腹の中がジンジンするぞ」
ワレキューレはその長い金色の髪をばさっと翻すと汗の玉をとばしながら、腰をまるで擦りつけるように蠢かす。
「そんなに動いちゃ」
「しかしこれは、きもち良すぎて…あんっ……姉さま達が運命の戦士から離れない理由がいまならわかる…こっこっこんなに気持ちがイイなんてぇ…あぁ、あっあっあっあっ」
巧も汗と淫液にぬれて腰をくねらす女戦士の姿にさらに股間をあつくする。
二人の動きがまるでシンクロするように重なり、ずちゅずちゅっと白い腰布の奥から今まで以上に激しい音が響き渡る。
金色の髪が豪奢にひろがりまるで翼のように揺らめいて女戦士をさらに幻想的に美しく見えせる。
「あんっあんっあんっ」
ワレキューレの体が上下にガクンガクンとゆれるたびに、白い布でかくされた結合部がぐちゅぐちゅと音をたて、バンダナにつけられた羽飾りがピョコンピョコンと跳ね上がる。
やがて、その汗と淫液にまみれた肉の交わりも終わりに近づいていた。
「あうぅ、もう、もう出る」
巧がぐっと眉をよせるよ、上下にリズミカルに動いていたワレキューレの細い腰にがっちりに手をかけて、生殖本能に導かれるまま、中に出そうと抉りこむように肉棒を打ち込む.
「あひぃい」
ずんっと音がなるほど肉と肉とがぶつかりあい、そしてビュクビュクと精が放たれる。
亀頭の先がいままで以上に美貌の女戦士のたっぷり汁のつまった肉壺の奥にめり込むと、直接種つけるようにコッテリ濃い白濁液を流し込み続ける。
「うう、気持ちいい」
「あ、あ、あ、あ、出てる、巧殿の力が私の中にぃ」
白い喉をあえがせ、端正な口の端から唾液の筋をひきながら戦乙女はいっきに絶頂の頂きにかけあがっていた。
「いくぅう、いっちゃう……あぁ…たっ巧殿ぉおおおお」
その子宮の奥に守護すると決めた青年の迸りを受けながら、ワレキューレの意識は白い光に埋もれて気持ちよく飛んでいた。



ピピピピッ
何処か遠くで朝を知らせる小鳥の声がしている。
……もう朝か。
そしていつも通り
「おっはよ〜ささっとおきなさいよ巧」
どがっと布団が蹴飛ばされる。
この15年いつも変わらずくり返される朝のあいさつ。
そう巧の部屋に起こしにくるのは、母親ではなく小さな頃からお隣の岬家の一人娘、美和ってことは暗黙の了解事項だった。
「ほらほら、起きた起きた、おばさんがもう朝ご飯作って待ってるよ、ほれ、起きろ〜〜」
どんっとまた蹴飛ばされる布団の塊。
そこでようやく、もぞもぞとぼさぼさ頭が布団の中からひょっこり出てくる。
「おはよ、もう朝か……ん?どうったの?」
巧はここでいつもと違う展開に徐々に頭が冴えてくるのを感じていた。
いつもなら朝立ちをみつけて「きゃ〜何してんのよ」と踵落としの一つでもくりだすはずが、なぜか目の前のお隣さんは無言で立ち尽くしている。
よく見れば、その顔は蒼白とういか、紙のように白い。
そして唇がわなわなと震え、気丈な瞳がある一点を見つめている。
「ん?」
その視線の先は、巧ではない、そう巧のすぐ横のようだ。
すぐ横?
ぼんやりした頭で振り返るそこには……
「あがっ」
全裸で眠るワレキューレの姿があった。
しかも会った頃と同じ、幼女の姿にもどり幸せそうに腕にしがみついてスウスウ寝息を立てている。
「こっこれは…あの…」
ギシギシとまるで錆びた鉄のように首をひねって振り返る。
そこには鬼のような幼馴染の顔。
「これは何?」
ふるふる震える拳はまさに死のオーラを放っている。
どうする?何とかうまくごまかさないと。
すでに全裸でどう見ても犯罪な女の子が隣で寝ているところ目撃されてごまかすも何もないのだが、巧は一筋の奇跡を信じて気持ちを振るいたたせる。
「聞いてよ、みーちゃん、これはね」
その時、巧の隣もっそり起き上がる幼い姿のワレキューレ。
「なんだ、朝からうるさいぞ巧殿、少し黙れ、ほれ」

んちゅ

ワレキューレは無造作に巧の頭をそのぺったんこの胸に抱きかかえるとキスをする。
もちろん舌をこじいれて唾液を啜るのも忘れない。
「んぐ、んんんん」
目を白黒させる巧を無視して少女は朝一番の力の源をゴクゴクと飲みこむと、ぷはっと口を放してまた布団にパタンと倒れこむ。
「私はもう少し眠る、昨晩は激しかったからな」
勝手にそう言うと、巧の腕をひっぱり頭をのせ何事もなかったかのように目を閉じる。
そして、残されたのは二人の幼馴染同士。
見つめ合う二人の視線はツンドラ並に吹雪いていた。
「最低!たー君のバカ!死んじゃえ!」

ゴキン

強烈な平手打ち・・・・ではなく、本気の握り拳が巧の頬にはじけ飛び
次の瞬間、美和はばっと巧の部屋から駆け出していってしまう。
「……うぐぅ…みっみーちゃん〜〜〜」
バタンッと勢いよく部屋の扉が閉じられ、階段を駆け下りる音の後玄関から誰かが走り出していくのを巧は頬を押さえながら聞いていた。
「……巧殿頼むから静かにしてくれんか、朝は苦手なのだ」
そして横では自分勝手な自称巧の守護者がもぞもぞとまた声をだす。
「なっなんだよ!ワレキューレのせいで朝から酷い目にあってんだよ!だいたい何でまた小さくなってるの?」
そういわれて初めて気がついたようにワレキューレは眠そうな半眼で自分の体をみつめる。
「ふむ、どうやら一晩で消耗してしまうらしいな、うんうん」
一人で満足げにうなずいている。
「そっそんなぁ」
涙目の巧を見ながらワレキューレの少女はにこやかに笑うとそっと上半身を起こす。
「そんなに心配するな巧殿、毎日やれば済むことだ」
「え?」
「では、朝一番をいたすとするかな、失礼するぞ」
そういうとおもむろに少女の金色の頭が布団の中に潜っていく。
そして巧を覆う布団の股間部分がこんもり膨らむ。
「え?何?ちょちょ……あぁぁ、あうぅ」


数分後、巧の部屋から金色の光が立ち上っていた。
「ふむ、美味だった、どうだ?昨日より口でするの上手になったであろう?巧殿」
「そっそれは…ちょっなんで抱きついてくるの?」
「ふふ、解っているくせに、昨晩は何度も何度も行ったではないか?んんっ巧殿ももうこんなに…ああん…素敵だ、流石は私の戦士殿……うはぁんっ、ずぶずぶ入ってくるぅ」

こうして、大崎巧とワレキューレの奇妙な共生生活がはじまったのだった。


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