The Adventure of Van Rood Quester

ファン・ルード・クエスターの冒険

その15−探索と休息

「セス、右通路に動体4潜伏している、生命オーラなし、例の人造だ」
「りょーかい、あたしが前を潰す、後ろよろしく、いくよっ!」
森エルフの冷静沈着な声に反応し、赤髪の獣人がアックスを構え駆け出す。
迷う事無き即決即断、通路を駆けるその姿は、狩猟系獣人の名に恥じぬ一陣の紅い風だった。
その風が、嵐となって吹き荒れる。
通路の奥から現れた騎士像を象った石ゴーレムは、紅い獣人の超怪力の一撃で足を、それも驚く事に両足同時に砕かれ通路に倒れこんでいた。
両足を無くした石騎士が轟音をたて石畳に倒れ伏すその前に、紅い獣人の二撃目が、続いて現れた同形の石騎士の兜に叩きつけられる。
新手の石騎士は大盾を掲げアックスの一撃を受け止めるが、しかし、分厚く頑丈な石の大盾はあっさりと砕け散り、勢いを殺す事無く振り抜かれたアックスが、そのまま件の石騎士の頭部を粉砕していた。
そして、それとまったく時を同じくして、紅い戦士の背後に控えていた森エルフが優雅に両手を翻す。
エルフの白い指先が軽快な音を弾くたびに、緑色の弾丸が一直線に宙を切り裂く。
次の瞬間、前衛の石騎士達の背後に隠れ投槍を構えていた投擲兵型ゴーレムの眉間、喉、両肩、股間が的確に削り取られ、ものの数秒で轟音とともに床に崩れ落ちていた。
「よし!一丁あがりっと、楽勝っと」
獣人の女戦士「赤牙」のセスティア・ゼルフは、巨大な鉄の凶器を片手でふるうと、床に倒れた石騎士たちの胴に、とどめの一撃を入れてまわる。
繋ぎ目一つない強固な石材できた人造戦士達は、豪快な音をたて砕け散っていた。
「いや、そうとも言えないな……こいつら私達を待ち伏せしていた」
森エルフのレンジャー「魔弾」のフィーセリナ・エルダールは、崩れ落ちた石像達を調べながら、相棒の獣人に注意を促す。
「待ち伏せ?」
「ああ、見たところこの人造騎士どもに遠隔探知できる精巧な感覚器官はない……誰かの指示で私たちの居場所を教えられて待ち伏せしていたのだろう……つまり、その誰かは私達の行動を監視あるいは先読みしている可能性が高い」
「はっ、それならさ、こんなちまちましないで、もっと数を揃えて包囲してくるはずだろ、普通」
「確かにな……さてと……」
石造騎士に彫られていた紋様を観察していた森エルフの美女は、手についた砂埃をはらいながら、すっと立ち上あがる。
そして、そんな些細な事よりももっと大事な心配ごとあると言わんばかりの様子で、端正な美貌を翻していた。
次いで、凛々しい女戦士も、その豊満な乳房と細い腰をおおっただけのビキニスタイルで振り返る。
心配顔の二人のデミヒューマンの美女は、同時に口を開いていた
「「ファン、大丈夫?」」
美女達の視線の先にいるのは、ファン、ファン・ルード・クエスター、そうつまり俺だ。
俺は、苦笑いしながら過保護な冒険者仲間達に「大丈夫だ」と答えながら、ランタンを掲げて、たった今まで乱戦が発生していた通路に歩みよる。
「ファン、ファン、怪我はない?どこも痛くない?」
女獣人のセスが、その爆乳をゆさゆさと揺らしながら、俺の側に駆け寄ってくる。
かすり傷の一つでもあれば一大事と言わんばかりの様子だ。
俺は肩をすくめ何も問題ないとアピールし、愛護精神が暴走気味な獣人戦士を安心させてやる。無論怪我などあるはずがない、お恥しい事だが、俺の今の仕事はパーティの一番後列で待機するだけなのだから。
「この先、安全が確保できる小部屋を見つけしだい小休憩をとろう……それでいいか、ファン?」
森エルフのフィーは、セスのように俺にべったり纏わりつかないが、気になっている様子で視線をちらちらと此方に向けてくる。
俺が頷くのを確認すると、エルフ娘は嬉しそうに目を細め、素早く通路の先頭にたつとレンジャーらしくトラップを警戒しながら、延々と続く石畳の通路を先に進みだしたのだった。

森エルフのフィーセリナを新たにパーティに加えた俺たち即席パーティの迷宮の探索は、すでに二日目に突入していた。
「悪徳の騎士」ペンス・ドーンに支配の力を与えた魔神が復活する前に、この迷宮を脱出する事を最大の目的にして行動している。
ちなみに、森エルフのフィーセリナの話では、迷宮に渦巻く魔神の力の影響でセスティアが正気を失いパーティを離脱、ついで、そんなセスティアを探している間に「静謐」の更紗とバラけてしまい彼女達の三人はちりじりになってしまったそうだ。
その後、フィーセリナは一人で迷宮を調査しながら、はぐれた仲間を探していたら俺達に出合った流れらしい。
ん、ということは、この女エルフは、セスと違ってずっと正気を保っていたわけか……
ペンス・ドーンめ、何が『この娘も魔神の魔力の影響をうけて精神を犯されとる』だ全然当てにならないな奴だ……あれ?待てよ、そうすると最初会った時にフィーセリナが俺を殺そうとしたのは、魔神の影響じゃなく……
いや深い追求はやめておこう。くそ、ニンゲンだって生きる権利はあるんだぞ。
ちなみに、精霊界が起源のエルフに備わる超自然的な感覚からすると、この石畳の通路と無数の小部屋からなる迷宮は、すでに魔神の影響で物質世界から切り離され半ば異界化しているらしい。おそらく一日、二日では踏破できないほど広がっているそうだ。
そこで、俺達は闇雲に突き進む事をやめ、退避場所に使えそうな小部屋などで定期的に小休憩をとり、さらに一日毎に睡眠をとる長時間の大休憩をいれた長期戦のかまえで迷宮探索を進めることにしていた。
じっくり腰をすえての迷宮探索は疲れも軽減されリスクが少ないが、問題は魔神復活というタイムリミットだ。
今のところ魔神が復活するパターンは二通り予想できる。
一つは、ペンス・ドーンがメンテナンスを怠ったせいで緩みだしている封印が自然に解ける場合。
もう一つは、迷宮ではぐれたままの最後の一人「静謐」の更紗が魔神に操られ封印を強引に解いてしまう場合だ。
前者の場合は、明日かもしれないし十年後かもしれない。ペンス・ドーンの時間間隔はまったく当てにできないの不明なので心配してもしょうがない。つうか俺は最近ではもうほっといてもダイジョブじゃないかと疑っているぐらいだ。
後者に関しては、積極的に鬼巫女の更紗・カンザキを捜索するより出口を探す方に専念すべきと言うのがフィーの提案だった。その理由を聞くと森エルフの女レンジャーは苦笑いをしながら首をふり、「私達が下手に捜索するより、更紗が此方を見つける可能性の方が高い……それに、もし彼女が魔神に操られたら諦めるしかない、更紗の強さは別格だ」と教えてくれた。
そんなわけで、この二日間、俺達はこの異界化した石畳の通路と無数の小部屋からなる迷宮の出口を求め探索し続けていた。
もし俺が一人で、この迷宮をさ迷っていたのなら、半日もしないうちに凶悪なデストラップか徘徊する石造ゴーレムの餌食になっていたのは間違いないだろう。
なにせ、いままでに、俺には仕組みどころか存在すら感知できない即死級のトラップが数十箇所はあるのだ。その全てはエルフレンジャーのフィーセリナによって手早く解除されていた。
さらに、迷宮を徘徊する石造ゴーレム達は極めて屈強で、軽く見積もっても1体で街の守備兵1分隊に匹敵する戦闘力はある化け物クラスだ。そんなゴーレムが多い時にはダース単位で襲い掛かってくるのだ。その全てを無双の女ファイター、セスティアが次々と粉砕していた。
そんな美女達の八面六臂の活躍に、俺は「名持ち」冒険者がもつ真の実力と、何の役にも立たない自分の不甲斐なさを実感していた。

「此処なら大丈夫、罠もないし、一応念のため――」
トラップの有無を確認した「魔弾」のフィーセリナが、軽く集中し魔法技術を行使すると、部屋の入り口の石床を裂いて樹木が伸び出しt網目状に絡み合うと、天然のバリケードで塞いでしまう。
「ふう……よし、まずは此処までの状況確認しとくか」
辺りを警戒していた「赤牙」のセスティアが、フィーセリナが<よじれ枝>と<見張り森>の魔法技術で小部屋を封鎖し終えたのを確認すると、ようやく緊張を解いて荷物を降ろし、道すがらつけてきた地図を広げる。
「さっき通った直線の通路だが、微かに右に傾斜していた、おそらく造り的に此処より広い空間がある、おそらく――」
「うーん、あたしはゴーレム兵どもの配置が気になるな、ほら今日三回目に遭遇した場所、このポイント、ここってさ三叉路だったよな、あんな位置で――」
広げた地図に顔を寄せ合う二人の女冒険者は、情報を共有し整理している。
俺も一緒になって地図を覗き込むが、意見を言う機会はあまりない、はっきりいって俺が知覚できる情報は二人とも承知している事ばかりだ。
二人と組んで迷宮探索をはじめた初日は、さすがに俺もこのレベルの違いに落ち込みはしたが……だがしかし、いつまでも、ふて腐れているわけにもいかない!
