024572
喫茶「吾眠」談話室
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ほんとに30代? 投稿者:BUTAPENN 投稿日:2005/07/04(Mon) 19:22 No.2329   <HOME>
ミュージカルバトンを受け取ってくれてありがとうと、オーナーによろしくお伝えください。
そんでもって、やっぱり疑問。
とっとさんて、ほんとに30代?
S&Gの「アメリカ」は、私が中学のときに流行った歌ですぞ。そのときオーナーはまだ幼稚園だったはず。
この歌は私も英語の歌詞でよく歌いました。
「I said, "Be careful. His bowtie is really a camera."」というあたりが、なんとも好きだった。
うぅ、この歌を聴くと、放課後の校舎に射す夕陽と恋と友情とのせつない思い出が胸に……(笑)。


Re: ほんとに30代? 羽黒那智 - 2005/07/05(Tue) 12:09 No.2330   <HOME>

 女将さん、いらっしゃいませ。
 えっと……、オーナーはれっきとした三十台ですよ。四十に近いですけど(苦笑)。
 S&Gは中学の時にビデオテープかなにかのCMでスカボローフェアが使われているのを聞いて聞き始めたらしいです。ちょうどそのころにセントラルパークでのコンサートもありましたしね。
 オーナーはそんな感じで結構『今』の歌より『昔』の歌に興味を引かれるようです。会社の上司が歌っているのを聞いて「いちご白書をもう一度」とかを聞いてみたくなったり(笑)。
 オーナーが好きなのは情景を思い浮かべられる歌なんです。そういった意味で昔は歌詞のないイジーリスニング系とか映画音楽が好きだったんです。それからだんだんと物語調の歌とかも聞くようになっていったんですね。ほら、アメリカとかも物語になっているでしょ?

>うぅ、この歌を聴くと、放課後の校舎に射す夕陽と恋と友情とのせつない思い出が胸に……(笑)。
 あぁかい〜ゆうひが〜♪
 って感じでしょうか(苦笑)。


真夏の夜は大入り満員也。 投稿者:桜蘭 投稿日:2005/06/29(Wed) 23:37 No.2325  
那智がいつものように朝9時に店を開けると、カウベルにこんなメモがぶら下がっていた。

「喫茶吾眠の常連の皆様

先日は私のうちを貸しきってTERUさんの劇をご鑑賞いただきまして、ありがとうございます。せっかく来てくださったのにご挨拶にも伺えなくてすみません。家主が留守の間に盛り上がっていただきなによりです。近頃は夏至を過ぎたせいか、暑くて体が参る今日この頃、皆様お体にはご自愛くださいませ。

桜蘭

PS 7種類の雑草、私が行っている施設にありました。
シロツメクサ、ヒメジョオン、アザミ、ジジバリ、ツユクサ、タンポポ、オシロイバナです。夏至は過ぎましたが、ゲリラ弟子に一歩近づきましたか、師匠?」

那智は眉をひそめた。内容にではなく、このメモがいつ張られたかということに対してだった。自分の知らない間に店に入ったのか。鍵はどうやって開けたのか。やつはゲリラの弟子ではなく、盗っ人の弟子ではあるまいか。
なんとも背筋に薄ら寒いものを感じて那智は身ぶるいした。


Re: 真夏の夜は大入り満員... 羽黒那智 - 2005/06/30(Thu) 12:08 No.2326   <HOME>

 桜蘭さん、いらっしゃいませ。
 実習で大変な中、お越しいただきありがとうございます。人と接する仕事と言うのは本当に大変だと思います。オーナーは教育実習でそれを体感し、教職とるのやめました(苦笑)。
 実習も半ばを過ぎたようで、がんばってくださいね。
 でも、太りすぎないように(笑)。
 さて……。

