【イシュティ公爵記】
【第2編、シェイドアルカンの星追い狼編】【第5章】
「こくおうへいかにぃーーー対し!!敬礼!」
ざっ
挙手が上がり50余人の「星追い狼」紋のフロストブンカーは敬礼し、50人の文官と職工達は頭を下げる。
うわさを聞きつけた国王が赴任の登城の際に雇用人達を城に呼ぶように言いつけたのだが中々満足そうだ。
「そなたに用兵の質があることは知っていたがこれがそうか?なるほど・・・・・」
実際典礼用としても見事に見えた。系統だった育成教育を行なったが軍隊で言えば3ヶ月は新兵からやっと兵になる頃で仕官の教育ならまだ序の口の段階である。下手なことでボロが出ないようヒサイエは付け足す。
「訓練が足りません。まだまだです。国王陛下行ってまいります。」
ヒサイエ自身もビッっと敬礼してみせると回れ右し、
「まわれーみぎ!前ぇぇぇえ!!進め!」
ヒサイエは王城を辞した。
ビンツ郡はシェイドから徒歩7日の所にある。家族もいるので一度に移動せず5派に分けて馬と馬車で移動することにした。シェイドの城館は募集した数人の傭兵、文官とその家族に維持を一任しシェイドの拠点を維持することにした。
レッグフォレスト男爵夫人はこの3ヶ月半で本当にヒサイエに妊娠させられていた。それを知った時のサーラの感謝の想いはすさまじく服従の誓いと信じる口淫をして、ハーシェにならって飲尿までして約束どおりメス奴隷として永遠に服従することを誓った。飲尿させるときハーシェ以上の突然の精力増強がまき起こり止まらなくなった。すぐに女官全員を交代で呼んで片っ端から強姦していった。一番激しく攻められたのはアンとポーラだった。全員気死するほどやられたがこの二人は下半身の成熟がちょうど良いと判断していたので射精しまくった。最後にリリアのアナルにぶち込んで射精しがどうしてもむらむらが収まらず。このままでは女官全員を破壊してしまいそうだったので、ヒサイエはハーシェとチカを馬車に積んで雌猫館に乗りつけた。昼が終わらないうちから娼婦を買って射精しまくった。
中でも雌猫館最高の美人と言われる蜜柑色の波打つ髪の18歳の娼婦ミアはガツンガツン下半身を押し込まれた。ヒサイエはどうしても誰かを妊娠させたいと思ったので、激しい想念が念話として漏れ出した。
おれの・・・・・せいえきで・・・・・に・ん・し・ん・・・せいや!
とサーラを抱いたときと同じ思念だったので一晩中腰を抱いて、ものすごい量の精液を注ぎ込んだ。ミアも強制クリーニングを受けたのと同じ状態になり開放されたときはすっかり妊娠マニアになっていた。
この後、ミアは客の精液で8人の娘を産むことになる。仕事上アプテの樹液を使うので全員娘だった。
レッグフォレスト男爵未亡人はヒサイエの公認の愛人になった。お腹をいたわるために口淫と手で奉仕するのだが、自分を母親にしてくれたヒサイエへの情のこもった口付けはそれを見た周囲の女官達が股を抑えてへたり込むほどのものだった。リリアを含め、未熟な何人かは足元に愛液を漏らして水溜りまで作った。
サーラも他の女官と同じに神聖魔法のコントロールを覚えようとしていたが貴族だけあって元々魔法のキャパシティは大きいらしく最初の頃は暴走してヒサイエを悩ませた。ハーシェが隣についてやっと暴走は収まるのだが旅の途中、ぶちのめして良い山賊団や娼館を探して歩く事もあったほどだった。
【ビンツ郡】
長い山林をぬけると。すでに刈り取りが終わった畑が広がった。
盆地にあるビンツ郡の城館が見える。とおってきた道すがらの農家と畑は貧しく住民は幽鬼のように見えた。
前伝で今日つく事を伝えたので途中、前任者が送り出したキャラバンにもあった。どうやらヒサイエに城館を引き渡してすぐ出たい意向のようだった。