よく考えれば駆け出し三流の冒険者である俺にとって、これはまたとないチャンスなのだ!
半島中央のルナー帝国という冒険者の激戦区で「二つ名」持ちの冒険者として名を馳せている超上級者のやり方をすぐ側で見て聞ける。
戦闘技術はニンゲンの俺にはマネできないが、その他の経験による技術、探索や警戒などの手順や歩く時の位置取りなど、学ぶべき事は沢山ある。
そんな俺の様子に気がついたのか、セスもフィーもさりげなく会話の内容を初心者の俺にも判りやすく切替えてくれていた。
「こんなところか――さて、今から休憩をとろう、少し長めにな……その後、さっきの通路を右側に行く、それでいいか、ファン?」
「あ、ああ」
眉間に皺をよせて地図を見直す俺は、セスとフィーの会話を反芻し頭の中で整理しながら、頷きかえす。
「ふふふ、それじゃ荷物を降ろそうファン、身を清めて軽く食事をとって、さあ、休憩の時はもっとリラックスするべきだ」
俺の頬に、エルフの柔らかい唇が軽く重なり、ふんわりと清涼な森の香りが包み込む。
「そうだ、あんまり根をつめるのもよくないぞファン」
ビキニスタイルの長身の女戦士がその豊満な乳房を俺の背中にむにっと押し付け、首筋に優しく鼻先を寄せてスリよせてくる。
「あ、ありがとな、二人とも」
二人の仲間の優しい気遣いと温かい抱擁に包まれ、俺はふうっと息を吐き軽く力をぬく。
いかんいかん、知識を学ぼうと躍起になるばかり周りが見えなくなっていては本末転倒だ。
しかし、こんな頼りになる美女二人はそうそういないだろう。支配の力という卑怯な手を使ったが、仲間にできたのは本当に行幸だと言える。
『そうだぞ、お前は真面目すぎだな従者ファン、人生どんな時でもほどほど適当にだ、そう気負っていては魔神を倒すというお前の使命は達成できん、あ、そんな事より従者ファンよ、俺様の宝玉を磨いてくれ、砂埃でだいぶ汚れてきてしまったからな、うはははは』
「ふぁん、ふぁん、ごはん〜、ごはんしよ〜、おなかすいた〜、ふぁん〜」
何も考えず人生を適当に過ごした結果の集大成であるペンス・ドーンの魔剣と、考えることすら考えつかない食欲だけの鉱石妖精リ・クリル。
しかし、こんな頼りにならない一本と一匹もそうそういないだろう。何かこう卑怯な手でも使って、黙らせたくなる。
ちなみに、この二日間で、ペンス・ドーンは自分で作ったこの迷宮の仕組みを思い出せなかったが、かわりに過去の女性遍歴だけは詳細に思い出せたようで、頼んでもいないのに延々と語られた。おかげでペンス・ドーンの自叙伝(ただし寝物語に限定)なら代筆できそうなぐらいだ。
ついでに、鉱石妖精ノッカーであるリ・クリルは、妖精界のしかも地下出身らしくこの地下迷宮から脱出する何か特別な技を披露するかと期待されたが、「くりるのおうちではぁ、迷子になったら左のおててでぇ、こうやって壁をさわってずーーーっと歩くの、そしたら帰れる、すごいでしょ」と超笑顔で何十回も繰り返すだけだった。
まあ、かく言う俺も何の役にもたっていないわけで、このイラだつ気持ちは同類嫌悪からきているのだろう。とほほほ。
「ファン、眉間に皺、あの剣が言うとおり、ほどほどにな」
「さあ、まずは食事だ、腹へったろ、あたしのファン」
「ああ、そうするよ」
俺の心のオアシスになりつつある美人冒険者フィーセリナとセスティアに再度促され、素直に同意する。
休める時はきちんと休むか、まあ当たり前だがこんな途方も無い迷宮に閉じ込められ切迫した状況だと、余裕なんて失うのが普通だ。
さすがは「二つ名」もち冒険者、場数を踏んでいるだけあって、ペース配分をきちんと考えているのだろう。
「……その後は……もちろん……ぺろっ」
「ふふふ、当たり前、そのために休憩したわけだし……ごくり」
えーと、考えてるんだよな二人とも…………


ペンス・ドーンに支配の力を与えた魔神を封じた迷宮。
その広大な石作りの迷宮の一角で、俺達は英気を養うため、小休憩をとっていた。
硬い石畳の床には、毛足の長い柔らかなマットレスがひかれ、羽毛が詰め込まれたクッションまで積み上げられている。
その快適さは、俺の定宿の蚤がたかった寝藁とは雲泥の差だ。
さらに目の前には、焼きたての小麦の白パンとチーズ、肉や野菜の具たくさんのスープ、それに瑞々しい果物それにが山盛りにされ、そらに軽い酒まで並んでいた。
こんな場所での食事なのに、俺にとってはここ数年で一番のご馳走だった。
リ・クリルも同様らしく、まるで冬眠前のリスのように頬を膨らませて食事に夢中だ。
俺も小麦だけでできた白パンなんて食べるも初めてで、思わず涙ぐみそうになってしまう。
これら全ては、森エルフのフィーセリナがもっていた小さな袋から、次々と現れた品だった。
なんでも見た目以上に大量の物を詰め込める魔法の物入れ袋【バック・オブ・ホールディング】という高価なマジックアイテムらしく、高額を稼げるようになった冒険者なら必ず購入する定番の品らしい。
ちなみに、ここでこの即席パーティの食料事情も説明しておこう。
お恥しいが、こんな長丁場になると思ってなかった俺は節約しても残り三食分の干し肉と手持ちの水袋一杯のみ、そしてリ・クリスは当然ゼロだ。前に買い与えた保存食は、すでにおやつ代わりに食べたと言われた。
一方のフィーセリナは、魔法の物入れ袋に<保存>の魔法技術をかけた水と食料を丸々一月分も貯蔵していた。なんとも用意周到、さすがベテランは違う。
本当はセスティアが所持していた魔法の物入れ袋の方に、小さな村が一冬越せるぐらいの食料が詰め込まれていたらしいが、魔神の影響でバーサークし迷宮をさ迷っている間に何処かに落としてしまったらしい。
さらには、フィーセリナは<食料作成>という、金属以外の物質を最低限の栄養がある食料にかえる魔法技術を取得しているそうなのだ。
なんと、そんな凄い魔法技術があるとは! 世界の食糧事情が急変しそうな魔法だが、ただ問題は美味いとは決していえない事らしい。
