☆忘れられたモノ…

 “黒豹”のシェイドが見付けた時、其処は酷い有様だった。

 山猿にでも襲われたのだろう。

 豪奢な馬車は脱輪横転し、その守備に当たっていた兵士は、身包み剥がされて転がっていた。

 体に走る真新しい無数の刀傷や焼き鏝の跡から余興の為に嬲り殺しに遭ったようだ。

 目玉が抉られ、陰茎も切り取られている。

 馬車馬も美味い部分だけ持ち去られて骨だけだ。

 既に根こそぎ持ち去られた後だった。

「つまんね…」

 何か“喰い残し”か、“忘れ物”があるかと思ってブラリ立ち寄ってみたら何も無い。

 陰惨な光景も戦士である彼には見慣れた光景だ。

 彼にしてみれば、人間の焼けるニオイなどは食欲を刺激していけない。

「ん?」

 くん…

 鼻をヒクつかせると、人肉の焼ける臭いに微かな香水の香りがする。

 誘われるように匂い発する場所に四足で歩み寄ると、其処には綺麗な“人間”の娘の骸が草木に隠されるように大きく股を開いて転がっていた。

 股座から黄色い精液の残滓が流れる。

 山猿共は死してなお彼女を穢したのだ。

「あ〜あ、こんな赤ん坊まで…可哀想に」

 首筋の綺麗な傷から暴行される事に耐えられず、自ら命を絶っている事が分かる。

 死姦された後なので、剥ぎ取られた衣服、その身に残った上質な絹の切れ端から判断するに高貴な女性なようだ。

 その胸には生まれて間もない赤子がしっかり抱かれていた。

 自害する前に殺めたのか、赤子の首筋にも傷が一筋…

「なんまんだぶ、なんまんだぶ…」

 死者を悼む呪言を唱えながら探ってみると赤子を抱えた掌にしっかり金のロケットが握られていた。

 開けると中には、娘とその伴侶であるらしい男の肖像。そして、指輪が一つ。

「幾らかにはなるか…貰っとくよ。あの世には持って行けないだろ?」

 懐にロケットを忍ばせたその時…

 おぎゃぁぁぁぁぁぁっ…

「うぅっわ!いいい、生きてる…」

 これにはさしもの彼も堪らず吃驚こいた。

 死んでるものと思っていた赤子がいきなり泣き出したのだからそれも当然だ。

 首筋の傷は浅く、皮一枚を引いただけの躊躇い傷だった。

 シェイドは胸に赤子を抱き、暫し呆然となる。

「やれやれ…だ」

 彼は耳を伏せ、髭をだらりと垂らして脱力した。



 『人ノ獣(ヒトノケモノ)』



☆極妻は信じてくれない…

「…で、何処の女の?」

 シェイドが赤子を連れ帰ると、妻のサーシャは開口一番こう言った。

 先日生まれた本当の赤子を抱きながら大変御立腹の様子…

 酔い潰れて出産に立ち合わなかった所為か、はたまた稼ぎを飲んでしまった所為か?

 殺気の篭った妻の視線に恐れを感じながら黒豹は口を開いた。

「俺の子じゃぁない!見れば分かるだろう?どっからどう見ても、“此処”からしても、まるっきり人間じゃないか!?」

 湯浴みさせていた赤ん坊を掲げ、股間の小さなモノを晒して必死の弁明を試みる…が。

「娼婦街には、い〜い女が居るそうじゃないか?」

 …無駄なようです。

 彼の娼婦街での御乱行まで伝え聞いているようだ。

 確かにシェイドは自他ともに認める女好きだ。
  
 彼ら獣人と人間は“交配”も出来る。

 まるっきり雄の種が反映しないという事はあり得なくもない。

 妻の抱くかわいい娘も母親譲りの白い毛並みだ。

 人間との間に“まるっきり”なのが、生まれる事も百歩引いてあり得ること…なのかもしれない。

 しかし…

(違うって…)

 自業自得とは言え、げんなりだ。

 妻は融通が利かない。おまけに押しが強い。

 優秀な戦士でもあるから例え出産直後であろうとも、力ずくで分からせるには切った張ったの殺し合いになるだろう。

 嫁に迎える時にも殆ど殺し合いの末、半ばレイプする形で言う事を聞かせている。

「うぅ〜っ!?」

 床に転がり込んで何もかも放り出したくなる衝動を堪えながら唸りを上げ、思考する。

 奇蹟的に生き残った子供をスープの出汁にして食卓に上らせるのだけは是が非でも避けたい。

 となると…

「悪かった…俺の子だ。面倒見てくれ…」

 深々と土下座〜…

 スープの出汁にすればさぞかし美味いだろうが、哀れな母親の手前もあるし、愛する妻を今更殴る蹴るのドメスティック・バイオレンスするのも忍びない。

 黒豹は仕方なく…折れた。
 
「うん…どうやら本当にアンタの子じゃないみたいだ。ほら、お寄越し!」

 認めると直ぐにニンマリ笑って掌返された。

 呆然と立ち尽くす彼の手から妻は赤子を奪い取るように胸に抱き寄せる。

「お〜い?」

「アンタは嘘吐きだからね…あら〜、笑ったよ。ハハ、かわいいなぁ。ディフティ(獣人)の乳で育つかねぇ?」

 新しい家族になった赤子を愛子ながら妻は幸せそうに微笑む。

「ふう…」

 取り敢えずスープの出汁にする事は避けたようだ。

 冷汗脂汗、胸を撫で下ろしたその時…

「…で?アンタ、何処で盗んで来たの!? 」

 妻の止めの一言にシェイドは今度こそ床に突っ伏した。

 ゴロゴロ…ごろにゃあぁぁぁ…



☆立派に育ったのに、タコ殴りなのです…

 その後、赤子は母親との死別をものともせず、健やかに育った。

 年は十を数え、今日晴れて成人を迎える。

 無造作に撫で付けただけの金のざんばら髪にボーっとした人の良さそうな顔、年齢からすれば高い身長、筋肉質な体躯。

 義父“黒豹”・義母“白兎”を師とし、若年ながら戦士として技量優れている事は誰もが認めるところだ。

 真っ直ぐな心根は好意を以って迎えられ、半ば仲間として受け入れられている。

 “人間”であるというただ一点を除いては… 

 その為、庇護を必要とする存在として預かり置いたが、今以て名前すらない状態だ。

 “黒豹の仔”…成人を迎え、彼を仲間とするか、追放とするかの裁定を待つ。

 暗闇…

 篝火の下…

「黒豹の仔よ。お前はディフティ(獣人)では…ない」

 族長の重々しい声が闇の中、朗々と響く。

 おぉぉぉぉぉぉ…

 落胆の声…

 それは同胞とすべき少年の追放を哀れみ、異を唱える。

 だんっ!だんっ!だんっ!

 抗議の声、地鳴りのような足踏みは、収まるどころか一層大きくなり、非情な裁定を下した長老を責め立てる。

 おぉぉぉぉぉぉ…

 長老は片手を軽く上げてその喧騒を静めると、ニッタリ人の悪い笑みを浮かべ、付け加えた。

「しかし、戦士では…ある。戦士は戦友(とも)を裏切らない。我々はお前を戦友として一族に迎えるだろう。“ウェグナー”よ。ディフティとしてお前に名を与える!」

 うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?
 
 歓声…

 喜びに沸く群集から一人また一人と親しい者達が祝福を与えに駆け寄って来る。 

「ヤッタッ、ヤッターッ!お兄ちゃん、良かったぁっ!」

 先ずピョンピョン跳ね寄って来た乳兄妹のフィーが、ぽかぽか殴り掛かって喜びを体一杯に示し、彼に祝福を力一杯与える。

 ぼくっ…

「うげっ…あ、ありがと…ふぃー」

 …鳩尾でした。

「やったぜ、クロぉっ!おっと、ウェグナーっ!」

 次に背後から昨年成人を迎えたガキ大将、“大熊の仔”グラント。

 どごっ!

 背中に重量級のたっくる!