代官城館は立派なものだった。実用専門で趣きはないが石垣で組まれた城壁や門中、空掘りの堀など野城といった雰囲気だった。日本の城に近い印象だった。
城門を入ると品のない小ずるくやせた印象の男が出てきてヒサイエを迎えた。名前はカークと言った。
「ようこそおいでくださいました。ひっひっひ・・・・」
シェイドに帰れるのがうれしいのか奇妙な笑い方だった。すでに馬も用意して彼らはすぐに出発するらしかった。
「ビンツ郡出身者の召使や下働きは置いてゆきますので御所分は自由に。住民の代表者たちは召使に言えばすぐやってきますので治め方を伝えればよろしいでしょう。」
前代官はヒサイエにそのように伝えると召使の列によって一人の女にスケベったらしいねこなでこえを掛けた。
「アニィース。ほんとに付いてくる気はないんだねぇ?うん?」
青く固まった女の口から、はい、と噛み締めた言葉がでてくると前代官はおろかしい、と言わんばかりに肩をすくめるジャスチャーをした。
「では、わたしはこれで・・・。」
ヒサイエに一礼すると城外へ出ようとする。遅れて入ったレッグフォレスト男爵夫人とハーシェ達女官が馬車から降りてくるのを見てあんぐりと口を空け、次にヒサイエを一瞥し何か怒りを感じたようだった。
「ごくろうさまでした。」
ヒサイエが仕方なくそう声を掛けるとカークは怒り顔のまま馬に乗り、部下とさって行った。
城館の残った者達の顔を見た。男が30人ほど女が10人ほどで年齢はさまざまだった。しかし、男と女の中には明らかに剣呑なだらしない雰囲気の者達がおりヒサイエは気に入らなかった。
「これで全員かね?」
ヒサイエは歩み寄って手前の男に聞いた。言葉の途中で男を押しのけて後ろから不潔ななりの城兵崩れといった連中が押し出してきた。
「歓迎しますぜ。おい!」
城館のあちこちから弓を構えた山賊のような連中がわらわらと現れた。並んだ城兵崩れ達も抜刀してヒサイエを取り囲む。なるほど前代官は山賊達と妥協してうまくやっていたのだ。弓矢は20本ほど見えた。50人がヒサイエの敵になりそうだ。
チラっと後ろを見ると女官達は馬を離して馬車に乗り込んだようだ。男爵夫人と女官達は3台の馬車に分乗して乗っていた。弓止め鉄板を張った頑丈なもので一時的な矢雨に耐えられるようになっていた。後は20人の兵が幌付の荷馬車に分乗していたから弓矢の支援を受けられる連中はかなり優位だ。入ってきた城門が閉められ退路も絶たれていた。
「話合ましょうや。へっへっへ。代々の代官さまとはうまくやってきたんですぜ。代官さまが、あっしらを好きにさせる。代官さまは決められた税を王国に送れる。それだけでさぁ。へっへっへ。おおっと、ここへ来た兵隊は死んでもらって馬車の女達は諦めてもらいますがね。」
舐めきった口調でヒサイエにしゃべりかける。
「前任の代官は君らを継続して雇うかは好きにしろと言っていた。君らを継続的に雇う意思はない。それと代官に弓引く者をビンツ郡に置くわけにはいかんな。」
ヒサイエの言葉を聞いた頭がいきり立つ。
「決裂だ!やっちまえ!」
「やれ!」
ヒサイエの方も合図する。城館に入る前に異様な雰囲気を察したハーシェ達が前もって注意していたのだ。
頭が急にへたり込む。後ろから両足首のところで切られたのだ。頭の周囲で抜刀していた山賊達が同じように倒れる。姿を表したのは黒覆面黒装束の女だった。
「ギャーーー」
並んだ女達の悲鳴と倒れた男達の悲鳴が重なる。山賊達の弓矢がヒサイエと兵達に降りかかるが不思議なことに途中で威力がなくなったようになって兵隊に届いてもへろへろと地面に落ちていった。神聖魔法の「障壁」、チカが背後に回ると同時に馬車やフロストブンカー兵にハーシェ達がかけたものだった。
山賊達は驚愕するがフロストブンカー兵達は槍や剣で山賊達に突入を開始する。組織だった槍衾に山賊達はあわてた。剣を銘々抜いた山賊達はすさまじい剣風のヒサイエと旋風のような黒装束の女にかく乱されているところにフロストブンカー兵の槍衾を受けすぐに背を向けて城内に逃げ出した。