試しに<食料作成>でできた白いオートミールのような物を食べたさせてもらったのだが、石から作成されたその白い粥を一口喰って目を見開いた俺に、フィーもセスも「不味いだろ?」と苦笑いをしていたが……正直いって俺が主食にしている1皿10シリンの雑穀スープより数段美味かった。
<食料作成> 俺のような明日のパン代にも事欠く身にとって夢のような魔法技術だ。
しかしニンゲンある俺にはご存知の理由で習得条件を満たす事ができず、覚えるのはほぼ不可能だろう。おそらく一年ほど<食料作成>の魔法技術の練習だけを必死に専念すれば、運がよければ一日スプーン一杯分ぐらいなら作れるようになるかもしれないそうだ……
僅かな期待をこめペンス・ドーンに確認してみたが、当然かの偉大なるエロ騎士様が<食料作成>なんて有益な魔法を会得しているわけがなく、代わりに<ローション作成>なる魔法技術をすごく自慢げに披露させられた。トロトロの粘液を作成する魔法で、ペンス・ドーン曰く『このラブローションは口での使用も考え、天然成分由来の――』とのことで、一応口に入れても大丈夫らしい。俺は思いきって食べてみたが、雑穀スープと似たりよったりで美味くはなかった。せめてローションでなくポーションだったら……
まあ、何にしろ糧食の問題は殆ど無く、餓死の心配がないのは大きな救いだ。
そう言うわけで、休憩で出される食事は、高額所得を誇る「二つ名」持ちの冒険者フィーセリナから提供される超がつくほど高価で美味な食材ばかりとなったわけだ。
今、鉱石妖精がむしゃぶりついている特大ハム肉なんて、熟成された赤みも鮮やかな豚肉に辺境では超貴重なハーブや調味料がふんだんに振られている。多分、あれ一つで、今回のゴブリン退治の報酬以上なのは間違いない。
貧乏冒険者生活の癖で、今までメシの話ばかりしてきたわけだが、そんな俺を魅了する一番の品は、今まで食べたこのとない豪華な食事ではなく……
「ファン、ファン、んっ、ちゅっ、あたしのファン♪」
「んー、やっぱり休憩はいい、落ち着くな」
左右から俺にぴったりと抱きつく二人の美人冒険者、「赤牙」のセスティアと、「魔弾」のフィーセリナだった。
ちなみに既に二人とも全裸で、俺と一緒に一枚の毛布にくるまっている。
食事を取ろうと床にマットを引いたはずなのなに、なし崩し的にセックスに励んでしまっていたのだ。
左右からぴったりと俺に寄り添う二人の美女の下腹部、獣人美女の肉感的なお尻とエルフの小ぶりな白いお尻からは、俺のザーメンがどろっと垂れ落ちている。
こんな時だから自重しないといけないとわかっているけど、英雄譚にでてくる勇者達も色を好むことは多いわけで……
いや、正直に言おう。迷宮と言う閉鎖された空間での連戦が続く緊張の日々。不意に訪れる安全な休憩所。そこで、長身のスタイルに豊満な乳房と大きなお尻も色っぽいセスティアと、透き通る白い肌にスレンダーな魅力のフィーセリナ、思わず生唾を飲み込むほどの美女二人に誘われてみろ。猿にならないほうがおかしい。。
先ほども、もう王様口調でセスとフィーの二つのお尻を並べさせ、獣人とエルフの蜜壺を交互に突きまくり、味わい尽くしていた。
気がつけば、セスティアの鍛えられた腹筋の締め付けに耐えられず、外に出すつもりが物欲しげに亀頭おしつけられる子宮口に向け、ついつい膣内射精してしまっていた。
さらにはフィーセリナの懇願にも負け二巡目に突入してしまい、<愛液豊潤>の魔法技術と指マンでたっぷりほぐしたエルフのキツキツ蜜壺に肉棒を突きいれシゴきまくり、そのまま我慢すらする気もなく射精し、エルフのお腹にハーフエルフの種付けをしてしまっていた。
極限状態では子孫をつくるため精力が溢れると聞いた事があるが、まさに、この二日間、俺はその状態なのだろう、俺は自分でも驚くほどの精力に満ちていた。
その後も、二人にそれぞれに一発づつ注いだにも関わらず肉欲の疼きは満たされる事がなく、さらに二人の亜人美女を両手で抱きかかえ、交互にディープキスをしながら、対面座位で彼女達の蜜壺を突き上げまくっていた。
結局、食事をとる事も忘れ、パーティメンバーの女冒険者達の膣穴を好き勝手に使いまくり、彼女達の子宮の中に濃厚なスペルマを自分でも呆れるぐらい注ぎ込んでいた。
神経をすり減らす危険な迷宮で、安全な小部屋で休憩とれたという開放感もあったのかもしれないが、正直やりすぎたかもしれない。
「あ、ファン、また硬くなってる、ほらリラックスさせたげるね、んっ、じゅるぅ」
赤毛の美女セスティアが、マットに胡坐をかいた俺の股間に顔を寄せると、ザラザラした長い舌を伸ばし、ゆっくりと優しくマッサージするように肉棒を嘗め回しだす。
「なんだ、またか?あれだけ私の中で休憩させてやったのに……お前はホント底なしだな」
フィーセリナが呆れたような口調でそう言いながら、冷たい印象を与える美貌で俺を見下げるながら、ちゅちゅっと音を鳴らして頬にキスをしてくる。
「いや、これは、ううぅ、俺じゃなくて、多分あのペンス・ドーンの…力のせいだと…思うううっ」
俺はそう言い訳をしながら、股間に顔を埋める獣人美女の赤毛の頭を撫で、密着するエルフの腰に手をまわし、そのスベスベの白いヒップを掴みあげる。
「ふん、このスケベ……まあ、そうであれば私はあの忌々しい魔剣に少しは感謝すべきかもしれないな、んっ、ちゅっ……それより、ファン、このままセスの口の中に出すなら次は私にも飲ませるように、セスだけファンを味わえるなんて不公平だからな、いいか、お願いします、だ」
麗しい森エルフの美女は、俺の肉棒に舌を這わす赤毛の相棒をちらりと見てから、やや剣呑な声ですっかり恒例になった万能の呪文「お願いします」を唱えると、透けるようなエルフの白い肌をすり寄せ、プチサイズのおっぱいを押しつけてくる。

ちなみに、セスもフィーもその髪や肌は、もう何日も迷宮内をさ迷い続けているにもかかわらず、清潔そのもので艶々と輝いていた。