 カウベルにぶら下がっていたメモを手にとり、ぼくはひとつ溜息。
 メモの内容よりも、それがいつ、どのようにしてかけられたかよりも重要な問題がひとつ。

――字が違う……。
「呉眠」じゃなくて「吾眠」なんだけど……。

 常連の落としていったこれまでにないメガトン級の爆弾にぼくは真っ白に燃え尽きた。
 まだまだ認識率は低いようです(苦笑)。


Re: 真夏の夜は大入り満員... 桜蘭 - 2005/06/30(Thu) 12:54 No.2327  

ちょうど入れ違ってしまったようですね。
マスターがカキコする5分ぐらい前に気づいて修正かけたんですけど……。
すいません。


Re: 真夏の夜は大入り満員... 羽黒那智 - 2005/07/01(Fri) 12:10 No.2328   <HOME>

 桜蘭さん、いらしゃいませ。
 先の件はネタとして遣わせていただいただけなので、気にしないでくださいね。
 オチとして使えそうだったんで(苦笑)。


真夏の夜 投稿者:文字ゲリラ 投稿日:2005/06/21(Tue) 04:06 No.2317  
『夏至だね』
と言いつつ雑草を手に店に入って来たのはライン髭の男だった。
『なんですが、その汚いものは。ここはミケさんの野草喫茶じゃないですよ』
『マスター、もしかして、この可愛い花の名前が分からないのか』
『ツユクサは分かりますがねえ、ドクダミの何処が可愛いんですか、うへ、この匂い、困りますよ』
『ふん、匂いを除けばドクダミだって悪くない筈だ』
といいつつ、迷惑を顧みずにカウンターにどっとならべる。そこには他にカタバミ、スベリヒユ、ホテイアオイ、セイタカアワダチソウなどが並んでいる。
『なーんだ、おでんの材料はないのね』
とはもちろん女将である。
『お客さん、いったい、何のつもりですか』
『マスター、知らないのかい? 今日が夏至って』
『夏至?』
こんな時に直ぐに答えてくれるのは女将である。
『ほら、オーナーが巫女の服のファンである事が暴露された脚本の題名』
『そうだ、弟子のところで今夜上映される予定の奴だ』
『でも、それと雑草とどう関係があるんです』
『ふん、真夏の夜に7種の雑草の花を集めると願いごとが叶うと言う伝説が欧州の一部にある。特に若い女性の場合、良い相手と結婚できるという事だそうだ』
『あのう、ここは中年喫茶ですが。若い独身女性は』
『僕の弟子がいるではないか。それで、弟子に集められるかどうか気になって、試しにどのくらいの雑草が生えているか調べてみたのだ』
『それはそれは弟子思いで。しかし店はドクダミで酷い匂いですよ』
と皮肉を言うが、ラビン髭には全然通じない。
『そうだろう。雑草を集められないようでは、とても耐久ゲリラ戦で戦えないからな』
『あのう、桜蘭さんに幸せな結婚を願っているのでしょうか、それともゲリラが上達する事を願っているのでしょうか』
『マスターも察しが悪いな、結婚を餌にゲリラ法の訓練をするに決まっているではないか』
呆れてマトモに付き合うのを諦めたマスターに代わって女将が尋ねる。
『それで、雑草の花を集めた結果は』
『酷いものだ。実は一区画で7種類ある場所を探したんだが、なかなかないんだな』
『一区画内じゃないのいけないの』
『僕も伝説の内容を良く知らないので分からないが、小さな子供が集められるって条件の筈だから、ジャングルのような日本なら一区画内に限定して相応かと思っただけだ』
『では何種類までなんでしょう』
やっと気をとりなおしたマスターが尋ねる
『5種は行くんだが6種ある区画は少なくて、7種揃ったのは一ケ所だけだ』
それを聞いたマスターは、どんな場所に行けば、ここに見られる7種が手に入っるのだろうかと、疑問に思わざるを得なかった。