「第一分隊はここを警備!第二、第三分隊は城内を捜索せよ。いけ!!チカも頼む。」
城門広場には振るえて動けない女達が残っていたが中のアニスと呼ばれていた女はキッと青ざめた顔を上げていた。
「君らも連中の仲間かね?」
ヒサイエが聞くとアニスが口を開いた。
「わたしは違うわ。こいつらはそうだけど。」
アニスはヒサイエが感じていた年配でだらしない女達を指差した。女達は自分達の生存の危機に抗議の声を上げるがヒサイエは無視した。
「君達に見張りを付ける。不信な行動をすれば賊達と末路は同じだ。一応考慮して君達を二つに分けるがね。軍曹!彼女達を分けて監視せよ。」
はっ!敬礼して分隊軍曹が部下を引き連れてやってくる。近くの部屋を二つ確保してそれぞれ押し込むと歩哨を置いた。
そうしているうちに城内の掃討は進んだ。あちこちに分散して弓を構えていた連中は次々と捕まり抵抗したものは成敗した。城を抜け道から逃げようとするものもいたがチカの追跡から逃げられるものは居なかった。
夕方までにケリはついた。50余人の賊達は20余人となった。重症者はと止めを刺した。
取調べを行ない分かったことはビンツ郡の賊達が城館にいた連中だけではないということだ。今晩、首尾を確かめにこの城館にビンツ郡の各山賊勢力のが集まるらしい。女達は山賊の女房や情夫のグループと近隣の村から集められたアニス達のグループと二つに分かれていた。
「山賊どもに屈することはない。全員捕まえるか殺す。」
ヒサイエは言い放つと捕まえた賊達を前に言い放った。
「お前達はこれからやってくる山賊達を城内に引き入れ殺すか捕らえろ。お前達を懲罰部隊として扱われ戦功によって情状酌量してやる。やり方はお前達が我々にしようとしたやり方でいい。弓は我々が持つし、城から逃げ出したヤツはアサシンに追わせて殺す。戦わないヤツは殺す。いいな?」
良いも悪いもなかった。今捉えた賊だけでもフロストブンカー兵と同数なのだ。自分達の弓が止められたのも見ているが30人の広場にいた抜刀隊の影から突然湧きだした得体の知れない黒装束を見ていたので、あれがアサシンかと理解したのだった。冗談じゃねぇ。賊達の誰もがそう思った。
三々五々に来る山賊達を城門の上から城に居た賊達が広場に誘いこむ。ヒサイエが一人出て行って降伏を勧告する。従わないヤツらには懲罰部隊が襲い掛かるのだ。城に何が起こったか判断できるか代官の意向を素直に聞くヤツらは降伏した。3人の頭が降伏し4人の頭が切られた。新たに18人が降伏し20余人の懲罰部隊が5人死んだ。
すぐに、切られた4人の頭が率いる山賊アジトや村が調べられ翌朝次々とアジトを襲った。懲罰部隊と降伏した3人の頭達も懲罰部隊に組み込んだ。討伐途中逃げようとする山賊達が出たが、道を外れたすぐ後チカが命を奪ってフロストブンカー兵が死体を引きずって現れたのでもう誰もがヒサイエ達に逆らわなくなっていた。
2日でビンツ郡の山賊達は壊滅した。降伏した賊たちは必死で剣を振るった。土着の人間が多く顔見知りも多かったが、得体の知れない代官に逆らえないことを骨の瑞までしみこませてしまった賊達に「お代官さまに逆らうものは殺す」と大声で村人の前でわめかせた。支配者が賊ではなくヒサイエである事を徹底させねば後々危ういと思ったからだ。
厳しい詮議と取調べを行ない賊達の諸業が明らかになる。大半は村からあぶれてしまった者達だが悪党をやった報いは受けねばならぬ。2年もすればヒサイエは山賊が跋扈できない体制を作れる自信があったので焼印を押さずビンツ郡を追放処分にした。情状酌量の余地あるものは自分の家族の元に返すことを承諾したのだった。
