からす天狗の仮面をかぶって来た男は、さっそく 『冷しぜんざい』 と注文した。あずき系を注文する客は1人しかいない。 『お客さん、どうそたんですか』 『どうしたって、流行の最先端だよ』 『はあ?』 と首をかしげるマスターに代わって、女将が答える 『ほら、この界隈でやってる百物語』 そう言って、おでん屋はお岩の仮面を取り出した。 『あのう、そんな格好はベノさんのところでお願いします』 と抵抗するオーナーに 『ちょっとまて、妖怪喫茶って言えば尾張豊橋の名物じゃないか、妖飼猫に爆弾魔に吸血浮気男に巨大豆腐に文犬に、、、僕を除けば妖怪しか客がこないじゃないか』 と烏天狗男が言えば、 『そうよ、ここは仮装喫茶の筈よ』 と脈絡のない相槌を女将が打つ。やれやれとマスターが頭を振っていると、仮面の男は包帯を取り出した。 『マスター、阿波踊りは知ってるよね』 『はあ、そりゃまあ』 『じゃあ、マスターも参加しない手はないよ。ほら、ここに僕が先日まで使っていた包帯があるから、それを巻くと良い』 と言って無理に押し付けた。 『あのう、このどす黒いのは』 『もちろん血さ、なんせ怪談だからね』 けが人が包帯をするのは普通だが、健康な人が血のついた包帯をしては、、やはり妖怪の一種だろう。マスターは賢明にもこう答えた 『お客さま、それはやっても構いませんが、その演技代として、御注文の5倍のチャージがかかりますが、それでよろしいでしょうか?』 『げ、そりゃ待った。じゃあ、オーナーへのプレゼントって事にしてくれ。ベノさんも待っている事だし』 『かしこまりました』 まさに妖怪喫茶の本領といえよう。
ーーーーーーーーーーーー と言う事で、とっとさんの話も待ってますよー
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