Re: 真夏の夜 羽黒那智 - 2005/06/21(Tue) 12:12 No.2318   <HOME>

「へぇ、欧州にはそんな伝説があるんだ?」
 異臭を放つ雑草を繁々と見つめながら榛名がそう言った。
 彼女の瞳がキラキラと輝いているのを見て、ぼくはため息をつく。
――またろくでもないことを考え出したな……。
「わたしも集めてみようかなあ」
「人妻が集めてどうするの?」
「もちろん、今以上に素敵な旦那様にめぐり合う為」
 思いっきり脱力。
 でも、少しはぼくのことも素敵って思ってくれているんだ?
「少しぐらい思わなければ、はなっから結婚なんてしないわよ」
 榛名の言葉に女将さんが「あら、ごちそうさま」と茶々を入れる。そこへさらに……。
「でも現状に満足はしていないわけだ?」
 っと文字ゲリラさん。
 昆布茶でも出してやろうか?
「あたりまえでしょ? 何時だって理想は高く持たなくちゃ」
 あっ、あんまりだ……。
 やれやれ、今日もぼくは溜息の大安売り。
「それじゃあ、夫として妻の高い理想を実現する為に協力してあげるよ」
 ぼくの言葉に榛名がちょっと顔をしかめる。
 榛名が目を輝かせている時はろくでもないことを考えているとぼくが知っているように、彼女もこんな態度をぼくがとる時には嫌味が返ってくることを知っているんだ。
「沢山、草の生えている所を教えてあげるから、そこで好きなだけ摘んでくるといい」
「どこよ……」
「裏庭。そこでオレンジブロッサム、ジャーマンカモミール、ラベンダー、ジャスミン、ハイビスカス、マリーゴールド、レッドクローバーなんかを摘んできてくれるとありがたいね」
「なによ、それ? 全部ハーブティーの原料じゃない」
 ぼくが読み上げたリストを聞いて榛名が思いっきり脱力。
「それでぼくがおいしいお茶を入れてあげれば、今以上に素敵に見えるでしょ?」
「なんかそれちがう……」
 榛名はカウンターにそのまま突っ伏したのだった。


Re: 真夏の夜 TERU - 2005/06/21(Tue) 19:58 No.2319   <HOME>

「なんだ、この臭いは」
 TERUが、顔をしかめながら入ってきた。
「マスター。新しいメニューに七草がゆでも加える気か?」
「ちがいますよ。文字ゲリラさんが持ってきたんです」
「ふうん。変態のやることはよくわからんな」
「だから、あんたに変態呼ばわりされる筋合いはありませんな」
 文字ゲリラは、憤慨した様子でTERUにいった。
「だいたいTERUさん。あなた欧州の伝説を知らないんですか?」
「ヨーロッパでも七草がゆを食べるのかい?」
「真夏の夜に7種の雑草の花を集めると願いごとが叶うんです」
「知らないな。マスター、さっさと、この雑草を片づけてくれ。臭くてかなわん」
「そうしましょう」
「ダメダメ!」
 文字ゲリラは、積んできた草に手を伸ばそうとする那智を遮った。
「これは、弟子のためにとってきたんだから、彼女が来るまで片づけさせませんよ」
「まいったなあ」
 那智は、苦笑を浮かべた。
「TERUさん、なんとかしてくださいよ、この人。榛名まで感化されちゃって困ってるんです」
「榛名にも困ったもんだな。むかしからフラフラしてるんだから」
「悪かったわね。だいたいTERUさんにいわれたくないわ」
「あのな榛名。ヨーロッパにどんな伝説があるのかしらないが、日本とヨーロッパじゃあ、願いごとを受理する役所の管轄がちがうんだぞ。こんな雑草を集めたところで、願いごとなんか叶うもんか」
「ね、願いごとを受理する役所ぉ? どこに、そんな役所があるのよ?」
「知らないよ。知らないけど、ないとおかしいじゃないか。でないと、願いごとがバラバラに実行されて、とんでもないことになるぜ。たとえば、結婚したいと思ってる女性が、結婚を飛び越えて子供ができちゃうとかさ」
「そ、それは、そうかもしれないけど……」
「とにかくだ。日本人が、ヨーロッパの伝説なんかに惑わされちゃイカン。日本には日本独自の、願いごとを叶える行事がある」
「もしかして七夕のこといってるの?」
「そうだ。短冊に願いごと書いて吊るすだけだぜ。リーズナブルだ」
「TERUちゃん」
 と、女将。
「あんたがいうと、なんだか夢がないわねえ」
「そうでもないですよ」
 TERUは、軽く肩をすくめた。
「軍手をはめて、必死に雑草をむしってる女性と、浴衣を着て、優雅な手つきで短冊に願いごとを書いている女性を想像してご覧なさい。どっちが夢がある光景ですかね」
「そりゃ浴衣ですよ!」
 那智は、思わず叫んでいた。
「巫女の服だけじゃなく、浴衣も好きなのかあんたは」
 と、TERU。
「え? や、やだなあTERUさん。巫女さんが好きなのはオーナーですよ。ぼくじゃなくて」
「だといいけどね」
 榛名は、ジトッと那智を睨んだのだった。
「なんで、ぼくが責められるんですかぁ?」
 こうして那智のタメ息が、今夜も一つ増えたのだった。