男性である俺には羨ましい限りだが、それは女性であれば当然のことだ。
普通の女性なら、多少の汚れや傷などは寄せ付けないようになっている。神学者によれば「女の子はいつでも綺麗じゃないとダメなの」という世界を司る七女神達のこだわりが、そのまま世界の法則となっているそうだ。
先ほどだって石造ゴーレムを粉砕し砂埃がもうもう立ち込めていたが、セスやフィーが汚れた髪をさっと払っただけで髪はふわっと軽やかに天使の輝きを取り戻し、小石で傷つき汚れた肌も軽く埃を落としただけで沐浴したてのスベスベな肌に戻っていた。
魔法学者のウォーロック達によれば、七女神の恩恵を受ける女性は<洗浄>や<清掃>の魔法技術を無意識に使いこなしているらしい。
七女神の教えは地方や種族により解釈は千差万別、中には七女神を邪神として憎んでいたり、存在すら知らない場合もあるが、たとえ誰であろうと女性であればその恩恵は等しく授けられる。
さらに、授けられた七女神の恩恵をより高める最も簡単な方法は、女性が美しくあることであり、その身を自ら清浄に保つ行為は恩恵を強める効果がある。
そのため大抵の種族では、例え七女神を崇拝していなくても、身を清める行為、例えば沐浴はもう当たり前の生活の一部になっているのが大半だ。
おかげで女神光臨以前に比べ女性の間では伝染病や疾患は激減し、元々女神の恩恵で生命力が高い女性の優位がさらに広まり、いまの女尊男卑な世界ができあがる基礎となったわけだ。
さすが女性の地位向上を第一命題とする七女神である。
まあ、男である俺にはまったく関係のない話なのだが。一応、俺も世間一般と同じく七女神を何となく信じてはいるので毎日身体を拭いてはいるが、恩恵を受けた事など当然ない。女神達はきっとすぐ汗臭くなる男は嫌いなのだろう。

そんな七女神の恩恵を受ける女性であり、さらに完璧な容貌とスタイルにより強力な加護を約束されたエルフの一員であるフィーセリナは、神の寵愛をうけた白く透き通るような無垢な肌を、ぴったりと俺の胸元にすり寄せていた。
「おい、聞いてるのかファン、セスの次は私に<ふぇらちおん>をさせなさい、お願いしますっだ、ふふ、たっぷりハミハミしてやるからな……あ、そうだ、ほらファン、これ食べないか?力がつくぞ」
赤毛のセスに肉棒を根元から舐め上げられ喘ぐ俺の口元に、フィーセリナが蜂蜜色の焼き菓子のような食べ物をもってくる。
ただの焼き菓子ではない、【レンバス】というエルフ秘蔵の魔法の食物で、食べれば疲労回復の効果ある。しかも驚くほどに美味なのだ。
昨日も分けてもらったのだが、しっとりと甘く蕩ける味はまさに極上の一言……ゴクリと喉を鳴らした俺は喜んで伝説に謡われるエルフの焼き菓子を、フィーセリナに食べさせてもらう。
柔らかフカフカのマットの上で寛ぎながら、肉感的でグラマラスな獣人の美女に熱烈なフェラチオをされ、胸元に抱き締めたスレンダーなエルフの美女に手ずから美味な焼き菓子を食べさせてもらう。
しかもその亜人美女が二人とも俺だけのモノで、好きに抱き放題なのだ。
一週間前の俺には想像つかない羨ましすぎる状態だと自分でも思う。
「美味いか?ほらもう一枚、まだまだ沢山あるからな……ん?喉が渇いたのか?しょうがない、ほら水出しのリン茶だ、んーっ、ちゅっ、こくっこくっ、ふぅ… 私が口移しで飲ませてやったんだ嬉しいだろ、そうか、ではもう一枚レンバスをやろう、ほら、口開けろ」
しかし、このエルフの焼き菓子【レンバス】、昨日からフィーセリナが次々と与えてくれるので美味しすぎて、ついつい二枚、三枚とさくさくと食べているが、よく考えたらこんなに食べて大丈夫なのだろうか?
これって一枚食べるだけで一日歩き通せるぐらい体力が回復する伝説のエルフの焼き菓子なんだよな……もしかして、最近俺が精力過多なのはペンス・ドーンの力のせいじゃなくて、この魔法のお菓子の食べすぎじゃ……
「何だ、もう食べないか?この焼き菓子は、私のようなエルフの高貴な女性しか作る事を許されていない特別製、つまり私の手作りだ、まさか私の手作りは食べられなと言うのか?」
ぎろっと俺の顔を睨みつけてくる、傲慢で強気なエルフのお姫様。
「い、いただきます」
「よし、じゃあ次は三枚いっぺんに食べてもいいぞ」
フィーセリナは嬉々として俺の口にレンバスを束にして押し込んでくる。
確かにエルフ秘蔵の焼き菓子はすごく美味い、ほっぺが落ちるほど甘くて美味いんだが……
レンバスを胃の中に収めるたびに、股間が熱くなり、セスティアに舐めしゃぶられているモノがぐんぐん硬さを増していくのを感じる……
「よしよし、食べてる、食べてる……はい、口を開けてみせてみろ、よし、もう残ってないな、それじゃ次、今度は四枚いっぺんに食べることを許してやろう……何に、もう食べないのか? ふーん、私はお前に処女を奪われて、契りの連合いにされ、おまけにお前の専用ま×こエルフになるなんてバカな誓いまで立ててやってるのに……ファンはそんな私のお手製のレンバスすら食べてくれないわけか?ふーん、そうか……エルフの森にも帰れず、栄光ある我がエルフ軍から脱柵するしかない上、我侭な連合いは手作りレンバスすら食べてくれない、嗚呼、私はなんて不幸なんだ」
たいへんわざとらしい演戯で俺の胸元に頬をすり寄せるエルフのお姫様。
悲劇の姫を演じながら、時折その切れ長の目でチラチラと此方の様子を伺ってくる。
まあ、フィーセリナの言うとおり、この類稀なエルフの美姫を手篭めにしたのは俺だし、全て事実だから言い訳はできないけど。とほほほほ。
「わ、わかった食べる、食べるから、んっ、やっぱ美味いなコレ、何枚でもいけそうだけど……あのさ、これ食べるとなんか股間がムズムズというか精力が、んぐぐぐ、口に押し込むな、食べるって、んがぐぐっ」
超美味な焼き菓子が今度は同時に五枚口に押し込まれる。いかん、取りあえず話題を逸らさないと……