「ぐらんと…せ、背骨が…」

「「「やったー、やったーっ、やったーっ!!」」」

 近所の爺ちゃんのラリアット、近所のおばちゃんのフライング・クロス・チョップ、近所のガキ共のサブミッション、密かに抹殺を狙う近所の恋敵のレバー・ブロー→ガゼルパンチ→デンプシー・ロール、義母ちゃんのローリング・ソバット…

 どが、べき、もけ、どっこん、げこ、ばこ…

「のへへへぇぇぇ…」

 黒豹の仔…ウェグナーは、それら全てをノー・ガードで受け止めて獣人達の手荒い歓待の渦に飲み込まれていった…

 ………

 ……

 …集団リンチです。

「さて、戦で誰に付けるか…だが?」

 長老が思案気に周囲を窺うと其処に集団リンチ(?)に加わらない者が一人…
 
 年若い女戦士が腕を組み、壁を背に立っていた。

「おぉっ、ヴェルナ!」

 長老が名を呼ぶと彼女はアイス・ブルーの隻眼を向けた。
 
 彼女の瞑った左目は潰れることなく眼球の厚みを保っているが、瞼に一筋の刀傷が薄く走り、彼女の一方の光を永遠に閉ざす。

「…ん」

 軽く手を上げて応える隻眼の女戦士…“銀狼”のヴェルナ・ヴァルは人間(3)と獣人(1)のクォータである。

 その為か獣人特有の髭もなく、面差しも人間に近い。

 アッシュ・ブロンドの頭髪はウルフ・カット、短毛種で体毛は非常に薄く、肌が透けるほどだ。

 年は16、女性にしては高い身長、固い筋肉に覆われた肢体はディフティの戦士。

 逆に人間的なのは、そのたわわに実った豊満な乳房にある。

 ディフティはその完璧な肉体美を周囲に誇示する為に極力衣服を纏わない。

 彼女もマイクロ・ビキニより更に布地の少ない扇情的な出で立ちをしていて、その豊満な肉体を紐で抑え付けている感じだ。

 股間の食い込みはもとより背後などは尻肉に紐が挟まれて丸出しである。しかし、男を誘っているように見えて、意外に身持ちが固く、彼女を軟派して歯をガタガタ言わされた雄は数え切れない。 

 “銀狼”の尊称を持つ事から見ても、現役で間違いなく五指に入る強力な女戦士である。  

「お前にウェグナーを預ける。名前も何とな〜く似ておるし…うむ、よく師事せよ!」

 長老は鼻を穿り、手をブラブラ…誰でもいいからとっとと決めて、何とか厄介払いしたいという意図が見え見えである。

 それを見咎めた長老の孫、シェン・クォルが異議を唱えた。 

「お待ち下さい、長老!ヴェルナ・ヴァルは確かに良き戦士ではありますが、既に4人の仔を死なせています。養い親のシェイド・ロックか、別の者では?」

 シェイドの姉であり、子供の無い彼女は甥っ子のウェグナーを我が子のように猫っ可愛がりしていた。

 一時は自らの養子として引き取る事も考えただけに余りぞんざいな決め方をして欲しくない。

 本当は自身が戦場に赴き、庇護したいくらいだが、悲しいかな彼女は呪い師であって戦士ではなかった。
 
「シェイドはガラガラ高地で指揮を執っておるし、居たとしてもアイツは9人も死なせているぞ?あ〜と、他は…誰か居ったかのぉ?」

 こう考えると他に中々適任者が居ない。

 戦乱の世、傭兵民族であるディフティの需要は高い。

 優秀な戦士は引く手数多で転戦に次ぐ転戦で帰って来れない程だ。しかも、隠密性がある為、あっちやらこっちやらに散らばっていて所在が掴めない。

 調整はするが、“共喰い”になる事すらしばしばである。

「ベア・ドラ叔父は?」

「両足無くした奴に付けてどうする?シェイドの馬鹿が手加減無しにぶった斬ったわい」

「片親のサーシャ・ルウは?」

「5人目が腹の中じゃ…」

「また子供が出来たの!?」

 弟の“繁殖力”に頭を抱えるシェン。

(なのに何でアタシの時には当たらないのよ…)

 獣人に近親相姦の禁忌は無く、彼女は子を儲ける為に実弟シェイドと性交を幾度も繰り返し、未だ当たりが来ないと言うのにサーシャとの間には五人目である。

 その落ち込み具合も分かるというものだ。 

 ガックリその場に崩れ落ちるシェンを見て、長老は納得したものとして話を進めようとするが…

「では、他に居ないからヴェルナで良いな?…って、皆聞けえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええいっ!?」
 
 …誰も聞いていなかった。

 どか、べき、もけもけ、ぼっかん!…し〜ん。

 長老の怒号で漸く止んだ手荒い歓待(暴行?)の輪から襤褸屑のようになったウェグナーがのっそり立ち上がる。

「…どうも、長老。もう少しで“永遠の蒼天”へ旅立つところでしたぁっ」

 わはははははははははははは…

 少年のホッと安堵した一言に一同から笑いが漏れる。

 …タフであった。

 あれだけ酷い目に合わされたのに、『いやー、参ったね!』と言った感じで頭を摩りながらへらへらとした笑みを浮かべている。

 ちなみに“永遠の蒼天”とは“あの世”のことだったり…

「ウェグナーっ!お前、黙って殴られているんじゃない!“漢”なら全員を殴り倒して、勝てぇっ!?」

 殴られてもニッコリ爽やかな少年に対して長老は激昂していた。

 もろ肌脱いで60を越えてなお壮健な筋肉をムキムキさせながら義理の曾孫に男の心構えを説く。

「はぁ…」

「ぬうっ!ワシが手本を見せてやるぅぅぅっ!」

 ボンヤリ張り合いの無い少年に業を煮やした長老は果敢に戦いを挑む。

 しかし、村に残る一族は300名余。

 爺婆様、奥様達の各面々は現役を退いたとはいえ、今以て予備役で戦場の一端を担うし、未来を嘱望される子供達も侮れない。

 当然結果は…

「こ、こりゃ、待て!わしは長老だぞ!待っ、ギャッ!うげっ…どへええええぇぇぇっ」

 どがっべきべきぼかすかどっこんっめりめりがっぐりぐりぎっきょんぎっきょんばこぎょりぎょりぼこんべしばこごりめけめけどん… 

「長老…そりゃ無茶ッス…」

 少年のむなしい呟きがタコ殴りにされている長老に聞こえる筈も無かった。 

 めりめりぐりぐりぎっきょんばこばこぎょりんぎょりんぼこべしばこごりごり… 

「にょひょひょえええぇぇぇっ…」



☆全員死んでいるそうです…
 
 ………

(ウェグナー君の日記)

 ごがつふつか はれ

 べるなせんせえはとってもびじんで、むちむちです。

 でも、いままでみたせいとは、みんなしんでいるそうです。

 いきのこれたらいいなぁ〜。

 ………

 戦闘民族ディフティの仔は成人すると呪い師といった特殊な職業を別にして、自らの生活の糧を得る為、戦に出る。

 その際、右も左も分からぬ仔を死なさぬ為、また他の者の邪魔にならぬ様に一年間だけ指導する者を付けるのが慣わしだ。

 ヴェルナが過去に預かった子供は四人。

 …全員、死んでいる。

 普通余程子供がヘボか、予期出来ぬ不幸が襲わない限り死ぬことは無い。

 そう指導する者が注意を払わなければならないのだ。

 若い内の一人、二人なら分かる。しかし、それが全員となると疑問を抱かざる得ない。

 曰く、“幼仔殺しの淫婦”。 

「いいかい?アンタはアタシの後ろに付いて斬り殺した相手から金目の物を奪い取る“だけ”でいい!」

 その淫婦さんは、巨乳をぶるんぶるん揺らして彼にそう命じた。

「ほえ〜…」

 ウェグナーの目はそのぼよよん!な胸にしっかり釘付けであったとさ。

 若いねぇ、蒼いねぇ…

 それもその筈、ヴェルナの格好は軍装とは程遠いお色気たっぷりな全裸とも言っていい格好をしていた。

 手甲、ブーツはともかく、七宝で紅色に彩色した金製の胸当て?…とも言えない乳首当てをか細い金鎖で固定しただけの剥き出しの乳房が、少年の目の前で蠱惑的な揺れを見せている。
 
 股間も同様の小さい金飾りで申し訳程度に覆っているが、娼婦やストリッパーが着るような防御無視の淫らな装束だ。しかし、それが色情狂や露出狂染みて見えない。

 銀色の体毛は光を浴びて輝き、無駄な贅肉の無い引き締まった完璧な肉体は神々しくもあり、衣服を必要としない。いや、むしろ邪魔ですらあった。

 宝飾を抑え、最低限ギリギリのの風紀良俗を守る意味も合わせた意匠は、とても艶やかだ。しかし、それは思春期の少年にとって目の保養どころか毒でもある。

 異議を挟むどころか、その魅惑の光景に目が離せない…そんな状態だった。

 この時、少年の心はこの年上の獣人の女戦士にすっかり魅了されていたのだ。

「何処見てる!返事は!?」

 ヴェルナは、注がれる少年の好奇の視線を乳房に感じて苦笑し、態と語気を強めた。

「はい!」

 叱られ、ウェグナーはピンと背筋を伸ばし、出来るだけ彼女を見ないように目を彷徨わす。

「こっちを向け!失礼だろう!?」

「はい〜…」

 今度は何処を向いていいのか分からなくなった。

 ヴェルナはその初心な様子が面白くて仕様がないと言った感じでニヤニヤとまるで虐めッ子のような笑みを浮かべる。そして、戸惑う少年の頭をガッチリ掴むと、豊満な乳房にグイッ!っと押し付けた。

「こっちを向けって!ほれほれ…」

「むぎぃ〜っ!?」

「アタシがお前を強くしてやるよ。んふ…“黒豹”のシェイド・ロック?“大鷲”のガナッシュ・レイ?それがなんだいっ?誰よりも…強く。あ…あは…」

 グイッ!グイッ!

