雪に埋もれて | |
butapenn | 12/21(水) 10:28:34 No.20051222121103 |
「ちょっと何なのよ。吾眠周辺のこの寒さは」 もこもこのオーバー、毛糸の帽子とマフラーとマスクといういでたちの女が、吾眠のドアから飛び込んできた。 「寒いといっても閑古鳥が鳴いてる寒さじゃないわよ。本当に寒いのよ! 私は雪なんかめったに降らない兵庫南部から来てるのよ。ちょっとは考えてほしいわ」 重装備を次々とはずしていくと、ようやくBUTAPENNの中身が現われた。まるでマトリョーシカ人形だ。 「東海地方にこれだけの雪が降るのは、58年ぶりだって言いますからね」 微笑みながら、那智は熱いココアをカウンターに置く。 「これだけ寒いときっと、おでんの売れ行きも上がりますよ」 「その前に手足にしもやけできちゃうわよ。あ、ここだけの話、私パンスト三枚履いてるのよね(←実話)」 「……聞かなかったことにさせていただきます」 しかし、ペンギンとは寒い地方の生き物ではなかっただろうか。那智は、暖かいストーブの火を見つめながら不毛な思考にしばしひたるのだった。 |
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