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12月5日（金）
お世話になる修理工場に電話を入れる。
丁度社長さんが電話に出られて、名前を告げると「あぁ、アウディの」
4日にディーラーの板金工場から引き上げて来たそうです。現在、見積もりのための修理必要箇所を洗い出している最中でした。
「まだ新しいしこんな良い車、ちゃんと修理しないと駄目だよ」と社長さん。
「こんなのは軽傷だよ。でも、きちんと修理してやらないと駄目だよ」
「保険屋が40万円の見積もりを出した？馬鹿言っちゃいけない。そんな金額でこの車は完璧に治りませんよ」
「ディーラーに完璧に治らないと言われた？それは修理のやり方次第です。確かに自分でぶつけて、これぐらいの予算で直したい。という修理もありますが今回は違うでしょ？手間暇かけても完璧に直さなきゃ。」
「完璧に直しますから安心して下さい。」
電話でA4の破損箇所や修理について淡々と語る社長さんの話を聞いていたら自然と涙が溢れていました。
電話を切り終えた時には11月29日からずっと不安だった「修理でどこまで復元するのか？」という心配はもう消えていました。
12月6日（土）
ディーラーに借りていた代車のテリオスを返却してレンタカーを借りに行く。
ディーラーのセールスのＡさんはいつも親切に対応してくれる。この借りはいつか返さなきゃいけないなぁ。
というわけでレンタカー受領。なんと、BMW318iツーリング。レンタカー代は1日1万5千円也。
生まれて初めてBMWに乗ることになる。雨の新新バイパスを疾走するがFRも良いかもと思った。だけど、これからの季節はBMWでは正直きつい。
帰りにA4が預けられている修理工場に顔を出して改めてお願いをすることにした。
新潟市某所のひっそりとした工場地帯を318で駆け抜けて行くと、その工場はあった。
駐車場には、BMWがいっぱい、なんとM3もある。NewMiNiもある。B5A4後期型もある。Audi100もある。しかし、何か変だ。そう、フロントバンパーが無かったり、どこかしら部品が外されていた。全て修理待ちの車である。
工場も何か変だ。「自動車修理工場」という雰囲気が全くしない。
普通の工場そのものだ。覚悟を決めて事務所を訪ねてみることにした。
そこには土曜日で伝票整理＆電話番をしていた社長さんが居らした。この方だ！
社長さんに昨日電話で元気づけられたお礼を言う。
それから社長さんは、この会社の経緯や修理対する考えを淡々と私に語ってくれた。そのたびに私の不安が一つずつ解消されていった。
それから現在作成中の見積書を見せて貰った。８０万円。部品代だけで２７万円。残りは板金工賃や塗装・検査費用など。
明細書を見ると３ページに渡り細かく記入されている。
明細書には、検査項目が多い。サスペンションは元より、エンジン・ミッションも対象になっていた。
「将来トラブルが起きたときには『あの事故が原因かも』ときっと思うでしょう。それでは駄目なんですよ。」
それから修理工場を案内される。BMWが２台、ボクスター、VW、ジャガーX-TYPE、私のA4が入庫していた。A4に一週間ぶりに再会する。トランクの歪みが痛々しい。
「車も痛かっただろうにねぇ」と社長さん。
社長さんがいきなりA4の後部ドアを開けて閉める。
「ガポッと音がするでしょ。後ろから押されている証拠なんです。この辺りに圧力がかかっているから、トランクフロアを切り離して圧力を逃がしてから修理しないと駄目なんです。これをしないと後で軋みや異音の発生原因になりますから。」
加害者から連絡を受けて心配だった塗装について聞いてみる事にした。
「うちはメーカー指定の塗料を使います。ちゃんとヨーロッパの塗料を使って塗装します。普通の修理工場では行いませんが、うちの塗装は５年保証です。」
さらに白のBMWと白のボクスターを指さしながら
「同じ白でもメーカー毎に違います。単にツヤを出せば良いというモノではない。ワーゲン、アウディとジャガーの塗り方全然違うでしょ？ちゃんとメーカーの色を再現させないといけません。」
色に関して心配する必要はまったくなかった。
結局、何だかんだと２時間お邪魔してしまいました。年内中には引き渡しが出来るそうです。
話が終わる頃には「お願いする」なんていう気には恐れ多くてとてもなれませんでした。ある意味において私よりA4を心配している人にそんな事は言えません。
「もう、煮るなり焼くなりどうぞお好きにして下さい」こう言うのが精一杯だった。
社長さんは笑って謙遜していましたが、その顔には完璧に修理する自信が漲っているように私には見えました。
ゆっくりと、A4復活のプロジェクトは動き出したのでした。
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