 他愛ない悪戯は徐々にエスカレートして行き、ヴェルナは胸当てから乳首が食み出ていることも構わず、体を揺すり、息荒くその行為に熱中する。

「ハァ、ハァン…アン」

 何時しか彼女の露出した薄桃色の乳首は固く勃起させ、甘い声を上げていた。

「のへへへ〜…」

 むっちりとした乳房の柔肉に顔面を包まれ、興奮し尖った乳首に頬を擦り付けられたウェグナーは、苦し気でありながらも、至福の悲鳴を上げる。

 思春期間近の純情少年ウェグナーと早熟な肉体を持て余し体の奥底を熱く疼かせる女戦士ヴェルナ…いつ男女の一線を越えて瓦解してもおかしくない、ちょっと微妙な均衡に保たれた淫靡な師弟関係…コミュニケーションもスキンシップもバッチリだ。

 好キ者ドモメ…

 しかし、初戦とは言え、少年を戦闘に参加させないというのは異例だ。

 一人前の男として極力戦闘に参加させ、危なくなったら補助してやるのが付き人の役割。

 これは少年にとって大変な屈辱の筈だった。だが、彼は余りそういうことを気にするタイプではないらしい。

(よし!一生懸命、お金をブン盗ろう!)

 鼻血が垂れないように上を向き、ちょっと違うところで張り切っていた… 



☆さて、戦場です。

 最初は本当にただ金品を強奪するだけだった。しかし、これがただ戦場に彼を慣らす為のものだと分かるのにさして時間は掛からなかった。

 その内、彼女が止めを刺さなくなったからだ。

 これを殺し、金品を奪う。

 …初めて人を殺した。

 次に彼女は敵兵に致命傷を与えなくなった。

 動きの鈍くなった敵を殺す。

 …初めて命のやり取りで冷汗を拭った。

 次に彼女は敵兵に斬り掛かる振りだけをした。

 こうなると実際に闘うのは彼だった。

 …初めて傷を負い、必死で戦った。

 最後には彼女は戦う事を一切放棄した。

 自身と彼女を守りながら戦う。
  
 それも…苦にならなくなった。

 戦う喜びを知ったから…

 一年間。

 激戦、劣勢はもとより『ぜってーっ、死ぬ!』とまで言われた戦場を駆け巡り、彼は一人前の戦士に成長していった。 

 いや、もう本当に死にそうでした。

 もとい!今も死にそうなのです…

「ホラホラッ、敵が来るよ〜!」

「ヴェルナ師!頼みますから肩から降りて下さ〜い!?」

 乱戦…前後左右からオマケも付けて二十人以上の敵に囲まれているというのにあのムッチリ肉の乗った太股を頭に挟む形で肩車をさせられているのだ。

 乗ってる御本人は軽口叩いているだけで良いが、肩車しながら戦う者にとっては全く迷惑な話である。

 なにせ目立つから敵が集まって来る。

 その集まってきた敵には、奮い付きたくなる半裸の美女を侍らせているように見えて一層怒りを掻き立ててしまうからなお悪い。

 普段なら如何と言う事も無いが、今彼はちょっと下半身の動きを阻害するある状態になっていた。

 それは…

「如何したーっ!動きが鈍いぞぉ〜ッ!?」

「あう〜〜〜っ…」

 暑い盛りの事であるからヴェルナの体は汗ばみ、フェロモンをムンムン放ち捲くっている。

 ウェグナーは、顔を真っ赤にして男ならではの症状に悩まされながら双刀のグルカで一人、また一人と屠っていく。

「何、顔真っ赤にしてんだよ?見慣れてんだろこんなモン!ガキの癖に発情してンじゃないぞぉっ!?勃起も出来ないくせに…って、んんっ?」

 ヴェルナは少年の股間に張るテントを目敏く見付けた。

「ギクッ!」

「おおっ?」

「ギクギクッ!」 

「何だお前、“勃起”してんじゃないかぁっ!?」

「ギックーッ!?」

 動揺する年下の少年にヴェルナはニッタリと人の悪い妖艶な笑みを浮かべ、ストンと彼の目の前に下りると少年に向かい合った。

 敵が目の前に来ているというのに、そのしなやかな手は臍から這い擦る様に股間に伸びて…

「うわぁっ!ヴェルナ師、危ないッス!」

 ぎゅっ!?

「わっ…デカイ!それに剥けてるぅぅぅっ!?」

 ヴェルナは少年の声を無視し、彼の逞しく漲った肉棒を大胆にも外に取り出して直にそれを握り締めた。

 少年の持ち物は、幼さを思わせる無毛の股間から生える薄桃色のペニスだ。

 しかし、初々しいのはそこまで…その威容は凄まじい物があった。

 包皮は既に張り切り、亀頭部はエラの広がりは少ないが、シッカリと剥けている。

 肉柱の幹は指が回りきらないほど野太く、そして長い。

 力強く臍の上にアーチを描く極大のペニスは、既に普通の大人を凌駕する肉の凶器だった。

「のへっ…くおおおっ!」

 がすっ!

 ギャアアアッ!

 急所を握られたウェグナーは、一瞬棒立ちになったものの、挫かれそうな意識を奮い起こし、前に立つヴェルナを抱き寄せる形で迫り来る敵を屠る。

 しゅる、しゅる…

「随分逞しくなったもんだ…アンタも、もう大人なんだね。ハァ…ン」

 頬を紅潮させたヴェルナは、うっとりした様子で少年のペニスを上下に擦り立て、熱い溜息を吐く。

「うひっ!う、うう…」

 歯を食い縛るものの、男の最大の弱点を握られて及び腰である。

 ウェグナーは、武器を…命までも落としそうになりながら彼女の手を振り払う事が出来ない。

 今まで触る事を控えていた事もあって、少年のペニスは性感に対してまるで無防備であったし、更にヴェルナという美しい女性に初めて触れられ、扱き立てられる甘美な快楽に溺れてしまっていた。

「うっ、はあぁ…」

 脱力し、動きの止まったウェグナーの背後に敵が迫る。

 シュブッ!

 敵兵が武器を振り上げた瞬間、ヴェルナの左手が抜き身の刃を持つウェグナーの右手首を掴み、敵をそのまま切り上げた。

 血飛沫舞う中、彼女の右手は休む事無く剛直を扱き立てる。

「野暮な事するんじゃないよ…ンふぅッ…」

 紅を引いた唇を少年の頬に押し付け接吻すると熱い吐息を吐きながら少年の顔を淫らな舌遣いで嘗め回す。 

 ニュル、ニュル…

「うっ、うっ…」

 少年の肉柱は尿道口から先走りを垂らし、ヴェルナの手によってペニス全体に塗され、徐々に潤い、滑りを帯びていく。

 快楽は既に耐え難いものになっていた。

 ヴェルナによる手淫は熱を帯び、一層激しい物になっていく。

 自らの股間を少年の太股に擦り付け、手の動きに合わせるように淫らに腰を揺らす。

「ハァ、ハァ…ンフ…堪らない?」

 少年の耳穴に舌を滑らせ、甘い声で囁くヴェルナ。

「うっ、あぁ…」

 ウェグナーはブルブルと快楽に震えながら激しく首を縦に振り、何度も頷いた。

 股間から熱い塊が今にも外部に噴出す予兆に戸惑い、留めることの出来ない悦楽の発露に慄く。

 ヴェルナは少年の反応を一つ一つを舐り尽くすように感じ、誘惑を高める。

「挿れたいんだろ?アタシの此処に…」

 硬直した少年の指を一本一本開かせ、武器の柄から引き離すと、己が股間に導いた。

 グチュッ!

「んくっ!坊や…返事は?」 

 股間を被う飾りの隙間に滑り込ませると彼女の淫穴は難なく少年の指を飲み込む。

 ヴェルナの股間は少年の剛直を扱き立てる内に恥しいほど濡れそぼっていた。

 熱い穴…

「フッ、フゥッ…」

 ウェグナーは声を出す事すら出来ない。

 荒い息を鼻から絶え間なく吹き、体を痙攣させ、首をガクガクと縦に揺する事で辛うじて同意の意志を伝える。

「それじゃあ、この戦いに生き残るんだ。生き残ったら…もっとキモチイイことしてやる。今夜、アンタの“女”になってやるから…ん」

 くちゅ…

 そう言うとヴェルナは少年の唇に吸い付くように自分の唇を合わせ、舌を口腔に忍び込ませた。

「………!」

 引き抜かれるほど強く舌を絡め取られる。
 
 濃厚な深い接吻…初めての鮮烈な経験にウェグナーの中で何かが弾けた。

 ズビュッ、ズビュビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?