女達の内、賊の側の者達は追放し、城に残った囲われ女は6人ほど居た。家族の元に返してやるというと返れないという。
「代官さまの城館の下働きになれば税の一部を免除する決まりなんです。」
アニスが代表して言った。若い村娘達ばかりなのはそういう理由からなのだろう。自分が帰れば税の免除がなくなると思っているのだ。新しい代官なので約束が反故にされないか心配なのだ。アニスは凛とした空気をもって村娘と空気が違った。チカに近い青黒い紙に白い肌だが畑仕事をやるのだろう女官とは違い地面で働いている女の体だった。後で事情を聞くと15歳で郷土騎士の娘だがこの秋、納める税が払えず。来年以降も無理な見通しになったことで自分が労役に来たということだった。
ヒサイエが難しい顔をするとアニスがあわてて言った。城館に労役に来る者は体を自由にされる覚悟ができているので好きにしてくれていいと。その、代官さまの女官さまとは比べられないと思うけど・・・。と最後の方は小さな声になった。
ヒサイエは意見保留とし城館の下働きとして残る事を許した。アン達の下につけて働かせれば体面は立つだろうと思った。
続々と後続の馬車が到着する。城館は序所ににぎやかになったが近隣の村長を招集したときにはヒサイエは面食らった。どの村長も村で成人の儀が終わった女の子を伴っていたからだ。聞けば代官とその取り巻きに見せて気に入った女の子がいれば城館でそのまま働かせて税を免除する決まりという。長い山賊の統治がそのような風習を生んだのだろう。
ヒサイエは山賊が全滅していることを伝え街道でさらしモノになってる各首領達の首を見せた。今後、女の子が望んでくる以外はそのようなことをしなくて良いと伝えた。村長達は動揺したが何とか理解したようだった。娘達の貞操を山賊に与えることで村の安全を守ってきた決まりだったからだ。しかし、山賊を一掃した代官さまのおっしゃることに従うことにしたようだった。
幾つか決まり事を確認すると女の子を引き取らせ解散させた。ヒサイエは代々の代官の諸業を書き国王に報告したのだった。
ヒサイエは村民に現金を払って仕事をやらせた。現金収入がめったに無く穀物も安く買い叩かれるこの土地ではありがたい仕事となったようだ。材木を切らせ、石を運ばせ放牧予定地に放牧場施設を作らせたり、冬を越すための草を集めさせたり。小規模ながら紙の製造所を作り原料の樹皮を集めさせた。畑と道を作り直したり新しく作ったりした。
ヒサイエはL字型の馬坊と居住が繋がった形の家屋を建てさせ馬坊の上に部屋を作った。将来養蚕をやらせるつもりだったので規格化した建物として家族で移ってくる雇い人に住まわせた。
11月に入ると放牧場に雄牛を大量に入れた。放牧場と言っても原野を囲っただけだったので山林と雑木林が広がっていて手が付いていない。雄牛は雑木林を踏みつけ好きな草を食べては糞をする。糞の中で他の種より優先して栄養をもらって発芽する草はどんどん増えて牛好みの牧場が広がって行く寸法だ。牧草地は容易に畑に転換できるから好都合でもあったのだ。
ヒサイエは1軒店を開らかせた。塩、酒、小物などの必需品を売る店を儲からなくても良いから金を消費する場所を作り農民に働いた金を使わせることを覚えさせようとしたのだ。店の売り上げを記録して領民の豊かさを量ろうというつもりだった。これまでは行商がやってきて物が選べない上に値段も安くはなかったとのことだったのでヒサイエがまとめて仕入れて値段を抑えることにしたのだ。
冬の室内でできる機織や原料の綿をヒサイエは買いそろえた。雇い人の家族でシェイドの城館で機織ができるようになったのでこれもまとめて大量に仕入れた雇い人の家族の他、城館にも人数分仕入れアニス達に使わせることにした。
冬の準備は着々とすすんで12月ビンツ郡はとうとう雪を迎えた。
次の章へ
投稿小説の目次へ