「もぐもぐ……ところでさフィー、さっき言ってたエルフ軍を抜けるって、結構問題だよな」
次に押し込む予定のレンバスを手に持ち爛々と目を輝かせるフィーセリナに、俺は前から気にしていた事をこの際だから聞いてみる。
大森林地帯住むエルフ、つまりはこのグローランサ半島に住む大多数のエルフは、敵対種族トレントとの戦いに勝利するため、昔からの氏族や部族単位での闘争をやめ、戦略的な軍事活動を合理的に実施する単一集団――全エルフ民の所属を義務付けたエルフ軍を母体とした軍事国家に変革したのは有名な話だ。
フィーセリナはそのエルフ軍の元帥の娘、つまり昔のエルフ氏族で言えば王族の娘というわけだ。
「もちろん大変に決まっている、なにを今さら……故郷の軍部にお前と私が、その……こ、こここ恋人……ごほんっ、そ、そのこう言った関係だと露見したら間違いなく「森の掟」の査問会議にかけられるな、そうだな、例えばこんな姿を見られたらニンゲンのお前は死罪決定だな、ちゅっ、んっ、れろっ」
フィーセリナはお気楽な音をたて「森の掟」の重大違反である異種族との接吻をする。
さらにエルフの姫君は、差し入れた舌先で俺の口の中に残った焼き菓子のカスを唾液と一緒に舐め集め、当然のように自分の口に運んで食べてしまう。
「んっ、さすが私のお手製レンバスいい味だ、ほら口が空いたから次を食べさせてやる、ふふ……え、死罪が決まったらどうなるか?それは当然、懲罰部隊が派遣されてくるな、最近は軍も処理が迅速になったから、査問に七十年、追っ手役を決めるのに三十年ぐらいしか掛からないだろう、我が栄光あるエルフ軍はフットワークの軽さにも定評があるからな」
フィーセリナはふんっと鼻をならし故郷のエルフの軍隊の自慢をする。
「…………百年後って、俺もう死んでるよ」
「え??……何で死ぬ?」
エルフのフィーセリナには、ニンゲンの寿命が理解できないらしい。
まあ成人してからはほぼ不老の長命種であるエルフには、ニンゲンなんて生き急いであっという間に死んでしまう種族の感覚は理解できなくて当然だろう。
同じく長命種の樹木人トレントと、神話の時代から延々と戦争している理由がわかった気がする。
「えーと、ニンゲンの寿命は長くても七十年ぐらいかな、エルフとは違うんだ……そうか、まあ、これで厄介ごとは一つ解決か、というか問題が問題じゃなくなるまで先送りできそうだな」
シャドウエルフの暗殺者に怯えて暮らす必要はないらしい。ほんと良かった。
「ちょ、ちょっと、聞いてないぞ、そ、そ、そんなの、なんでそんな短いんだ、え?え?本当に?……おい、嘘、嘘だよな?……そ、そんな……ニンゲンって短くても五百年ぐらいは生きるのかと…ファン、お前が、し、し、死ぬなんて……い、いやだ、そんなの、認めない」
深緑の髪の儚げなエルフのお姫様は、演戯ではなく本気でその澄んだ瞳から涙をポロリと落とすと、俺の首筋に額をおしつけていた。
その華奢な背中は小刻みにふるえ、しがみつく指先は痛いほどだ。
「あ…あのさ…フィー…そう気を落とすなよ、ニンゲンなんてそんなモノだから……いずれ誰もが死ぬわけで……ってエルフは違うか……あ、いや、えーと」
異種族間での寿命問題などどう慰めてよいかわからない俺は、とりあえずフィーセリナの震える背中を抱き寄せたのだが……
俺の腕の中で儚げに泣いていたはずのお姫様から、何やらブツブツと不穏な呟きが聞こえてくる。
「……そうか、これは体質改善の予定をはやめないと駄目だな、よし今日からレンバスは一日一ダースはノルマだ……後、ミルヴォールも原液で飲ませよう、あれはだいぶ苦いからお茶に混ぜていたが……日一瓶、いや二瓶は直接飲ませて……」
「お、おいフィー、何やら聞き捨てならない単語が……」
「……むむむ、しかし、そうすると副作用の強壮効果が今より激しくなるか……まあ、それはセスと私で相手をしてやればいいだけだし……今より激しくか…ゴクリ……よし、レンバスは二ダース、ミルヴォールは三瓶に追加だ、ふふ」
俺の首筋に額を寄せ、泣きまねをした姿勢で何やら悪巧みをしているエルフ娘。
おい、【ミルヴォール】って噂だけは聞いた事があるから知っているが、エルフの王宮にあると言われる強壮飲料だよな。ペンス・ドーンの媚薬みたいに、偽者がよく出回る伝説の飲み物だ。たしか死人も立ち上がると言われる程の凄い効果が……っっ
「って、お前、俺に何をする気だ!!」
「うるさい、ファン黙ってどんどんレンバスを食べろ、ほらほら、十枚重だ、美味いか?ん? 喉が詰まったか、じゃあコレを飲め、ちょっと苦いが大丈夫だろ、ほら、一気にいけ」
「うごっ、にげぇええええええええええええ」
口いっぱいに蕩けるような甘い焼き菓子を詰め込まれた上に、今度は舌が曲がるほど苦く青臭い緑色の飲み物を注がれる。
「我慢、我慢だ、ほら、もう一本追加してやるから」
「うぐぐぐっ、つか甘い、苦い、か、勘弁、ごほっごほっ」
「駄目だ、許さない、体の中から変えていかないと、ほら、もっと食べて、飲んで、また食べるっっ」
「く〜んっ、ファン、あたしを忘れるな、せっかくファンのおち○ぽペロペロしてやってるのにさ、ぐすっ、こうなったら、ずるるるるっ、んんんっじゅるるるっ」
「うおおっ、セス、吸うのは、吸うのはよせって、お前のバキュームは激しすぎて、でっでるうぅ、ごほっ、フィーもう口に押し込むなっ、んぐっんぐぅぅ」
『おお、それはエルフ秘伝の長寿の壮健餅レンバスに強壮汁ミルヴォールか、懐かしいな、エラドリンの宮殿に乗り込んで虜にした白エルフの娘がよく貢いでくれたもんだ、あの時は三日三晩エルフ娘とくんずほぐれず、うはははは、よし、詳しく話して聞かせてやろう、あれは三つの月が重なる年のこと、当時の俺様は――』
「ネェ、ふゃん、ふゃん、このお菓子、くりるもたべるぅ、もぐ、もぐ、ふぉおおおおおおっ」
こうして、魔神の封じられた迷宮での小休憩は、騒がしく過ぎていくのだった。
というか、俺、全然休憩とれてないんじゃないだろうか?