「あンっ!」

 下腹部に降りかかる黄ばんだ粘液の火傷するような熱さを感じ取ったヴェルナは軽く絶頂を迎え、一瞬体をぴくっ!と震わせる。

 ビュ、ブビュ、ビュッ、ブビュビュゥゥゥゥゥゥツ…

「ヒッ…ううぅ…」

 四肢の力が入らない。

 感覚が股間の一部分のみを残して全て消えてしまったようだ。

 そそり立つ若々しい性器が享受する快感だけ…全てが別の世界。
 
 師ヴェルナのしなやかな手…その淫らな動きは止まない。

 初めての射精…

 ウェグナーは精通を経験し、濃厚なスペルマを吐き出し続ける。

 憧れの女性の手を、下腹部を体内に蓄積したありったけの白濁で汚し、法悦に身を震わせながらウェグナーはその場に膝を付いてストンと崩れ落ちた。

 ウェグナーの肉棒は精液の助けを借りて、美女の手から滑り、するりと抜けていく。

 少年の目は光を失い、とろんと空ろ。

 半開きになった口元からはだらしなく涎が伝い、まるで魂を抜き取られたように呆然と自失していた。

 少年を精通に導いた一方の少女は吐き出され、指の間で糸を引く彼の精液を天空に翳し、珍しい物を見るように目を丸くして見詰めている。

「アハっ…ウェグナーの…だ」

 そして、熱い息を一つ吐くと徐にそれを口に含み、舐め、啜り、味わい始めた。

 口腔で唾液に絡め、十分に味わうように咀嚼して飲み下す。

 ゴキュッ…

「美味し…」

 濃厚な精液を味わいながら恍惚の笑みを浮かべるヴェルナ。

 それでも自らが戦場にいる事を忘れる事は無い。

 彼女の左手が動く。

 がしっ!

 ぐはぁっ!

 敵兵の首筋がバックリと開いた。

「野暮はするなって言ったのに…フフ」

 何時の間に取り出したのか…彼女の手には鉤状の短刀が握られていた。

 血飛沫舞う中、ヴェルナは精液に濡れた唇を吊り上げて艶然と微笑むと、迫り来る敵に向かう。

「立ちな、坊や!斬り殺されても知らないよ〜!?」

 優しく少年の肩を叩き、促す。

 ここ最近、手を出す事を面倒がっていた彼女が今は積極的に敵を斬り伏せていく。 

 まるで、少年を守るかのように…

「うぉ…くうっ」

 ウェグナーは震える足、未だ感覚が完全に戻らない手に力を込めて蛮刀引っ下げて戦線に復帰する。

 肩を並べ、淡々と敵を屠る師弟二人。しかし、ヴェルナは再びウェグナーの肩に乗る事は無かった。

 平静を装いながらも紐ショーツの食い込んだの股間は濡れ、太股を伝って大量の愛液をしととに垂れ流していたからだ…

 二人の師弟は戦を終えた後の事を考え、淫らに心躍らせていた。



☆ヴェルナ師匠(せんせい)のドッキドキ課外授業…なのです。

「如何だ!?生き残ったぞ!預かったら全員死ぬみたいな事抜かしやがって、ザマァミロッ!?」

 火酒の壷を片手にヴェルナ・ヴァルは御満悦だった。

 預かった仔を初めて死なす事無く教練を終えたのだ。

 何せ今まで『ガキが嫌いで、わざと殺している』だの、『幼子を犯して精気を吸う淫婦』だの散々陰口叩かれていたから喜びも一入であった。

 しかし、やり方は荒っぽいし、本来なら小競り合い程度の戦いで慣らすのが普通なのに対し、初っ端から死と隣り合わせの教練とも言えぬ危険な戦場に参加させて無事で居られる方がおかしい。

 その点でウェグナーは優秀であった。

 師を疑う事無く、ボーッとしていたのも幸いだった。

 ひたすら真っ直ぐに彼女の無茶な注文を聞き続けた。

 結果、彼はルーキーでありながら現役トップ・クラスの者をも舌を巻く優秀な戦士としての力量を得るに至ったのである。

「ホラ〜、アンタも飲みなよ」
 
「いや、ぼ、ぼくは…」

 酒は既にヴェルナから教えてもらっていた。

 最初は彼女からの口移しであったから吃驚したし、その後地獄のような二日酔いに悩まされもしたが、徐々に慣らしその芳醇な香りを知るに至り、ウェグナーも底なしで飲める様になっていた。