Re: 真夏の夜 文字ゲリラ - 2005/06/22(Wed) 02:15 No.2320  

『TERU さん、ちょっと誤解があるようですが』
とラビン髭が口を挟む
『僕の辞書に誤解の字は、、』
と黒コートが言いかけるのを女将がさえぎる
『誤解は無いけど誤植だらけ、そう言いたいのね、ほほほ』
『ちがう、誤解するはないが誤解されるはある、と言いたいのだ』
誤解されるのはお互い様だ、と皆が顔を見合わせる隙にラビン髭が続ける
『いいですか、この国際化の時代には日本の七夕願い省とヨーロッパの夏至願い省は、どちらも海外に支部を設けているに決まっているでしょう』
『それとこれとは話は別では無いか。我々は日本人だ』
『そんな、原則論を振りかざしては競争社会に生き残れませんよ、実利をとらなきゃ』
ここまで聞いて、榛名がはしゃぐ
『じゃあ、夏至願いの方が叶いやすいの?!』
『だって、考えてもごらんなさい、こういう支部は管轄下の人口が極端に少ないんですよ、日本にいるヨーロッパ人の数ですからね。それに対して七夕本部が引き受ける短冊の数の如何に多い事か。とすれば、競争率の少ない夏至願い省日本支部をターゲットにすべきです。これはゲリラ戦の基本です』
これを聞いたマスターは、結局はゲリラなのかと溜め息をつくのだった。


Re: 真夏の夜 TERU - 2005/06/22(Wed) 03:18 No.2321   <HOME>

「なるほど、一理あるな」
 珍しくTERUは、文字ゲリラの理屈にうなずいた。
「ほら、ごらんなさい」
 と、文字ゲリラが勝ち誇ったのも束の間、TERUがすかさず続けた。
「待ってくれ。ぼくが納得したのは、ヨーロッパが、夏至願い省の日本支部を作っているだろうってところだけだ」
「それを認めたってことは、夏至願い省日本支部をターゲットにすべきだと認めたのと同じですよ」
「それはどうかな。しょせん支部は支部だ。願い事を処理するのは本部のはずだ。支部は、集めた願い事を本部に送るだけじゃないのか。さらにいえば、日本支部の願い事を叶える順番なんて、プライオリティは低いと思うね」
「いや、たとえTERUさんのいうとおりだとしても、七夕は数が多すぎて、プライオリティどころの騒ぎじゃないでしょう」
「グローバルスタンダードの、『流れ星願い事叶えま省』よりマシだ」
「ふむ。たしかに流れ星はグローバルスタンダードかもしれませんが、数は意外と少ないですよ。流れ星を見る機会なんて、とくに都会では少ないですからね」
「しかし、七夕は、一年で一日だけだ。流れ星には季節や時間の設定はない。地球はどこかが必ず夜なんだから、その数は侮れないぜ」
「う、うむ……それはそうですがね」
「よし。では論点を変えよう。夏至だろうが、流れ星だろうが、七夕だろうが、どれにしても膨大な数の願い事があるはずだ。となれば、それを処理するのはコンピュータ以外に考えられない」
「コンピュータ?」
 那智は首をかしげた。
「願い事を叶える役所もコンピュータ使ってるんですか?」
「当たり前じゃないか。コンピュータ以外に、膨大なデータを迅速に処理できる装置があるとは思えない」
「は、はあ……そんなもんですかね」
「そんなものだよ。ということは、情報流出もあるわけだよ」
「だれが盗むんです?」
「悪魔に決まってるだろ」
「あ、悪魔ぁ?」
「願い事という、個人情報としてきわめて重要なデータを、悪魔が見逃すはずがない。なぜならヤツらは、その願い事を叶える代わりに、人間の魂をもらうのが仕事だからだ」
「は、はあ……そういわれれば、そうですかね?」
「そうなんだよ。となると、夏至願い省日本支部なんて予算がなさそうだからヤバいぜ。セキュリティは弱そうだ。信頼できない機関に願い事を預けるのはどうかと思うね」
「それは日本の七夕願い省だって同じでしょう」
 と、文字ゲリラが反論した。
「だいたい、日本の役所のサーバーが、何度ハッキングされていると思ってるんですか」
「そこが落とし穴だ。たしかに日本のセキュリティ意識は、世界的に見て低いかもしれないが、じつのところ、日本のサーバーが狙われる確率は、欧米のそれより低い。確率的には、欧米の方が危険なんだよ」
「いや、しかしですな」
 と、文字ゲリラが反論しようとしたとき。
「ちょっと、あんたたち」
 と、女将がこめかみに血管を浮かばせながらいった。
「いつまでバカ話してんの。そんなこといってたら、叶う願いも叶いやしないわよ」
「女将さんのおっしゃる通りですよ」
 那智はそういって、肩をすくめるTERUと文字ゲリラに苦笑したのだった。