フィーセリナが、エルフ伝統の焼き菓子【レンバス】と秘蔵の強壮飲料【ミルヴォール】を毎日のように俺に勧めるようになってから、さらに五日の日数がたっていた。
ゴブリン退治を冒険者の依頼所で受けてから十日もたったことになる。
ニンゲンの俺は太陽が見えない環境では時間間隔は狂いがちで日付の実感がわかないが、亜人のセスやフィーは、正確な体内時計があるため日数的に間違いは無いらしい。
その間、俺達はいまだ件の迷宮をさ迷い続けていた。
「静謐」の更紗と出会うこともなく、また迷宮の出口を見つけることなく、迷宮探索は結果的には何の進展も見せていない。
ちなみに、俺の今までの拙い冒険者人生でこんな長丁場は初めてだ。
以前の最長記録は一週間、とある村の芋畑を荒らすダイアボア(大猪)の出現を待ち続けたのが最長だ。
その依頼は一週間目に俺が疲労のあまり倒れ依頼失敗かと思いきや、鉱石妖精リ・クリルが俺を落とそうと一週間かけせっせと掘った巨大落とし穴に、件のダイアボアが偶然落ちて仕留めることができ依頼成功……で終わればよかったが、芋畑の半分を落とし穴のため掘り返された村人が激怒し、依頼は結局失敗した経緯がある。
なんにしろ自己最長を更新する十日目、しかも凶悪な石造ゴーレムとデストラップが襲いかかる広大な迷宮での緊張感に満ちた戦闘の日々に、魔神復活の危機のおまけつき。
その過酷な戦いの日々が俺の冒険者としてのスキルを一気にあげ、俺はいまやセスやフィーに匹敵する「二つ名」もちの冒険者に……
なんてうまい話は当然なかった。
ちなみに、本日、俺の冒険の先生であるセスとフィーに戦闘中にかけて頂いた言葉のうち、一番記憶に残っているのは以下の通りだ。
「ファン動くな、トラップだ、通路の先の石畳、微かに欠けてるのが見えるな?……何だファン、暗視もできないのか?ふぅ、もう少しで発動するところだった……もういい、後は私がやる、ほら、この10フィートの棒をもって後ろにいろ、もう一歩後ろ、いやもう五歩ぐらい下がって、もう何にも触れるな、いいか、そこで私だけを見ていろ」
通路の探索をしようと不注意に足を踏み出した俺を、真っ青になりながら本気で叱りつけトラップを手早く解除するフィーセリナ先生。
「ファン、ダメっ、その犬型ゴーレムは間合いが大きい、危ないっ、くっ、でりゃややああああ、はぁはぁ、無事?怪我ない?……ふぅ……よかったぁぁ………あたしのファン、あのさ……はっきり言うとファンはまだ後方にいた方がいいと思う、前列はまだ無理、ファンの筋力じゃゴーレムの一撃を受けきれないから、だから、まずは後方から先制を確実にとることに集中すべき」
今までで一番弱そうな仔犬型のゴーレムに手も足もでない俺をかばい、申し訳なさそうに力不足を告げるセスティア先生
以上のように、セスとフィーに多大な迷惑をかけながらも駆け出し冒険者のままだった。
まあ、たった数日でいきなり簡単にレベルアップできるわけではない。
一方で戦闘ではたいへん頼りになる二人のパーティメンバーは、戦闘以外――つまり休憩時間では、厳しくも優しい美人冒険者先生から、優しくて甘々なドスケベセックス奴隷へと軽々とクラスチェンジしていた。
休憩中の「赤牙」のセスティア・ゼルフは、そのダイナミックで肉感的なボディを利用し、ボリューム抜群の爆乳の谷間に俺の頭を包みこむように抱擁すると、俺を徹底的に甘やかす愛情たっぷりの種付け交尾に夢中な性欲処理ドーブツになっていた。
俺を抱き締め艶然と微笑む紅い美女は、色っぽい厚めの唇を開き、ねっとりと唾液のからむ長いベロを垂らし、俺の上に覆いかぶさり口をふさぐ。
密着した唇の間で、赤毛の美女の長いベロがクネクネと動き、飴玉をねぶるように俺の舌を舐めまわしたり、頬を窄め唾液と一緒に俺の舌を強烈な吸引音を響かせ吸い上げてくちゅくちゅとこね回したりと、濃厚すぎるエロいベロキスの技巧は休憩毎にどんどん上達していた。
そしてもちろん、たっぷり俺の唾液を啜り取りながら、狩猟系獣人のしなやかで柔軟な長身で俺を抱き締めたまま大きなヒップをふるわせ、膣穴でペニスをシゴくテクニックはプロ並以上に成長していた。
ここ数日ですっかり俺専用に鍛錬された獣人美女の蜜壺内は、温めた生ゴムみたいに柔らかで、膣全体で俺のペニスをゆっくりじんわりトロトロに締め付け蕩けさせるくるのだ。
最初の頃は俺に突かれてよがるだけだった赤毛の美女は、今では気持ちよすぎて涎を垂らす俺の顔を見下ろしながら、幸せそうに耳と尻尾をヒクヒクさせる満面の笑みを見せながら、俺の仔を何匹でも孕めると自慢する畜生腹で噴き上がる濃厚なザーメン汁を全て受け止めていた。
一方、「魔弾」のフィーセリナ・エルダールも、パーティメンバーのセスティア同様、休憩のたびに俺と濃厚な肉の交わりを繰り返すことで、俺専用ま○こエルフとして着実にレベルアップしていた。
つんっとそっぽを向き、契りの連合いだから仕方なくだからっと一応の言い訳をしたすぐ後で、自分から「森の掟」違反の唇を吸い合う恋人同士の熱いキスをするのはお約束。
たっぷりと舌と唾液を交換し満足するまでキスをすると、次は大抵、契りの儀式にのっとりその華奢な肢体で俺の腰の上に跨り、そそり立つ肉棒の根元を両手で押さえて狙いを定めつつ、魔法に長けたエルフらしく何時の間にか覚えた<愛液豊潤>の魔法を詠唱しはじめる。そして、その端正な美貌にクールな微笑を浮かべようとして、ついついスケベな期待に口元をヒクつかせてしまうエロエルフは、迷いなく細い腰を一気に落下させ、ガチガチに勃起した男根に子宮口まで直で貫かれる衝撃に失神するほど生ハメセックスの虜になっていた。
ちなみに、森エルフのお姫様は、癖になったお尻の感覚も忘れられなようで、後ろにまわした手でアナルを弄りながら、尖ったエルフ耳をへたらせ快感で涙と涎を垂らす恍惚の表情で、小さな白いお尻を弾ませるのがお気に入りらしかった。
そんなエロエルフのぷりぷりと弾力のある膣肉は、きゅきゅっとペニスを握り締めるように抽出活動を繰り返し、スペルマを子宮に飲ませるまで離してくれなかった。
ご要望通りに、俺がたっぷり膣内射精してやると女エルフは唇を尖らせ怒ってみせながら、ザーメンでパンパンになったお腹を幸せそうに撫で、こっそりと極上の笑みを浮かべ喜びを噛み締めつつ、最後はお返しとばかりに、大量のエルフの焼き菓子を口に押し込こんでくるのもまた日課となっていた。

この混沌のグローランサ半島で、劣等種族であるニンゲンが、優位種族である狩猟系獣人族とエルフ種族、それも飛びぬけてハイレベルな容姿と能力をもつ女性と関係をもつ事など、今までの歴史上にそうそうない事だろう。
だが、俺、ファン・ルード・クエスターはニンゲンでありながら、そんな夢のような機会を得るチャンスに恵まれ、この才色兼備なデミヒューマンの女達の最高の抱き心地を知ってしまった。
当然、俺はもうセスとフィーという亜人の美女二組との休憩セックスにハマってしまい、迷宮の探索中も次の休憩が待ち遠しくて仕方がなくなっていた。
どうやらセスとフィーもその気持ちは同じらしく、迷宮探索中に少しでも休息所として使えそうな小部屋が見つかると、そわそわと落ち着かなくお互い顔を見合わせる。