「それとも…もうシたいのかい?」

「いややややや、そ、その…」

 宿屋に戻って食事を摂った後、風呂に入った…一緒に。

 当然、二人とも素っ裸だ。

 あの大きな胸でプニプニ背中を洗ってもらったり、ペニスをシコシコされて昂ぶリ捲くっているのである。

 したいに決まっている。

 初心な少年には全く酷な問い掛けであった。

「フフ…もう少し飲ましておくれ。その間、アタシの体の何処を触ってもいいよ…おいで、ウェグ」

「ヴェルナ師…」

 ウェグナーは彼女の声に誘われるようにベッドに上がり、師と向かい合う。

「呼び捨てで良い…アンタはもう一人前の戦士だし、今晩…アタシの体はアンタのモノだから…」

 ウェグナーはまるで母に抱かれる幼子のようにヴェルナの豊満な胸に顔を預けた。

 ヴェルナも彼の頭を抱き寄せる。

 少年は彼女の乳房を揉み上げながら乳首を被うだけのマイクロ・ビキニをずらし、現れた薄桃色の突起にむしゃぶり付いた。

 チュ、チュパ、チュ…

「アッ…アハッ…ンふ…ウェグ」

 既に彼女の乳首は勃起していた。

 風呂場での行為で体の疼きは止めようが無いほど昂ぶっていたのだ。

 風呂場で行為に及ぶのを彼女自身の“ある”事情から自制し、ちょっと張り込んだ柔らかな寝台で少年との行為を迎えようとしていた。

 ヴェルナは赤子のように乳首に吸い付く少年の様子に目を細める。

「ウェグ…アンッ!ああ…ウェグ!うぇぐなぁっ!」

 ちゅぷ、じゅる、ちゅぱ、ちゅっ…たわわに実った乳房を思う存分揉み上げ、勃起した乳首えを吸い捲くる内、ヴェルナの息遣いはどんどん荒くなっていく。

 時々乳首を噛んでやると堪らなくなるのか、ビクビクとその筋肉質な肉体を慄かせた。

 紅潮する頬は酒に酔った所為ばかりではないだろう。

「あっ、あっ、あっ…あふ…」

 口は半開きになり、絶え間なく甘い吐息が漏れ出す。

 紅を引いた唇からは一筋の唾液が伝った。

「ん…うぇぐ…」

 ヴェルナは口に酒を含むと少年にを求める。

「………」

 ウェグナーは無言で愛しい師に口付けをし、その口腔に含まれ彼女の唾液の混じった芳醇な香りを放つ火酒を飲み下す。

「ん、んふ…ん」

「ゴキュ、ゴキュ…ぷはぁっ!」

 ヴェルナはその様子を満足げに見詰めていた。

 その視線を感じた少年は師と同じように酒を含みもう一度同じ行為を繰り返す。

 今度は少年から彼女へと…

「ん…う…」

「こくん、こくん…アハ…ウェグの味がする」

 ヴェルナは少年に流し込まれるまま酒を飲み、うっとりとした様子で目をとろんと潤ませ、彼の顔に頬擦りする。

「好きだよ…ウェグナー。私の可愛い一番弟子…」

「師匠…ヴェルナ…僕も…好きだ!大好きだ!」

 情感の高まった師弟は暫し互いの体を貪りあった。

 ヴェルナはもどかしげに乳首を被っていた金鎖を引き千切り、股間を被っていた金飾りをも毟り取って全裸になるとウェグナーの首筋に舌を這わし始める。

 ウェグナーはヴェルナに首筋を舐めるに任せながら彼女の両の乳首を摘み上げこりこりと捻り、その動きで撓む乳房の揺れを目で楽しんだ。

「あっ…いい…いい…」

 ヴェルナは責められると弱い乳首を少年の指で存分に嬲られ悶えた。

 猫が毛繕いをするように互いの体を舐め合う師弟…

「あぁん、もうっ!」

 欲情に頬染めるヴェルナはもどかしげに少年の上着を剥ぎ取り、麻のパンツを引き摺り下ろす。

 裸で求め合う二人はそのまま横に倒れ、ヴェルナの手が少年の剥け切ったペニスに及ぶ。

「うっ!」

「凄い…こんなに大きくなってる。ふふ…興奮してるの?」

 ヴェルナは手で擦り、扱き上げ、舌を這わす。

「うっ…うわっ!ヴェルナ!師匠…のも」

「ん…」

 ヴェルナは少年の声を聞き入れると体を入れ替え、躊躇いも見せず彼の眼前に股間を晒す。

 少年の目の前に現れたのは一際濃い体毛に包まれた綺麗な薄桃色のヴァギナだった。

 成熟したそれは年下の少年との行為に想いを馳せ潤み、しととに愛蜜を垂れ流している。

「………」

 ウェグナーは暫しその淫らな華を見惚れていたが、いよいよヴェルナのペニスへの愛撫が本格的になってくるとそうもしていられなくなった。

 彼女はそそり立つ肉柱を口中深くまで飲み込み、陰膿を手で揉み上げている。

 今にも噴出しそうになる悦楽に喘ぎながら愛液が溢れた泉…愛しい女の股間に吸い付いた。

 無意識の内に彼女の愛液を啜り込み、陰唇の狭間に舌を這わす。尿道口に舌を潜り込ませ、嬲り回す。

「アッ…ヤッ、うぇぐ…そこは…アゥッ!だ、駄目…きたな…いよ」

 拒否の声を上げる年上の女性の声は興奮した少年の耳を素通りする。

 ヴァギナを押し広げ嬲る内に彼は彼女の秘芯で膨らみ始めた部位を発見するに至る。

 摘み上げると包んでいた鞘が剥け、小振りな芽が現れた。

 綺麗な肉のルビーだ。

 まるで秘宝を見つけたかのような少年は居ても立ってもいられずその部位に舌を這わし、啜り上げた。

「うぇ、ウェグっ!駄目!そこはもっと…駄目っ!ダメェェェッ!?」

 ヴェルナは性感が勝ち過ぎて普段あまり触れようとしない部位を攻め立てられ、善がり狂った。

 普段気丈な師匠が善がり泣き崩れる様を見て少年はなお一層責め立てる。

「アッ!アアッ!アァァァァァァッ!」

 瞬間、ヴェルナは大きな嬌声を上げるとカモシカのようにスラリと長い足を宙に跳ね上げ、足先までピンと伸ばすとビクビクと痙攣し始めた。

 痙攣が収まるとヴェルナは脱力弛緩して力無くベッドに身を預け暫し呆然となる。

「あ…あは…嘘…アタシ、イかされちゃった…」

 目は焦点を失い、表情はだらしなく緩む。しかし、その口元には至福の笑みが浮かんでいた。

「ヴェルナ…」

 気遣わしげな少年にヴェルナは一瞬眩しげな表情を見せると口元に淫靡な笑みを浮かべる。

「ウェグ…来てぇ…」

 彼女は片手で少年に手を差し伸べ、片手は淫らに自分のヴァギナに添えられ、押し開く。

 淫らな姿勢で初心な少年を魅了する。

「分かるだろう?アタシは今、“発情期”なんだよ。アンタが欲しくて堪らないんだ…」

 獣人が人間と大きく違うところは年に一度繁殖の為の発情期があることだった。

 発情期を向かえると男女は互いにどんな好き嫌い・いざこざがあろうとも求め合ってしまうほどセックスの事しか考えられなくなる。

 戦はディフティにとってセックスよりも上回り、戦場にあれば発情する事はないが、一度安息日にでも当たろうものなら盛大な乱交パーティに至る事もあるほどだ。

 それはクォータの彼女でも一緒なのだろう。

 欲情に潤んだ瞳で少年を…男を求めている。

 ゴクッ!

 少年は年上の女性の淫らな誘いに興奮し、一つ生唾を飲み込むと彼女の股を大きく開き分け入る。そして、一気に師であり、今宵彼の女になった女性の花芯へと剛直を突き入れた。

「痛っ!」

 すると何故かヴェルナが悲痛な声を上げる。

「え?」

 挿入時の僅かな抵抗…股間を彩る朱が意味するものは…

「ヴェルナ師…まさか…」
  
 呆然とする少年にヴェルナはキッ!と凄まじい怒りの視線を向ける。

「は、初めてで、悪いかぁっ!?」

 その瞳は涙を湛えているものの、牙のような犬歯を剥き、怒りを露わな形相はまるで敵を威嚇する狼のようだ。

 少年はそのあまりの剣幕にたじろぐ。しかし、ヴェルナは一度絶頂を迎えたこともあり、少年の胸板を叩く拳も力無い。彼女は悔しさを表すように何度も叩き続けた。

「だ、だって…今までの発情期は?」

「アタシは4分の1だから頭が真っ白に成る程じゃないんだ!相手構わず股を開くなんて事出来やしない!」

「じゃあ、今まで…」

「貞操帯付けて…出来るだけ戦場に出るようにして…男に近付かないように…してた」  

「………」

 獣人は普通13、4で発情期を迎える。

 犬猫のように吼え立てはしないが、その行動は近くにいる異性に誰彼構わず襲い掛かる直情的なものだ。

 本能と言ってもいい。

 その分抗おうとすれば、耐え難い苦痛が肉体を苛む筈だ。

 その苦痛を思うと少年は何も言えず、彼女の体を抱き締めた。

「私だって早く犯りたかったんだ!だから、育てる仔がいっぱしの戦士になったら一緒に処女くれてやろうと…思ってた…のに…みんな…みんな死んじまって…ヒック」 

 ウェグナーの胸に抱かれながらヴェルナはなおも嗚咽を洩らす。

 今まで4人もの仔を死なせてしまった後悔が彼女を弱くしたのか。

 ヴェルナは普段の態度から想像出来ないほど弱々しかった。

「師匠…ヴェルナ…」

「うぇぐ……」

 少年は年上の女性を宥めるように一層抱き締める腕に力を込めた。

「ヴェルナの所為じゃない。僕は…生き残った」

「うん…うん…」

 ヴェルナは少年の胸に抱かれる事で安らいでいく感覚を覚えた。

 頼もしさと言うのだろうか…彼女は最初『坊や』としか思っていなかった少年が精神までも成長していたことを感じる。

 それは父親も、今まで男に頼る事も知らなかった彼女にはとても新鮮な感情だった。

 髪を撫で付けられ、彼の胸で小さく頷くヴェルナはまるで幼女に戻ったように素直になれる。

「今夜はヴェルナは僕の…女で、女は泣いて男を迎え入れるものじゃなくて…その…何だったっけ?…あっ…笑顔で…迎え入れなくちゃ」

「はぁっ???…ウェグの言葉じゃないみたいだ。それに…それは家で待つ奥さんのことじゃないのか?」

 一生懸命な少年の言葉に頭に幾つもの疑問符が浮ぶヴェルナである。

「あれ?御免なさい…コレ、義父さんの受け売りです」

「プッ…ふふ…黒豹の旦那なら言いそうだ」

 軽口を叩く内、屈辱感は消えていた。

 破瓜の痛みはまだある。だが、それと共に彼女を苛んでいた過去が氷解していく。

 体の痛みだけならば…忘れられる。

 うっとりとした様子で少年の首に腕を回す。

「ウェグに…初めて上げられて…良かった」

「ヴェルナ…」

 暫し、溶け合うように抱き合う二人…だが。

「あっ…」

 ヴェルナの体が突然ビクッと一つ震え、秀麗な眉が顰められる。

「ど、どうしたの?」

「中で…また…ウェグが…大きくなった」

 そう…成長したのは少年の精神ばかりではなかった。

 彼女の中で息衝く少年の男の部分は逞しい。

 漲る肉柱は今なお成長を…続ける。

 彼女の体で…彼女の陰で…

 彼女が男にしたのだ。 

 そして、彼女なら…もっと彼の……出来る。

「ウェグ…いいよ。動いて…」 

「師匠?でも…」

 彼女ならもっと彼の“獣性”を呼び起こす事が出来る。

 ヴェルナはその役割を感じていた。その自負もある。

 ウェグナーは獣人ではない。だが、人も所詮は“獣”だ。

 女に気を使って尻尾を丸める男が戦場で獣になれる筈も無い。

 二度目では駄目なのだ。“鍵”を開けるには今この時しかない。

 恋の時間は終わる…
   
「私は“銀狼”のヴェルナ・ヴァルだよ?こんな痛みくらい…ウェグ、私の目を見ろ」

「えっ?あ…ああ…」

 見つめ合う瞳…

 ヴェルナの唯一つのアイスブルーの瞳…その瞳孔が広がり、語り出す。

 それはディフティの呪師が使う催眠(トランス)。


 
 ワタシヲ穢セ…

 犯セ…喰ライ尽クセ…



 …と。
 
「ハァッ、ハァッ…ガッ…ハァッ…」

 激しい動悸。

 空気が…足りない。

 体が熱い…獣欲…溢れる…

 それを何かに満たしたい。

 それは目の前にある…彼を包む器?