Re: 真夏の夜 羽黒那智 - 2005/06/22(Wed) 12:09 No.2322   <HOME>

 TERUさん、文字ゲリラさん、いらっしゃいませ。

「まあ、どこにお願いするかは各個人の自己責任に任せるとして……」
 榛名が珍しく神妙な顔つきでそう言う。
「ひとつ気になることがあるのよね」
 その視線が文字ゲリラさんを捕らえる。
「例えば……文字ゲリラさんのお弟子さんは実は悪趣味でどこかの浮気男に恋しちゃう。けれどその浮気男は熟女好きで、だから若いお弟子さんには興味を持てないで、人の店で勝手に違法営業するおでん屋さんを狙っていたりして、でもそのおでん屋さんは美少年が好きとか言って中年男には興味を示すことなく、でも言っていることとは全然違う薄汚い髭を生やした男にホの字。でもその髭男は前々から自分の弟子をモノにしようと裏であれこれ画策していた……」
――な……、なんかすごい設定だな。
 でも、彼女の言いたいことはなんとなく判って、ぼくはひとつため息をついた。
「この四人がそれぞれの想いの成就を願った場合、結果はどうなるの?」
――やっぱり。
「決まっているじゃない。その場合はお弟子さんの一人勝ち……」
 そこまで言ってぼくはものすごい間違いを起こしたことに気がついた。いや、答えが違っていたんじゃなくって、素直に正解を言ってしまったことが間違いなんだ。
「なんで?」
 そう榛名に問いかけられて、ぼくは顔面蒼白。約一名、こちらを睨んでおられる御方がいる。
「なんで? なんで?」
「決まっているじゃないか。その願いは『若い女性』限定なんだ。文字ゲリラさんがさっきそう言った。つまり男であるぼくらや、若くない……」
 ぼくより愚か者が一人いた……。
 TERUさんはそこまでしゃべって漸く自分の過ちに気がついたようだ。( ̄人 ̄)合掌...
 そんな店内の緊張感を余所に、一人文字ゲリラさんが呟く。
「良い相手と結婚できると言っただけで、想いが通じると言った覚えはないのになあ……」
 そう、意中の相手が良い相手とは限らないのだ……。


Re: 真夏の夜 BUTAPENN - 2005/06/22(Wed) 13:06 No.2323   <HOME>

「ほほほ。みんないい度胸してるじゃないの。私をひとり年寄り扱いするとは」
女将はカウンターの奥から、ずいと現れた。
「40の大台に乗ってもなお「20代くらい」と言い張るTERUちゃんや、年齢まったく不詳の文字ゲリラちゃんと、一時代前のナツメロばかり口ずさむ、明らかに精神年齢30代後半の那っちゃんとその同級生の榛ちゃん。
みんな願いごとがかなう、いい方法を教えてあげる」
全員が止める間もあらばこそ、BUTAPENNはあっというまに、雑草を全部おでんの鍋に放り込んだ。
「野趣あふれる「夏至おでん鍋」よ。これを食したら、たちまち「年齢にかかわらず」良縁が舞い込む。いいでしょ。吾眠の新名物にしましょうよ」
怪しく笑う女将のかきまぜるおでんは、すでに色といい、匂いといい、まさしく魔女の大鍋と化していた。季節柄、食べた人はたちまちカエルに変身できそうだ。
一同はとばっちりが来ないように、こそこそと隠れ始めるのだった。