そして、俺が少しでも頷こうものなら、まだ休憩するタイミングでなくても小部屋にいそいそと向かい、部屋に篭もるやいなや、服を脱ぐ間も惜しいように抱きつき、荒い息を奪い合うようなキスをし、そのまま床に引いたマットに縺れ合い倒れこむと、何もかも忘れて狂ったように求めあっていた。
今日なんてまだ半日たっていないのに、もう三回もそんなセックスの為だけの休憩をとってしまっている始末だ。
ちなみに朝の目覚まし代わりのダブルフェラと、二人のうちどちらかに必ず挿入しながら朝食をとるのは恒例の行事なのでカウントしていない。
いや、まだ今日は迷宮を探索しているだけ、マシな方かもしれない。
大休憩――睡眠を兼ねた長期間の休憩の時は、セスとフィーは必ず示し合わせて俺の寝袋に全裸で潜り込んでくる。
そして二人してその柔肌の肉布団で俺をサンドイッチにして包み込むと、夜中過ぎまで蛇の交尾のように睦みあい続けるのが定番だった。
俺は一つの寝袋の中で密着する美女達の大と小の二種類のおっぱいに交互に吸いつきながら、勃起したペニスを二人のムチムチの太腿やスベスベのお腹に挟まれ揉みくちゃにシゴきまくられ、準備万端の蜜壺の中に白濁の粘塊を吐き出し子宮に付着させたり、時には女達の尻穴を穿り返し腸内にザーメン浣腸を流し込んだりしていた。
そして大抵、最後には、美女二人による肉布団の寝心地のよさ堪能した俺が、睾丸が空になるまで射精し尽くすと、そのまま夢うつつの状態でペニスを美女どちらかの腹の中に突っ込み温めてもらいながら、眠ってしまう事が多かった。
探索中の癖に大丈夫か、冒険者としての大丈夫かと言いたくなる夜の過ごし方だが、いやまだましな方なのだ。
二日前の大休憩の時、フィーだけではなく、セスまでも協力して俺に例のエルフの焼き菓子【レンバス】と苦い強壮飲料【ミルヴォール】を飲み食いさせようとした事があった。
情熱的な美女二人がかりで甘い焼き菓子を交互に口移しで差し出されては、俺には拒めるわけがない。喜んでセスとフィーの口から交互に【レンバス】を食べさせてもらった。緑色の強壮飲料は苦いため口移しではなく、無理やり瓶を口に突っ込まれたが……
おかげで、俺はセスとフィーが恒例の寝袋に忍び込んでくる前にもう辛抱ができなくなり、寝具を準備している二人に襲いかかっていた。
女冒険者達の下穿きだけ脱がせ、類稀な美女二人を抱き合わせて肉ま○こを並べると、顔を押し付けむしゃぶりつき、嘗め回し、ほじくりあげ、最後に潮を噴いてヒクヒクと戦慄く二つの牝貝の合わせ目に、バキバキに勃起したペニスを乱暴に抜き差し、嬌声をあげさせ続けた。
それからはもう徹夜で獣人とエルフの生膣でペニスをシゴきまくり、ペンス・ドーンの力で異種族間の生殖能力を獲得したニンゲンの精液を亜人の子宮に注ぎ込み続けていた。
しかも朝になっても俺の勢いはとまることはなく、一晩中イキっ放しで半ば失神している美女二人に、むりやりお尻を突き出させ、ごぼごぼとザーメンを溢れ出す膣穴やヒクヒク喘ぐ肛門に順番にペニスを挿入していた。そのまま女達の四つの穴を肉便器がわり何巡も使い回していたら、気がつけば夕方過ぎまでセックス三昧で丸一日をほとんど費やしてしまっていたのだ。
当然その日は、迷宮探索の続行など出来るはずもなかったわけだ。とほほほ。
ちなみに、荒淫に耽ったその日の夜も、フィーセリナとセスティアは懲りずに、というか味を占めたのか期待満々に俺に焼き菓子と強壮飲料を勧めてきたわけで……
俺は毅然として断るつもりだっただが、気がついたらセスティアの焼き菓子を含んだ唇にむしゃぶりつき、唾液が絡む咀嚼されたお菓子の塊を、その長いベロで口の中に入れて貰っていた。
さらにフィーセリナが咥えた焼き菓子に端から食いつきそのままエルフ娘のピンクの唇を奪うと、ちゅちゅと音をたてて濃厚接吻しながら、お互いの口の中で焼き菓子を掻き混ぜてベロを吸いあい、エルフ美女の蜂蜜のように甘い唾液とともに焼きお菓子を美味しく頂いていた。
まあ、口移しも難しい独特の苦さのある強壮飲料【ミルヴォール】の方は、フィーの目を盗んでこっそりリ・クリルの口に瓶を突っ込み処分したので、前日のような丸一日セックス三昧という失敗はさけることができ、翌日は迷宮探索に昼頃からは出る事ができたのだが。
それでも結局、翌日は昼間までぬぷぬぷと気持ちいい事をしまくってしまったわけだ……
ちなみに【ミルヴォール】の瓶を一気に飲み干した鉱石妖精は「かぁっ、まずいぃ、もういっぱいぃぃ」などとその独特の苦さが気に入ったようで、腰に手をあててもう一瓶景気よく開け、ペンス・ドーンが『お、ミルヴォールの苦味が判るとは、なかなか通だな妖精幼女、うはははは』とわけのわからん賞賛の言葉を吐いていた。
そんなわけで、ここ最近の俺達は、迷宮探索の合間に休憩するのではなく、休憩の合間に迷宮探索していると言っても過言ではない状態だった。
……わかっている、わかっている、魔神の復活まで時間のないのは重々わかっているんだ。だけど、だけど……ああ、七女神様お願いします。セックスしすぎの時間切れで復活なんてことだけは無しにしてもらいたい。


今も、ちらりと後ろを振り返れば、本日三回目の休憩に使った小部屋がみえる。
確か、あの小部屋の暗がりで、ついさっきまで俺は、隣で凛々しく武器をかまえる女戦士の紅い髪を股間に押しつけ、肉棒をしゃぶらせていたのだ。
俺の股間の前にひざまずいた赤毛の美女は、唇をペニスにはりつけて頬を窄め、はしたなく鼻の下を伸ばしてじゅるじゅるとペニスを吸引し、最後には喉をならして精飲していた。
そして、獣人の女戦士に勃起ペニスをフェラチオさせている間、深緑の髪をもつエルフの姫君は、俺のアナルを丹念に舐めていた。
相棒の女戦士と俺を挟んで向かい合ってひざまずいた森エルフの女レンジャーは、その秀麗な美貌を俺のケツの間に押しつけ、長い睫をうっとりと閉じてエルフ耳を垂らすと、ピンク色の舌を伸ばしチロチロとアナル舐めに没頭していた。
最初はもの凄い勢いで嫌がったのだが、一度教え込むと二度目から何も言わなくても自分からアナル舐めを披露してくるエロ秀才ぶりを発揮する森エルフの姫君。今日なんて、嫌々やってるんだからなっと言いつつ、俺のアナルに舌先まで入れてペロペロ嘗め回し、さらに教えてもいないのに睾丸をやわやわとマッサージまでしてくれていた。
獣人美女のバキュームフェラに、エルフ美女のアナル舐め。
アレは、気持ちよすぎだったな、反則だよなぁ……

「どうしたファン?ファン?ぼーっとして、何か気になることでもあったのか?」
思考をピンク色に染めていた俺は、隣にたつセスティアの声に正気を取り戻す。
い、いかん、今は迷宮の探索中だぞ、気をひきしめないと、ここ最近俺は緩みすぎだ。
俺はランタンの光照らされた通路に意識を集中させる。
どうやら今は、この先の通路をフィーセリナが先行してトラップ確認している最中のようだ。
「な、なんでもない、ちょっと考え事をしてて、すまなかった、ちゃんと集中するよ」
俺は、探索中は冒険の師匠となるセスティア先生に謝り、ペンス・ドーンの柄に手を置きなおす。
「ふんふん、ファン、セックスしたいって匂いでてる」