「ヴぇる…な。なにを…した?」

「何も…犯りたいんだろ?犯ればいいじゃないか?アタシを犯しなよ!ホラ!ホラァッ!」

ヴェルナは内心の痛みを堪えながら腰を動かし、動揺する少年を冷ややかな風を装い挑発する。

「グッ、グゥッ!」

 その膣が締まりに何とか暗示に抵抗しようとしていた少年の眼球はどんどん血走っていく。

 見開いた瞳孔は光を失いどんよりと濁り、ドクドクとした激しい動悸を抑える為に大きく呼吸する。

 息苦しい。

 熱い…熱い…

「ゼーッ…ハッ、ゼ−ッ…ゼーッ」

「おいで…ウェグ。どんな事になってもアタシがアンタの全てを受け止めてあげるよ…」

 ヴェルナは迫り来る何かに抗い続ける少年の頭にそっと手を添えその額に口付けると胸に抱き締める。

 其処にあるのは人間の子である彼を我が子と分け隔てなく育ててくれた義母サーシャと同じ温もりだった。 

 安らぎと共にその時ウェグナーの緊張がぷっつりと途切れる。

 瞬間、少年の中にある人が人たらしめている留金が弾けた。
 
 プッ………ギチギチッ、メギィッ!

「グガァァァッ!?」

 ウェグナーの筋肉が膨張し異常な盛り上がりを見せる。

 牙のように鋭い角度で伸びる歯、骨格すらも変化させ、肉体が一回り大きくなるようだ。

 叫びを上げる声は野太い人の言葉を忘れた獣(ケダモノ)の咆哮…

 これが獣人が獣人たる所以…獣化現象である。

 人である彼がそれを可能にしたのは獣人と共に生活し、その独特の呼吸、思考、食物等々が影響を与えたのか、元々彼自身の体内にはそうした血統があったからなのか分からない。 

 ただこの変化によりヴェルナは少年を真のディフティへと育て上げることに成功したのだ。

 戦場において更に獣化した獣人は鬼神の如き働きを見せ、起死回生の存在となり得るが、逆に味方をも巻き込む危険な存在である。

 敵味方の区別をつける事無く暴れ狂う怪物…それが今正にヴェルナの裸体へと襲い掛かった。

 ギチギシ…

「い、痛っ…くぅ…ぅ…」

 少年のペニスは彼女の膣内でも急激な変化を果たしていた。折り重なった肉襞を引き裂いた後も更にその傷を広げていく。

(こ、こんなに…)

 耐えられると思っていた痛みは想像の範疇を遥に越えるの痛苦を彼女に与えていた。

(耐えられない…?)

意志が尽きる時…更なる痛みが彼女を襲う。

「ガァッ!」

 ガブッ!

「ギィィィッ!?」

 乳房に噛み付かれたのだ。愛撫という生易しいものではない。鹿肉に齧り付くように容赦なく歯を突き立てられる。

 流れ出た鮮血を獣と化したウェグナーは啜り飲んだ。

 激しく突き上げる腰は容赦なく彼女の傷付いた膣璧をゴリゴリと抉る。

 そのあまりに激しい動きに股から腰の関節が軋みを上げた。

(恐い…恐い・・・)

 恐怖…その総身を包む寒さに歯が噛み合わずガチガチと鳴り響く。そして、戦士として高い水準を保っていた彼女の精神は瓦解する…

「イヤァッ!もう…もうヤダァ…もう…もうゆるし…ヒィッ!」

 童女のように痛みで泣きじゃくるヴェルナ。その眼前に“人の獣”…鬼と化した愛しい少年の変わり果てた醜い顔が突き付けられる。

「ヒッ…」

 ニタァッ…

 “鬼”は戦士の鎧を剥ぎ取られたヴェルナを嘲笑うかのように嫌らしく歯を剥いて顔を歪めた。そして、大きく口を開くと彼女の首筋に…

 ゴリッ!

「イヤァァァァァァァァァッ!?」

 その夜、女戦士ヴェルナは真の獣と化した少年の餌食となった…



☆大好きな師匠を酷い目に遭わせてしまったのです…

「うっ…」

 朝日が目に刺さる。目が一瞬眩んだ。

 催眠を掛けられた後の意識が無い。

 傍らに居るのは…

「ヴェル…ナ?」

 横たわる女性は暴行を受け、酷い有様だった。体中に噛み傷と爪で抉られた蚯蚓腫れの跡が残る。体毛は毟られたように所々禿げ、ベッドを被っていたシーツは血に濡れていた。

 あの気高く強力な武威で少年を圧倒していた師が白目を剥き、口から泡を吹き零して、まるで死んでいるかのようにピクリとも動かずに気を失っている。

「ヴェルナ師!ヴェルナ師!一体誰に…あっ!?」

 触れるとネットリとした大量の粘液が手を汚した。その瞬間、ウェグナーの脳裏に昨夜の出来事が意識ではなく肉体の感触から蘇る。

 美味い『肉』だった…あの芳醇な血の匂い。苦痛と絶望に満ちた雌の悲鳴の心地良さ…全て体が憶えていた。

(じゃあ…僕が?)

 意識で拒否しても体が彼を苛む。



 オマエガオカシタ…



「ヒッ、ヒィッ!」 

 振り返るとヴェルナが目を覚ましていた。だが、彼女の様子がおかしい。

 ウェグナーを見る目は恐怖で見開かれ、ガチガチと歯を噛み鳴らして、震えている。

「ヴェル…」

「イヤァッ!?」

 ウェグナーの伸ばした掌を弾き、四肢に力が入らない様子で芋虫のように這い擦り彼から逃げようとしているが、幾ばくも動く事が出来ないで居た。

「ヴェルナ…ヴェルナ!」

「ヒィッ!ご、御免なさい…ゆるして…許して下さい。何でもします…どんな事でもしますからぁ…」

 どの様な恐怖の時を彼女が過ごしたのか…ウェグナーは自分のした事を体で憶えていたが、何処までも強かった彼女がこんなに尻尾を丸めて気弱になることなど考えられなかった。

 ウェグナーは正気を無くしていたとはいえ自分のしてしまった悔恨と何とも言えぬ寂しさで未だに恐怖に震える彼女の肉体をそっと抱き締めた。

「ヒィッ…うぇ…ぐ?」

「ごめん、ヴェルナ…ごめんなさい」

 ウェグナーがそう言うとヴェルナは漸く安堵からか強張る体から力を抜いた。

「うぇぐ…良かった。正気に戻ったんだね。良かったアタシ…本当に恐くて…」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「………」

 ヴェルナは謝罪の言葉を呟き続ける少年の髪を安心させるようにそっと撫で上げた。

「いいんだ…いいんだよ。ウェグ…これでアンタも一人前のディフティさ…」
  
「うっ…うう…」

 今度はウェグナーが泣きじゃくる番だった…

「済まないけど動けないんだ。骨は折れていないと思うけど関節が外れてるか見てもらえないか?」

「うっ…はい…ぐす…」

 ヴェルナが言うように確かに骨に異常は無かった。だが、大分関節に負荷を与えたのか脱臼している部分が多々見受けられた。それを戻し、噛み傷や裂傷に薬を擦り込んでいく。

 生まれてから病気一つした事が無いと自慢していたヴェルナはその後、三日間高熱を出して動けずに居た…



☆憧れの女師匠(じょきょうし)にプロポーズするのであります!

「いやーっ、ナサケナイ!ウェグ坊やにズタボロに犯されて寝込むなんてみっともないったらありゃしない!」

 三日後の朝、ヴェルナは何事も無かったように快活に笑ってそう言った。

 新たな肉の萌芽が傷口を塞ぎ、既に禿げた毛も生え始めている。常人では考えられない獣人ならではの再生能力を発揮した彼女は戦場に立てるほど回復していたが、その笑いが未だに自責の念に捕らわれているウェグナーに気を使ったカラ元気であることは明らかだった。

「御免なさい…ぼ、僕、責任を取ります!」

「フッ、いいさ…催眠掛けたのはアタシの方だし、黒豹の旦那の仔を立派な戦士に育て上げられたんだから満足だよ…」

 ウェグナーの切羽詰った言葉にヴェルナは軽く手を振って気にしなくて良いというように振舞うが、彼の瞳には決意の色があった。

 少年は彼女の右手を取り、その薬指にある物を填めた。

「師匠…いや、ヴェルナ!こ、これを…」

「これっ…て?」

 左の薬指に差し込まれたのは金の指輪…ウェグナーの母親と思われる女性の形見の品だった。

 以前、ヴェルナは悪戯心からそれを指に填めた事があったが、指の細く、たおやかな女性だったのだろう。全く入らなかった物だ。

 その時のウェグナーの悲しげな様子から彼の大事な物を玩具にしてしまい、『もう手を触れなかろう…』と自身ひどく反省した物だった。だが、あの時彼が悲しかったのは彼女の指に入らなかったからだったのだと分かる。