Re: 真夏の夜 羽黒那智 - 2005/06/22(Wed) 18:51 No.2324   <HOME>

 BUTAPENN姉さん、いらっしゃいませ。

「ナツメロばかりねぇ……」
 個人的にいいものはいつの時代に聞いても良いと思うのだけれども、今ここでそれを言っても聞き入れては貰えないんだろうなあ。
 ぼくは人知れず溜息を漏らす。
 ため息つけば それで済む。後だけは見ちゃだめだと……。
 すでに店内は鍋から醸しだされる異様な妖気と異臭のおかげで閑古鳥。残っているのは女将さんとぼくだけ……。
「ねぇ、女将さん?」
 ぼくはとりあえず彼女に話しかける。
「良縁を取り持つ前に、先に縁切り神社か縁切り寺で今の縁を断ち切らなきゃいけない人が多いんじゃないですか?」


わーおー! 投稿者:sleepdog 投稿日:2005/06/17(Fri) 18:52 No.2315   <HOME>
 散歩の途中で、久しぶりにその喫茶店に寄ると、真新しいドアが無惨に蹴破られていた。獣の匂いを発する何物かの巨大な爪跡。痴話喧嘩……にしては派手だろうか。
 けれども店内はピカピカに磨き上げられ、新しい木材や塗料の匂いが胸をはずませる。きょろきょろと見渡し、まあ、とりあえず、こういう種の習いというか、手頃な柱にマーキングをしておく。
 マスター、ごめん。分かってても止められない。

 カウンター席にちょんと腰掛け、テーブルを肉球でぱたぱた叩く。

「マスター、改装サラダひとつ!」
「何ですか、それ」
 那智は首を傾げつつ、雑種用ビスケットを小皿に持って鼻の前に置いた。
「あれだよ、劇的にビフォーアフターする所さん……じゃなくてところてんだよっ! 寒天ブームなんだから、もちろん置いてるでしょ?」
 そう騒いで、朝専用の缶コーヒーを飲みながら、サマージャンボの束を見てにやにやしている。
「ねえ、日本地図とダーツはない?」

 はい?
 茫然とするマスターを尻目に、散歩中の駄犬は、光る眼光を残して走り、ノラに挨拶したそばから、猿の悪口を言ったり、蝿や蚊を追い回したり、やがて子犬の姿をした天使が翼休める場所を探して、歌いながらまちへ出かけた。
 ――とさんざん犬を語ったわけで。皆さん、どうもありがとうございました。BUTAPENNさん、吾輩猫さん、銀の骨はいい出汁がとれますよ(^-^;)。


Re: わーおー! 羽黒那智 - 2005/06/20(Mon) 12:09 No.2316   <HOME>

 sleepdogさん、いらっしゃいませ。
 いやいや、お犬祭SEではお世話になりました。なのになんかオーナーったら書き逃げ状態ですみません。
 銀の骨、女将さんのはすでにおでんの鍋に入っているかもしれませんねぇ。文字ゲリラさんのは……、砕いて饅頭にでも入れる?
 うちのは昨年猫祭の際に煮込んでフォンをとっちゃったんで、今回は使えませんでした。残念!
あぁ、そういうネタもあったなぁ。


サイト改装おめでとうござ... 投稿者:朧豆腐 投稿日:2005/06/13(Mon) 22:24 No.2313   <HOME>
カランコロン――バキッ。

いきなりドアのもげる音。
見覚えのあるトカゲっ娘が、出入口に立っていた。
もぎれた人の腕をくわえて。どう見ても、つくりものに見えないあたりが怖い。
何しに来たんだろう。
真っ青な顔してかたまっているマスターの方へずかずか近づいてきた彼女は、カウンターに何か書かれた紙を差し出した。

『にく』

はい?
茫然とするマスターを尻目に、豆腐屋の売り子は、むしゃむしゃ腕を咀嚼しながら店を後にした。

本当、何しに来たんだろう。


Re: サイト改装おめでとう... 羽黒那智 - 2005/06/14(Tue) 12:08 No.2314   <HOME>

 朧豆腐さん、いらっしゃいま……せ……。
 改装早々、ドアが壊れた……。
(/_T)(・_・;)ナゼナク?
 しかし、それよりも気になるのは腕……。
 一体、誰の腕なんでしょう?
 ギクッ(((・_・;)(°−°?)ナゼヒク?

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