だが、気を引き締め直した俺の隣で、セスティア先生がケモノの鼻をひつくかせると性欲処理ドーブツモードに移行していた。
「え、いや、それは、その……」
「あっ! そ、そか、そうかさっきのアレだけじゃ、ご奉仕足りなかったんだな?」
俺の様子に敏感に気がついたビキニスタイルの肉感的な女戦士は、期待した声をだす。
「え、いや、まてセス、そうじゃなくて……」
などと、そんな俺とセスティアがやり取りしていると、先行してトラップを確認していた女レンジャー、フィーセリナが暗がりの中から足音もなく戻ってきた。
「どうした二人とも? ……とりあえずこの先の通路は次の区画までクリアだ、今日は少しペースをあげよう、多少長くなるが後二ブロック先まで探索範囲を広げてからセック……ゴホン、小休憩にする、それでいいかファン?」
深い緑色の髪のエルフ美女はつんっと澄ました表情で「ま、私はファンがどうしてもと言うなら今すぐ休憩をとってやってもいいけどな」と付け足す事は忘れない。
もちろんここ最近の探索のペースの遅れは確かなので、俺は反対する言われも無く、探索続行に賛成した。
が、それに真っ向から反対したのは、もうビキニの紐に手をかけてうずうずしている獣人のセスティアだった。
「フィー、群れのボスであるファンが今すぐ交尾したいってサインをだしてるんだぞ、それを察するのが群れのメンバー、ファンの女であるあたし達の仕事だろ?」
「交尾って…せめて休憩と言ってくれ、それにどうせセスがしたいだけだろ? それよりセス、前々から言っているが私はファンをボスとは認めていない……ち、契りの儀式はしたが、それは対等なパートナーであって、その、言うなれば…こ、こここ恋人で……とにかく!獣人の群れのメンバーとは違う、私は誇りあるエルフであって獣人ではないっ」
エルフ耳の先まで真っ赤にして、相棒の女戦士に食ってかかる冷静沈着クールだったはずの森エルフの女レンジャー。
「でもフィーも同じ群れのメスだろ?? だから昨日の晩だってフィーは何度も何度もファンの子種で孕みたいって大声で――」
「ああああっ、バカっ、バカっ、あぁ、もーっ、い、い今言うな、恥かし……あ、あ、あああっあれはファンがどうしても私の中がいいって泣いてお願いしますをしたから、ファンが可愛く…可愛そうで、しかたなく相手してやっただけだ、ふん」
フィーセリナが鞣革の胸当てに守られたあまり膨らみのない胸を張りながらそう言い訳するが、朴訥な狩猟系獣人のセスティアには、いまいち理解できていないようで小首をかしげる。
「フィーがファンの仔を孕むなら、群れの仲間なのは当たり前なのに……うーん、まあいいか、それで交尾はどうするのさ?ファンがさっきし足りないって言ってた」
「だから休憩っと言いかえろと……ん?何だファンがそう言ったのか、なら話は別だ、今すぐ戻ろう」
即決即断した森エルフのエメラルドグリーンの目がとろりと淫靡に光る。
「だよな♪」
そして同じく女獣人が紅い唇を舌先でチロリと艶かしく舐める。
「「さ、ファン♪」」
あっという間に合意をとった二人の美女は、俺の両腕を左右からがっちりと掴み、有無を言わせず引きずって、来た道を引き返しはじめる。
向かうは、先ほど出立したばかりの休憩用の小部屋だ。
「え?え?ちょっと、ちょっとまってぇぇっ、セス、フィーっ」
「何だファン? ファンが交尾…ではなくて、休憩がしたいと言ったんだろ? なあ?セス」
フィーセリナはその秀麗な美貌に、いつもの冷笑を浮かべ何故か俺ではなくセスに質問する。
「うんうん、言った」
セスは上の空でそう答えながら、ふさふさの尻尾をふりつつ「交尾♪交尾♪」と呟きながら、小部屋に向かって俺を引きずっていく。
「いっ、言ってない、言ってない」
つうかコレはまた今日も小休憩が大休憩になる夜までコースじゃないか。
正直言えば、嬉しいし幸せ過ぎるが展開だが、これはもう冒険者として失格なんじゃなかろうか。
迷宮に篭もってセックス三昧だなんて!
「そうか、どちらが正しいかな、どう思う、ノッカー」
暴れる俺の腕を抱き直しながら、フィーセリナは今度は俺の頭の上に腰掛ける鉱石妖精に尋ねる。
「ふぁん、いいました、休憩したい、いいました、んぐ、もぐ、もぐ、うま、うまっ、もぐ」
リ・クリルはエルフの焼き菓子を食べながら、棒読みで返事をする。
いつの間に買収されたんだ、このダメ妖精。
「決まりだな、さ、ほらキリキリ歩け、お前が言い出したんだ、すぐ戻るぞ」
何時の間にか密約を成功させていた美貌の女レンジャーは、黒いスパッツ包まれた長い脚を交互にきびきび動かし、石畳の通路を小部屋に向かって早足で戻り出していた
「交尾♪交尾♪」と喉をならすグラマラス美女と「ふふっ」と妖しい冷笑を浮かべるスレンダー美女。あと、頭の上で「ふぉおおおおっ」と興奮した奇声を発して焼き菓子を貪るバカ。
ちなみに、俺の背中に背負ったペンス・ドーンが、
『魔神の復活が近い予感がするぞ従者ファン、急いだほうがいいな』
と久しぶりに自分が騎士だった事を思い出したのか、重々しく真剣な響きを口にしたが、誰も取り合わなかった。
毎日のように『魔神が復活しそうだ』の『もう魔神は復活したかもしれん』など連呼していたため、今ではパーティ内ではその発言は自動的に黙殺されるシステムとなっている。
「ふおおおおっ、た、たいへだよぉぉ、ふぁん、ふぁん、まじんくる?くるの?」
いや、レンバス効果で発奮した鉱石妖精だけが反応して慌てていたけど。
そんなわけで、本日四回目のご休憩に突入しようと……
まさにその時、
「ファン、ふせろ」「ぐるるるるっ」
セスティが尻尾をぶわっと膨らませ、フィーセリナが瞳を鋭く輝かせる。
獣人のもつ鋭敏感覚とエルフの第六感が危険を感知したのだ。
セックス中毒のメス顔だった二人の美女は、瞬時にベテラン冒険者の鋭さを取り戻す。
そして状況についていけず突っ立っている俺をその場に押し倒し、戦闘態勢に入っていた。
その次の瞬間、
耳をつんざく轟音とともに、すぐ側の通路の石壁が崩れ落ちていた。
巨石を組み上げた壁が、まるで玩具の積み木を倒すように崩壊し、真っ白な粉塵を立てていく。
「なっ、なななっ」
尻餅をついた俺が、驚愕に喉を振るわせ見つめる先で、ついさっきまで何の変哲もない石壁あった場所に大穴がぽっかりと空いていた。
『だから急げと言っただろう、従者ファンよ』
ペンス・ドーンの妙に落ち着いた声が宝玉から響く中、立ち込めていた粉塵が壁に空いた大穴から流れ出す風に押され徐々に消えていく。
あっけにとられる俺の目の前で、僅かに残った石壁の名残がガラリと音をたてて崩れ落ちる。
そして、うっすらと晴れる砂埃の中、壁に空いた大穴から姿を現したのは……

長い黒髪に、巫女服、そして東洋独特の長弓をキリキリと引き絞る古風な麗人。
そう、間違いない、最後の一人、「静謐」の更紗・カンザキその人だった。
そして、唐突に現れた八面玲瓏な巫女は、凛と張りのある美声を響かせる。
「魔神、お覚悟っ」
引き絞られた和弓のハマ矢が狙いを定めるその先は……
まぎれもく俺、ファン・クエスターだった。
ってちょっと待て、え?俺が魔神?

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