 今彼女の指を彩る指輪はすんなり入り込み、まるで誂えたようだ。

 見れば、あまり良い職人ではなかったようで途中に接いだ跡が見える。

 ウェグナーには彼の働きに応じて支払われた金子をほとんど与えていなかった。

 当然のことだが、ヴェルナは彼の金を使い込む事無く全て取ってある。

 後で自分がどれだけの金を稼いだのか、それを実際に手で持ち、その重さと喜びを感じて欲しかったからだ。

 彼には日々に食べる食事代として少々の金子を与えていたが、それは些細な物だ。

 接ぐ為の金と技術を買う為に彼はどれほどの苦労をしただろうか…それこそ爪に火を灯すような努力だったろう。育ち盛りなのに食を削ったのかもしれない。

 大事な形見の指輪を傷つけてまで、ただ無骨な彼女に与える事だけを考えて…

「うぇぐ…うぇ…ぐ…」 

 ヴェルナの瞳から止め処無く涙が溢れる。

「僕の…女になってください」

「うん…うん…」

 彼女は泣きじゃくりながらも何度も頷いた。そして、何かに気付いたように顔を上げると少年に向けて言った。

「うぇぐ…一言いいかい?」

「はい?」

「女を自分のものにする時、指輪を填めるのは…“左手の薬指”だ」

「あ…」

 自分の失態に固まるウェグナーにしっかりと見えるようにヴェルナは誓いの指輪を右手から左の薬指に自ら填めた。

それは彼女が少年の女…彼の妻になる事を自ら認めた証だった。



☆らぶらぶなのです。でも…

 ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ…

「あぁ…あぁ…」

 全裸に剥かれてベッドに寝かされたウェグナーはヴェルナにペニスをしゃぶられて快楽に震えている。

 そのあまりの悦楽に視線は定まらず、口元から涎を垂らして彼女に身を任せていた。

 ちゅぷんっ…

「んふぅ…ねぇ、抱いて…ウェグ」

「で、でも…あ…」

 未だに気にして項垂れるウェグナーに頬寄せ耳元に甘く囁くヴェルナ。彼女は少年の頬に首筋にとキスをして、彼の顔をまるで母犬が産み落とした子犬を慈しむように舐め上げる。

「正気のウェグに愛してもらいたいんだよ、アタシは…だけど…お尻はまだ痛いから…前で…ね?」

 股を大きく割り開いたヴェルナのヴァギナは既にウェグナーとの行為を待望してビショビショに愛液を滴らせていたが、その下のアヌスは暴行により酷い裂傷を負っていた。

「来て…」

「ヴェルナ…」

 少年はその晒された傷に罪悪感を覚えながらも彼女のヴァギナにいきり立った雄の器官を挿入していく。それは女肉に包まれる悦びを知り、童貞だった以前よりも明らかに容量を増していた。

 ずぬぬぅっ!

「あぁーっ!」

 美貌の女戦士は年下の…今まで弟子として慈しんでいた少年の逞しい肉柱に貫かれ、喉を仰け反らせて歓喜に震えた。豊満な肉体を戦慄かせ、今や少年の妻となった彼女は夫との初夜を狂乱と共に迎えるのだ。

「あぁん!あぁぁぁん!うぇぐ…あ、あなた…あなたぁぁぁっ!」

「ヴェルナ…ヴェルナ…」

 少年もかつて尊敬していた女戦士であり、師でもあった女…新妻となったヴェルナの普段では考えられないようなかわいらしい嬌声に徐々に高ぶっていく。

 初体験の時の暴行の罪悪感は挿入後瞬時に薄れ、その熱くしととに潤ったヴァギナの感覚に酔った。

 荒々しい最初の行為を経て彼女の女陰は解され、彼の若々しい欲望を余すことなく柔々と受け止めてくれる。また、彼女はペニスを受け入れ、女にされたことでその鍛え上げられた筋肉を駆使して膣内では実に絶妙な緩急をつけることが出来た。

 息んでキツく絞り上げても恥ずかしいほどに溢れ出た愛液が滑り、挿出を滞らせることは無い。

絞り込まれた膣壁に強く擦られることで少年は得も謂われぬ快楽を味わうことが出来た。

「もっと…もっとぉ…あなたぁ」

「うっ…うはっ…くはっ…うっ、うっ…」 

 ウェグナーは妻の肉壷が齎す法悦に耐え切れず呻き声を上げるが、腰の動きを緩めることは無い。

 逆に女体に挑み掛かるように腰の動きを強め、新妻の陰を盛んに攻め立てていく。

 その激しい突き込みにヴェルナの肉体は徐々に競り上がり、頭部が枕板に当たり、体を撓らせ、腰が浮き立つ。女戦士ヴェルナは夫の荒々しい行為に哭いた。

「あはぁん!あぁん!アァァァァァァッ!!」

「フーッ!フッ!フゥゥゥッ!」

 荒い息を鼻から吹き、柔らかな乳房を弄り激しく肉体を苛むウェグナー。

 腰をくねらせ、快楽に善がり無くヴェルナ。二人は蛇のように絡みながら求め合い共に悦楽の高みに上っていく。そして、共に快楽の頂を目指し、その昇華の時を待つ。

「イクッ、イクイクッ!イクゥゥゥゥゥゥッ!?」

「うぅぅっ、ヴェルナ…僕も…うわぁぁぁっ!」

 ぶびゅぶびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅぅぅぅっ、ぶびゅぅぅぅぅぅぅ…

「あぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 まだ成長を続ける少年の吐き出した精液は美貌の女戦士の膣内に余すことなく注がれていく。

 若々しく健康的な男女によるこの膣内射精の齎す結果も知らず、師弟の枠を越え結ばれた夫婦は快楽の淵に飲まれていく。

 酒池肉林の日々… 

 それから次の仕事が入るまでの安息期間を加えた三月の間ウェグナーとヴェルナは愛欲の日々を送った。

 食事の時ですら繋がり続け、食事を届けに来た給仕の少女が赤面して仕事にならないことを笑い、衆人の居る混浴場でも人目を憚らず愛し合ったかと思えば、股間を膨らませる男や股を濡らす女を嘲笑った。

 獣のように二人で繋がり合う事に至福の喜びを感じ、羞恥の感情は薄れた。

 何度も濃厚な精液を吐き出すウェグナーにヴェルナは躊躇いも無くその胎内へと受け入れた。だが、健全な肉体を持つ男女にその愛欲の日々は長くは続かない。

 休暇が終了を告げる数日前、ヴェルナの肉体にある兆しが訪れた。

「ウエッ!…ゲッ、ゲェェェッ!」

 ヴェルナが突然激しい嘔吐感に襲われたのだ。

「ヴェルナ…大丈夫?」

「ああ…ごめんね。何か昨日食べた牡蛎が悪かったみたい…」

 背を摩り気遣わしげな年下の夫を安心させるように微笑むヴェルナだが、彼女は明確にその予兆を感じ取っていた。

「後悔は…しないって、誓った筈さ…」

 深夜、ヴェルナは姦淫に疲れ、安らかな寝息を立てるウェグナーの傍らで自らの肉体に起こった事実に思い悩んでいた。

 彼女には分かっていた。あの吐き気は悪阻だ。彼女はウェグナーの子を懐胎したのだ。

 まだ年若い彼女にはその事実は重く、恐れと不安を一人で抱いていた。少年に話すべきかを考え、彼の顔を見ていた。

「んむぅ…ヴェルナ…」

 ウェグナーは深い眠りにありながらうわ言で彼女の名を呼び、彼女の肉体を求めて頬を寄せる。

 彼女より更に幼いウェグナー…

「クスッ…」

 母体となったヴェルナは愛しい夫の体を慈母の暖かさを以って抱き締める。そして、彼の柔らかな頬をぷにぷにと弄びながら囁く。

「アンタに迷惑は掛けないよ…」

 ヴェルナは決意を込めた瞳を細めると、年若い夫を起こさないように足音を忍ばせてベッドから抜け出した。

「あっ…」

 そこで彼女ははたと思い立った様子でごそごそと荷物を漁り始める。

「これからはお金が大切だよね…」

 ヴェルナはそう言うと安らかな寝息を立てるウェグナーに向けてチロリと舌を出した。



☆これからは一人で…

「ヴェルナ…」

 朝、彼が目覚めると傍らに居た筈の新妻の姿は無く、彼女の荷物も指輪と共にきれいさっぱり無くなっていた。代わりに彼女が大切にしていた黒塗りの直刀一振り、金の入った布袋と手紙が一通あった。

 そこには…

『南に割りの良い仕事があるから行く。これからは一人で頑張りな…』

 簡潔に…もう一行には。

『追伸 アンタの稼ぎをちょろっと貰っていく。愛妻に貢ぐのも旦那の務めだ!』

 そう書かれていた。試しに布袋の中を見てみると羊皮紙の切れ端に明細があったが、少ない…いや、大分少ない。いやいや、ほとんど無い。

「ヴェルナ!」

 ウェグナーは駆け出した。何もお金を持っていかれたからでは断じてない。

 あまりの突然の別れに気が動転してベッドから出たそのままの姿で飛び出していた。

 南と言えば南のウンババ大陸だ。船着場に行けばまだ彼女を止めることが出来るかもしれない。

 ウェグナーは急ぎ港まで向かう。

「キャーッ!」

「イヤーッ、大きい!」

 途中、女学院前を通った時に黄色い悲鳴が上がったがそんなことは気にしていられなかった。

 宿からさほど距離が離れていない港へ必死に走った。しかし…

「ヴェルナーッ!」

 間に合わなかった。船は既に出港し、泳いでも追いつけそうに無い。船はどんどん港から離れて小さくなっていく。

 ウェグナーはその船の縁にヴェルナの影を見つけて叫ぶが、その声が届いたかどうか…

「元気でやりな…ウェグ。アンタの子はしっかり育てるから…」

 声は届かずとも目のいいヴェルナには船上からでも少年の姿が分かった。彼女は何か押し寄せる感情に肩を震わせ顔を伏せる。

「うう…」

 崩れ落ちた彼女は堪え切れなくなって涙を浮かべ、遂に…噴出した。

「ぷっ、ハハハハハハァッ!うぇ、うぇぐったら…あ、あの格好っ!?よ、よっぽどあわてて…ギャハハハハハハハハハァッ!」

 終いには甲板に転げ回り、腹を抱えて笑い出す。

「ヴェルナ…ぐす」

 ヴェルナに大爆笑されているとも知らずウェグナーは彼女を失った喪失感から涙を零していた。

「ヴェルナ、僕は…必ず強くなる。誰よりも…誰にも負けない」

 少年は涙を拭うと胸を張り恩師であり、今去り行く妻に誓う。

 拳を硬く握り締めるウェグナー…それは後に“人獣”の尊称を得、デイフティの長となる男の決意。

 新たな旅立ちだった…

 ………

 ……

 …のだが。

 ぽんぽんっ!

 その彼へある人物が息を切らせて近付き、肩を叩いた。

「ハア、ハァッ…お、お客さん。宿代…お勘定…ヘェ、ハァ…」

「へ?」

「チェック・アウトなさるのでしたら言って頂かないと…」

 宿屋のおっちゃんが息せき切って追ってきたのだ。もう払い込んでいるとばかり思っていた少年はただ呆然とするばかりだ。

「お金が置いてありましたので、申し訳ないと思いましたが、それを確かめさせてもらいました。全て払って頂いても足りません」

「あうっ!」

「服は襤褸同然ですから無価値。刀は蛮刀二本と小刀数本、黒い大刀は大層な業物のようですから全てを質に入れてトントンといったところでしょうか?」

 冷静に算盤勘定するおっちゃんにウェグナーは慌てて止めに入った。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 獣人にとって人斬り包丁は大切な商売道具だ。刀を取り上げられたら戦に出ることも出来ない。何よりヴェルナが残した大業物だ。質に出したりしたらすぐに売れて取り戻せないだろう。失いたくは無かった。

「では、どうやってお支払い頂けますでしょうか?」

「あう〜っ!」

 払える筈も無い。彼が今まで稼いだ金子で手元にあるのはあれだけしかないのだ。

 支払いを待ってもらうにしても此処は、黒豹のシェイドを傭ったことでガラガラ高地を境に睨み合いとなり、戦は停滞している。腕っ節ばかりか指揮能力を見ても最強と言われる値の高いディフティを傭った分、新たな傭兵に支払う金額はどうしても低く抑えられてしまう。

 しかも、ウェグナーは実力があっても高く買ってもらうには若い上、知名度が足りない。支払いは困難だ。

(あんまりだ…)

 せめてヴェルナには宿代くらいは残しておいてもらいたかった。いや、残したつもりだったのだろうが、大分計算を間違えている。

 ウェグナーは悲嘆に暮れるしかない。

「では、そういうことで…」

 おっちゃんは話は終わったとばかりに立ち去ろうとする。だが…

「お待ちなさい!そのお金、我が校が立て替えましょう!」

 その時、端の吊り上がった眼鏡を掛けたオールド・ミス…もとい、女教師と思しきキツめの美女が現れ、そう言った。

「いいですね?」

「はいはい…払ってもらえるならどなたでも〜…へへへ」

 おっちゃんは商売人らしくてを擦り合わせて喜色を浮かべる。

「あ、あの…いいんですか?」

 悲嘆に暮れるしかなかったウェグナーは喜び露にその美熟女に近付くとなぜか彼女は顔を真っ赤にしてちょっと身を引いた。

「構いません」

「なんで…僕を助けてくれるんですか?」

 おずおずと問い掛けるウェグナーに美熟女はビッ!と彼の下半身を指差した。

「理由はそれです!」

「え?あ…わ、わあああぁぁぁっ!」

 彼女が指差した先には彼の剥き出しのペニスがあった。なんと彼はフルチンで女子校前を通って港まで走っていたのだ。

 ヴェルナが爆笑していたのはこの為だ。いかに動揺していたにしてもこればかりはどえらく間抜けだ。

 ウェグナーは慌てて股間を手で隠した。

「貴方を見た女生徒がその…大変立派だったということを力説するので見に来たのですが、確かに…立派でした」

「そ、その…お恥ずかしいモノを…トホホホ」

 顔を真っ赤にして身の置き所の無い少年と更に顔を熱くする女教師。

 彼女は興奮を露に切り出した。

「貴方にはやってもらいたいことがあります!」

「は、はい!何でもやります。僕は何をすればいいんでしょうか?人を殴りますか?斬り殺しますか?」

 おっちゃんが荷物を持って来てくれるそうなのでウェグナーは暫しその場で彼女の話を聞くこととなった。

「そんな物騒なことは頼みません!我が女学院では絵画の為のモデルを探していて貴方には其処で一週間、絵のモデルをやってもらいたいのです!」

「も、もでるって?」

 初めて聞いた単語に目を丸くする少年。絵画など貴族が数少ない絵師に描かせるくらいで市井には一般的なものではない上、モデルは娼婦などがやることが多く、仕事として成り立っていなかった。

「裸で立っているだけの仕事です。その間の食事と寝る場所は校内で確保しますから心配しないで下さい」

「はあ…」

 ただ裸で立っているだけでお金を立て替えてくれるなんてなんて優しい人だろう…ウェグナーは彼女が神様のように見えてきた。

 目をうるうるさせていると宿屋のおっちゃんが荷物を抱えて走りこんでくる。

「あっ…じゃあ、お客さん。これ、荷物ね!確かめてください」

「あっ…はい」

 襤褸と評された一張羅と蛮刀二本。小刀の数も一致したし、大刀の刀身も抜いて確かめて見たが、掏り返られてもいないようだ。

 料金の高い宿屋はこういうことがしっかりしているから良い。その分、支払いに関してもかっちりしているが…

「確かに…」

「はい、どうもぉ。お金は貰っといて差分はそこの先生に請求しますからねぇ!まいどぉ!」

 おっちゃんは喜色満面に揉み手をした後、上客であったウェグナーにいつまでも手を振っていた。

「では、行きましょうか?」

「はい…」

 服を身に付けたウェグナーは女教師の後をとぼとぼと付いていく。何か『ドナドナ』が聞こえてきそうな雰囲気だ。

 売られていく子牛状態のウェグナーが不安を抱いて足を踏み入れた先は…

「いらっしゃーい!歓迎しますわぁっ!×複数」

 綺麗な貴族の子女が通う女の花園だった。何か珍獣を迎えるような、上○動物園に初めてパンダが来た時のような過剰な歓迎振りだった。

「では、早速授業を始めます!」

「はあああぁぁぁいっ×複数」

 女教師が言った途端、複数の女生徒たちがウェグナーに群がり、はしたなくも少年の服を脱がせていく。いや、剥いていく。

「のへへへぇぇぇ…」

 ウェグナーは、それら全てを抵抗も出来ずに受け入れ、女生徒達の桃色吐息な歓待の渦に飲み込まれていった…

 ………

 ……

 …集団逆レイプです。



 ウェグナーは約束の一週間を大分過ぎた頃に開放され、新たな戦場へと向かって行った。

 女学院でその数日の間にナニがあったのか知らないが、昼夜を問わず連日のように女の悲鳴が響き渡り、裂傷に良く効く塗薬や避妊薬が大量に買われることになる。股関節が外れて入院したり、彼が去った後に堕胎・出産に来る女生徒が一時期増加し、物議を醸した。

 女学院に在籍する数百人の生徒たち全てが誰の子とも知れぬ(誰なのかは確定しているのだが…)妊娠していて、あの年増の女教師も股関節を外して入院した際、妊娠が確認されてかわいい男の子を産んだという。だが、高級貴族の子女を集めた女学院であるから彼女らを妊娠させた男には父兄から生死を問わず莫大な懸賞が掛けられることとなった。

 そんなこととは全く知らないウェグナー。それでも少年の新たな旅立ちは甘く、未来はちょっと明るかった…



To be continued.(but,not yet fixed)


挿入話 『人之獣〜娼館の女将〜』へ

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